2022.12.26

【蔵元トーク】#49 山丹正宗(愛媛県 八木酒造部)

こんにちは!

兜LIVE編集部です。


9月17日(土) 、ハイブリッド形式(現地開催&オンライン)で『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。


今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。

江戸時代には日枝神社の門前町として栄え、酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。

東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、酒の原料である五穀豊穣にちなんでいるとのこと。

平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。


今回は、愛媛県今治市で山丹正宗を醸す八木酒造部の八木社長をお迎えしての開催でした。アメリカ、イギリス、オーストラリアの方を含め多数の方にご参加いただきました。ありがとうございました!



◆ 八木 伸樹(やぎ のぶき)自己紹介

・清酒「山丹正宗」醸造元である八木酒造部の8代目

・1973年10月23日生まれ、今年で49歳

・愛媛県松山市出身(蔵は今治)。松山はおっとりした街。今治は商船の街で気性が荒いと感じる。

・中学・高校は愛光。男子高だったので、6年間で女性との話の仕方を忘れてしまった(笑)

・大学は早稲田大学社会科学部。パソコン好きを活かして卒業後は1998年Andersen Consulting(現Accenture)入社。蔵に戻るのはわかっていたが、父も写真が好きで慶應義塾大学から富士フイルムに就職したので、自分も好きな道へ。入社して青山やシカゴで研修と楽しかった。

・2004年に先代が脳梗塞になったため、すぐに辞表を書いたが、プロジェクトを抜けれずさらに1年間は在籍

・2006年酒類総合研究所(滝野川)で1.5か月の研修受講後、株式会社八木酒造部入社

・2008年に先代が2度目の脳梗塞になり、代表取締役に就任、現在に至る

・家族は妻と長女(13歳)、長男(11歳)と猫3匹

・趣味は海外旅行で、これまでに43か国を訪問。



◆ 愛媛県今治市のご紹介

・今治市は愛媛県の一番北側に位置し、広島県尾道市としまなみ海道で結ばれている。



・瀬戸内海に面しており、年間を通じて気候は穏やか。人口は約15万人で、主な産業は造船とタオル。今治タオルはその品質の高さで全国的に人気がある。


▼しまなみ海道

・しまなみ海道は、日本ではじめて海峡を横断できる自転車道でもある。ナショナルサイクルルートにも認定され、今ではサイクリストの聖地として、世界中から観光客が訪れている。




▼郷土料理

・今治市に面した来島海峡は、潮の流れが速いことから魚介類に恵まれ、特に鯛は瀬戸内海一と言われてる。鯛は刺身のほか、鯛めしとして良く提供されている。



・今治市は焼き鳥がソウルフードで、人口に対する焼き鳥屋の数が日本一でもある。今治焼き鳥は一般的な炭火焼き鳥と異なり、鉄板でコテを使って素早くパリパリに焼いたタイプである。



・他にも、B級グルメ選手権で3位となった焼豚玉子飯や、今治ラーメンといった料理が良く食されている。

◆ 八木酒造部の歴史


・「山丹正宗」を製造する八木酒造部は、昨年190周年を迎えた。現在では今治市で唯一の酒蔵となる。

・八木酒造部は、1831年(天保二年)に、初代の八木治兵衛が奈良から今治に来た際に創業した。創業当初は屋号が「丹波屋」といい、醤油と木綿卸から始まり、翌年には酒造も始めた。

・「山丹正宗」の名前は、屋号の「丹波屋」と、「銘刀正宗のようにキレの良い酒」という掛け合わせから来ている。

・1946年に戦災で蔵が全焼し、翌年には酒造を再開し、1950年に「株式会社八木酒造部」として登記。1988年に増築して、現在に至る。



・山丹正宗のロゴは、1992年に松井桂三氏デザインのものに変更しました。



◆ 原材料へのこだわり(米)

・お米は、自然豊かな愛媛で育った県産の酒米にこだわっている。主に松山三井、しずく媛等の酒米を使用しており、主要商品の9割以上が愛媛県産米となっている。

・松山三井は元々食用米だが、現在はその殆どが酒米として使用されている。硬くて溶けにくい性質から、切れの良い辛口の酒を造るのに適している。

・しずく媛は愛媛県が開発した酒造好適米で、松山三井を品種改良して大粒化したもの。さばけが良くて溶けやすい、感覚的には山田錦に近いお米である。



◆ 原材料へのこだわり(水)

