2020.09.08
こんにちは!
兜LIVE!編集部です。
持ち帰り弁当『ほっともっと』や、定食レストラン『やよい軒』で有名な、
株式会社プレナスさん。
ここ茅場町に本社を置き、 米食文化を伝えていくことを目的にした『米文化継承事業』を積極的に展開されています。
その中で、今回注目するのは「茅場町あおぞら田んぼプロジェクト」
なんと、本社の屋上に「田んぼ」を作ってしまったのだとか!!
広報室長の古賀雅也(右)さん、Plenus米食文化研究所事務局長の八谷中大(左)さんに、お話を伺いました。
―――以前も壁画『棚田の四季』の観覧イベントで取材をさせて頂きましたが、改めて、株式会社プレナスはどのような会社ですか?
プレナスは、『ほっともっと』『やよい軒』『MKレストラン』等を中心に、国内外約3000店舗を展開する「食」事業の会社です。
会社自体は、今年で創業60周年を迎えました。茅場町とのご縁は、現社長・塩井辰男の曽祖父(創業者の塩井未幸の祖父)塩井民次郎が、明治19年に日本橋日枝神社で『彌生軒(当時は西洋料理店、大正期まで営業)』を開業したことに遡ります。
―――飲食店事業以外にも、米文化継承事業を通しても消費者の皆さんに「食の大切さ」を伝えていますね!
はい! 国内で日本の米文化を受け継ぐと同時に、海外にもその魅力を積極的に拡げていきたいという想いがあり、2014年に「プレナス米文化継承事業」を立ち上げました。
日本の食は、明治時代から、海外から新しい食文化が入ってきても「ご飯を中心に、いくつかのおかずをバランスよく食べる」という日本の伝統的な食文化を大切に受け継いできました。
ハンバーグやとんかつはもともと西洋由来のメニューですが、和風にアレンジされて、今もおかずの定番メニューとして残っていますよね。米文化を継承することは、現代の食文化やその歴史を理解し、大切にすることでもあると思うんです。
一方で、お米の消費量は年々減少傾向で、50年前と比べると半減しました。生産量も毎年平均10万トンほど減っているそうです。
このままでは、せっかく受け継いできたお米の食文化が廃れていってしまいます。
日本の食を提供する当社としても、生産者と消費者をつなぎ、いつまでも米文化が継承されるような文化を創っていきたいと考えています。
―――具体的に、プレナス米文化継承事業では、どのような活動をしていますか?
活動は大きく4つに分けられます。
一つ目は、以前取材もして頂いた壁画「棚田の四季」です。
「棚田の四季」は、陶芸や襖絵制作を中心に活動されている細川護煕先生の作品で、天高8.5mもある壮大な壁画です。日本の四季が、食文化を司っていることから、日本の原風景である棚田の春夏秋冬を表現したものとなっています。
二つ目は、米文化継承番組「The Story of Rice」です。
海外で人気の日本食といえば、寿司・ラーメン・天ぷらなどが思い浮かぶと思いますが、「ご飯を中心に、いくつかのおかずをバランスよく食べる」という日本の食文化をもっと訴求するために、BBC Earth Productionsと共同でテレビ番組を製作し、海外で放映したり、国内の大学の講義で利用されています。
三つ目は、一般社団法人Plenus米食文化研究所です。
米と米を中心とした食文化の魅力を研究し、世界に発信していくために、2014年に一般社団法人を立ち上げました。米にまつわる多彩なコンテンツを揃えているので、是非HPもチェックして頂けると嬉しいです。
最後に四つ目は、米育活動です。
まずは「お米大好き絵画プロジェクト」
プレナスの精米工場に見学に来た小学生たちにお米の絵を描いてもらい、工場近くの遊歩道に展示しています。米食への興味関心を深めるのと当時に、絵が大きなパネルにとなって展示されているので、子どもたちも、とても喜んでくれています。
そして、今年の5月から始めた「茅場町あおぞら田んぼプロジェクト」です。
―――様々な活動を展開されていますが、「茅場町あおぞら田んぼプロジェクト」を立ち上げたきっかけはなんだったのでしょうか?
都会の中心に自社の田んぼを持つことで、米づくりの面でも米文化の大切さを発信すると共に、子供たちにも学びの場を提供したいとの想いがきっかけです。
近くにある阪本小学校の子どもたちと稲刈りを9月9日に予定しているので、とても楽しみです!
――― なるほど! 実際にはどのような工程で、田んぼづくりをされたのでしょうか?
本社ビルの屋上にフレームを組んでマットと防水シートを敷き、その上に土をのせています。大雨が降っても水が溢れないように排水溝があり、逆に水位が低くなってもフローターがついていて、自動的に水が出るようになっています。
―――実際に、ここまで育ててみていかがでしたか?
