2023.12.29
こんにちは!
兜LIVE編集部です。
11月25日(土) 、『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。
今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。
江戸時代には日枝神社の門前町として栄え、酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。
東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、五穀豊穣にちなんでいるとのこと。
平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。
今回は、広島県東広島市で「賀茂泉」を醸す賀茂泉酒造代表取締役社長の前垣さんをお迎えして開催しました。広島県からは2蔵めになります。
前垣さんから、「蔵の概要や広島県の名所・食について」に加え、純米醸造のパイオニアとしての「こだわり」を終始、笑顔でわかりやすくお話いただきました。
▼賀茂泉酒造(Kamoizumi Shuzo)
・米穀商を営んでいた初代 前垣壽一(じゅいち)は、大正元年(1912年)に酒造業を創業。地名の「賀茂」と旧山陽道、田万里峠路そばにある当蔵所用の湧水「茗荷清水(みょうがしみず)」を汲んで酒造りをしたことから、「泉」をつけて「賀茂泉」と命名した。
▼歴代蔵主(Maegaki Family)
・当蔵では以前から昭和40年ごろから純米醸造の試験醸造を始め、6年の歳月を試行錯誤して「無添加清酒 本仕込 賀茂泉」を発売したと聞いてきた。一方、昭和43年の酒造りから増田幸男が杜氏になり、彼からは”ワシが蔵に来て杜氏の社長(私の祖父)から醸造アルコール、酸味料などを添加せずに酒造りをしてくれと頼まれて、ワシが始めた”と聞いたことがある。
・どちらが正しいのか証明する記録は蔵に残っていない。 少なくとも昭和47年6月に行われた上司海雲の東大寺別当晋山式で提供されたことが賀茂泉の純米醸造酒の最初であったようだ。また私の父が学生時代(昭和40年4月〜昭和44年3月法政大在学)に試験醸造中の酒を先輩方に飲んでもらったと言っていたので、昭和43年の酒造りでは間に合わないようにも。
・いずれにしても、その頃に”アルコール無添加”での酒造りをしようという機運が始まって、試験醸造的に仕込んだことは事実のようだ。そして実際の商品として単独で瓶詰めされたのは当蔵では昭和47年が初めてだったことは間違いないようだ。それから”純米吟醸”は平成元年以降の表記である。純米酒も同様に昭和50年になって認められた表記になる。いつから誰がその言葉を使い始めたのかは承知していないが、当蔵では純米醸造のことを”無添加清酒”、”本仕込”と表現していた。
昭和18年(1943) 酒税法改正により清酒の原材料に醸造アルコール等が追加。
― アル添がスタート(関東軍の下で開発された技術を本土で活用)
昭和43年(1968) 当蔵で醸造アルコール、糖類無添加の清酒試験醸造を開始。
― 酒類が多様化し、海外からワイン等が入ってくる中で、
「本物の 日本酒」でないと負けてしまうとの危機感があった由
昭和47年(1972) 「無添加清酒 本仕込 賀茂泉」発売。
昭和48年(1973) 全国11蔵で「純粋日本酒協会」発足。
昭和50年(1975) 日本酒造組合中央会が自主基準として「純米酒」、「吟醸酒」、
「本醸造酒」の表示を定める。
平成元年(1989) 酒造法改正「特定名称酒制度」スタート。
平成15年(2003) 酒税法改正純米酒の精米歩合基準を削除。
― それまでは精米歩合70%超は普通酒だった
・3代目前垣壽男(ひさお)は、昭和50年頃からの第一次地酒ブームに合わせ、純米吟醸酒を広く普及させるべく精力的に活動し「純米の賀茂泉」の名を全国に広めた。近年はアメリカをはじめアジア、ヨーロッパなど海外にも輸出し、世界の方々にもご愛飲いただいている。
