2019.12.16

第10回 兜LIVE!平日夜ごはん会~辰巳2019秋~を開催しました!


映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」のロケ地にもなった老舗日本料理屋「辰巳」でのごはん会。春のごはん会が好評を博し、「秋もまた開催してほしい!」との声を受けて今回も30〜60代の幅広い年齢層を中心とした参加者に対して、3代目店主の津田昌彦さんに秋の日本料理を振る舞っていただきました。


◆当日ご用意いただいた秋の兜LIVE!特別メニュー

①わかさぎの南蛮とむかごの2点盛り


わかさぎは琵琶湖産。盛り方がとても美しいです。


②とろ湯葉



③戻り鰹のたたき


生姜を使わず、大根おろしと刻んだネギとシソで頂くのが辰巳流。ポン酢を大根おろしには直接かけないのがポイントとのこと。



④秋刀魚の松茸はさみ焼き


「もらって嬉しい秋の東京手みやげ」で1位を獲得した絶品料理。半月切りにした大根に3本串を置き、その上に秋刀魚を乗せさらに2本串を刺し固定して焼くのがこだわりだそうです。小骨も丁寧に取り除かれており、絶妙な照りとダシで甘じょっぱく味付けされた柔らかいほぐし身がするっとのどを通ります。



⑤冬瓜の蟹あんかけ



⑥きゅうりとわかめと小柱の酢の物


また、ごはん会の途中に店主の津田さんに客席まで来ていただき、日本料理へのこだわりや、兜町・茅場町エリアのことをお聞きしました。



◆日本料理を作るうえでのこだわり


兜LIVE!編集部:津田さん、お忙しいところお時間をいただきありがとうございます!早速ですが、日本料理を作る上で大切にしていることやこだわりを教えていただきたいです。


津田さん:「自分が作った食事を、いかにお客さんに喜んでもらうか」を考えるのみです。そのためには日々勉強。別のお店でこれは良いな、と思うものを見つけたら自分の中にどう落とし込むかが肝になると思っています。


今は便利なスマホがあるからその場で写真を撮ることもできるけど、昔はなかったから絵で描いていた時代もありました。同じ素材でも使い方が違うと味も違ってきます。


帰って自分の店で再現するためにはそういった学び続ける姿勢が重要だと思っています。
料理以外では日本酒にこだわっており、京都·奈良·富士のお酒が一押しです。
蔵元に直接行くと日本酒に使われている水が本当に綺麗だということがわかります。



◆祖母の想いを受け継ぐ3代目 喫茶店から日本料理屋へ


兜LIVE!編集部:辰巳さんの歴史とこの街との関わりについて教えていただきたいです。


津田さん:昭和23年に今のコレド日本橋あたりに初代である祖母が喫茶店を開いたのが始まりです。

店名は「辰巳」と名付けられました。日本橋なのになぜ 【辰巳】?不思議に思われるでしょう。それは祖母の生まれが深川だからです。 深川は皇居から辰巳 (東南)の方角にあったことが由縁です。


明治生まれの祖母は料理の素人だったが「なにか料理屋をやりたい!」という熱い想いと根性がある人でした。当時の苦労話は自分が幼いころに色々と聞いています。


3年後の昭和26年に今の住所 (茅場町)に移り、縁起を担ぐ「揚がる·飛ぶ·登る」にちなむ焼鳥屋、うなぎ屋・天ぷらなどある中で祖母は天ぷら・日本料理屋を始めました。


もともと祖母自身は日本料理を提供する店づくりに憧れていました。日本橋時代は店舗の広さに限界があり、それが叶わなかったのです。

祖母は木曽から檜を取り寄せて建物を増築し、先般の地震の影響もなく現存しています。


増築後は、父親(2代目)の代まで1階も2階もお座敷で営業していました。現在は、1階は写真の通り土間に改装し、土足でも入りやすい造りにしています。





◆兜町エリアは、関われば関わるほど味が出てくるような街

兜LIVE!編集部:兜町エリアの特徴や、こうなったらいいなという将来の街のイメージなどありますでしょうか?


津田さん:生まれ育った地元だから余計に感じるのかもしれないのですが、この街はどこか「新しく来た人」にとって、少し入りづらいような雰囲気がある気がします。


初代がここで商売を始めた時はその色合いがもっと濃かったという話も聞いています。
そういったコミュニティは中に入ればフレンドリーなので、いまは互助会のお祭り行事や邦楽長唄などを通じて排他的な空気を少しずつ変えていければと僕自身も微力ながら手伝いをしています。


バブルも経験し、昔は金融街として名を馳せた日本橋ですが、今は他のビジネス街同様いろんな人が行き交う街になってきた。来店する顧客もかつてのようにビジネスマンとは限りません。


最近では映画のロケ地にもなり、そのジャニーズファンが来店するなど客層の広がりを感じています。これが時代の流れなのかもしれないですね。



◆今後の展望


兜LIVE!編集部:これからの辰巳さんの展望についてお伺いしたいです。


津田さん:自分が3代目になってもう40年。マンションや再開発、首都高などで街並みも大きく変わり、空が狭くなったなぁと感じることもあります。老舗の数も明治創業だと「鳥徳」「長寿庵」さんくらいになってしまいました。 昔は黒塗りの車が何台も停まるようなお店がたくさんあったんですよ。


ただ僕自身は時代とともに店を変えていくことが重要だと思っています。
いい意味で「お客さんのわがまま」を聞き、 それを叶えていきたいですね。


「この食材を○○みたいに食べてみたい」というリクエストがあればそれをやってあげたいと思っています。例えばうちは天麩羅屋(和食屋)だけどランチでアジフライ(洋食)を提供しています。


人によっては日本料理屋として邪道だ、という人もいるかもしれません。
でもお客さんの希望があり、自分の範囲内でできることだから喜んでもらいたい一心で始めたこと。来てくれたお客さんに「ごちそうさま!」と笑顔で帰ってもらうことが作り手としての一番の喜びです。


これからも一期一会を大切にしてお客さんに満足して帰ってもらえる店づくりを続けていきたいですね。



◆まとめ

「日本の資本主義の父」といわれた渋沢栄一さんが事務所を構えたことから日本初の銀行·証券取引所·郵便局などが誕生した金融事業の「事始めの街」とよばれる兜町·茅場町。


2021年の大河ドラマの主人公にもなる渋沢さんゆかりの金融発祥の地であるこの街も“聖地”としてこれから主演俳優のファンなど多くの若者で盛り上がるかもしれません。 


そんな変わりゆく街並みのなかであっても変わらない伝統を受け継ぐ津田さんをはじめ地元の人たちの粋な生き方が垣間見えた素敵な夜のごはん会でした。


最後に参加者のみなさんと津田さんで記念撮影も行いました!




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日本料理 辰巳
[住所]東京都中央区日本橋茅場町2-1-9
[アクセス]東西線茅場町駅 徒歩2分
[電話番号]03-3666-0996
[営業時間]11:00~13:30(L.O) 17:30~22:00(L.O)
[定休日]土曜日・日曜日・祝日

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