2023.08.01

【LIVING GREEN FES】プレナス米文化継承活動〜都会の真ん中でお米の映画と壁画と田んぼに触れよう〜

こんにちは!

兜LIVE!編集部です。


2023年7月1日〜7月30日の期間、茅場町・兜町界隈にて「グリーンと共にあるライフスタイル」をテーマとした「LIVING GREEN FES vol.2」が開催されました。その一環で7月22日に行われた「株式会社プレナス」主催の「プレナス米文化継承活動〜都会の真ん中でお米の映画と壁画と田んぼに触れよう〜」という講座&体験会に参加してきました。当日の様子をレポートします。


◆緑や自然と共にあるライフスタイル『LIVING GREEN』

「LIVING GREEN(リビンググリーン)」とは、緑や自然に興味関心を持ち、生活のなかに上手く取り入れ、自分なりの心地良いライフスタイルを送っていくことを指します。
今回で2度目の開催となる「LIVING GREEN FES」は、日本橋兜町・茅場町の商店会や企業と協力し、誰でも参加できる様々な魅力的な体験型コンテンツを実施しています。



プレナスが2014年から展開している「米文化継承活動」について、より理解を深めることを目的に開催された本企画。日本の米文化の魅力を発信するためにプレナスが制作した映画『The Story of Rice』の上映会と、通常は見ることができない文化資産見学ツアーといった贅沢な内容となりました。個人的にも、日本の歴史や文化の中心にあった「お米」のことを見直す良い機会となったように感じます。



会場はプレナス本社の7階の会議室。趣きある茶室が併設されていました。


◆プレナスが繋ぐ米食文化「米文化継承活動」


1960年創業の株式会社プレナスは、持ち帰り弁当の店「ほっともっと」、定食レストラン「やよい軒」「MKレストラン」等を中心に、国内外に約3,000店舗を展開する、日本の外食産業の大手です。日本の年間生産量の0.5%にあたるごはんを提供しているそう。そのルーツは、現CEO・塩井辰男の曽祖父・塩井民次郎が、1886年に日本橋日枝神社で「彌生軒やよいけん」(当時は西洋料理店、大正期までの営業)を開業したことにまで遡ります。そんな外食産業界をリードする同社が「国内の日本の米文化を受け継ぐと同時に、海外にもその魅力を積極的に拡げていきたい」という想いのもと立ち上げたのが、米食文化とその魅力を伝えていくことを目的とした「米文化継承活動」です。



日本の歴史や伝統に密接な関わりのある米文化を守り繋いでいくための取組「米文化継承活動」。プロジェクトは主に4つの活動に分かれていて、壁画『棚田の四季』、米文化継承番組『The Story of Rice』、「Plenus米食文化研究所」、そして「米育活動」となっています。



①『棚田の四季』は、陶芸や襖絵制作を中心に活動されている細川護煕(ほそかわもりひろ)氏の作品で、高さ8.5メートルもある大きな壁画です。プレナス茅場町オフィス7階アトリウムに展示されています。


②米文化継承番組『The Story of Rice』は、米を中心とした日本の食文化の魅力を世界に発信する映像番組で、イギリスの「BBC Earth Productions」に依頼し制作された、とてもクオリティの高い映像作品です。


③「Plenus米食文化研究所」は、米にまつわる様々な文化や歴史を研究し、世界に向けて発信していくという目的のため、2014年に立ち上げました。ホームページ上で米にまつわる様々なコンテンツを発信しています。




④「米育活動」は主に二つあり、一つ目は「お米大好き絵画プロジェクト」というもの。
これは、プレナスの精米工場に見学に訪れている杉戸町立泉小学校の生徒たちに、お米をテーマとした絵を描いてもらい、工場近くの遊歩道に展示するというもので、米食への興味・関心を深めてもらおうという願いが込められています。


そして二つ目が、2020年から始まった「あおぞら田んぼプロジェクト」です。プレナス茅場町オフィスビルの屋上に田んぼを作り、米作りの面からも米文化の大切さを発信していこうというもので、近隣の阪本小学校の全面協力により実現しました。


◆日本の食文化を世界へ『The Story of Rice』

プレナス米食文化研究所長の八谷中大さんから活動についてのお話があった後、『The Story of Rice』の上映が始まりました。米文化継承番組『The Story of Rice』は、米を中心とした日本の食文化の魅力を世界に発信する映像番組です。日本人にとっては当たり前のことである、「ご飯を中心に、いくつかのおかずをバランスよく食べるという食文化」を海外の方々にもっと知ってもらおうという意図があります。




