イベントレポート

2018.06.19

「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」を開催しました。~銘刀の酒・山形正宗のこだわりを学ぶ~

撮影:兜LIVE!編集部


こんにちは!
兜LIVE!編集部です。

 

2018年6月2日(土)、FinGATE KAYABAにて、兜LIVE!主催のイベント「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」を開催しました。

 

5回にわたって開催される本イベント。第3回目となる今回のゲストは、山形県の水戸部酒造五代目蔵元・水戸部朝信さん。水戸部さんによる日本酒トーク、毎度恒例の利き酒、そしてお楽しみの試飲まで、盛りだくさんのイベントをレポートします。


・創業ブランドを大切に「水戸部酒造」
 

撮影:兜LIVE!編集部

 

水戸部酒造は、1898年(明治31年)に初代蔵元・水戸部弥作によって創業された、酒蔵の中では比較的新しい酒造会社です。

 

明治時代は新しい産業が次々と興った時代であり、日本酒製造もその一つでした。水戸部酒造が生まれた明治時代には、日本には8,000ほどの蔵元があったそう。

 

水戸部酒造の代表ブランド「山形正宗」同様、当時は、日本全国のほぼ全ての蔵で「~正宗」「~錦」「~美人」といった名前のお酒をつくっていました。しかし、時代の変化に合わせて名前の流行り廃りは存在するもので、次第にこれらの名前は「古臭いもの」として扱われるようになってしまいます。また、追い打ちをかけるように、五代目の朝信さんの時には蔵元の数も1,200~1,500にまで減少。

 

周囲の蔵元が、世代交代を機に多くの蔵が古いブランドを捨て去り、代わりに新しいブランドを立ち上げることで再起を図ろうとしていく中、水戸部酒造の五代目を継いだ水戸部朝信さんは、新規ブランドを作る代わりに従来のロゴを工夫して変え、創業以来の古いブランドをあえて守ることで勝負していったそうです。

 

「創業ブランドをしっかりと大事にしていきたい」

 

水戸部さんのこの強い想いこそが、「山形正宗」が水戸部酒造の長きにわたる銘酒として扱われる所以なのでしょう。


・銘刀の切れ味「山形正宗」


撮影:兜LIVE!編集部

 

 

創業以来、絶えず進化を重ねながらも本質は決して揺るぐことのない水戸部酒造の銘酒「山形正宗」。このお酒が人々から“銘刀”と呼ばれ、長きにわたり愛されてきた理由のひとつが、硬水生まれの冴えわたるキレ

 

そもそも日本酒は「仕込水」と呼ばれる酒の原材料として用いる水の種類によって大きく二つに分類することができ、それを「男酒」と「女酒」と呼ぶそうです。

 

女酒は通常仕込水に軟水(ミネラル分の少ない水)を用い、穏やかに、かつ長期間発酵させた醪から醸成された、比較的酸の少ない甘口酒のことで、新酒の間はやさしい酒質で線も細く飲みやすい傾向にあります。

 

一方、男酒といわれるものはミネラル分の多い硬水を用い、発酵を強く進行させることによって比較的発酵日数の短い醪から醸成された、やや酸味の強い辛口酒のことで、新酒の間は舌触りが荒々しく、しっかりとした押し味があるのが特徴です。

 

山形正宗が醸造される山形県天童市では、他のほとんどの酒蔵が軟水の地域にある中、水戸部酒造だけは硬水の地域に属します。硬水生まれのキレの冴えわたる男酒だから「銘刀の切れ味・山形正宗」となったそうです。

 


・こだわりの酒絞り−−全量を100年物の木槽で

撮影:兜LIVE!編集部

 

 

「豊かな自然の恵みを引き出し、米の旨みと銘刀正宗のキレを表現する」

 

言葉にするのは簡単ですが、実際にそれを体現するのは全くの別問題。水戸部酒造では、徹底した高品質のお酒を造るために、日本酒の絞り方にまでもこだわっているそう。

 

日本酒の搾り方で代表的なのが、「ヤブタ式」と呼ばれる自動圧搾ろ過機で両側から圧力を加えてしっかりと搾る方法で、醤油などを搾る時にも使われる手法です。

 

水戸部酒造も同じくこの「ヤブタ式」の絞り機を用いているのかと聞かれれば、答えは「NO」。彼らが用いているのは「槽絞り」という絞り方。

 

