イベントレポート

2020.12.11

兜LIVE!かぶかやヒューマン #11 「株式会社PORTE 取締役 森澤雄基さん」

「待ちに待ったランチタイム!今日は何を食べよう?」と迷っている皆さん、兜町第4平和ビル1階のオープンテラスに出店しているフードトラック「PORTE STORE(ポルテストア)」をご存知でしょうか? オフィス街で一際目を引く存在感と、本格的なジビエを手軽に楽しめるランチボックスが評判で、日に日に人気が高まっているんです。


今回お話をうかがうのは、こちらの仕掛け人である株式会社PORTEの森澤雄基さん。「PORTE STORE」誕生の背景やお店に込めた想い、そして森澤さんが歩んできた人生に迫ります!

◆ジビエを楽しむ日替わりランチプレート


――森澤さん、はじめまして!
はじめまして!よろしくお願いします!(キラリ★)



――早速美味しそう!「PORTE STORE」では、どのようなランチが買えるのですか?

日替わりのメインに、16穀米のお米、デリ3種、フレッシュサラダが入ったプレートです。


月曜日:鹿カツプレート
火曜日:羊を使い長野県伊那市をイメージした伊那市プレート
水曜日:野菜と肉を数時間じっくり煮込んでつくる和風カオマンガイ
木曜日:自家製のたれに豚肉をつけた壺漬けプレート
金曜日:長野県信州新町と遠山をイメージしたジンギスカンプレート



フードロス解消のために、1日1メニューに絞っています。メインは、全国で廃棄や農地を荒らす害獣として問題視されている「ジビエ」が中心。野菜は「チバベジ」(※)さんのものを使用しています。


(※)チバベジ:2019年9月の台風で被災した農家の支援をきっかけにスタートしたプロジェクト。農作物を廃棄せずに流通させることで、フードロスをなくすことを目指している。



ランチは栄養が偏りがちなので、低カロリー&高タンパクで、新鮮な野菜をたくさんとれる献立にしています。全体を混ぜると混ぜご飯になって、ササッと食べられます。


兜町の飲食店の文化の中に「忙しくて途中離席してしまったお客さんのご飯にラップをかけて、戻りを待った」という素敵なエピソードを発見したので、同じように冷めても美味しく食べられるよう工夫しています。


金曜日のジンギスカンプレート♪


――愛情も詰まっているんですね♪ ん?これはビールですか?!

クラフトノンアルコール「昼ビ」です(笑)。本格ビールと同じ麦芽100%で、プリン体と添加物は不使用。とても飲みやすいテイストで、うちのランチとも相性が良いんですよ。



こちらとは別に、オリジナルでドラフトのノンアルコールビールを制作中です。楽しみにしていてくださいね!


◆持続可能性を重視した未来のキッチンカー

――ジビエはどちらのものですか?
熊本県全域の山で獲れたものです。ジビエって、捕まえた頭数の約8割は捨てられていて、年々その廃棄量は増えているんです。肉の需要は上がっているので、そこに上手くジビエを差し込めないかと思ったのが始まりです。


熊本は豪雨災害がとても多く、その影響で雇用が無くなることもあります。ジビエの消費量を上げるだけでなく、雇用創出にも役立てばと考えています。


うちは「くまもとジビエコンソーシアム(※)」と連携していて、そこで加工したジビエを購入しています。完成一歩手前まで加工してあるので、うちでは仕上げ調理をするだけでOKです。


(※)くまもとジビエコンソーシアム:熊本県内で捕獲され、県の認可を受けた処理加工施設で加工された熊本県産ジビエの利活用促進を図っている共同事業体。



――心強いパートナーがいるんですね。「PORTE STORE」、ただのフードトラックじゃないですね!