日々、各国の食材に接しているアイルランド出身の女性シェフ、レイチェル・アレンさんの旅を通して、日本の食文化を学んでいきます。レイチェルさんは、これまで数千人の生徒に料理を教えてきた中で、世界で16億人が食べている米に注目。最もシンプルな調理法である「白いごはん」を日常的に食べている日本へ渡り、米を学ぶ旅に出ます。


初めて訪れる日本。東京〜京都〜長野と各地を旅するレイチェルさんを通して、米を中心として広がる豊かな日本の食文化と、古くから米と共に生きてきた日本の姿が見えてきます。



お茶の席で出される茶事で格式の高い「茶懐石」、僧侶の修行の場で出される「精進料理」といった様々な日本食と出会うレイチェルさん。しかし、そのような特別な場においても家庭料理と同様に、白いごはんが中心になっていることに驚きます。



米を主食に選んだ日本人は、豊かな米を生み出すため各を水田に変えていきました。レイチェルさんは次に日本の原風景ともいえる棚田のことを知るため、『棚田の四季』を制作している細川護熙氏のアトリエを見学します。墨絵で描かれた美しい春夏秋冬の棚田の情景に心を打たれた様子でした。


旅の締め括りは、日本の各地で学んだことを活かしたオリジナルの定食づくりに挑みます。伝統的な日本家屋が建ち並ぶ京都の町屋がその舞台となりました。「市場でその土地にしかないものを探すのが大好き」というレイチェルさんは、京都市内で最も活気のある錦市場へ訪れ、地元ならではの食材をチョイスしていきます。



素朴であたたかなおかずと、羽釜で炊いた艶々のごはん。豊かな香りが画面越しに届いてくるようで、お腹が減ってきます…。炊き立ての白ごはんの美味しさが、レイチェルさんの笑顔からも伝わってきました。


◆日本人の心象風景『棚田の四季』


『The Story of Rice』の中でも触れられていた『棚田の四季』は、陶芸や襖絵制作を中心に活動されている細川護煕(ほそかわもりひろ)氏の作品で、高さ8.5メートルもある大きな壁画です。「四季の移り変わりと日本の食文化には密接な関係がある」という視点から、日本の原風景である棚田の春夏秋冬を表現したものとなっています。



『棚田の四季』は、「日本人の心を象徴する風景」が2×1mの大きさの和紙60枚によって構成されています。細川氏曰く「特定のどこかの棚田ということではなく、あくまで心の中の風景です」とのこと。7階アトリウムの四方をぐるりと囲み、外光に照らされた作品に来場者の方々からも感嘆の声が漏れていました。



棚田の春夏秋冬を墨絵で表現するためにいくつもの墨を使い分けているそうです。色彩は部分的にうっすらと季節の色を加えて描いているため、とても繊細な色使いがなされています。8階フロアからも見下ろせるようになっていて、なかなか観ることのできないアングルを楽しむことができました。


『棚田の四季』の見学を終え、見学ツアーの最後は屋上へ。


◆米作りから学ぶ米文化「あおぞら田んぼプロジェクト」


都会のビルにある屋上庭園はよく聞きますが、まさか田んぼがあるとは思いませんよね。「あおぞら田んぼプロジェクト」は自社ビルの屋上に田んぼを作り、食べる事だけではなく、米作りの面からも米文化の大切さを発信していこうという取り組みです。「子どもたちにも学びの場を提供したい」という想いのもと、近隣の、阪本小学校の全面協力を得て2020年から始まりました。毎年トライアンドエラーを重ねながら、「子どもたちだけでなく自分たちも一緒に学んでいこう」という姿勢が感じられる素敵なプロジェクトです。



今年(2023年)は、例年よりも稲の発育状況が良くないそうです。しかし、日照時間の増加などもあってここ数日で一気に成長し、なんとか例年の状況に追いつくことができたとのこと。「過去の蓄積、ノウハウがあったとしても計画通りにいかないところが、稲作の難しいところであり挑戦しがいのあるところです」と仰っていました。



童心に帰ったかのように、田んぼに放流したメダカを探す八谷さん。「水を入れ替える際にメダカを救出する作業が地味に大変なんです(笑)」と仰っていたのが印象に残りました。阪本小の生徒たちの笑顔のため、より良い稲作のため、これからも頑張ってください!


◆取材を終えて


日本人の一年間の米消費量が年々減ってきているということで、危機感も抱いているというプレナスさん。「米文化継承活動」の様々な取り組みを通して、日本人が大切にしてきた米食文化を後世に伝えていきたいという強い想いを感じられ、また古くから私たちの食を支えてきた米と米食文化を再発見する良いきっかけにもなった一日でした。


株式会社プレナス


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