2024.02.25
こんにちは! 兜LIVE編集部です。
1月27日(土) 、『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。 今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。 江戸時代には日枝神社の門前町として栄え、酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。
東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、五穀豊穣にちなんでいるとのこと。平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。
今回は、埼玉県小川町で「帝松」を醸す松岡醸造代表取締役社長の松岡さんをお迎えして開催しました。埼玉県からは5蔵めになります。
松岡さんは、2024年1月1日付で代表取締役社長にご就任されましたが、38歳とお若く、パワフルトークでした。海外の方々もご参加いただいておりましたが、「完全消化」は難しかったですかね(笑)
酒どころ越後頚城郡姉崎の、酒造りに関わる家柄に生まれた初代 松岡祐エ門。祐エ門は「求める酒造り」に適した地を目指して、嘉永4年(1851年)に当地へ蔵ごと移築し創業しました。
・当時の小川町は、秩父往還と八王子街道が交差する交通の要衝で、生活物資の集積地でした。毎月多くの市が立ち、商人が集まる場として栄えていました。また、米穀の少ない秩父方面と米の生産の多い平野部を結ぶ中継ぎの穀物商も多くいたといいます。そこには当然お酒を楽しむ消費環境が整っており、祐エ門はこの小川町の賑わいに目を付けました。
・松岡醸造は、埼玉県小川町下古寺にあり、しまむら、ヤオコーは小川町発祥。埼玉県には32蔵あり、出荷量、消費量ともに全国4位。
・池袋から東武東上線で1本(約1時間)で、東京から近いが、熊、鹿、猿、猪などが出没するほどの秘境である。
・地下100m位まで岩盤があるため地震に強く、100年前の関東大震災では瓦一枚落ちなかった。水が豊富なため、水害や稀にドカ雪となり雪害等はある。
「旨み×キレ」
・麹を使用する醸造酒である以上、旨みを追求する必要があると考えている。しかし旨みだけでは重く垂れる。そのため、旨みと同じく後味のキレも重要視しており、飲み続けられる酒であることを一つのハードルとしている。
・これまで当社のモットーはお客様本意。食性や味蕾は個人や年齢によって偏る。日本酒は、原料米そのものではお酒の香味への影響はほとんどなく、水で輪郭が決まり、麹で味が決まり、酵母で香りが決まり、そして造りでそれらの調和をとる。側でらしさは決まるが、造りいかんで多様な味わいを創造することができるのが日本酒の造り。そのため、その時代に生きる人(もちろん私達も含む)それぞれの味覚に合うようなお酒を造り続けるようにしている。その上で旨みとキレのバランスを軸に、それぞれの角度から“日本酒“としての高みを目指している。
「日本酒をあって当たり前の存在にする」
・酒蔵はそもそも非常に敷居が高く、蔵に立ち寄る人は少ない状況があった。それを払拭するために蔵祭りを20年以上行っている。スタッフは地域の方にボランティアを依頼し、蔵開きというよりは町のお祭りとして行っていた。コロナ前は5時間で約7500名のお客様にお越しいただいた。そして現在は酒蔵めぐりとして、小川町の酒蔵や地域の企業と連携しお祭りを開催しており、毎年多くのお客様に足をお運びいただいている。
・また、直売店や酒蔵レストランも併設し、日頃より立ち寄りやすい環境づくりを心がけている。蔵や自分たちを神格化することなく、カジュアルに、その上で文化や伝統を伝えることで、日本酒が生活の中にあって当たり前の存在となるよう日々活動している。カジュアルにはするが、あくまで“日本酒“を根付かせることが軸。これから先も日本特有の文化を残すために、何ができるかを日々考え活動している。
・入社後すぐに肉フェス会場で日本酒ブースを初展開。日本酒に馴染みのない若年層などに振る舞い、そういった方の日本酒への考え方や味の捉え方を現場で体感。
また食とのマリアージュも考えるため、魚は年間300本以上捌く。
・本年4月よりヤオコー様各所で帝松印の鮭の粕漬け販売開始予定。
・当社の仕込み水で海水を作りサンゴと海水魚の育成。
・平成元年以降では、IWC2018では大吟醸部門でGOLD、Sake Competitionや関信越鑑評会、雄町サミット、そのほかの鑑評会でも受賞している。
・ここでは、日本で最も権威があるとされる全国新酒鑑評会のみをご紹介する。
・平成16年から23年まで8年連続金賞は、県内最多連続記録で通算17度金賞を受賞している。
・水が輪郭を形成し、麹で旨味の基礎が決まり、酵母で香りの基礎が決まり、造りでその調和を図る。