ありがとうございます(笑)。ここで、私たちがテーマにしていることを3つご紹介します。


1つ目は「持続可能性の高い『食』をカジュアルに楽しむ」。
皆さんがジビエや農家さんの顔が見える野菜を食べようとしたら、「レストランに行く」「お取り寄せする」「実際に地域に行く」といった選択になりますよね。でも、私はコンビニに行くような感覚で、気軽に持続可能性の高い食に触れてもらいたいんです。そこで、その想いと非常に相性が良い「フードトラック」という形を採用しています。



2つ目は「消費社会に流されない未来のキッチンカーを表現する」。
利益優先型のビジネスモデルは、どうしても「想い」や「こだわり」を前面に出すのは難しいです。でも、私たちには大手企業のような資本は無いですし、利益も追求しなくてはなりません。その中でできることを考えた結果、“直接または間接的に産業のベースに携わる方たちと協力し合うことで、コストを下げる”という方法に辿りつきました。


また、「巻き込み型の事業」にすることで、「1人で戦うモデル」から「地域と都市が両輪で走るモデル」をつくり、消費社会に流されない事業を構成できると考えています。


「未来のキッチンカー」という表現は、「うちに関わるすべての人の誇りや自信に繋がって欲しい」という願いの表れです。少し大袈裟かもしれませんが(笑)。



――いえいえ!森澤さんの想いが伝わってきます。

ありがとうございます。


最後3つ目は、「都市と農村の繋がりがわかるような循環された飲食を行う」。
これはシンプルに、「生産者の顔が見える食材を使用する」ということです。

誰がつくったのか分からない食材を調理するのと、生産者の顔や声が思い浮かぶ食材を調理するのでは、料理人のモチベーションに差が出ると思うんです。そして、その想いはお客さんにも連鎖するはずだと思っていて。


少しでも農村の空気感が伝わるように、食材に関わってくれている皆さんをSNSに取り上げています。都市も農村もみんな同じ空の下なので、互いに手を取り合うことが大切ですよね。


◆脱サラして食の世界へ

――森澤さんは、ずっと食に関わって来たのですか?
20代前半は、アクセサリーやジュエリーをつくる企業に勤めていました。ファッション業界の「つくっては捨て、つくっては捨て」に疑問を感じていましたね。


そんな中、東日本大震災の復興支援ボランティアに参加し、地域の農家さんや漁師さんと出会いました。一次産業の大切さ、関わる人々の立場の低さ、大変さなどを聞き、そこではじめて「食」や「廃棄」に興味を持ったんです。



その後「農家さんや農家さんに関わる人と接点を持ちたい」と、友人にファーマーズマーケットを紹介してもらい、そこに出店しているキッチンカーでアルバイトを始めました。


そのお店は「自分たちで収穫した野菜などを使った料理店」がテーマなので、休日は農村地で農業体験やお手伝いをしていました。そこで猪や鹿などの「ジビエ」に出会い、農村被害の原因である「獣害」という言葉を初めて耳にしました。


……実は、廃棄されるものが自分と被って見えたことがあって。私も幼少期は変わった子どもだったので、「君はまわりと違うからダメ、形が悪いからダメ」というのが、本当に悲しいなと思ったんです。



ジビエは厄介者扱いされていますが、そもそも里山の自然が減って食べ物がなくなっているから、人里に下りて来ているんです。随分と物事が人間の都合で動いていますよね。「せっかく同じ命をいただくなら、なるべくジビエを食べたい」と思ったことが、今の活動に繋がっています。


――その後、「株式会社PORTE」を創業されたんですね。
はい。「食の問題を解決するチームがつくりたい、食を通して地域と都市を近づけたい」と思っていたところ、いろいろなご縁とタイミングに恵まれました。


今年で創業3年目ですが、当初は世の中の相場を理解していなかったので、失敗もしました。でも元々失敗には免疫があるし、「むしろ失敗できてラッキー」くらいに思っていましたね(笑)。


2年目には、本格的に猟師さんや工場の方と連携し、ジビエ料理・ジビエ商品・廃棄食材を中心に取り扱うようになりました。「PORTE STORE」はまさにその小さな集大成で、ポップアップで各地域に出店してきました。



今回兜町に出店することになったのは、街づくりをしている友人を通して、(編集部注:日本橋兜町・茅場町の再活性プロジェクトを行う)平和不動産の方から声をかけていただいたことがきっかけです。以前からこのエリアには注目していたので、とても嬉しかったです!


