2021.12.12

兜LIVE!かぶかや・ヒューマン #15 「HOPPERS」伊藤一城さん

12月6日、兜町にスリランカレストラン「HOPPERS (ホッパーズ)」がオープンしました。スリランカ料理ってどんなもの?スリランカ料理を出す店主ってどんな人なの?店長の伊藤一城さんにお話を伺いました。


◆何もかもが新しい!モダンスリランカレストラン


―― 伊藤さん、はじめまして!


今日はよろしくお願いします!



――スリランカレストランって、初めて来ました!


私は2003年から墨田区押上でスパイス料理を楽しめる「スパイスカフェ」をやっていて、ここは2つ目の出店です。


20代の頃、3年半で48カ国の世界一周旅行をしたのですが、その間にスパイスに興味を持ちました。私の店は「カレー屋」や「インド料理屋」ではなく、様々なスパイス料理が楽しめる「スパイス料理屋」と謳っています。


スパイスカフェ外観(ホームページより)


そしてここ「HOPPERS」は、スリランカ料理に特化したお店です。ランチでは、スリランカの家庭料理である「ライス&カレー」を、ハレの日に食べるようなワンランク上の食事として提供します。


ディナーはガラッと変わり、ワンランク上の新スリランカ料理をコース仕立てでご提供します。スパイスを使ってスリランカの郷土料理を新しい形で表現し、それをワインペアリングと共にお楽しみいただきます。これは世界的に見ても珍しいスタイルですね。スパイスの可能性を、スリランカ料理というジャンルを通して表現していきたいと思っています。



◆体にやさしい料理、ワインとのペアリングも

――「ライス&カレー」って、カレーライスのことですか?


そう思いますよね(笑)。実は「ご飯とカレー」という意味ではなく、スリランカで「定食」を意味する言葉なんです。数種類のカレーと数種類のおかずをご飯と一緒に食べるスタイルで、削り節を使っているので出汁感があります。日本人の味覚と相性が良いんですよ。



「ライス&カレー」のおかずは一般的には4~5種類ですが、うちはハレの日のご飯をイメージしているので、豪華に9種類くらいつけます。色んな野菜をたっぷり食べられて、体に良いランチです。


「HOPPERS」インスタグラムより


ワンプレートスタイルで、カレーは3種類から1つ選んでいただけます。こちらで1,650円(税込み)です。


―― 彩り豊かで綺麗です!ディナーのコースも気になります。


コース内容は、前菜、お魚、お肉、ライス&カレー、デザートです。「ゴラカ」というドライフルーツを使ってお肉に酸味をつけたり、ココナッツを使って旬の魚をローストしたりして、新しい形のスリランカ料理を表現しています。


「HOPPERS」インスタグラムより

スリランカはアーユルヴェーダの国なので、うちの料理にもその考えを取り入れています。食前には岩塩と生姜を絞ったものをお出ししたり、冷たいお水ではなくカルダモンの入った白湯をお出ししたりと、消化を助けてくれて、胃に負担がかからないものをご提供します。


――ワインとのペアリングも楽しそうですね。


一般的にスパイスとワインのペアリングは難しいと言われていますが、私はすでに「スパイスカフェ」で国産のナチュールワインや中国茶を中心としたお茶とのペアリングをやっているんです。これまでの経験を生かして、最高のペアリングをご提供します。


ディナーコースはお任せのみで、月ごとに内容をガラリと変えます。料理は6,600円(税込み)、ワインペアリングは5,500円(税込み)です。



―― 何もかもが珍しくて、ワクワクします!


うれしいです。新しいものが好きな人たちに来ていただきたいですね。それと、うちは料理にほとんどお肉を取り入れておらず、野菜がたっぷり食べられるので、健康志向の方にも来ていただきたいですね。


――食材は全部スリランカのものですか?


スパイス系はスリランカの輸入業をしている方にお願いしていますが、野菜は日本全国の生産者さんと直接契約しています。うちの料理は野菜がメインなので、旬の美味しい野菜を使っていきたいと思っているからです。ちなみに、お皿も日本の作家さんのものを使っているんですよ。


「HOPPERS」インスタグラムより


―― 内装もモダンで素敵ですね。


店舗デザインは、スリランカの建築に精通した建築家さんにお願いしました。「スリランカの海沿いに立つ、リゾートホテルの近くの小洒落たレストラン」がコンセプトです。

スリランカの建築はミニマムシンプルで、現地にはすっきりしたデザインのリゾートホテルが多いんです。日本人の感覚に似ていると思いますね。この店も徹底的に色を省いてダークトーンにしたので、食材の色が主役になります。



◆元バックパッカー、旅中にスパイスに目覚める

―― 冒頭で世界一周したと話されていましたが、伊藤さんはこれまでどんな人生を送ってきたのですか?


