2019.11.26

第19回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。

こんにちは!

兜LIVE!編集部です。


11月9日(土)、日本橋茅場町にあるFinGATE KAYABAにて第19回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。




事始めの街と呼ばれている日本橋兜町・茅場町。江戸時代には酒問屋で賑わっていたこの街で、日本各地の蔵元とともに日本酒について学び、味わい、楽しく交流しその魅力を広めるため、毎月1回の頻度でイベントを開催しています。


今回は栃木県大田原市から、菊の里酒造8代目蔵元である阿久津 信さんをお招きして、
日本酒「大那(だいな)」や蔵のある栃木県大田原市、そして酒造りへのこだわりについてお話いただきました。


◆菊の里酒造について

例年、菊の里酒造での酒造りは10月1日から始まります。
イベントが開催された11月上旬は、初しぼりや瓶詰などの作業が立て込み、阿久津さんもてんてこ舞いとのこと。そんなお忙しい合間を縫ってご登壇いただきました。



菊の里酒造は、慶応2年(1866年)に創業し、150年を超える歴史を誇ります。
豊かな緑と清水に恵まれた栃木県大田原市の地で、「一流」「君の友」等、代々の銘柄の販売を経て1955年に菊の里酒造に発展しました。


現在は主力銘柄「大那」を中心にリキュールなども製造し、イタリアやフランスなど、世界8か国に輸出するまでに販路を拡大しています。


令和元年現在、製造石数は700石(1石=180ℓ)。うち、大那の比率が95%です。
将来的には1000石の製造量を目指しているとのことでした。


「大那」の名前に込められた想い

主力銘柄「大那」は、会社の方向性に危機感をおぼえた阿久津さんが、2004年に限定流通商品として立ち上げたもの。大いなる那須の大地のような、スケールの大きい蔵にしたいとの思いを込め「大那」と名付けられました。


命名当初は、阿久津さんも那須の名を冠することに少々気後れなさったそうですが、
設備投資や試行錯誤を繰り返し、品質・味の再現性を向上させた結果、
「大那」は全国新酒鑑評会で見事金賞を受賞するほどの人気酒となりました。





◆栃木県大田原市って?

菊の里酒造がある栃木県大田原市は、那須高原の南端に位置し、侍塚古墳、那須国造碑(日本三古碑)など、数々の歴史的遺産を有する古墳の里。松尾芭蕉は大田原の自然を気に入り、奥の細道の中で、最も長くこの地に滞在したそうです。


また、弓の名手として知られる那須与一(源平合戦で船上の扇を射落としたと言われています)が誕生、成長した土地といわれており、道の駅「那須与一の郷」には、那須家に伝わる品々が展示されています。


大田原市のさらなる魅力がわかる、ユニークな紹介ビデオはこちら


(再生回数17万回超え)!


市内には那珂川とその支流が流れ、市内のあちこちで清水や湧水が見られます。
菊の里酒造でも、蔵の地下より湧き出る地下水を酒造りに使用しています。
これは那須山系から流れ出る、約40年かけてろ過された雪解け水です。



◆菊の里酒造の酒造りへのこだわり

お水に加えて、原料米や販売方針に関しても菊の里酒造はこだわりを持っています。原料米のうち、95%は那須高原の麓「黒田原地区」で、農家さんと直接契約して減農薬栽培をした酒米を使用しています。


また、販売方針として、日本酒に愛情のある専門店との直取引を基本としており、新規の方のお電話でのご注文や、インターネットでの蔵直販売はされていません(現在全国60件の専門店と取引していて、一般の方はそれらの専門店のオンラインショップで注文可能です)。 


「米の味がしっかりと感じられながらも、後味がきれいでバランスがよく、食を高めることのできる食中酒」を目指して酒造りを行っています。


華やかな煌めきの一本というよりは、ずっとそばに置いておきたい、友達のような癒しの一本を志しているとのこと。


食事との相性については、お酒の味わいが深いため、基本的には和洋中どのジャンルにも対応できますが、特に那須牛や旬の野菜を使用した山の幸にお薦めなのだそうです。



垣根を越えて地元の日本酒業界を盛り上げる「下野(しもつけ)杜氏制度」

また、現在栃木県には33蔵の酒蔵があり、蔵の枠を超えて人材育成や技術交流に協力しあうことを目指した「下野杜氏制度」があるそうです。
2006年に誕生したこの制度では、既に第9期生までが誕生しているとのことでした。
菊の里酒造でも、東京農業大学の学生の住み込み実習を受け入れるなど、積極的に次世代育成に協力されています。



◆いよいよ、利き酒(ブラインドテイスティング)の時間


それではお待ちかね、3種の日本酒をいただきます。当日会場に配られた資料をもとに、編集部もチャレンジ!


