2021.09.01
こんにちは!
兜LIVE編集部です。
2年におよぶ工事を経て、日本橋兜町に新しいランドマーク「KABUTO ONE」が開業しました。金融・証券の街として日本経済の発展に欠かせない日本橋兜町の入り口に構え、上層階はオフィスが占める一方、3階ブックラウンジや、1階アトリウム空間や飲食店については一般の方々も利用できます。
2021年8月24日に実施された竣工式は、まず神事が厳かに執り行われ、続く祝賀会では建設関係者や地元の方々によるお話で叙情的な雰囲気に。そして、経済や市場の動きを可視化させた、データビジュアライゼーション「The HEART」の点灯式でクライマックスを迎えました。その全容をお伝えします。
KABUTO ONEが位置するのは、永代通りと平成通りの交差点。常に多くの歩行者や乗用車、タクシーなどが行き交い、活気が感じられる一角です。
地上15階建てのガラス張りの外観からは、モダンでスタイリッシュな印象とともに金融街らしい重厚感もうかがえます。低層部には門型のデザインを起用しており、それは兜町への入り口という象徴的な意味合いを込めて。2022年度には、東京メトロ・茅場町駅とも直結予定ということで、アクセスも抜群です。
銀行や証券会社が集積した日本橋兜町の地歴を活かすべく、建物には株主総会などの会合を実施できるホールとカンファレンスルーム7室が4階に完備。竣工式の神事もその1室で行われました。
静まり返った室内に約60名の関係者が出席されるなか、日本橋日枝神社より神職2名の方が入室され、神事が始まります。
建築物が無事に完成し、末永い繁栄を神様に祈願するにあたり、まずは修祓(しゅばつ)で献上する飲食物の神饌(しんせん)や出席者含む諸々の穢れをお祓いします。
その後、神様をお招きする降神の儀、神饌を献ずる献饌(けんせん)と進み、神様へ祈願と感謝を申し上げる祝詞奏上(のりとそうじょう)へ。
紙と麻を細かく切った切麻散米(きりぬささんまい)を神職が部屋の四隅に撒くことで、建物や土地全体が清められます。
そして、玉串奉奠(ほうてん)では、平和不動産株式会社・代表取締役社長の土本清幸さん、山種不動産株式会社・代表取締役社長の木下典夫さん、ちばぎん証券株式会社・取締役社長の木村理さん、日本橋七の部連合町会・会長の安西暉之さん、株式会社三菱地所設計・代表取締役社長の林総一郎さん、株式会社大林組・ 代表取締役社長の蓮輪賢治さんといったKABUTO ONEの竣工に関わった各企業を代表される方々が玉串を捧げました。
その後、祭壇から神饌を下げる儀式の撒饌(てっせん)、お迎えした神様をお送りする昇神の儀を経て閉式となります。式の直後には神酒拝戴(はいたい)といい、神様にお供えしたお神酒を一同でいただき、最後を締めます。
凛とした空気を纏った神事を終え、続いて同フロアにある「KABUTO ONE HALL」で祝賀会が行われました。500人以上収容可能なホールは地域最大の大きさを誇り、天井高8mの空間には、太陽光がさんさんと降り注ぎ、ゆったりとした開放感が魅力です。
開始の合図とともに流れたのが、起工式に始まり、建物完成までに至る工事風景を記録した写真の数々。なかには数百人が整列して話を聞く場面もあり、いかに大勢の人たちが共同し、巨大な1つのプロジェクトを成し遂げたのかが伝わってきて、よりKABUTO ONEが美しく見えてきます。(兜LIVE!では、2019年5月21日に実施された起工式の様子もご紹介していますので、併せてご覧ください)
平和不動産株式会社の土本社長からも、設計者である株式会社三菱地所設計と株式会社大林組の方々に向けて、感謝の言葉が伝えられました。KABUTO ONEが兜町へのゲート的存在になることを期待しつつ、スタートアップ企業の数を増やしていくなど、今後のまちづくりにも意欲を示します。
日本橋兜町の新しい幕開けを待望していたのは地元の方々も同じ。中央区副区長の吉田不曇さんも、兜町が舞台となった映画『大番』を例に挙げ、作中で主人公が目指した兜町のように多くの人たちで賑わう場になるよう、エールを送りました。
茅場町二・三丁目町会の会長であり、日本橋七の部連合町会の会長である安西さんは、KABUTO ONEの完成を地域が待ち望んだものと歓迎。さらに青年部からの祝意も嬉々として伝え、より一層盛り上がりを見せる地元の未来を見据えます。
