2022.02.14

【前編】高らかに響くジャズ!「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2021」レポート

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


2021年12月5日、オンライン配信による「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2021」が、東京証券取引所「東証Arrows」にて開催されました。新進気鋭のミュージシャンたちによる白熱のライブ、アートを軸としたまちづくりの可能性を探るトークセッションの様子をお伝えしていきます!


◆「Jazz EMP@Tokyo Financial Street」とは?




「Jazz EMP@Tokyo Financial Street」とは、「金融と音楽の融合」「若手ミュージシャンの育成」をコンセプトに掲げ、今年で4回目を迎えるイベントです。“EMP”とは「Emerging Musicians Program」の頭文字をとって名付けられました。主催者の意向に捉われず、出演者自らが演奏したい曲やオリジナル曲を自由に演奏することで、協賛企業や多くの視聴者への直接的なアピールの場として今後の演奏機会に繋げて欲しいという想いが込められています。


また、金融と音楽が触れ合うことを通じ、ニューヨークに代表される世界の国際金融都市のように活気のある街を構築することも目指しています。このユニークな取り組みは、

兜町で働く外国人を通じて、徐々に国際的な認知も進みつつあるとか。


今年の「Jazz EMP@Tokyo Financial Street」は、昨年に引き続き新型コロナウイルスの感染対策として、「東証Arrows」にスタジオを構えるインターネットテレビ放送局「ストックボイス」の特別番組として、オンラインで配信。今回は、兜町の新たなランドマーク「KABUTO ONE」の1階アトリウムにあるキューブ型LEDデジタルサイネージ「The HEART」でもライブの様子が配信されました。


ジャズライブに加え「街づくりにおけるデザインの役割」「ビジネス人材としてのアーティスト」をテーマとした2回のトークセッションも行われ、非常に内容の濃いイベントとなりました。


オープニング JAZZ EMP at Tokyo Financial Street2021


◆トークセッション1「街づくりにおけるデザインの役割〜共創を促すソーシャルデザインとは〜」




プログラムはトークセッション1「街づくりにおけるデザインの役割〜共創を促すソーシャルデザインとは〜」からスタート。登壇者はソーシャルデザイン・プロデューサーであり、多摩美術大学、横浜国立大学で教鞭もとられている株式会社cocoroé代表・田中美帆さん(写真右)と、一般社団法人東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)シニアマネージャーで、JazzEMPの実行委員会メンバーでもある濱川明香さん(写真左)。


「ソーシャルデザインとは社会課題に対して共創を生み出しながら創造的なアプローチをデザインし、問題解決に貢献する取り組みをいいます。本日は、世界のケーススタディを具体的にお話ししながら、少しでもソーシャルデザインをご理解いただく機会になればと思います」と田中さんの挨拶から本題へと入っていきます。


実際にデザインがどのようにして社会の問題を解決したのか例を見ていく前に、弁証法という考え方について触れられています。弁証法とは「対立する二つの考え方を組み合わせることで高い次元の答えを導き出す」方法論のことをいいます。


実際の事例を見ていきます。意外な組み合わせの事例その一が『I ❤︎ NY』ロゴ。ニューヨークに行けば必ずと言っていいほど目にするロゴですが、誕生したのは今から約50年前。1970年代のニューヨークは経済が低迷し多くの失業者、犯罪者で溢れかえっていました。

そんな状況を打破すべく、ニューヨーク市がデザインの巨匠・ミルトンブレーザー氏に「街の活性化を促すために何かデザインの力を貸して欲しい」と直談判しました。その結果誕生した『I ❤︎ NY』観光キャンペーンは見事に成功し多くの人を呼び寄せ、街を救うことになります。


「デザイナーというのはプロフェッショナルというだけではなく、良い市民であることがデザイナーの役割である」という言葉をミルトン氏は残し、その職能(『I ❤︎ NY』ロゴ)をニューヨーク市に寄付し著作権も譲渡しました。


「デザインの巨匠と行政の役人という、二つのタイプの人が合わさる事でイノベーションが興った代表的な事例になります」と田中さん。


ここまで聞いていた濱川さんは、「『I ❤︎ NY』ロゴのデザイン性に目が行きがちですが、ニューヨークの方たちの共通意識や連帯感、デザインの持つ力を改めて強く認識しました」と感想を述べられました。




次に「多様性」というテーマについて濱川さんからお話しがありました。

「都市の魅力、総合力を見る際に、文化・芸術は切っても切り離せない関係にあると感じています。海外のいくつかの金融都市を見てきた中で、そういった魅力ある都市は文化・芸術を活発に行えるような環境をきちんと整備しています。そして、そのような都市には芸術しかり、多様な人材が集まってきます。それによってイノベーションが興り、新しい発想が創出されるのではないかと思います」


異なったもの同士が混ざり合うことで多様性が生まれ、新たな思考が湧き、共創すること。「Jazz EMP」という、「東証Arrows」と「ジャズ」の意外な組み合わせもまた共創のひとつの形なのかもしれません。


トークセッション#1 JAZZ EMP at Tokyo Financial Street2021



◆「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2021」開演! 

