2023.07.11

【企業に聞く〜前編〜】創業100周年を迎えたエスビー食品。これまでの歩みと今後めざすものとは?

エスビー食品株式会社(以下、エスビー食品)は、2023年に創業100周年を迎えました。1949年から70年以上にわたって日本橋兜町に本社を構える同社は、今年7月に兜町・茅場町エリアで開催される『LIVING GREEN FES』にも参加しています。

そこで今回、エスビー食品 広報・IR室マネージャーの浜元美和さんを取材。100周年にまつわるさまざまな取り組みの内容や日本橋兜町・茅場町エリアへの想い、『LIVING GREEN FES』に参加する理由などを、たっぷりと語っていただきました。今回は全2回にわたり、インタビュー内容をお届けします。



◆伝統の「赤缶カレー粉」を使った商品を発売。100周年を記念した取り組み

——100周年の節目を迎えた今年、貴社が新たに制定したコーポレートメッセージ「そこに、スパイス&ハーブ」に込めた想いを教えてください。


このコーポレートメッセージには、本当にさまざまな想いや姿勢、考え方を込めました。その中でもひとつ共通しているのは、「これまでも、これからも、エスビー食品はスパイスとハーブをお客様の暮らしの中に届けていきたい」という想いです。


弊社が商品として提供しているスパイスとハーブは、はるか昔から植物として地球上に存在し、人々の生活に役立つ食品として世界各国で使われてきました。私たちはこれまでの100年間、そのようなスパイスとハーブを食べやすい形に加工してお客様のもとに届け続けてきたわけですが、これからの100年も時代やニーズの変化を捉えながら、お客様の豊かな食生活や健康な暮らしに役立つ商品を提供し続けたいと考えています。




そのためにも、サスティナブルな取り組みが欠かせません。弊社の商品は植物を使っているからこそ、地球環境と私たちの事業が持続可能な形で循環していけるよう意識をしなければならないと思います。事業を通じて、人が地球と共に生き続けられる世界をつくるためのお手伝いもしていきたい。そのような想いも、今回制定したコーポレートメッセージに込めました。


——100周年を記念した商品は発売されていますか?


弊社の伝統的な看板商品である「赤缶カレー粉」を、ルウタイプとスティックタイプにしたものを100周年記念商品として発売しています。カレー粉は弊社の祖業であり、日本のカレー文化の拡大に貢献してきたロングセラー商品のひとつです。これまでは缶入りのものしか販売していませんでしたが、100周年を機に、より多くのお客様に赤缶カレー粉のおいしさを味わっていただきたく、2つの商品を開発しました。



ルウは弊社の新技術を活かしたパウダー状になっており、固形のルウと同じように調理することが可能ですが、香り立ちの良さと溶けやすさが特徴です。また、スティックタイプは1本あたり小さじ1杯のカレー粉が入っているため、計量不要で余る心配がなく、気軽に使っていただけます。


この商品は、100周年イヤーの今年だけではなく、今後も継続して販売していく予定です。スーパーなどで見かけた際は、ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。


赤缶カレーパウダールウ

カレー粉スティック



——100周年を記念とした取り組みとして、生まれた年代から貴社の商品を調べることができるコンテンツや、ハーブとスパイスについて学べる「Spice & Herb GARDEN MUSEUM」など、さまざまなWebコンテンツも公開されました。これらのコンテンツをつくったのはどうしてですか?


コーポレートメッセージに込めた「これまでもこれからも、スパイスやハーブをお客様に楽しんでいただきたい」という想いをサイト上に体現した結果、このようなコンテンツが生まれました。

例えば、生まれた年代から商品を調べることができるページについては、1930年代生まれから2020年代生まれの方まで、幅広い年齢層の方に見ていただけるようなコンテンツとして制作しました。このページを通じて、親と子ども、祖父母の世代まで、世代を超えた会話を生むことができたらと思っています。


100周年記念サイト


また、「SPICE&HERB GARDEN MUSEUM」では、スパイスやハーブについて深く学べるコンテンツを用意しました。子どもから大人まで、幅広い年齢層の方に関心を持っていただけるよう設計をしていますので、こちらのサイトもより多くの方に楽しんでいただけたら幸いです。


SPICE&HERB GARDEN MUSEUM


◆過去100年でつくり上げたもの。これからの100年で目指すもの

——貴社が多くの家庭に浸透する定番・王道商品を生み出してこれたのは、やはり「美味求真」という創業理念を大切にされているからなのでしょうか。

そうですね。弊社の創業理念「美味求真」は、お客様に喜んでいただくために、「ただひたすら真っすぐに“本物のおいしさ”を追い求める」という意味を持つ言葉です。食品メーカーとしてあるべき姿は、まさにその言葉の通りだと考えています。私たちはこれからも、ニーズやトレンド、時代の変化を捉えながら、より便利でおいしい商品をつくっていきたいと思っています。


——貴社は「日本初」の商品もいろいろと生み出していますが、特に日本の食文化に影響を与えた商品にはどのようなものがあるのでしょうか?


まずはやはり、弊社の最初の商品であるカレー粉は外せないと思います。創業者が日本初の国産カレー粉の製造に成功した大正時代、カレーはまだ、洋食屋さんなどでしか食べられないメニューでした。カレー粉の誕生により、誰もが簡単に調理できるようになったことで、日本の国民食と呼ばれるほどにカレーが一般家庭へと浸透したのです。1つの食文化を発展させたという点で、非常に大きな影響があったと言えるのではないでしょうか。


また、日本初のチューブ入り香辛料も、わさびやからしを手軽に使えるようにしたという点で、画期的な発明だったように思います。それまで、日本人がよく使うわさびやからしなどの香辛料は、粉を水で溶いて自分で練るタイプの商品しかありませんでした。1回の食事で必要な分だけを使えるチューブ入り香辛料は、今では大根おろしや青じそなど、さらに幅広いラインナップで展開しています。お客様のニーズの変化にも対応しながら、家庭になくてはならない調味料として発展していったこの商品も、現代の料理のあり方などに少なからず影響のあった商品だと考えています。



——最後に、今後の展望について教えてください。

弊社は創業から100年間、香辛料のトップメーカーとして、味と品質にこだわった製品づくりを続けてきました。これからの100年間は、コーポレートメッセージに込めた想いの通り、事業を通じて、おいしさだけでなく、健康的で安心できる「食」を世界に発信していきたいと考えています。また、私たちの事業は地球の豊かな自然と平和な環境があってこそ行えるものです。例えば、三十数種類のスパイスとハーブをブレンドしているカレー粉は、どれか1種類でも原料が栽培できなくなれば製造ができなくなってしまいます。そのような変化はお客様の食生活にも影響を与え、ときには豊かな「食」の一部が損なわれてしまう可能性もあります。今後は弊社の各種事業を「植物と食のサステナブルな事業」として発展させることを意識しながら、「地球との共生」という大きな目標に向かって歩みを続けていきたいと思っています。


*後編はこちら


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