「KABUTO ONEが日本橋兜町のランドマークとして、地元に愛される存在になってほしい」と想いを語る、株式会社三菱地所設計の林社長。こだわりは外観デザインだけでなく、中間層免震構造を採用し、非常時には重油と都市ガスの2種類による発電も可能。帰宅困難者が一時滞在できる機能も備え、ビジネス以外の場面でも活用が見込まれています。
そもそも街の未来を託された建設工事は容易ではなく、そこに感染症対策も加われば困難を極めたはず。株式会社大林組の蓮輪社長が告げる、建設工事はコロナ対策との戦いでもあったという言葉には重みがあり、改めて今日という日を迎えられたことが偉業だと実感させられます。
祝賀会の終盤には、江戸消防記念会から5名の方が登場し、木遣りを披露。元来、作業唄として唄われていた木遣りは、東京都の無形文化財に指定されています。
伸びのある声が凛と響き渡る光景は神秘的で、5名全員の声が均一に1つのまとまりとなってホール全体を包み込みました。
江戸消防記念会の方々とちばぎん証券株式会社の木村社長(中央・左)、平和不動産株式会社の土本社長(中央)、山種不動産株式会社の木下社長(中央・右)
国際金融都市の要という役目を担うKABUTO ONEですが、その門戸は金融や経済に興味がない人たちにも開かれていて、その象徴ともいえるのが1階アトリウムに設置された「The HEART」。KABUTO ONEの竣工式は、The HEARTのお披露目も兼ねています。
幅6m、高さ5.5m、奥行き3mのキューブ型LEDディスプレイは世界最大規模。吹き抜けの開放的な空間でも、その存在感が光ります。株式市場の取引時間が開始される午後12時30分とともに、ディスプレイには脈打つ心臓の映像が出現。
その後、ディスプレイは4つに分割され、まるで生き物のように回転し始めます。あるときは日経平均株価やTOPIXなどを大々的に、あるときは株式市場の銘柄1つ1つを事細かに。
相場が上がれば赤、下がれば青とシンプルで分かりやすく表示されることで、複雑なマーケットの動きを直感的に把握できるデザインが特徴です。
さらにガラス張りのエントランス付近に設けたことで、通行人にも目に止めてもらうことが狙いとなっています。
日本橋兜町・茅場町の再活性化プロジェクトを担う、平和不動産株式会社の土本社長は「その日によって表情が変わるThe HEARTの変化を楽しんでほしい」と魅力を語ったうえで、「始動当日に株価が全体的に上がったので、赤くなってくれて良かった。ご祝儀相場ですね(笑)」と安堵した様子。
コンテンツデザインを担当した、株式会社アブストラクトエンジン・代表取締役の齋藤精一社長は「見たくても見えないのが経済というもの。(それを踏まえ)多くの人に知ってもらえるよう、興味を持ってもらえるきっかけになってくれたら」と話します。
The HEARTを通して、「インパクトが与える価値を社会にもう一度投げかける」と語るのは、ハードウェアをデザインした株式会社noizの豊田啓介さん。日本経済の躍動が、そのままThe HEARTの鼓動へと繋がるという、まさに日本橋兜町ならではのシンボルです。
1階アトリウムは誰でも入ることができ、3階もブックラウンジがオープンする予定で、経済関連だけでなく地域の活動や憩いの場として、日本橋兜町の新たな拠点としてKABUTO ONEは期待されています。
その意気込みに応えるようにThe HEARTの真下には、近代日本経済の父と称されている渋沢栄一ゆかりの赤石が鎮座し、地元の未来を穏やかに見守ります。赤石は触れることもできますので、訪れた際は渋沢栄一翁のご利益を授かってみるのも一興です。
左から株式会社noizの豊田さん、平和不動産株式会社の土本社長、株式会社アブストラクトエンジンの齋藤社長
「KABUTO ONE」という名前の由来は、ここが日本橋兜町の起点、始まりになるという意味を込めて。街の活性化を担う新たな拠点の登場で、今後の展開も見逃せません。金融の街として賑わいを見せてきた日本橋兜町の原点に触れることができた、そんな竣工式でした。
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取材・執筆・写真:浅井みらの
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