2023.06.13

【金庫巡り】#1 日本銀行 に行ってきました

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


【金庫巡り】では、日本橋兜町・茅場町周辺にある古い金庫にフォーカスして、その歴史や魅力を発信していきます。


第一回となる今回は、日本の金融界になくてはならない「日本銀行 本店本館」の地下にある金庫を訪問してきました。


◆日本銀行とは?


改めて説明する必要もないかもしれませんが、日本銀行は日本の「中央銀行」として、お札(日本銀行券)を発行しているほか、物価や金融システムの安定に努めています。設立されたのは明治時代の1882年で、空中から見ると「円」の文字に見えることでも多くの人に知られている本店本館は1896年に竣工しました。


本館の設計は、東京駅赤煉瓦駅舎も手がけたことで有名な、近代建築の巨匠である辰野金吾によってなされました。石積・煉瓦造の建物は、1923年に起こった関東大震災でも倒壊せず、一日も休まず業務を続けたということからも、その頑丈さがわかります。そんな日本銀行本館の地下にあるのが、今回取材させてもらった金庫です。


◆日本銀行の地下金庫は想像以上のスケール!

一般的に「金庫」と聞くと、箱のようなものを想像することでしょう。日本銀行の金庫は一般的なそれとは全く違い、地下の広い空間自体が金庫となっています。面積にして1,426㎡、野球のダイヤモンドの約2倍もの広さがあるというのは驚きです。



金庫を前にして、まず目に入るのはその重厚な扉です。この扉はアメリカ製のもので、厚さは90センチメートル、重さは25トン(扉自体は15トン、外枠が10トン)で、複数人で開け閉めしていたそう。



触ることはできませんが、見るだけでもその重みが伝わってくるようです。そこからさらに中に入っていきます。



続いて出てくるのが、回廊とさらに奥へとつながる金庫扉です。アメリカ製の金庫扉は昭和になってから付け足された部分ですが、ここからは創建当初の姿をほぼそのまま残している貴重な空間です。地下金庫を含む本館の建物は、国の重要文化財に指定されています。


創建当初から使われていたこちらの金庫扉は、イギリスの「ホッブスハート社」製で、輸入したものです。同社の製品は、イングランド銀行でも使われていました。当時の日本は、そもそも金庫というものがなかった時代です。



西洋の金庫の技術を日本で育成し定着させるために、辰野金吾はイギリス製の扉を設置するとともに、それを元に国産金庫扉を製作させ、さらに奥の金庫室の入り口に使用しました。一見似ている二つの扉ですが、金庫扉の金具をみると、片方がイギリス製、もう一方が国産であることがわかります。



なお、その日本製の扉の奥にある広い金庫室も創建当初からほとんど変わらない状態を残しています。地下ということもあり吸気口や排気口などの換気設備や、イギリス製の梁が使われているレンガの天井など、至る所に当時の高い技術をふんだんに取り入れた建築ということが感じ取れました。


◆日本銀行が行なっている「本店本館見学」や、その他の取り組み


ここまでご紹介してきた地下金庫ですが、実は一般公開されている見学コースの一部となっているため、予約をすれば誰でも見ることができます。日本銀行の見学ガイドの方が、本館内の見学コースを説明しながら案内してくれます。見学コースには地下金庫以外にも多くの見所があり、「日本人建築家による最初の国家的近代建築」の魅力を知ることができますよ。



中庭


正門から中に入ったところにある中庭は、もともとは地下金庫への現金搬入ルートでもあったため、金庫との関わりが深い場所。銅板を用いたドーム屋根や、石造の外壁、ドリス式やコリント式といった多様な建築様式の柱など、欧米で銀行建築を学んだ辰野金吾の建築美が随所に見られます。




また中庭の一角には、「馬の水飲み場」が残されています。本館の創建当時は、馬車が使われていました。馬の水飲み場は、馬車文化の名残です。こういったところからも本館の歴史の深さを感じられます。


客溜


こちらは、かつての日本銀行の窓口「旧営業場」。奥のカウンターの手前が「客溜」で、金融機関や政府の関係者が使用していた待機用のスペースです。「円」の文字の上部二つの空いている部分の下がこの客溜です。竣工時はガラス天井、ガラス屋根があり、自然光が降り注いでいたとのこと。



客溜の白い壁面にはアカンサス唐草模様の装飾など、建築士の教科書に出てくる様々な装飾が至るところにみられます。見学時にはぜひチェックしてみてください。



地下金庫内にも趣向を凝らしたさまざまな展示があります。1億円の重量を感じる機会なんて、日常生活においてほぼありえませんが、ここでは1億円の重さを模擬券で体験でき、写真撮影を楽しむこともできます。1億円は、なんと10キロほどの重さがあります。


他にも、2024年度上期年から発行予定の「新しい銀行券」についての展示も見逃せません。世界初の偽造防止技術もあれば、視力が弱い人にも視認性を高く保つためのユニバーサルデザインも取り入れており、いかに国民のことを考えて紙幣がデザインされているのかを感じられます。




こちらは「右からみると福沢諭吉、左からみると渋沢栄一」という、見る角度によってデザインが変わる紙幣の展示です。体感的に新しい紙幣になることがわかるということから、多くの人に人気の展示になっています。フラッシュすると、新しい紙幣の画像が現れる展示パネルも含め、写真撮影が可能なので、訪問時には記念に写真に収めておくことをオススメします。


自動監査機


同じ展示室内には、世界初のお札の自動監査機や、過去に使われていた現金輸送用貨車(通称「マニ車」)の模型なども置かれていますよ。


現金輸送用貨車(通称「マニ車」)の模型


◆まとめ

「見学ツアーに興味はあるけど、現地に行くのは難しい…」という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にぜひチェックしてほしいのが、日本銀行のホームページに掲載しているオンライン本店見学「おうちで、にちぎん」です。いつでも、どこからでも、本館の3D映像を独り占めして楽しむことができる人気のコンテンツです。同ページでは、見学ロボット「本館クン」が本館の地下金庫の中を音声付きでご案内する「デジタル企画展・日本銀行券」も公開しています。




また、日本銀行では、学校を対象に、オンライン見学講座「教室で、にちぎん」を実施しています。①日本銀行やお金に関するレクチャー、②日本銀行本店本館のリモート見学、③日本銀行職員への質問という構成で、先進的な金融教育、ICT教育のプログラムとして高く評価されています。全国各地の学校のほか、海外からも依頼が寄せられており、既に50回以上実施しています。

こんな授業を受けられる生徒さんが、羨ましいです。


気になるコンテンツがある方は、ぜひ一度ホームページをチェックしてみてくださいね。


■日本銀行本店見学の予約サイト

■オンライン本店見学「おうちで、にちぎん」

■オンライン見学講座「教室で、にちぎん」



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