2021.01.17
こんにちは!兜LIVE!編集部です。
東京証券取引所(以下東証)にて行われる毎年恒例の行事、大納会・大発会。年末年始の風物詩としてニュースなどで見かける方も多いのではないでしょうか。
今年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止の措置として大納会・大発会ともに規模縮小での開催に加えて、一般の方は見学を含め入場を制限。報道陣も現場入りせず、ライブ配信での取材となりました。
この記事では2020年12月30日に行われた大納会と、2021年1月4日に行われた大発会をまとめてレポートします!
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「大納会」とは、証券取引所の年内最終取引日に行われる行事のこと。一般的には、その最終取引日そのものが大納会と呼ばれています。
一方、「大発会」とは新年最初の取引日に行われる行事のことで、大納会と同様に取引日そのものも大発会と呼ばれています。どちらも金融業界だけでなく社会全体にとっても節目となる日です。
東証では例年、大納会では著名人をゲストに招いたり、大発会では晴れ着姿の女性たちが登場したりと、華やかな演出を行っていました。しかし今年度は新型コロナウィルス感染症拡大の影響でそうした演出は中止。安全と健康第一での開催となりました。
写真提供:株式会社日本取引所グループ
2020年12月30日に行われた大納会。はじめに、株式会社日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEO清田瞭氏からご挨拶がありました。
写真提供:株式会社日本取引所グループ
清田氏は「今年度の株式市場を一言で表すと、新型コロナウィルスに振り回された1年であった」と振り返ります。
清田氏のお話によると、日本の株式市場は年初2万3000円程度で始まりましたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大を受けて、2月・3月には世界的に株価が急落し、日経平均株価も3月19日には1万6550円にまで急落したそうです。
しかしその後は、世界的な緊急対応策として各国政府が大幅な金融緩和と財政出動を行ったことにより、株式市況はV字回復を見せ、夏場にはコロナ禍以前の水準まで回復したとのことでした。
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また、アメリカ大統領選挙や新型コロナウィルスワクチンの開発成功といったニュースを受けて、ニューヨークの株式市場が市場最高の3万ドル台を突破。この影響で、日経平均株価もバブル後およそ30年ぶりの高値を更新しました。2020年12月29日には2万7000円台をあっさりと突破するなど、1年を通してみると非常に堅調な相場展開だったそうです。
そうした背景から、株式の新規上場も活発な展開となり、年間で102社の新規上場が実現。これは13年ぶりの高水準とのことでした。
ほか、清田氏は今年の7月に誕生した「総合取引所」について言及。取引所間の金融商品の移管と清算機関の統合により、取引の機能が総合取引所に集約され、グローバルな取引所間競争に参入できるマーケット機能が備えられたとのことです。
また今後行う市場区分の見直しによって、コンセプトの分かりやすい市場構造の実現を目指したいといったお話がありました。
写真提供:株式会社日本取引所グループ
清田氏のご挨拶に続いて、打鐘(だしょう)が行われました。使用された鐘は、昭和3年から10年頃までは取引の開始を告げる鐘として鳴らされていたものだそうです。今では「上場の鐘」として、新規上場セレモニーや大納会、大発会のセレモニーなど特別な時に鳴らされています。
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打鐘では「五穀豊穣」にあやかり5回鐘を鳴らします。また、この5回に渡る鐘の響きには「市場が栄えますように」という願いが込められているそうです。
この日は2020年の新規上場会社102社の中から代表して3名と、取引参加者の代表者の方2名、合わせて5名の方が打鐘を担当されました。
1回目の打鐘は、株式会社STIフードホールディングス代表取締役社長 十見裕氏。
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続いて2回目は、株式会社アクシス代表取締役 小倉博文氏。
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3回目は、株式会社カラダノート代表取締役 佐藤竜也氏。
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4回目は、日産証券株式会社代表取締役社長 二家英彰氏。
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5回目の鐘を、マネックス証券株式会社代表取締役社長 清明祐子氏が打ち鳴らしました。
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最後に手締めが行われ、大納会は終了。発声は東証執行役員 川井洋毅氏が担当しましたが、「合いの手は声を出さずに」といったアナウンスが流れたのがコロナ禍にあった2020年を物語っているようで印象深かったです。