トークセッションが終了すると、いよいよ「Jazz EMP」のライブが開幕。初めに昨年度と同様、小池百合子都知事から寄せられたビデオメッセージが上映されました。


小池都知事は、「『Jazz EMP』は、ジャズミュージックにおける新しい才能を応援し、育てていくプログラムです。この取り組みを通して文化の多様性を高めていくことは、東京の魅力、都市の持続可能性に繋がり、人々の活躍を促します。それは、日本の代表的な証券・金融エリアである日本橋・兜町、茅場町地域の更なる活性化にも結びついていくことでしょう。ジャズの演奏が多くの方の心に届いて、東京を国際金融都市としていっそう高めていく力になることを祈念します」と、仰っていました。




続いて開会の挨拶では、実行委員会副委員長の東海林正賢さんが登壇されました。


「本イベントも4回目を迎え認知度もかなり高まってきました。元々は、『世界的にイノベーションが興っている街にはジャズが溢れている。兜町に足りないのはジャズだ』という有友委員長の理論を実践するために始めたイベントです。新進気鋭の若手ジャズミュージシャンの支援は勿論のこと、ジャズ業界を金融の力で立て直していきたいという想いもあります。そして、金融機関やビジネス関係の方々のイノベーションを促すアイディアの一端にもなれたらと考えています。コロナ禍により先行きが見えない状況ではありますが、音楽・芸術を盛り上げることがビジネスの発展にも繋がると信じています」と力強く挨拶されました。


◆トロンボーンの温かさと物語性のあるサウンドが持ち味「駒野逸美カルテット」




トップを飾ったのは、2017年結成のトロンボーンカルテット「駒野逸美カルテット」。世界中のアーティストから影響を受けたという駒野さんのオリジナル楽曲は、どこか懐かしく温かく、エモーショナルなジャズサウンドに表現されています。


この日は、2021年7月にレコーディングを終えたばかりの1stアルバムに収録された楽曲を中心に演奏していました。

ゆっくりと動き出す、時計の針のようなピアノのリフレインから始まる1曲目。一つ一つ記憶を紡いでいくかのような、トロンボーンの伸びやかなメロディが会場を包みます。

2曲目は、駒野さんがご自身のお爺様を想って書かれた楽曲で、トロンボーンとコントラバスによるデュオからスタート。中低域楽器同士が寄り添いハーモニーを奏でていく様子は、駒野さんとお爺様の親密な関係を連想させます。ラストナンバーはアルバムに収めていないという出来立ての新曲。メロディアスで覚えやすい楽曲でありながら、コード感、リズムのキメなどジャズ特有のエッセンスもふんだんに盛り込まれていると感じました。


駒野さんはオンラインでの演奏に際し、最近は自分の専用マイクを持ち込むようにしているとのこと。配信の音はオペレーターさん任せの部分が多いので、なるべくそれも自分の音に近づけたいという思いからだそうです。


最後に視聴者の方に向けて、「私たちのオリジナルを聴いていただき、その上でジャズをもっと身近なものとして感じてもらえたら幸いです」とコメントしていました。


駒野逸美カルテット JAZZ EMP at Tokyo Financial Street2021


◆ジャズをリスペクトした前衛的な楽曲で魅了する「Donkururi」




次に登場したのは、洗足学園音楽大学ジャズコース出身の3人からなる変則トリオ「Donkururi」。コロナ禍で音楽活動そのものが制限される中、ライブ以外でできることを模索している中で行った、3人によるジャムセッションをきっかけに生まれたバンドです。


「センシティブ、ユーモラス、クレイジー、エモーショナルな要素を合わせて新たなサウンドを追求している」というバンドコンセプトの通り、そのサウンドは変幻自在。ドラム、ギター、サックスという変わった編成で、本来なら入るベース(低音楽器)を入れないことで独特の世界観を演出しています。


ギターの小橋さんは巧みにエフェクターを切り替えてオーケストレーションをつくり、呼応するようにサックスのメロディとアドリブ、ドラムのビートが絡んでいきます。MCは一切入れず、畳み掛けるように4曲を演奏。互いが互いの音をしっかり聴いて反応していくことで生まれるうねりが、彼らの魅力そのものであると感じました。前衛的で、今回の出演者の中でも随一の尖ったサウンドです。


「オンライン配信で意識しているのは、「小さな音」がどれだけマイクで拾えているのかを確認することです」とドラムの原島さん。ダイナミックレンジの広さはバンドサウンドの振り幅にも大きく関わるし、生楽器のドラムにとっては大変気になることだと思います。

「エモーショナルな部分、即興音楽の面白さなどが視聴者の方に伝われば嬉しいです」とサックスの佐藤さん。「過去の偉大なジャズマンたちをしっかりリスペクトしつつ、自分たちのサウンドをつくっていきたいです」とギターの小橋さんが最後にまとめてくださいました。


Don kururi JAZZ EMP at Tokyo Financial Street2021


トークセッション2からは後編に続きます。


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