イベントレポート

2020.12.23

オンライン開催でもパワーアップ!「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2020」をレポート【後編】

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


11月15日、オンライン配信による「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2020」が、「証券・金融の街」、「コト始めの街」である日本橋兜町の東京証券取引所「東証Arrows オープンプラットフォーム」にて開催されました。


取材したイベントの様子を、前編に引き続きたっぷりお届けしていきます。


◆ひらめきを育てるアート♯トークセッション2 ビジネスにおけるアート思考とアドリブの世界

2組の演奏が終わると「ビジネスにおけるアート思考とアドリブの世界」という二つ目のトークセッションが行われました。トークセッション2では、東京大学情報学環准教授の高木総一郎さん、洗足学園音楽大学教授でトランぺッターの原朋直さんが、ビジネスにおけるアート思考とアドリブについて議論。


「アドリブは、いったい何か?」という問いかけに原さんは「もしかしたら、楽器をやる人、歌を歌う人、というのは譜面のルールに従ってまるでゲームのように完走したらおわり、と思っている人が多いかもしれない。けれど音楽はそうではなくて、道標みたいなものを頼りに自分で創作するモノ」「アドリブの場合は、道標がなくて、雰囲気とか繋がりとか、テーマ、自らが今まで来た道のりとか、これからどこに向かっていくかを考えながら自分で創作していく世界」と強調されていました。


「アドリブで大切になってくるのはひらめきだ」と原さんは続けます。「過去の音楽や素晴らしいアドリブを分析したりして、模倣してみたり、理論を学んでみたりとかがひらめきにつながる。けれど結局は絵を描くのと同じで、自分のひらめきには人生観が反映されるんです。コード進行や音階のパターンなど、自分なりの引き出しを持っておかないといけない。そうやってスキルが上がっていった人たちが新しい発想で新しいものをつくろう、とやることがアドリブなのだと思います」と原さんは独自の見解を示されていました。


高木さんはひらめきの育て方について、「やっぱり、いい音楽に触れるのが大事なのでしょうか?」と問います。原さんは20代から音楽家として活動してきた自身の過去を振り返り、「いい音楽に触れるのも大切だけれど、今はもっといろんなアートに触れておけばよかったと思います」と返答。原さんは現在、絵を観たり映画を観たりするのが大好きだといいます。それに対し、高木さんは「アドリブは繋がりなどが偶発的要素を含みながら、果てしなく自由に広がっていくものなんですね」と続けます。


次なる話題はメンバーとのチームワークについて。「ビジネスの世界でもイノベーターのチームが即興的に新しいアイデアを出していくことは大事だけれど、チームとしてどこを目指しているかがあいまいだと、ばらばらになってしまうことがある」と高木さんはビジネス分野で起こりがちな課題に触れます。「音楽にも同じようなことが起こる場合があります。そうならないためにもバンドのリーダーは世界観や色、そしてメンバー一人一人の価値を認めなきゃいけない」と、音楽にも共通することであると原さんも語ります。


「これがジャズだっていうのは10年後には変わっているかもしれない。それを楽しんだり受け入れたりして。そんな風に一人一人が向き合えば世の中、平和になるなって思っているんですよね」と原さん。高木さんは「(変化を受け入れていく)そういった形で新しい音楽を作っていくというところとうまく呼応しながら、ビジネスシーンでも新しいイノベーションを起こしていけるといいのではないでしょうか」と締めくくりました。


◆繊細な感情を音楽にのせた「江澤茜クインテッド」

トークセッション後は、3組目のグループ「江澤茜クインテッド」の演奏が行われました。


今回のJazz EMPに登壇したグループの中でも、アイコンタクトの多さ、長さが印象的だった「江澤茜クインテット」。アルトサックスとトロンボーン、心地よく調和した2つの楽器は、力強い音色を東証arrows内に響き渡らせていました。MCでは、今回演奏する曲が出来上がったエピソードに触れる場面も。「鈍行列車での旅路や、大寒波の大雪が春に解ける様子を音楽で表現した」と江澤さんは話します。


2曲目、3曲目と演奏を終え、最後に演奏した曲は、初めてオーストラリアに降り立った時の気持ちを表現した曲。終始、アップテンポな曲調で、知らない土地に初めて降り立ち旅をする高揚感が伝わってきました。演奏したどの曲も江澤さん自身が体験したという、見落としてしまいそうになるほど繊細な心の機微を音楽でアウトプットしており、洗練された表現力、演奏力に感動してしまいました。


