2023.09.27

【金庫巡り】#4 東京証券会館に行ってきました

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


この連載【金庫巡り】では、この日本橋兜町・茅場町周辺にある古い金庫にフォーカスして、その歴史や魅力を発信していきます。第四回となる今回は、日本金融の歴史で証券界のシンボルとなった「株式会社 東京証券会館」を訪れました。


◆東京証券会館とは?


東京メトロ茅場町駅と直結した東京証券会館は、茅場町のランドマークといえる存在です。建物は昭和41年(1966年)に竣工したのち、証券関連団体が入居し、証券界のシンボルの役割を担ってきました。


建物を管理する「株式会社 東京証券会館」は、オフィスビルの賃貸、貸ホールや貸会議室の運営などの事業を展開。また、7階にあるホテルオークラ レストラン ニホンバシの共同経営も行っています。



現在の東京証券会館は、1階にはビジネスサロン兼カフェ、8・9階には会議から各種催事まで多方面に使えるホール・会議室、屋上には菜園など、証券関係にとどまらず、地域的・文化的に開かれた場所として新しい価値を提供し続けています。


◆東京証券会館の大金庫


地下の大金庫は建物竣工当時からあるもので、57年の歴史を持ちます。平成20年頃まで使われており、株券の処理と整理が行われていました。



特徴的なのは、金庫を守る巨大な扉です。その分厚さを見るだけでも、いかに株券の保管が重要視されていたかがうかがえます。扉の内部には、重石と耐火のために、砂がぎっしりと詰め込まれた筒が何本も入っているとのこと。


重厚感あふれる鉄製の扉は、頑強さも折り紙付きです。建物竣工以降、扉自体には一切手を加えられていませんが、大震災のときでさえ何も影響がなかったそうです。



安全と安心を守り続けてきた金庫の扉。今は動かなくなったハンドルも、長年の歴史を支えてきた功労者といえます。



90坪ほどある広いスペースには当時多くの棚が立ち並び、株券が保管されていたそうです。金庫前のスペースは事務所として使われていました。株券がデータ化され、金庫としての役割を終えた現在では、防災備蓄品の水置き場として使われています。



金庫内の壁には、外とやり取りするための機械が備え付けられていました。表面の説明書には、食料や道具を通すときの操作や、通話するときの注意などが書かれています。文字の書体にレトロさが感じられますね。



金庫室内には、小規模なスペースが設けられていました。これは、万が一内部に閉じ込められたときに備えた避難スペースです。金庫の中には窓も空調もありませんが、いざというときのために、このような場所がちゃんと用意されているんですね。



金庫室の隣には、内部の避難スペースと直結した小部屋があります。銀色の丸い窓と出っ張りのデザインに、どこか宇宙船のような印象を持ちました。


◆東京証券会館の小金庫


地下には小規模な金庫もあります。東京証券会館の福祉共済会が福祉に関する書類等を収納するため、平成10年前後まで使われていました。



今は蛍光灯が設置されているものの、かつては電球が照らしていたという金庫内。
中は8坪ほどの広さです。面積は小さくても、金庫は金庫。大金庫と同じように、部屋は頑丈な扉と内扉で守られていました。


◆食育と交流の起点となるコミュニティガーデン「Edible KAYABAEN」

東京証券会館で近年注目を集めているのが、2022年4月に屋上にオープンしたEdible KAYABAEN(エディブル カヤバエン)です。


屋上に一歩踏み出せば、目の前に広がるのは青々とした葉を茂らせる木々や季節の花々、そしてさまざまな種類の野菜やハーブ。その豊かさは、都会のビルの屋上ということを忘れてしまいそうなほどです。



子どもたちの食農教育、そして地域の人々が交流するためのコミュニティガーデンとして生まれたEdible KAYABAENは、平和不動産株式会社、株式会社ユニバーサル園芸社、一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの3社が共同運営しています。


緑豊かな屋上菜園は、食と農に関するイベントを開催したり、小学生を対象とした自然学校「アーススコーレ」を開校したりしているほか、中央区立阪本小学校の授業にも活用されています。



畑や花壇だけでなく、アウトドアキッチンも併設されているこちらのガーデン。自然の恵みを観察するだけでなく、実際に触れたり味わったりすることも大切な学びであるというコンセプトが伝わってきます。



こちらは、生ゴミを肥料に変えるコンポストです。国際的に環境問題がクローズアップされ、持続可能性や循環型社会の必要性が謳われる中で、実は自分たちの身近なところにある話なのだと学べるのがいいですね。


日本の高度経済成長期に造られ、時代の変化と共に在り続けてきた東京証券会館が、新たに子どもたちの学びの場、そして人と人とをつなげる地域コミュニティの場となっているのは意義深いことに感じました。


◆まとめ


竣工以来60年近い歴史を持ち、さらに新たなチャレンジの場として存在感を高める東京証券会館。落ち着いた趣のあるロビーと緑に溢れた屋上ガーデン、モダンクラシックなレストランとカジュアルな雰囲気のカフェが共に肩を並べる姿からは、「継承」と「挑戦」のメッセージが感じられました。


金庫は一般開放はしていませんが、カフェやレストランはどなたでも使えますし、Edible KAYABAENも見学できます。兜町・茅場町エリアに訪れた際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。


******************
兜LIVE!(かぶとらいぶ)
人と歴史と未来をつなぐ応援プロジェクト兜LIVE!では、たくさんの方が兜町・茅場町に親しみを持っていただけるような楽しく勉強になるイベントを企画・実施していきます。FacebookやInstagramをフォローして最新情報をチェックしてくださいね。
Facebook

Instagram
X(旧Twitter)


×

兜LIVE!について

運営

一般社団法人日本橋兜らいぶ推進協議会

代表者

藤枝昭裕

住所

〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町1-10
[map]

連絡先

support@kabuto-live.com