また、お酒に合わせて、栃木県の名産を使ったおつまみも配膳されました。
青唐きゅうり、那須牛ビーフジャーキー・たまり大根の3種類です。




きゅうりは青唐辛子がピリリと効いて、これぞ日本酒のお供!というお味。
ビーフジャーキーのほうもしっかりとペッパーの風味が効いていて、噛みごたえがあり、お酒がとまらなくなりそう。一方、たまり大根は他の2つとは違いあっさりとした味わいで、バランスの良い3品となっていました。


それではお酒をいただきます。
A~Cが、次の1~3のいずれかなのですが…?




1)『大那』純米吟醸 東条産 愛山
日本酒度:+1 アルコール度数: 16.0% 酸度:1.5 原料米:愛山 精米歩合:50%
価格(税抜): 1800ml 3,900円/ 720ml 2,000円
フルーティーな香りと愛山特有のやさしい口当たりが特徴。


2)『大那』純米吟醸 東条産 山田錦
日本酒度:+1 アルコール度数: 16.0% 酸度:1.6 原料米:山田錦 精米歩合:50%
価格(税抜): 1800ml 3,600 円/720ml 1,850 円
山田錦 100%使用の純米吟醸で、穏やかな香りとまろやかな口当たり。


3)『大那』純米吟醸 那須産 五百万石
日本酒度:+3 アルコール度数: 16.0% 酸度:1.6 原料米:五百万石 精米歩合:55%
価格(税抜): 1800ml 2,900 円/720ml 1,450 円
メロンのような香りと軽快ながらしっかりした味乗りが特徴。


Aが特に香り高かったため、一番価格が高く「フルーティーな香り」とある、1の愛山では!?と予測したのですが、残念ながらAは2の山田錦でした…。


日本酒初心者の編集部にはかなりレベルの高い難問でした!




いっぽう会場の皆さんは、8名の方が見事全問正解!

正解者の方には賞品として、菊の里酒造のオリジナル手ぬぐいと前掛け、グレープフルーツほどの大きさのある、栃木名産にっこり梨が贈られました。




引き続き、おすすめの日本酒をさらに3種類いただきます。




左から順に:
1)『大那』純米大吟醸 吉川産 山田錦
アルコール度数: 16.0% 酸度:1.4 原料米:山田錦 精米歩合:40%
価格(税抜): 1800ml 7,000 円/720ml 3,500円
吉川産特A地区山田錦を使用し、蔵元の技術の粋を結集させて醸し上げた、味と香りの芸術品です。


2)『大那』低アルコール純米酒
日本酒度:-4 アルコール度数:13.8% 酸度:1.9 原料米:山田錦 精米歩合:55%
価格(税抜): 1800ml 2,800 円/720ml 1,400 円
低アルコールですが味の薄さを感じさせない、夏場に販売されるお酒です。


3)『大那』超辛口純米酒
アルコール度数:16.0% 酸度:1.6 原料米:栃木県産酒造好適米 精米歩合:60%
価格(税抜): 1800ml 2,550円/720ml 1,350円
那須山系伏流水の水質の良さを生かした、菊の里酒造の定番純米酒。世界8カ国に輸出されています。


一番高級な1の純米大吟醸は、中でもやはり一番香りが高く、飲んだ瞬間「美味しい…」と思わずつぶやきが漏れるほどでした。日本酒の味の世界を、より深く理解できました。


以上、合計6種類の日本酒を、こころゆくまで堪能しました。




◆まとめ

今回のイベントでは、美味しいお酒とおつまみを楽しんだのはもちろん、阿久津さんのお話では、お酒造りへのこだわりと、働き盛りの40代のうちから次世代の育成を考えていらっしゃる、日本酒という伝統文化への熱い想いが伝わってきました。

本イベント「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」は毎月1回の頻度で開催予定ですので、お酒好きの方は是非一度足を運ばれてはいかがでしょうか?


イベントの詳細はこちらから。




菊の里酒造



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