2020.02.01
こんにちは!
兜 LIVE!編集部です。
2020年2月1日、東京都中央区日本橋兜町3番5号にオープン予定のマイクロ・コンプレ ックス「K5」。前編に引き続き「K5」プロジェクトメンバーの松井明洋氏、本間貴裕氏、 岡雄大氏にインタビュー。後編では兜町が持つ可能性、それぞれのテナントの魅力や、プ ロジェクトを通じて兜町という街がどのように変わっていくかなど、お伺いしました。
兜 LIVE!編集部(以下、兜):皆さんが最初に感じた兜町の印象や空気感について教えてい ただけますか?
本間氏:僕はあまり色の付いていない街が好きなんです。自分が訪れた時に、すんなり受 け入れてくれそうな感じがするから。渋谷と言ったらカラーがハッキリしているし、吉祥 寺と言えば「こんな人が住んでいるだろうな」というイメージがある。
現在の兜町は、色が薄い印象があります。かつては金融街で強い個性もあったと思うんですが、今は良い意味でその色が褪せている状態で。そこに少し色を落とせば、そのコントラストがきっと良いアクセントになるんじゃないかと僕は思います。これから街がどんどん良くなっていくんじゃないか、次の時代を作っていけるんじゃないかという期待感がふくらむ街です。
あとはポテンシャルの高い建物があったり、東京駅まで歩いても行ける。すごく立地も良い のに、まだまだ活かせてなくて少し勿体無い感じ。とても良い意味で「兜町、ヤバいな」と。
松井氏:色で言うとグレーなイメージがありますね。兜町、人によってはあまり聞いたこ とはない街だとは思います。僕はとっても好きですけれど。利便性が高くて混雑している わけではなく。裏通りの雰囲気もとても良いし。知れば知るほど魅力があります。訪れた らすぐに色々知ることのできるコンパクトな街でもあるんですよね。岡さんも、あまり今 まで来ることはなかったよね?
岡氏:そうですね。兜町とパッと言われると、「正確にはどのあたりなんだろうな」と。 日本橋があって、茅場町があって、その間にコンパクトにあるのが兜町かと。「東京の、 東と西の接合部」のような印象を持つ街でした。
東京証券取引所をはじめとして、それぞれここには街の個々のカラーがあると思うんですけど。問屋街だったり、ビジネス街だったり、かつては様々な文化や人々の生活する中心地としての機能があって。その発信地としての重力は時代とともに一旦東京の西側へ吸い込まれていきましたが、いままたその重力を東京の東側に取り戻していこうというような雰囲気があります。半径 500 メートルくらいの兜町は、そういう東と西の重力の動きの熱源になっているみたいな。「K5」が熱源 の中心地となって、兜町全体にどんどん浸透していければと。
本間氏:「K5」はそんな熱源になれる、本当に素敵な建物です。当初から1日2回は見に行っていました。朝ランニングしながら見に行って、夕方は自転車に乗って見に行って。少しでも時間があれば顔を見に行きたい、もう彼女みたいな存在(笑)。築95年のちょっと年季の入った、大きめな彼女でした(笑)。
兜 : そんな本間さんの彼女的存在、「K5」が完成間近となり、今のお気持ちはいかがです か?
本間氏:今回のプロジェクトはとても楽しくて、もちろん今まで携わったものも楽しかっ たんですけども。今回の楽しさというのはまた別のもので。それは多分、このチームを組 んでいるからだと感じました。
今までですと、ずっと肩に力を入れていて、「最後まで僕 が決めなくちゃ......」と言う緊張感から、プロジェクトが終わると疲れてしまうこともあ りました。今回はそういう疲れが全くなく、竣工に近づけば近づくほど楽しみが増え、プ ロジェクトが終わってしまうことが寂しいくらいです。もちろん「K5」はこれからが始ま りなのですが。
松井氏:デザインを担当したCKRのオラルーネさんともそれをよく話しているんですが、 「覚めて欲しくない夢」のように僕も今は感じています。オープンしてからも、各テナン トが我々の目指す方向性に問題なく向かえているかのブランディングなど、やることは色々あるのですが。あとはこのプロジェクトを通して、自分の成長が感じられたなって言う(笑)。
本間氏:リーダーが誰も居ないプロジェクトなので、「最悪、本気で揉めたらじゃんけん で決めようぜ」なんて話もあったのですが、そんなこともなく(笑)。
岡氏:僕らは夢から覚める直前のところですが、2月1日にオープンしてからが本番。各テ ナント、オペレーションチームにその夢を託す大仕事が待っています。
「K5 を立ち上げる までが本番の人達」と「K5 を立ち上げてからが本番の人達」の接合点に今いて、両者がき っと同じ夢、同じ景色を見ている。今はそんな、とても貴重で不思議な時期でもあります。
本間氏:それを書かれちゃうと、「いや、K5 が立ち上がってからも動いてよ!」ってなる よね(笑)。