元々は博物館の展示工事に特化した建築会社に勤めていました。でも、どうしても世界一周をしたくて……。それで、お金を貯めて、会社を辞めて、ルートも期間も決めずに旅に出ました。いわゆるバックパッカーってやつです。南極以外はすべての大陸に行きました。


旅の途中で自分と同じような旅人たちに出会ったのですが、皆そろって「自分は何者だ」と言うんです。「先生」「料理人」「プログラマー」など、とにかく自分のことを「私は〇〇だ」と表現していたんですね。私は当時無職でしたし、自分が何者かを言えなかった。それがとても辛くて、旅の後半は「自分も何者かになりたい、手に職をつけたい」とばかり考えていました。



じゃあ何になろうかと考えた結果、「自分は食べることが好きだから、料理人になろう」と。それで日本に帰国して、イタリアンやインド料理屋で修行し、4年ほど経ったころ自分の店を持つことを決意しました。世界をまわる中でスパイスにとても興味を持ったので、世界で見て来た様々なカレーやスパイス料理を表現する店にすることにしたんです。



―― それが押上の「スパイスカフェ」なんですね。


はい。当時は金欠だったので、実家の敷地内に立つ築50年以上の木造アパートをセルフリノベーションしました。駅から遠い場所なので、SNSで発信したり、店の一画をギャラリーにして作家さんに無料貸出したりと、集客に工夫をしましたね。世界をまわる中で、家を自分で建てている人や、ギャラリーのある飲食店をたくさん見てきたので、私もそれをやろうと。おかげさまで、開店当初から多くのお客さんが足を運んでくれました。


―― 旅の経験が料理以外にも生きているんですね!


そうですね。お店をオープンしてからも、毎年1カ月お店を閉めて、インドやスリランカに研修に行きました。食べ歩きではなく、実際にホテルやレストランの厨房に入って勉強させてもらうんです。それを10年以上続けましたね。当時はコネクションが無かったので、現地に行ってから研修先を探しました。ホテルのスタッフやタクシーの運転手に「日本でインド料理屋をやっているんだけれど、どこかで勉強できないかな?」と聞いて。



―― ええっ!それは勇気がいりますね!


当時は必死だったので(笑)。今は考え方が変わって、東京のフレンチやイタリアンのレストランで研修させてもらっています。食材の生産者さんを訪問するようにもなりましたね。漁師さんを訪ねたり、畑や山に行ったり。うちの料理は、国内外で学んだ様々なことが生かされているんですよ。


あと、私はキャンプが趣味なのですが、今度業界初の「キャンプ・スパイスレシピ本」を出版することになりました。4~5年前にも本を出したので(※)、これが2冊目ですね。こうしてONとOFFがごちゃ混ぜになることが楽しいんです。

(※)「SPICE CAFEのスパイス料理 ー日々のおかずと、とっておきカレー」(伊藤一城 著/アノニマ・スタジオ)。2015年グルマン世界料理本大賞グランプリ受賞



―― 本まで!伊藤さんの人生って、全部楽しそうです!


楽しむことを大切にしています。自分が楽しまないと、お客さんを楽しませることもできないですから。スタッフにも、「『美味しかった』よりも『楽しかった』と言ってもらえる店にしよう」と話しています。


◆この街で新しい体験をして、発信して欲しい

―― 今後の目標はありますか?


スパイスの可能性をもっと広めていきたいですね。今の目標は、アーユルヴェーダの要素を取り入れた、24時間スパイスの魅力を体験できるオーベルジュを運営すること。そして、全国のどこかに一定期間滞在して、現地の風土を感じながらそこでしかつくれない料理を提供することです。実際、先日沖縄に1カ月滞在して、ポップアップレストランをやってきました。これからも色んな所に行きたいですし、まだまだ楽しいことができると思っています。



―― 本当にフットワークが軽いですね!そういえば、なぜ出店場所に兜町を選んだのですか?


この街にものすごいポテンシャルを感じたからです。以前はほとんど知らない街でしたが、関係者の方から出店オファーをもらってこの街の展望を聞いたら、兜町にならぜひ出店したいと思いました。実は、これまでも様々な商業施設から出店オファーをいただいたのですが、商業施設は画一的で面白みがないのでお断りしてきたんです。今回は、これまでのオファーとは明らかに違いましたね。



コロナでレストランが衰退していますが、私は“レストランに行く体験”は、人生においてかけがえのないものだと思っています。その体験を、この街で表現していきたいですね。ちなみに、うちのスタッフの約半分はスリランカ人なんです。食事はもちろん、スリランカ人との交流も楽しんでもらえたらうれしいですね。


―― この街は、伊藤さんの舞台にピッタリですね!もうこの辺りのお店には行かれましたか?


すでにめっちゃ楽しんでいますよ!(笑)。「CAVEMAN」や「Neki」にはよく行くし、昨日は「ease」のケーキでスタッフの誕生日をお祝いしました。食べ歩きも飲み歩きも楽しいので、仕事じゃない日も兜町に来たいくらいです(笑)。


この街は商業施設と違って、小さな個性的な店がポツポツとあるのがすごく面白い。徒歩圏内で色んなことが簡単に楽しめるし、ちょっと足をのばせば東京駅にも日本橋駅にも行ける。非常に魅力的な街ですね。


―― このエリアにどんな街になっていって欲しいですか?


発信していける街になって欲しいですね。新しいことが知れたり、新しい体験ができたり、新しい何かを感じられたりする街になって、それを人に話したくなるような街になってくれたらうれしいです。


実は今、アーユルヴェーダの勉強会やヨガ教室を企画しているんです。ヨガをして、ここでアーユルヴェーダ的なランチを食べられたら楽しいと思いませんか?この街でそんな新しい体験を楽しんで、発信してもらえたらうれしいですね。



◆取材を終えて

「HOPPERS」の伊藤さんにお話を伺いました。いかがでしたか?伊藤さんの人生が凝縮されたこのレストランに、ぜひ足を運んでみてくださいね。伊藤さん、オープン前のお忙しい中ありがとうございました!


■HOPPERS(ホッパーズ)

〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町7-1 KABUTO ONE 1階

tel:03-6890-1547

定休日:水曜日

営業時間:ランチ 11:30-15:00(14:00 L.O)

          ディナー 18:00-23:00(20:30 L.O)

ホームページ Instagram



■押上の「スパイスカフェ」


(ライター:安藤小百合


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