2023.07.25

【LIVING GREEN FES】大人も子どもも楽しみながら一緒に学ぶ 「KABUKAYAはちみつ収穫体験」をレポート

日本屈指の金融街、茅場町の東京証券会館の屋上に農園があります。その名は「Edible KAYABAEN」。

Edible KAYABAENでは、野菜や果物を育てる、食べる、をベースにしたさまざまなイベントを開催しています。


今回は、7月14日(金)に行われた「KABUKAYAはちみつ収穫体験」の模様をレポートします。



◆ガーデンハイクからイベントスタート


7月14日(金)17時、東京証券会館の屋上Edible KAYABAENで開催された「KABUKAYAはちみつ収穫体験」に、総勢31名が参加。
うち約半分は、近隣に住んでいる小学生や幼稚園生。親御さんと一緒なら参加OKということで、子どもたちの参加が目立ちました。講習が始まる前からEdible KAYABAENのなかを子どもたちが、元気に走りまわっています。



Edible KAYABAENは野菜や果物だけでなく、ハーブやお花も育てています。



東京の大都会の屋上にこんなにステキな場所があったとは、驚きです。



芝生の広場に一同が集合し、イベントの流れと諸注意を聞きます。


イベントのプログラムは、この進行。
・ガーデンハイク
・ミツバチの観察
・はちみつの収穫体験


今回ははちみつの収穫体験なので、注意点は主にミツバチに関すること。事前に説明されたことは、次の通りです。
・帽子をかぶる
・ミツバチは黒に反応するので、黒色の服は避ける
・香水など、香りが強いものの利用を避ける


さらに、ミツバチが近づいてきたときは、叫んだり追い払ったりせず、静かにすること。など、ミツバチに刺されないために注意すべきことを確認していきます。
ミツバチは毒を持っているわけではありません。ですが、刺されたら腫れる、かゆみや痛みが出るなどの症状が出ます。アレルギーを持っている人などは特に注意が必要です。


一通り注意事項の説明が終わると、イベントがスタート。

まずは、ガーデンハイク。畑のなかに植えられているローズマリーを探しながら、園内を歩きます。



子どもたちが、ローズマリーが植えられている場所をすぐに発見しちゃいました。

ローズマリーに触ってみようということで、みんなで触ります。葉がしっかりしていて、ちょっとベタっとしていました。



こするとローズマリーのスッキリとした香りが指先につきます。アロマオイルでしか嗅いだことがなかったので、生のローズマリー、初体験でした。


続いて、カレーの香りがする植物・カレープランツを探します。子どもたちは、ゲームのような感覚で、実際に植物に触れられるのが楽しそう。



大人のみなさんも子どもたちといっしょに探します。
探している間、私にはカレーの香りが感じられなかったのですが、見つかったとたんに香りがしはじめたのが、不思議でした。


◆屋上でイチゴを食べる


ガーデンハイクをしながら、次は農園で育てられているイチゴを試食します。
イチゴの旬は5月頃ですが、Edible KAYABAENのイチゴは春から秋まで収穫できるイチゴのため、7月でも実がちゃんとありました!




早速試食した子どもたちからは、「あまーい」「すっぱい!」などの声が、あがります。イチゴの花のみつもEdible KAYABAENのミツバチは食べているとのこと。
甘いイチゴの見分け方などを教わり、少し離れたところに植えられているブラックベリーも試食。




食べ頃のものは、実がかんたんに取れるとのこと。その話を聞く前に摘んでしまった子が数名いました。食べごろになる前の実を摘んでしまったようで、食べてすぐ大きな声で「すっぱ〜い」と叫んでいました。


◆ミツバチの生態を知ろう


ガーデンハイクをしながら、園内のイチゴを試食し終わったところで、いよいよミツバチが登場。
ミツバチの巣箱は、屋上の奥のあまり日があたらないひっそりとした場所に2基あります。聞かなければ、ここにミツバチがいるとは思えないような場所。空調の室外機がずらっと並ぶエリアにあります。
今日の講師、養蜂家の中村さんが、防護帽を被り作業しています。



講師の中村さんは葉山で、週末に養蜂をされている方。ご縁があってEdible KAYABAENのミツバチのお世話をすることになったそうです。



ガラスのケースに入ったミツバチの巣を観察します。



この巣には約1000匹のミツバチがいるとのこと。性別の割合は9割がメスで、1割がオス。女王蜂は1匹だけ。巣には幼虫もいます。


「ミツバチの寿命は30~45日。短い一生のように感じるかもしれませんが、女王蜂は1日に1,000個もの卵をみます。また、ミツバチは暗くて狭いところが好き。視力はけしていいとは言えず、赤色がわかりません。でも紫外線は見えるんですよ」と、講師の中村さん。


ミツバチは、日本の在来種のニホンミツバチと外来種である西洋ミツバチに大きく分けられるそうです。Edible KAYABAENにいるミツバチは、西洋ミツバチであることなど、ミツバチに関することをたくさんお話ししてくださいました。



