2026.03.02
こんにちは。
兜LIVE編集部です。
2026年2月に入って、日経平均株価は史上最高値を記録。NISAなどで、投資は身近なものとなり、より関心を持たれている方が増えているのではないでしょうか。
今回は、知っているようで知らない、証券取引所の歴史や仕組みを学ぶ講演会「取引所の話あれこれ」の模様をレポートします!


講演会「取引所の話あれこれ」は、2026年2月18日(水)、茅場町にあるCAFE SALVADOR BUISINESS SALONで開催。
CAFE SALVADORのセミナールームには、お仕事帰りと思われる方々が集まっています。40席ほどの会場はほぼ満席となり、活気に包まれています。

講演会の前あちこちで名刺交換がみられるなど和やかなムードのなかで、講演会「取引所の話あれこれ」がスタート。

この日、講師を務めたのは、小沼泰之さん(以下、小沼さん)。
小沼さんは、1984年に「東京証券取引所」へ入所。株式市場、国際業務、上場支援、投資家営業などを経験。取引所を知り尽くした、まさに取引所の生き字引とも言える方です。キャリアの途中で、アメリカ留学するなど、さまざまな経験もされています。

現在は、「株式会社日本証券クリアリング機構」代表取締役社長としてお仕事をされています。
小沼さんが代表取締役社長を務める「株式会社日本証券クリアリング機構」は、2003年1月に業務を開始。「証券取引清算機関」として、最近では海外ユーザーにもサービスを拡大しています。

「証券取引清算機関」とは聞き慣れない言葉ですが、証券や商品の取引をスムーズにかつ、安全にできるよう、決済指示をする機関。
私たちが普段インターネットや店頭で購入している株や金、銀などの実物などの取引もこんな風に見守られていたと知り、驚きました。
長く証券業界でお仕事をされてきた小沼さんが、日本の証券取引所について、ユーモアを交えながら展開していきます。
なかでも印象深かったのは東京証券取引所と大阪証券取引所の統合の話。かつて上場企業を奪い合うライバル同士だった両取引所が、日本の競争力向上のために統合することになり、始めは戸惑いもあったそう。

現在、株式は東京、先物やオプションなどのデリバティブ取引は大阪に集約され、機能分担が進んでいます。
自己紹介のあと、取引所の歴史についてお話いただきました。
まずは、東京証券取引所の旧東証ビルについて紹介。西洋式の歴史ある建物は、現在は建て替えられて姿を変えています。

旧東証ビルの外に飾られていた4体の神様像のレプリカ(「四体像」)は、現在も東証のビル内にあるそうです。4体の神様とは、農業、工業、商業、交通・通信業の神様で、国の発展を願い、建物の四方に設置されていたとのことです。
証券業界は縁起のいい方角を気にしたり、ゲン担ぎをしたりするなど、意外に古典的な一面もあることなどを紹介。

さらに、明治時代の取引についても触れていきます。当時は「仲買人」と呼ばれる人から株などを買っていましたが、売買が成立しても、支払いができない仲買人が出たことがあったそう。そういった不平等を解消するために、取引所は「決済を肩代わりする」仕組みを導入。これが、現在の清算機関の始まりと言われています。
また、台風の影響により全国各地で被害を受けた際には、破綻する仲買人が続出し、市場全体が止まりかけたこともあったそう。そこで、近代日本経済の父渋沢栄一の仲介で、七十七銀行が資金援助し、なんとか市場は崩壊を免れたなどのエピソードにも触れます。
さらに取引所のビルが開設され、業務が集約されたころについても紹介。

現在のように通信が発展していなかったころ、すべては紙でやり取りされ、黒板に株価などの取引の数字が書かれていました。短波ラジオで、当時の投資家などに情報が届けられていたとのこと。
今では考えられないアナログなやり方に、会場にいらした方からもため息が漏れていました。

また、昔の取引所では人気のある銘柄には、人も殺到。当時、取引所でお仕事されていた方は、体格のいい方も多かったそうで、自分の注文を入れるのも競争で、そこには白熱した戦いがあったそうです。

そういえば、昔証券マンと思われる方が、密集している場面を画像や映像で見たことがありました。子どもだったので、なぜおじさんたちが白い紙をヒラヒラさせて押しあっているのかわかりませんでしたが、こういうことだったのかと、腑に落ちました。
白熱した取引を落ち着かせるために笛を吹いて、クールダウンの合図を送るなど、アナログの時代らしいエピソードも紹介されました。

通信が発展し、パソコンやスマートフォンから好きなときに株や債券などの売買ができるようになりました。現在では、考えられないお話を小沼さんは笑いを交えてお話していきます。