・水は、高縄山を水源とする蒼社川の伏流水を仕込み水として使用している。元々、今治はきれいな水が豊富にあることからタオルの生産で有名だが、その今治市でも最も水が良いとされる場所に蔵を建設したと言われている。

・この水は「山丹の水」と言われ、昭和天皇が愛媛を訪れた際に、お茶の水に選ばれた。

◆ 造りへのこだわり

・かつて今治市には、越智杜氏という杜氏集団が存在し、全国へ杜氏を派遣して酒造りを行っていた。現在、その越智杜氏は解散してしまったが、当社は越智杜氏流の酒造りの継承者として、なるべく昔ながらの手作業にこだわった造りを行っている。



・また、弊社の酒造りの一つの特徴として、今治市は温暖な地域なため、蔵は建物全体を冷房設備とすることで、酒造に最適な環境を作り上げている。




◆ 新しい体制

・昨年、弊社の杜氏が世代交代し、今期から石田杜氏が酒造りを指揮しているほか、昨年まで雪雀酒造(松山市)にて製造責任者を務めていた塩見杜氏(今治市出身)が酒造りに参加している。

・石田と塩見のタッグで、色々なチャレンジに取り組み、品質の向上を目指している。



◆ 新たな取り組み

今期、以下の新たな取り組みを予定している。

(1)花酵母

東京農大と愛媛県産業技術研究所が共同で、新たな花酵母を開発した。愛媛県下22蔵が新たな酒を造り、2023年3月に発表する予定。



(2)水酛

・八木家のルーツは大和八木で、現在の奈良県橿原市になります。日本酒発祥の地ともいわれる奈良県でかつて行われていた水酛の製法を学び、今期の製造でチャレンジする。


(3)全国新酒鑑評会へ純米規格で出品

・アルコール添加が有利とされる全国新酒鑑評会にて、あえてアルコール添加なしで金賞を目指す。


◆ 山丹正宗の受賞歴


◆今回のお酒について


①山丹正宗 純米酒 松山三井 1.8L / 720ml

日本酒度:+4

アルコール度数:15%

酸度:1.8

原料米:松山三井

精米歩合:60%

価格:2,500円(税別)/1,250円(税別)

スパッとキレの良い辛口の男酒。愛媛県産の酒造好適米「松山三井」を使用し、米の旨みをじっくり引き出した。冷やでも燗でも味わえる。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022 金賞受賞


②山丹正宗 しずく媛 純米吟醸 1.8L / 720ml

日本酒度:+4

アルコール度数:16%

酸度:1.8

原料米:しずく媛

精米歩合:50%

価格:2,900円(税別)/1,450円(税別)

愛媛県産の酒造好適米「しずく媛」と愛媛県酵母「EK-1」で仕込んだ、

オール愛媛の「しずく媛」は、フルーティな香りとやさしい味わいのお酒。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020 最高金賞受賞。


③山丹正宗 純米大吟醸 松山三井 1.8L / 720ml

日本酒度:±0

アルコール度数:16%

酸度:1.7

原料米:松山三井

精米歩合:50%

価格:4,200円(税別)/2,100円(税別)

愛媛産米「松山三井」を50%まで磨き、メロンを思わせる非常に華やかな吟醸香を引き出した。和食に限らずフレンチやイタリアンなど、幅広い料理にマッチ。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022 金賞受賞



乾杯!!!



◆最後はみんなで集合写真

・毎回、恒例の集合写真です。八木さんだけ上着を着ていますね!



◆まとめ

・歴史ある八木酒造部さんでのお酒造りや、愛媛県今治市についてなどなど、いろいろな話題をお話いただきました。今治に行って、美味しい郷土料理を肴に山丹正宗を飲みたいですね。八木さん、ありがとうございました!



<KABUTO ONEアトリウムにある渋沢栄一が生涯大切した佐渡の赤石にて、次回の再会を祈願!>


******************
▼兜LIVE!(かぶとらいぶ)
人と歴史と未来をつなぐ応援プロジェクト兜LIVE!では、たくさんの方が兜町・茅場町に親しみを持っていただけるような楽しく勉強になるイベントを企画・実施していきます。
FacebookやInstagramをフォローして最新情報をチェックしてくださいね。
Facebook
Instagram
Twitter


×

兜LIVE!について

運営

一般社団法人日本橋兜らいぶ推進協議会

代表者

藤枝昭裕

住所

〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町1-10
[map]

連絡先

support@kabuto-live.com