さらに子どもたちからは、さまざまな質問が飛びます。
「ミツバチに刺されたら、どうなりますか」
「ミツバチを食べる生き物はいますか」
「ミツバチは完全変態ですか」
などの質問に、ひとつひとつ丁寧に答えていく中村さん。子どもたちからは、昆虫やミツバチの知識がない人には、驚くような質問も飛び出しました。


子どもたちの疑問に答えていく中村さんの真摯な姿は、養蜂にも現れているのが伺えます。


◆いよいよはちみつを収穫


ミツバチの巣を観察したら、いよいよはちみつを収穫していきます。
はちみつ収穫の行程は次の通りです。
1.巣箱から巣板を取り出す
2.巣板の表面をきれいに削り、みつろうを取り除く
3.遠心分離機に巣板を入れてまわす



みつろうとは、巣を作る材料のこと。ミツバチから分泌される「ろう」のことです。
ミツバチはお腹にみつろう腺という分泌腺があり、そこからみつろうを出して巣を作ります。



香りや味にちょっとしたクセがあるようで、日本では食用として普及していませんが、ヨーロッパでは、みつろうごと食べる習慣があるとのこと。はちみつ同様、みつろう自体も栄養価が高いためです。



ちなみにEdible KAYABAENのはちみつ収穫体験では、はちみつの試食だけでなく、採れたてのみつろうの試食もできます。


巣板からみつろうを取り除き、遠心分離機に入れた際に、よりはちみつが取れやすいよう準備をしていきます。


この巣板の重さは1~2Kg。子どもたちは、実際の巣板の重さを体験。小学生の子はひとりで持ってみて、「ちょっと重たい」「持ち上げられる~」など感想を言っています。



2枚の巣板を遠心分離機にセットし、まわしていきます。遠心分離機に入れて、まわすことで、遠心力ではちみつを飛ばしていきます。



遠心分離機の樽のなかで飛び散ったはちみつは、重力で樽の底にたまっていくとのこと。



4~5分まわしたところで、遠心分離機の樽の底のフタをあけると、できたてのはちみつが流れてきました。
きれいな黄金色のトロトロとした美しいはちみつをこしていきます。



こすことで、遠心分離機でとりきれなかった小さな塊やカスなどを取り除き、よりなめらかなはちみつとなっていきます。
これで、はちみつが完成。はちみつを作るのもこういった手間がかかっていることを改めて知る貴重な体験でした。


◆採れたてのはちみつを試食


中村さんがEdible KAYABAENの屋上で育てている、はちみつをいよいよ試食。
クラッカーに採れたてのはちみつをのせていただきます。


採れたてというだけでも充分おいしい。甘さのなかにすっきりとした味わいがあります。はちみつ自体が濃厚ですが、さわやかさも感じます。クラッカーだけでなく、トーストやパンケーキにもたっぷりかけて食べてみたくなりました。
はちみつは自然豊かなところでしかつくれないものだと思っていましたが、都会のビルの上で、こんなにおいしいはちみつが作れることに驚きです。



さらに採れたばかりのみつろうもクラッカーにのせていただきます。



香りはクセもなく、はちみつそのもの。一口食べてみたところ、甘さの密度がすごい。食感は予想していたよりもやわらかく少し弾力がありました。はちみつよりもさらに濃厚で、しばらく口の中に残っている感じがありました。



この日は夕方になっても気温が30度近くあり、かなりの蒸し暑さを感じる日。日よけの少ない屋外で、疲労感を感じる時間帯でしたが、はちみつとみつろうを少しいただいただけですが、暑さや疲れが吹っ飛びました。はちみつとみつろう、採れたてのおいしさをぜひ知ってほしいです。



試食が終わったところで、参加者全員で講師の中村さんにお礼を伝え、盛会のうちにイベントは終了。イベント終了後も、中村さんと子どもたちのミツバチに関する白熱した質問タイムが続いていました。
中村さんによると国産のはちみつはわずか6%しか出回っていないとのことです。今回のイベントを通じで、はちみつが作られるまでの行程とその味のよさを知りました。屋上で野菜やミツバチを育てるなど、こういった取り組みがさらに増えていくとよいなと思いました。



このイベントを共催・企画した一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの担当者と講師の中村さんにお話しを伺いました。


主催者のお話:
「人口が増え続けている中央区で、食と農業、自然と地域の人々をつなぐ、コミュニティ作りも兼ねて、Edible KAYABAENをオープンしました。ビルの屋上で食べられる森作りに挑戦しています。子ども向けに五感をつかって学ぶスクール『アースコーレ』を開講。今後もEdible KAYABAENが、地域の人々の架け橋となるようなイベントを開催していきます。」
Edible Kayabaen


今回の講師・養蜂家・中村さんのお話:
「葉山で週末に養蜂をしています。子どもの頃から昆虫や自然がすきで、野菜を育てていた時期もありました。ある日、道の駅で出会ったはちみつのおいしさに魅了され、この道に入って5年。今年3月からEdible KAYABAENではちみつを作ることになりました。国産のはちみつのおいしさをもっと多くの方に伝えていきたいです。」
Mellowsurfhoney






■LIVING GREEN FES VOL.2
2023年7月1日(土)〜7月30日(日)の期間限定で開催中
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