――ステキなご縁でしたね。それにしても森澤さん、フットワークが軽い!
会社外の活動になりますが、自宅の庭でジビエの解体イベントをしたり、地方の業者さんと商品開発をしたり、地域の子どもたちと農村ツアーに行ったりしています。これからも、地方と繋がる機会をなるべく多くつくりたいですね。


ちなみに、今でも農村地には頻繁に足を運んでいます。うちで扱っている食材の故郷がメインで、来週は千葉県、再来週は火曜日のメニュー「伊那市プレート」のルーツである長野県伊那市に行きます。



◆東京を牽引し、未来を代表する街になって欲しい

――これからの「PORTE STORE」が楽しみです。今後のヴィジョンはありますか?
「PORTE STORE」がいろんな人のチャレンジのきっかけになったり、小さな気づきやコミュニケーションが生まれる「食どころ」になれば嬉しいです。まずは、うちのランチを通してジビエに興味を持ってもらえれば幸いです。


私個人としては、今後教育業界に参入する予定です。これまで子どもたちと食のワークショップを開催してきましたが、もっと思いっきり教育をやりたいなと。教育が進んでいる学校にスタッフとして入って、子どもたちと食を中心に面白い未来をつくって行きたいですね。



あとは、もっと気軽に挑戦できる社会を実現したいです。「あ、これやりたい!」って思ったらスピーディーに行動できたり、事業化できたりする社会こそ、私が理想とする世の中の姿です。失敗を恐れて足が動かない皆さん、ぜひ一度私と話しませんか(笑)。


――パワフルな森澤さんが兜町に来てくれて、とても嬉しいです!このエリアは現在開発中ですが、この街にどのようになっていって欲しいですか?
大都市は人との繋がりが希薄だったり、有機的な関係がつくりづらかったりしますが、このエリアは良い意味で狭いので、互いの顔が見えやすいですよね。センスも良いですし、大きなエネルギーがあります。東京を牽引し、未来を代表する街として、これからもどんどん前に進んでいって欲しいです。


私もその小さな点になるために、まずはこのお店を盛り上げて行きます。丁寧に頑張ります!



◆取材を終えて

森澤さんにお話をうかがいました。いかがでしたか?エネルギッシュで誠実で、とっても柔らかい笑顔で……最高にステキな方でした!森澤さんと「PORTE STORE」のことをもっと知りたい方は、以下のSNSをチェックして下さいね。森澤さん、ありがとうございました!


■Instagram
@portestore_kabutocho

@porte_tokyo

■PORTE STORE 
【営業時間】平日 11:00~14:30
【場所】兜町第4平和ビル1階  オープンテラス(東京都中央区日本橋兜町8番1号)
【アクセス】東京メトロ「茅場町」駅10番出口 徒歩2分/東京メトロ「日本橋」駅D2出口 徒歩4分


■森澤雄基(もりさわゆうき)
株式会社PORTE 取締役。1991年1月31日生まれ、群馬県高崎市出身。祖父母が商店街で魚屋を営んでいることから、小さい頃から「食」や「コミュニティ」に触れながら生活する。学生を経て会社員となるが、東日本大震災を境に価値観が変わり脱サラ。飲食・農業の道へ。2年間農家を回りながら、ファーマーズマーケット内の店舗でアルバイト、その後commune 2nd内の店舗で約2年間店長を務める。「廃棄される食材」や「有機食材」に興味を持ち、2018年10月にフードイノベーションの会社・株式会社PORTEを設立。現在は、日本中を駆け回りながら食の社会問題を面白楽しく解決中。吉祥寺を拠点に「食」を通したコミュニティデザインも行っている。


(ライター:安藤小百合


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