岡氏:そう(笑)。僕らも夢から覚めたくないので、これからも精力的に動いていきます。
兜 : そんな皆さんの夢がセンシャルに感じられる場所、「K5」各店舗の見所を教えてくだ さい。
松井氏:いちばんの見所は、やっぱり人だと思いますよ。中に居る人々。「こんな人居る んだ!?」って言う、エネルギッシュで、信念のある人たちがたくさんそこに居る。そういう若いパワーがこれからの文化を作っていくと思うんです。既存の文脈を良い意味で無視できる。信念があるからこそちゃんとしたものを創り出すし、
また、彼らが創り出すも のは、賛否両論でもあるんです。みんなが80点をくれるようなものは安易に作らなくて、0点をくれる人と500点くれる人が半々に居る。そんなものも創造してしまう。でもたぶん、「良いもの」って、そういうもののことだと思うんです。「K5」の魅力は「そこに居る人々」。とは言え、しっかりちゃんとひとつひとつの見所を言いますね。
まず「B(ビー)」。今、日本でブルックリンブルワリーのビールは主に 4 種類しかないんです。それが「B」では 20 種類近くもある。日本全国で、これほどブルックリンビールを豊富に嗜むことができるのはここだけです。料理も現地と同じ味を楽めるし、タコスは特にオススメですね。
バー「青淵(アオ)」は、本に囲まれたオレンジ色の空間です。兜町にまつわる様々なコンテンツをヴィジュアルデザインに取り入れた、お茶やオリジナルカクテルを楽しめるお店。中国茶や台湾茶の用意もあり、オリエンタルな雰囲気です。
「SWITCH COFFEE TOKYO(スイッチコーヒートーキョー)」では、良いものをシンプルに。 本当に美味しいコーヒーを遜色なく出すと言う感じ。いつ行っても楽しめますが、個人的には特に朝、その一杯を満喫して欲しいですね。
「CAVEMAN(ケイヴマン)」は、目黒の人気レストラン「KABI」の新店舗です。国籍やジャンルに囚われない料理やペアリングワインが楽しめます。彼らの作る料 理はとても美味しくて、しかも体験として素晴らしい。
宿泊施設「HOTEL K5」は、「K5」のキーワードである「静と動」の「静」を担う部分です。 バーやレストランでの体験、受けた刺激をホテルの中でもう一度ゆっくり反芻して欲しい。 山梨で造園業をやっているヤードワークスが監修になっていて、良い意味で綺麗になりす ぎないところがすごくいいなと。実際に現地を見てもらうのが伝わりやすいですね。
兜 : ありがとうございます。最後になりますが、今回の「K5」にはどんな人達に訪れて欲 しいか。そして今後「K5」を通して兜町がどう変わっていくと良いか、理想像があれば教 えてください。
本間氏:僕には、それはあまりなくて。どんな空気感になるかではなく、今から空気感が 変わるんだってことが重要かなと思っているんです。どんな空気感になるかはその街に任 せたい。どんな人達が来てくれれば良いなと言うのはなくて、「K5」を良いなと思う人達 が集まってくれればと。そして時間とともに、今後街が変わってゆく。その流れを作るこ と自体が自分の仕事だと思っています。
岡氏:本当に100点の回答なんですけど。そういう事を言うから、資金調達が大変なんだよね(笑)。普通は「顧客のターゲットは?」ってなりますからね(笑)。でも本当にそうで、キーワードとしては「自立」もあるかなと。今回の建物内で働いている人達......料 理を作っていたり、運んでいたり。彼らは常に自分の足で立って、歩いて、自分の目で見てきて、その結果今ここに居る。そういう言葉が似合うような人達です。自分の意思でたくさんの経験をしてきた中から創作を生み出して、「受け入れられるかはわからないけど、これが自分だ」と言う。それを受け取る人達って、きっと「自立性」に共感すると思うんです。受け取る土壌のようなものを持っている人達が「K5」を気に入ってくれるのかなと。
もちろん、フラッと迷い込んでその結果、刺激を受けてくれる人々。カップルや家族連れ、 老若男女、サラリーマン。ターゲットに囚われない、多種多様な人達が「K5」に来てくれ る風景を想像しています。
松井氏:ターゲットは絞らず、様々な人達に集まってもらう。先ほども言いましたが、「K5」 には無味無臭の名前を付けました。多様性を持った、様々な人達の集まるハブのような場 所でありたい。
「K5」は、自分の意思で、それぞれの解釈で、自由に物を楽しめる場です。
兜 : 本日はどうもありがとうございました。
みなさんのお話からは、新しいものを仲間とのチームワークで創造していく楽しさや、兜 町への深い情熱が感じられました。「兜町の人々」が生み出していく、街の変化にも期待 が沸きますね。
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