・水の善し悪しでお酒の味は大きく変わってしまう。当蔵の位置している小川町は、昔から「酒造りの適地」として知られており、良質な水が採取できる地としても有名だった。帝松の酒造りに使用しているこの特異な仕込み水は、地殻変動によって海が隆起してできた石灰岩の山々が連なる秩父山で濾過された天然水。この秩父山に降った雨が石灰岩の中で濾されて山々を抜け、伏流水となり、数十年の歳月をかけてここ小川町の地下を流れる。当蔵では、それを地下130メートルから汲み上げ仕込み水として使用している。
・この水は「硬度149mg/ℓ」と、日本の仕込み水としてはトップクラスの硬水で、これは酒造りに最適な仕込み水として知られている兵庫県灘の「宮水」以上に硬度が高く、ミネラル分が豊富であることが某酒類卸業者の調査により判明した。しかし、実際にこの特異な天然地下水を飲んでみると、「硬水なのに柔らかい」不思議な水であることを感じていただける。
・このミネラル分豊富な天然水は、酵母の発育を促し、特有の旨味とキレ、そして丸みを造り出す。さらに、併せて低温発酵タンクを用いることで通常よりも低温帯でゆっくりと発酵させることができ、帝松特有のまろみと奥深さを持ったお酒が生まれる。
・大吟醸系は蓋麹法で製麹している。当社製品全体の約18%が蓋麹法。
・基本は秋田今野と黒判のブレンド。約52時間かけて製麹していく。
・吟醸以下は蓋麹法での製造を元に半自動化し、約48時間かけて製麹。麹ストッカーなど当時では独自の設備を取り入れ効率化した。
・冷蔵化可能な酒母室で酒母の製造を行っている。
・手櫂で行い、米の状態を直に確認している。
・酵母による香味実験を毎年行うようにしている。
・新しい酵母の使用も続けているが、あくまで日本酒としての高みを目指している。
・米に左右されない酒造り
原料米は約50%酒米、約50%飯米で酒造り。
他県の米を使用する場合は発祥の地や本場のものを必ず使用。
それ以外は基本県産米を使用する。
・精米はそのほとんどを山形県のアスクに依頼(岡山県産米も山形へ)。
・1つの酒蔵に3か所の発酵室を完備している。
・新蔵はバリアフリー化しており、冬期醸造のみで1000石製造できるよう徹底的に効率化している。
・旧蔵は研究などもできるよう小型仕込みに対応している。
・仕込み水はサーマルタンクで冷却して使用。
・初年度や研究用のお酒は4機あるサーマルタンクにて白米総米600㎏で製造。研究したうえで白米総米2.5tまで大型化し、効率化を図り製造する。
・発酵用のタンクはすべて冷却可能なサーマルやチラータイプ。コンピュータ管理で醪の冷却をして安定醸造。
・良いものは徹底的に管理し長く使用する。←酒巻鉄工所製(廃業)
・50%よりも磨いている場合はすべて手洗いとしている。
・槽場も冷蔵化可能で、搾りは基本、薮田(ヤブタ)で。
・カビ対策で大型除湿器を導入。
・5年後のHCAPP取得を目指している。酒質向上のためにパストライザーを導入。
・毎月大掃除、釜磨き、整理整頓
・他社やその型にとらわれずあらゆる角度から挑戦するも、あくまで“日本酒”として高みを目指し、日本酒があって当たり前の世界にする。そして何よりも造り手も消費者であり、自分たちが造り出すお酒を愛し、飲み続けられるようなものづくりを行う。
■利き酒3種 お酒の説明
では、乾杯!
・毎回、恒例の集合写真です。オンライン参加の方々もご一緒に!
蔵のある埼玉県小川町の仕込水は素晴らしいですね!海外の方も多数、蔵見学に来るということで英語のパンフレットもありました。どんどん世界に羽ばたいてもらいたいですね。
また、元気な松岡さんに会いに蔵訪問したいですね。帰りは帝松にホルモン焼きがお勧めです(笑)
松岡さん、ありがとうございました!
・兵庫県伊丹市に本社があり、新富町に東京支店のある小西酒造様から幸民ビールの差し入れがあり、松岡さんや現地参加者のみなさんでテイスティングしました。
・幸民ビールは、日本で初めて醸造されたビールだそうです。
<日本で初めて「茅場町1丁目」でビールの醸造をした『川本幸民』の紹介>
・さて、幸民ビールのお味は???
<川本幸民の復刻版ビール(小西酒造製造)の試飲と街おこし>
・旨いですよ!
どこで買えるか、飲めるかは、「幸民ビール」で検索してみてくださいね。
******************
▼兜LIVE!(かぶとらいぶ)
人と歴史と未来をつなぐ応援プロジェクト兜LIVE!では、たくさんの方が兜町・茅場町に親しみを持っていただけるような楽しく勉強になるイベントを企画・実施していきます。
FacebookやInstagramをフォローして最新情報をチェックしてくださいね。
・Facebook
・Instagram
・X(旧Twitter)
×
兜LIVE!について
運営 |
一般社団法人日本橋兜らいぶ推進協議会 |
---|---|
代表者 |
藤枝昭裕 |
住所 |
〒103-0026 |
連絡先 |
support@kabuto-live.com |