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イベント開始前には、お琴の生演奏が! 写真提供:株式会社日本取引所グループ
年が明けた2021年1月4日、同じく東証にて大発会が行われました。まずは大納会同様に、株式会社日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEO清田瞭氏からのご挨拶で幕開け。2020年の株式市場の振り返りや、グループの取り組みについてのお話に続き、2021年のマーケットについて述べられました。
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清田氏によると、2021年も感染症対策と経済活動の両立が求められ、中央銀行の大幅な金融緩和政策や、政府による大規模な財政出動は維持されるとの見方から、全体として比較的堅調な相場展開が期待されているといいます。
また、国内で予定されている東京オリンピック・パラリンピック、自民党総選挙や衆議院総選挙などの大きなイベントについても注目。アメリカのバイデン新政権の発足により、米中関係を含めた政策の方向性にどういった変化が起こるのかも目が離せないとのことでした。
最後に清田氏は「今年の干支は丑です。相場の格言では丑は『つまずき』とされていますが、丑は英語では『ブル』と申しまして、ブルは『強気の象徴』でございます。私はこの英語の『ブル』を信じたいと思っております」と締めくくられました。
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清田氏のご挨拶の後、麻生太郎副総理兼財務大臣兼金融担当大臣からのご挨拶へ。
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麻生大臣はまず政府として、新型コロナウィルス感染拡大の防止に加えて、雇用の維持や事業の継続、国民生活の下支えに全力を尽くすという決意表明に続き、令和3年度の予算について述べられました。
麻生大臣によると、令和2年度の第三次補正予算と合わせて、感染拡大の防止、急速な少子高齢化の中での経済再生と経済健全化の両立、デジタル化・グリーン化などの中長期的な課題への対応を行うとのことです。
その中で、金融面では実質無利子・無担保融資の延長を決定するなど、新型コロナウィルス感染拡大に伴って影響を受ける、事業者や個人への資金繰り支援に万全を期すといった心強いお話がありました。
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また、「国際金融センター」についても触れられていました。国際金融センターとは、簡単に説明すると世界的な金融機関が集結し、活発な取引や資産運用などが行われる都市のことです。
麻生大臣は日本の良好な治安、生活環境、そして個人金融資産1900兆円超といった強みを生かし、魅力ある金融資本市場への改革を進め、海外事業者や高度な外国人材を呼び込む環境構築を戦略的に進めたいと述べました。
このほか、2018年から始まった「つみたてNISA」についてのご報告も。2020年9月末には全体で約275万口座にまで達し、20~30代の若年層を中心に活用されており、有効なツールとして機能していることが窺えるとのことでした。
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両名のご挨拶に続いて、新年の打鐘へ。大納会と同じく「五穀豊穣」にあやかって5回鐘が打ち鳴らされます。
最初の2回の打鐘は麻生大臣がご担当。
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3回目はauカブコム証券株式会社代表取締役社長 齋藤正勝氏が打鐘。
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4回目は内藤証券株式会社代表取締役社長 井上仁司氏が打鐘。
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5回目の鐘は、株式会社岡三証券グループ代表取締役社長 新芝宏之氏が打ち鳴らしました。
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打鐘ののち、新年最初の取引開始を告げるジングルが会場に鳴り響きました。そして東証執行役員 川井洋毅氏による音頭の下、手締め。大発会はこれにて無事に幕を下ろしました。
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ライブ配信によるイベント取材だった今年度の大納会と大発会。「動画じゃ臨場感に欠けるかな?」と思っていましたが、見事なカメラワークのおかげでイベントの様子が細部まで見られ、想像以上に「参加している感」があったように思いました。
大発会では、清田氏から「コロナ禍では、人の移動の制限と接触抑制が求められる一方、新しい生活様式やビジネス様式の発展も期待される」といった旨のお話がありました。
今回のライブ配信を一例として、今後も多くの業界や分野で、オンライン化などさまざまな取り組みが進んでいくことが予想されます。
兜LIVE!では、兜町・茅場町から日本が元気になるように、これからも「ニューノーマル」なイベントの企画や取材をしていきます。未だかつてない難局を、みんなで一緒に乗り越えましょう!
本年も兜LIVE!をどうぞよろしくお願いいたします!
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