「槽絞り」とは、木などでつくられた細長い酒槽に、醪を入れた酒袋を何層にも重ね押し蓋をして、上から圧を掛けて搾る手法です。これは「ヤブタ式」と比べ手間暇がかかるものですが、質の高い日本酒を造るために、水戸部酒造では全量を100年物の木槽で丁寧に絞っているそうです。

 

「徹底して高品質を追求し、いたずらに規模を追わない」

 

酒絞りに表れる水戸部さんのこの経営方針こそが、「山形正宗」の豊かな米の旨みと銘刀のキレにつながっているのです。

 

撮影:兜LIVE!編集部

 
・山形を“日本のブルゴーニュ”に
 

撮影:兜LIVE!編集部

 

 

五代目蔵元として日々お酒と向き合う水戸部さんですが、18年前までは丸紅株式会社で商社マンとしてバリバリ働いていたのだとか。幼い頃からの「世界を舞台に活躍したい」という水戸部さんの想いは、今も昔も変わりません。

 

「日本酒の生産量は、ピークで900万石ほどだったのが今は三分の一の300万石程にまで減少してしまった。だが、世界で日本酒を売れば3倍のマーケットは実現できる。そのためにはまず、テーブルに並んだワインが人々に何時間も語られるように、日本酒を世界で愛情と敬意をもって飲まれる第一級の酒としなければならない。そしていつか、山形をワインで有名なフランスのブルゴーニュのようにし、日本酒という歴史的・文化的な宝物をもっと世界に伝えていきたい」と水戸部さんは語ります。

 

 

・お待ちかね! 利き酒三種 

撮影:兜LIVE!編集部

 

 

日本酒の魅力、そして蔵元の熱い想いを知ることができたところで、次は待ち望んだテイスティングタイム。

名前をふせたお酒が3種類注がれ、お酒を当てるクイズから始まりました。

 

「なんとしても全問正解したい!」

 

会場にいる参加者全てが、目・鼻・口を総動員して「見た目」「香り」「舌の味わい」を確かめていました。

 

今回注がれたお酒は「山形正宗 辛口純米」「山形正宗 雄町 生もと造り」「山形正宗 純米吟醸 酒未来」の3種類です。

 

気になる利き酒の結果ですが、なんと今回の全問正解者は3名のみ。会場に集った日本酒通の方々も、この結果には唇を噛みしめ悔しがっていました。

 

 

撮影:兜LIVE!編集部


 

今回のお酒に合わせた地元・山形県のおつまみも一緒にいただきました。

 

玉こんにゃく、丸八やたら漬け、すいかのぺそら漬け、赤カブの酢漬け、四つの素材の味が絶妙に山形正宗のお米本来のさわやかな甘味とマッチしていて、お酒もどんどん進みます。

「おいしいお酒がおいしいご飯と共にある、それだけで幸せ」という水戸部さんの言葉が身に沁みてわかりました。


撮影:兜LIVE!編集部


 

その後、上記の3種類のお酒に加え、蔵元お勧めの日本酒「山形正宗 純米吟醸 雄町」「山形正宗 純米吟醸 山田錦」「山形正宗 夏ノ純米」の3種類を合わせた計6種類のお酒を楽みながら、参加者同士の熱い日本酒トークが繰り広げられました。

 

・まとめ

今回のイベントでは、水戸部酒造の酒造りの歴史から、水戸部朝信さんの未来に向けた熱い想いまで、興味深いお話をたくさん聞くことができました。

 
なかでも、水戸部さんの「日本酒はもともと神のもの。この日本の歴史的・文化的なものを我々日本人がしっかり受け継ぎ、その素晴らしさを世界に伝えていくべき」という言葉はとても印象的でした。

 

普段なにげなく飲んでいる日本酒も、背景を知るだけでこんなにも味わい深く感じられるのかと驚かされた本イベント。これこそが「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」の醍醐味なのでしょう。日本酒がもともと好きな人も、そうでない人も、日本酒の深い魅力にどっぷりハマってしまうこと間違いなしです!

 

同様のイベントは、残り2回行われるので、興味がある方はぜひ参加してみてください。

兜LIVE!では、今後もお酒を通して学び、楽しめるイベントを開催していきたいと思います。次回もお楽しみに!
 

撮影:兜LIVE!編集部


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