・現在は、私こと、4代目前垣壽宏(かずひろ)が代表取締役社長になり、賀茂泉のお酒でお客様が笑顔になっていただけるよう、社内一丸となって励んでいる。
・昭和43年(1968年)から増田幸夫が杜氏として迎えられ、賀茂泉純米醸造の礎を築いた。現在は新谷寿之杜氏へと技術は引き継がれている。
・米・米こうじ・水だけを原料とした純米酒は、アルコールや糖類を添加しないため、三位一体のバランスが風味を左右する。広島杜氏伝承の三段仕込みを忠実に守りながら、厳選した酒米を使い低温発光を行うなど、手間暇かけた酒造りを行なっている。
・良寛和尚の歌を、東大寺206世別当・上司海雲氏が書にしたもの。
▼広島県の位置
▼広島県の名所
▼広島の食
・「G7広島サミット」の最初の乾杯酒に「純米大吟醸 壽」が採用されたが、在庫が100本しかなく、あっという間に売り切れてしまった。
・エリアマップ
・地下25mから汲み上げる龍王山伏流水
・不純物が極めて少なく、硬度90の中硬水
・水源の森の環境保全活動にも取り組む。
― 良い水だが水量が減少しているのではないかとの話があり、間伐や除伐(じょばつ)、
下草の刈り取り等を行っている。
・主に酒蔵から30km圏内の酒米を使用。
・当蔵で使用する主な酒米品種
山田錦、広島八反、八反錦、中生新千本
・特に「山田錦」は、蔵から6km、標高約300mにある造賀地区で栽培されている。
・仕込水と同じ水系の水で育つ酒米が最も相性が良いと考えている。
▼醸造(製造工程)
▼醸造風景
▼製造スタッフ
■利き酒3種 お酒の説明
・蔵の代表酒「朱泉本仕込」と、その生バージョンである「青泉生酒」、にごり酒バージョンである「Summer Snow」(=輸出専用商品)が提供され、同じ仕込みの醪から造られたお酒の利き比べとなりました。
①にごり吟醸 Summer Snow
朱泉本仕込のにごり酒バージョン。海外輸出専用。
リッチでクリーミー、まろやかな甘味が特長。日本では冬の限定品の印象があるにごり酒。1年中愉しめるにごり酒という意味でネーミングされる。
麹米:広島山田錦 掛米:中生新千本 精米歩合:60%
酵母:KA-1-25(熊本酵母)・速醸酛 アルコール分:18度
価格:500ml/1,430円(全て税込) ※通常国内では販売しておりません。
②朱泉本仕込
賀茂泉を代表する1本。芳醇な米の旨みをしっかりと感じる味わい豊かなタイプ。冷酒からぬる燗まで幅広い温度帯で愉しめる。
令和5年度 広島国税局清酒鑑評会 燗酒部門 優等賞
麹米:広島山田錦 掛米:中生新千本 精米歩合:60%
酵母:KA-1-25(熊本酵母)・速醸酛 アルコール分:16度
価格:1800ml/3,025円 720ml/1,815円 180ml/438円(全て税込)
③青泉 生酒
朱泉本仕込の生酒バージョン。毎年4月発売。
爽やかな酸味とほのかな甘味が調和。地元広島では冷酒の定番。
夏を過ぎ、まろやかな甘みが出てきている。
麹米:広島山田錦 掛米:中生新千本 精米歩合:60%
酵母:KA-1-25(熊本酵母)・速醸酛 アルコール分:15度
価格:1800ml/3,080円 720ml/1,595円(全て税込)
では、乾杯!
・毎回、恒例の集合写真です。蔵元の両隣りは国際色満載です(笑)
純米醸造のパイオニア!の蔵元ということで、大変興味あるお話をざっくばらんにしていただきました。ついつい前垣ワールドに引き込まれてしまいました(笑)
また、終始笑顔が素敵でした!ぜひ蔵訪問したいですね。
前垣さん、ありがとうございました!
イベント前には渋沢栄一翁が生涯大切にした佐渡の縁起石「赤石」にタッチして運気アップ!
この日は、The HERATも前営業日に株価が上がり真っ赤赤!縁起が良いですね(笑)
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