話は「取引所のしごと」へと移っていきます。「証券取引所」と聞くと株や商品、債券などの売買だけをしているのかな?と思われるかもしれません。
実際は下記のような業務も担っています。
・市場監視(不正取引や誤発注の確認)
・上場審査・情報開示チェック
・売買システムの運営
・証券会社の管理
・清算・決済(株とお金の受け渡し)
売買だけを請け負っているわけではなく、不正な取引がないか、上場の審査なども行うなど、「取引所」の業務は多岐にわたります。
企業が上場するまでには、証券会社や監査法人などによる調査が2~3年、さらに取引所の審査があります。審査の際、重要視しているのは、「情報開示がきちんとできるか」。取引を開始するにあたり、必要な情報を提供できるかがポイントだそう。

日本取引所グループ(JPX)の一体化による国際競争力の向上・強化や取引所の株式会社化以降の株主の意見を踏まえたガバナンスの進化もポイントです。

小沼さんは、企業が上場する際のセレモニーにも立ち会っていたとのことで、多いときは1日に5件以上重なるそうです。セレモニーは1社につき20分と決められていて、「上場の鐘」を5回鳴らすのが慣例。5回鐘を鳴らすのは、「五穀豊穣」を願ってとのこと。

この20分のセレモニーでも、上場する企業の個性が強く出るそうで、社長一人で5回鐘を鳴らす会社もあれば、5名で1回ずつ鳴らす会社、若手の役員や社員がノリノリでセレモニーに臨むなどさまざま。上場セレモニーについても楽しそうにお話されていました。

証券取引所の歴史や業務について触れたあとは、現代の取引所の役割やこれからについてのパートに入っていきます。
その昔、市場区分は分かれていませんでしたが、市場外で取引されていた銘柄を市場に取り込もうとした際に、既存の上場会社が審査を受けていない先と一緒にされるのはいかがなものかということで、1部、2部と分けたそうです。今でも1度も上場審査を受けていない企業があるのでは...その後、2022年に市場区分が再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に整理されました。

この再編により、企業には資本コストを意識した経営や投資家との対話が、より深く求められるようになりました。
また、日本の株式市場の文化とも言える「株主優待」についてもお話されていました。
日本の株式市場もグローバル化が進み、外国人の投資家の割合が年々増えています。「株主優待」は受け取れる人と受け取れない人が出るため、不平等ではないかといった意見もあるそうです。

株主が期待するリターンを意識せざるをえず、その期待にどう応えていくかが、今後の企業の課題となっています。
さらに、ここ最近貯蓄から投資へといった動き、国を挙げた資産運用立国への動きがより活発になっています。NISAの拡大などを背景に個人投資家が増加。

まだまだ日本の株は単位や金額が大きく、個人で株を買いたいと思ってもなかなか買えないといったケースもあり、単位を小さくする、株価が高くなったら小口でも買えるように働きかけるのも取引所の仕事のひとつだそうです。
また、一般の方向けに「投資教育」として情報発信するのも取引所の重要な仕事。JPXの金融経済教育を表すブランドである「JPXマネ部!ラボ」による教育活動など、社としても金融リテラシー向上にも力を入れているとのこと。

インターネットやAIの発展もあり、証券業界を取り巻く環境も大きく変わっています。
ひと昔前までは限られた人だけが関わっていましたが、今後は多くの人が関わることで、日本企業のさらなる価値を高め、社会をより良いものにするために、証券取引所の仕事は続いていくでしょう。
そんな話を交えつつ、講演会「取引所のあれこれ」は19時に盛況のうちに終了しました。

2026年2月18日(水)に茅場町にあるCAFE SALVADOR BUISINESS SALONで開催された講演会「取引所のあれこれ」。
普段はなかなか触れることがない株式や商品など取引の裏側を、「株式会社日本証券クリアリング機構」代表取締役社長である小沼泰之さんが、1時間にわたりたっぷりお話してくださいました。
硬い話が多いのかなと思っていましたが、笑いを交えて終始明るく楽しい雰囲気で進行。特に証券取引所の歴史や上場セレモニーの話は大変興味深く、東京証券取引所に行ってみたくなりました。
ひとつの取引の裏側にさまざまな人が関わっていることを知り、有意義な時間となりました。

取材場所:CAFE SALVADOR BUISINESS SALON
住所: 東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館1階
アクセス:東京メトロ・東西線・日比谷線「茅場町」駅8番出口直結
営業時間:月-金 7:00-22:00
土日祝日:9:00-20:00
TEL: 03-5623-3105(カフェ)
03-5623-3107(ラウンジ)
東京メトロ銀座線・東西線、都営地下鉄浅草線「日本橋」駅徒歩約4分
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