イベントレポート

2020.10.29

第28回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』をオンラインにて開催しました

こんにちは!
兜LIVE編集部です。


9月26日(土) 日本橋兜町にあるFinGATE KAYABAにて、第28回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。


引き続きコロナウィルス感染防止対策としてオンラインでお届けいたしました。



今では世界的な金融街と言われる兜町。


江戸時代には酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、酒の原料である五穀豊穣にちなんでいるとのこと。


平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。


新型コロナウイルス感染防止に伴い、今回もオンライン開催となりました。


今回は島根県出雲市から富士酒造合資会社 杜氏 兼 専務取締役 今岡 稔晶さんをお招きし、地域の酒文化の深さや酒造りの理念、原料や環境や道具へのこだわりについて、酒蔵の案内とともに熱く語っていただきました。


◆神様と地元に愛された日本酒造り

◆富士酒造合資会社 杜氏 兼 専務取締役
今岡 稔晶さん


今岡さんは、1981年10月生まれの39歳。子供の頃の夢はプロ野球選手。親戚の叔父さん宅でお酒と塩辛の虜になり蔵を継ぐことを決意!東京農大卒業後、東京の小売店に就職しましたが、当時の富士酒造杜氏であった小林氏が急逝し23歳で出雲へ戻ることになったそうです。


戻った後は1年間杜氏不在の状況でお酒造りを行いましたが、やはり杜氏がいるべきだという話になり、今岡さんが24歳で杜氏になりました。最初は右も左も分からない状況でしたが、周りに温かく助けてくれる杜氏さんがいたことで何とかお酒造りを続けることができたそうです。


◆富士酒造の歴史や出雲の文化について

富士酒造は明治末期からありましたが、80年程前に酒問屋を経営しお酒をブレンドする仕事をしていた今岡さんの曽祖父が蔵を譲り受けたそうです。


今岡家が経営を始めてからは、常にチャレンジャーでありベンチャーの酒蔵であるという意識を常に持っていると、今岡さんは仰っていました。


出雲の地は神々に守られお酒の文化が深くロマンの眠る地理的環境であることから、酒発祥の地と言っても過言ではありません。酒造りの神を祀る佐香神社という古い歴史のある神社もあります。


それに、集会などでは積極的に地酒を飲もうという「出雲市地酒で乾杯条例」もあり、出雲はお酒と切っても切り離せない文化があるそうです。


また、出雲では、中国山脈から流れる八岐大蛇のモデルともなった斐伊川に沿って酒蔵が並んでいて、出雲富士でも軟水でやわらかい斐伊川の伏流水を仕込み水として使っています。


◆これから目指す方向性について

今岡さんがお酒造りをしたいと思ったきっかけは塩辛にあるので、食事と一緒に楽しめるような調和を考えた酒質をこれからも目指していきますとのこと。


ただ、蔵を継いだばかりの頃は、いろんな日本酒の試飲会があることからインパクト重視の普通酒や上撰のお酒を作っていた時期もあったそうです。


これからは「人と食を結ぶような調和の取れた日本酒を設計していきたい。出雲の風土や曽祖父の精神を受け継ぎ、直球で基本に忠実で正々堂々とした酒を造っていきます。」と熱く語ってくれました。



◆リノベ中の酒蔵ツアー

こちらはオンライン配信ならではのスペシャル企画。


今岡さん自らビデオ片手に、ただいまリノベーション中のこだわりの蔵を案内いただきました。


富士酒造は、出雲市駅から徒歩3分。天然温泉あり、居酒屋あり、海へ向かう斐伊川の水脈沿いに酒蔵が並ぶ情緒あふれる街並みの中にあります。





コロナの影響で出張がなくなり、こんな時こそ酒造りのレベルアップのために何かできないかと考え、今一番改善したいと思っていたお米を蒸すための蒸釜のリノベーションに踏み切ったそうです。




8月から蒸釜のリノベーション中とのこと!



10月2日にはここまで出来上がりました!


蒸釜

米を蒸す工程は味に大きな影響を与える重要なもの。以前は和釜でステンレス製のものを利用し良い仕事をしてたものの、さらに良いものを目指すには限界を感じていたそうです。そんな折、さらに一歩進める木製の蒸籠に出会い、改修のチャンスを得たそうです。木製の蒸籠で蒸すのが楽しみですと嬉しそうに話してくれました。




休憩室:

酒造りにはチームワークが大切!お酒造りには科学では証明出来ないものが影響するようです。人の感覚・思いやり・愛情…それらによって「おいしい」が「すごくおいしい」に変わるのだそう。作り手の心や身体が癒されるような休憩室にしたいとのことです。休憩室も蒸釜と合わせてリノベーション中です。




蔵見学の途中で今岡さんお気に入り出雲富士のステンドグラスも登場!
地元の作家さんに特注でつくってもらったそうです。非売品とのこと(笑)




仕込み部屋:

「出雲を醸し富士を作る」という想いのもと、エアコンを使わず出雲の自然の気候を生かした酒造りをしたいため、天然の漆喰を塗った壁と木の柱にこだわっているんだそうです。






麹部屋:

電子機器など外部から温度をコントロールするのではなく、麹菌が出す熱のみを利用し天窓から外気をとりいれて温度や湿度を調整する原始的な方法で麹造りをしています。酒の味を決めるといわれる麹造りはお酒造りの中でもかなり大事な行程になります。




出麹室:

出来上がった麹を乾燥させる場所になります。麹が出来上がった時は約43度なので冷ます必要があります。出麹の時間も大切で、麹がさらに成長することもあるそうです。山陰地方は冬場でも湿度高いので、乾燥しやすい2階に麹室を作ることが多いそうです。