◆互いに音をぶつけ合い、高めあう「田谷ヒロムカルテット」

4組目の演奏は、弾き語りスタイルの珍しいジャズを演奏する「田谷ヒロムカルテット」。


個々のフィールドで活躍するメンバーが集まっており、力強さと繊細さを兼ねそろえた音楽が印象的です。最初の演奏は2年前、六本木で演奏するために作った、という曲。夜の街を想起させるメロディラインが会場を包み込みます。終盤のベースソロは圧巻の一言です。


今回ピアノとヴォーカルを務める田谷さんは、ポップスのバンドでヴォーカルとしても活動中。2曲目はその田谷さんらしさを活かした、ヴォーカル有りの弾き語りジャズを披露しました。ジャズミュージックと見事に調和する、透き通った歌声。音が言葉へ、言葉が音へ、互いに影響しあうことで曲のメッセージ性はより鮮明なものとなっていました。


3曲目は友人の結婚式のために制作した曲を演奏し、最後はジャズスタンダードの名曲をオリジナルのアレンジで演奏。短い時間でしたが、互いに音楽をぶつけ合う彼ららしい、溢れる情熱を感じる音楽でした。


◆想いを、圧巻の音楽にのせて「池田篤カルテットwith原朋直」

いよいよ、演奏のトリを務める最後のグループ「池田篤カルテットwith原朋直」が登場。国立音楽大学の准教授である池田篤さんが率いるバンドに、2018年の初回からJazz EMPに参加されている洗足学園音楽大学教授で、先ほどのトークセッションでも登壇した原朋直さんがゲストトランペットに加わった、このイベントだけの、まさにスペシャルグループです。昨年からJazz EMPに関わり、今回が初の演奏だという池田さん。ゲストの原さんとは、なんと30年以上の付き合いなんだとか。


「往年のジャズファンだけでなく、新しくファンとなった方も楽しんでいただけることでしょう」と司会者が紹介すると、演奏がスタートしました。


飽きの来ないリズムと、上品な音作りはじんわりと身体に染み入り、いつの間にかリラックスしてしまいます。かわるがわる披露されたソロパートは、池田さん、原さんお二方とも圧巻の腕前です。


2曲目はボサノヴァ調の曲。ブラジル発の音楽だといわれているボサノヴァ、聴いているだけで、ブラジルの夕暮れ、沈む太陽が頭に浮かんでくるようです。その後は途切れることなく沖縄の儀式・ウガンをテーマにした楽曲を演奏。最後は、池田さんが新聞記者だったお父様にささげられた曲を披露してくれました。最初は軽やかなテンポに力強く堂々とした雰囲気、後半は取材現場でしょうか、素早いドラムが忙しなさを表現。最後は、池田さん、原さんのお二方が曲のエンディングを演奏しました。お父様への思いが伝わってくる、素晴らしい音楽でした。


◆Jazz EMPの、ムーブメントは広まって…… 閉会挨拶

イベントの最後には、Jazz EMP実行委員長の有友圭一氏が挨拶。「勝手に進化しましたね

、Jazz EMPは」とJazz EMPの軌跡について言及します。


2017年12月8日の「Tokyo Financial Street」という番組で、鈴木さんとの会話で言葉にしたことが、Jazz EMPの始まりだったそう。「これまで自分の中でモヤっとしていたことがあって、ファイナンスとか、ビジネスとか、パフォーミングアートとか、それから私はファインアートなども買うんですが、これがどういう形でつながっているのか? それらが今日のアート思考のトークを通じて繋がった気がしました」と本日を振り返り、イベントの意義を実感したという鈴木さん。


「考えさせられることが多かった一日でした」とこの日をまとめ、「我々のアスピレーションに共感を覚えてくれている人が増えている、と実感しております。今日は小池知事にも応援いただいて、これからますますJazz EMPというムーブメントが発展していくのではないか、と確信を持っております」とコメント。最後にイベントの感想についてのアンケート案内をし、「Jazz EMP@TokyoFinancial Street 2020」は閉幕となりました。


13時からほぼ18時まで休みなく、東証Arrowsからオンラインで配信されたイベントは無事終了。例年と違い今回はジャズライブだけでなく、トークセッションも行われ、より内容の濃いイベントとなっていました。若手ジャズミュージシャンの方々も、普段は立ち入ることのない場所で思いのままに演奏できたようで、皆さんの楽しそうな姿がとても印象的でした。イベントコンセプトである「金融と音楽の融合」、そしてアート思考が融合し、さらなる広がりの可能性を示すこのイベントが、ずっと続いていってほしいと感じた一日でした。


YouTubeで演奏の配信がされていますので、皆さんも極上の音楽に浸ってください。


「江澤茜クインテッド」&「田谷ヒロムカルテット」
「池田篤カルテットwith原朋直」


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