初めての経験だったので不安はありましたが、なんとか稲刈りができるまで成長してくれたな、というのが正直な感想です。
一番難しかったのは作業の適期の見極めです。成長のステージ合わせて水を抜く中干しや追肥といった作業があるのですが、初めての経験でいつやったらいいのかというタイミングが分からず、判断が難しかったです。
色々調べてもみたのですが、天候も毎年違いますし、地域ごとでやり方は様々で、米づくりは奥が深くて正解がないなあと。いつも食べているご飯が、どうやってできているか、身をもって体験できるよい機会でした。
―――田んぼを見た皆さんからの感想はいかがでしたか?
田んぼを気にして見に来たり、社内報を読んで興味を持った社員は多かったです。
阪本小学校の子どもたちも、7月に授業の一環で見学にきてくれました!
田んぼはもちろんですが、その周りに生息している生き物に興味津々でしたね。本社の屋上は8階なんですが、田んぼを作っただけで、イトトンボやシオカラトンボがやってきてくれました。水田があると、都会の真ん中でも虫たちが集まってくるんです。
小学校では、授業で米作りを学んでいるそうで、ぜひ我々の田んぼで、実際にお米ができるまでの工程を実際に肌で感じて学んでほしいですね。当たり前のように食べているお米がどんな風にできているのか、そこにどんな苦労があるのかもっと知ってもらいたいです。
―――そうですね。それにしても、生き物が集まってくるというのは、なんだか不思議ですね!
そうなんですよね。実はボウフラなどの害虫を食べてくれるということから、メダカを30匹放流しましたが、増えて大家族になりました(笑)。
トンボたちも卵を産んでくれてヤゴがいたので、ここでまた生命の循環が始まるのかと思うととても嬉しいですね。
―――9月には稲刈りということですが、無事収穫できそうですか??
当初は、7〜8キロほど収穫できるかな?と見込んでいましたが、長雨や強風等の影響もあり、実際は半分くらいになりそうです。阪本小学校の子たちと一緒に収穫して、美味しくお米を食べてもらいたいなと思っています!
―――みんなで収穫したお米を食べる…良いですね!今後の、米育事業や田んぼの展望についても教えてください。
収穫が終わると田んぼは殺風景になるので、春に向けて菜の花かレンゲの種を撒いて、花を咲かせようと思っています。これらの草花は緑肥と言われ、土の中に窒素を取り込んでくれるんですよ。
また、田んぼは、自然環境との親和性が非常に高いといわれています。世界自然保護基金(通称WWF)の日本の生きもの調査によると、田んぼの周りの生物多様性はとても豊かだというデータも出ています。
日本人は、昔から自然との調和を大事にしながら里山や田んぼを作ってきました。田んぼは単に食糧をつくる場所だけではなく、美しい里山の景観や生き物たちの豊かな環境といったサスティナブルな社会づくりにとっても大切なものなんです。これからも、日本のお米や米づくり、その食文化との関わりを積極的に発信して、サスティナブルな社会づくりに貢献していきたいですね。
―――まさに、田んぼを通じて茅場町のオアシス!をつくりだしましたが、プレナスさんは、この茅場町という街がどんな街になっていってほしいと思いますか?
茅場町は、昔からご縁のある場所です。食を通して地域の皆さんと交流を続けながら、この土地の歴史を大切にし、一緒に新しい発見もできる街づくりをしていければと思います。
また、コロナ禍という大変な社会状況下ではありますが、会社として年間4万トンのお米を扱っているので、生産者さんを守る意味でも安定的にビジネスを維持し発展させていきたいです。
―――このインタビュー記事を見てくださる方々に伝えたいことがあれば一言お願いします。
『ほっともっと』や『やよい軒』を利用してくださっている方も多いと思いますが、HPでもお米へのこだわりストーリーを発信しています。是非、多くの方に伝わると嬉しいなと思います。
落ち着いたらワークショップ等も積極的に開催したいと思っていますが、まずは、生産者から受け継いだこだわりのごはんを『ほっともっと』や『やよい軒』で味わって頂きたいです。
食を提供するだけでなく、生産者から消費者までのストーリーを大切にしている株式会社プレナスさん。屋上田んぼを中心に、今後も「食」の発信に力を入れていくそうで、今後の展開が楽しみですね。古賀さん八谷さん、ありがとうございました!
・株式会社プレナス
・茅場町あおぞら田んぼプロジェクト
・一般社団法人 Plenus米食文化研究所
・壁画「棚田の四季」観覧とお米のワークショップに行ってきました。
(ライター:真野りえ )
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