仕込み部屋:
醪(もろみ)のタンクが置かれている場所。大小のタンクがあるが毎日櫂入れ(かいいれ)したあと醪の状態が良く見えるように各タンクの上に照明を設置しているそうです。こちらも漆喰の壁と木の柱の部屋でできています。



「あげふね」と「せめふね」:

醪が出来た後は、圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する作業を行います。まずは醪を上部に設置されたタンクに入れ、自然落下した滴をためた袋を槽に折り畳み、おもりを乗せて搾っていきます。2日後には、責槽(せめぶね)に移し、さらに搾ります。

載せ替えが大変なので、ヤブタ式という自動で醪を圧縮する機械を導入しようと思っていたそうですが、使ううちに愛着が湧き、目指すところのやさしい口当たりの良さがでるので、これからも槽搾り式でお酒を作っていきたいそうです。


瓶詰め:

槽で搾ったお酒はオリが多いため、タンクに移し2週間ほど寝かせてから瓶につめます。
オリとは、醪を搾った時に残る米の破片や酵母のカスなど。冷蔵庫で保管して、出荷がきまったらラベルを貼って出来上がり!


◆利き酒を楽しみながらオンライン交流




酒蔵のリモート見学のあとは、お待ちかねのテイスティングタイム!
お供は茅場町の名店「鳥徳」の「焼鳥と鰻のお弁当」と、出雲の本田商店さんからのプレゼント「出雲そば〜レンジで3分」。レンジだけでできるとは思えないくらいコシがあり出汁が効いて美味しかったです!

今回の利き酒の全問正解者は5名でした!少し難しかったかもしれません...。


ただ、今岡さんが仰っていた通り、さすが料理を盛り立てる調和のお酒。
相乗効果でお酒と食事両方楽しめました。



1.出雲富士 純米 白ラベル
日本酒度:+6
アルコール度数:15%

酸度:1.8
原料米:島根県産山田錦
精米歩合:70%
価格:720ml 1,290円/1,800ml 2,480円

特徴:富士酒造の顔であり幹となるお酒。パンチ少なめなので、ゆっくり味わえるお酒。
杜氏の思い入れが強く、出展した仏クラマスターで見事金賞受賞したお酒です。クラマスターとはフランスで2017年に始まった日本酒のコンクールです。


2.出雲富士 純米吟醸 赤ラベル
日本酒度:+3
アルコール度数:15%
酸度:1.7
原料米:島根県産山田錦
精米歩合:50%
価格:720ml 1,560円/1,800ml 2,980円
特徴:吟醸は出雲杜氏の真骨頂。心躍る香りと品のある味わい。
JR西日本周遊型寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」搭載に選ばれるも、コロナで運休。21年2月の運行再開が待ち望まれます。


3.出雲富士 楽登 Lacto
日本酒度:非公開
アルコール度数:16%
酸度:非公開
原料米:佐香錦
精米歩合:45%
価格:720ml 2,182円
特徴:昔ながらの教科書通りに作った生酛。
1,200本限定シリアルNo.入りのメモリアルな1本。
10月13日発売なのですが、地元の酒を祀る佐香神社の醸造記念祭にあわせたそうです。
名前の由来は、生酛で作りで重要な乳酸菌(Lactobacillus ラクトバチルス)と、その乳酸菌が産み出す乳酸(Lactic acid)からもらい、またコロナの中でも「楽」しく「登」って行こうと願いを込めたとのことです。


◆さらに理解を深めるQ&Aタイム!

Q:「東一」さん開発の木製蒸籠は2×2mを使用しているのですか?
A :1.8×1.8mを使用しています。蒸す量により調整して作ってもらいました。


Q:「あげふね」から「せめふね」に積み替える理由は?
A:「ふね」が小さいので2つのふねに分けて積み替えるんです。「せめふね」の方が圧が高いです。


Q:冷暖房を使わない理由は?
A:蔵元の方針によるものですが、最近は増加傾向にあるのではないでしょうか。その土地の気候を生かせます。


Q:仏クラマスターに白ラベルを出品した訳は?
A:私が個人的に大好きなお酒というのもあります。印象は薄いが奥ゆかしい品があり、どのような評価を受けるか試したかったんです。


Q:輸出はどの国に?
A:アメリカ・韓国・シンガポールです。


Q:出雲の酒蔵の数は?
A:4蔵あります。島根県全体では人口約67万人の中31蔵あります。人口約70万人の練馬区と比較するととても多いですね。「地酒で乾杯条例」があることからも酒造が盛んな土地だと思います。


Q:相性のよいお勧め料理は?
A:以前はお勧めしていましたが、無限の可能性があると信じ、限定的な発信は公式の場では避けています。プライベートでぜひ…。


Q:近頃の生酛は飲みやすく美味しく感じるが、酒蔵が清潔なため?
A:蔵を改装し清潔になったので乳酸菌がいなくなったのではと仮説を立て、失敗覚悟で生
酛作りを試みたのですが、結果として乳酸菌が育っていてよく仕上がりました。桶などの道具や人の手などからついたのではと思っています。


◆まとめ


今回は、神々の国出雲より、真っ直ぐで力強く清らかな杜氏らの手により造られる神聖なお酒「出雲富士」をお届けいたしました。


杜氏の設計通りの、どんな料理にも合う口当たりのよい美味しいお酒だと好評でした。


ご利益と地酒をいただきに出雲に行きたいな~と思いました。
その際は、現地の「出雲そば」も食べたいですね!


富士酒造のホームページはコチラ

ブログも充実しています!


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