2023.03.02

自分の気持ちや感覚をアートに込める!阪本小学校で「出前授業」が開催されました

こんにちは。

兜LIVE!編集部です。


2023年2月21日、日本橋兜町にある阪本小学校にて、出前授業(TERAKOYA Program)が開催されました。 中央区の異業種三企業が協働して行った「感性教育」の出前授業、その様子をレポートしていきます!


◆出前授業(TERAKOYA Program)とは?


社会と教育の現場が近く、社会全体で次世代を担う人材を育てていた江戸時代の「寺子屋」。出前授業(TERAKOYA Program)は、そんな寺子屋の仕組みをヒントとして、現代の教育現場が抱える様々な課題解決を目指しているプログラムです。


今回は、「科目にとらわれない生きたキャリア教育」の機会を提供すべく、イコールチャンス株式会社が企画運営を担当し、区の企業を巻き込んで出前授業が行われることとなりました。


◆「心を解放!自由に自分を表現」をテーマに、心や感性を育てる授業を開催


授業が行われたのは、2020年8月に新校舎が竣工された中央区立阪本小学校。「新たな発見や構想力、知性を育んでほしい」という想いが込められたエントランスには、地球の自転を示す「フーコーの振り子」や、校歌に登場する「もみじ川」をモチーフにした陶板レリーフなどが見られます。



出前授業の会場は5階のランチルーム。今回授業を受ける5〜6年生の児童たち、約50名が続々と入室してきます。



本日のプログラムでコーチを務めるのは、アーティストとして活躍している「絵子猫さん」です。

絵子猫さんはディズニーやポケモンなどとコラボもしている有名な方で、部屋の一角に絵子猫さんの手がけた作品の数々が並べられていました。


授業開始前に先生に「作品を近くで見てみてください」と言われた児童たちは一目散に作品の元へ。あっという間に大賑わいとなったディスプレイの前では、女子児童を中心に「かわいい〜!」という声が飛び交っていました。



教室に笑い声があふれる中、出前授業のスタートとなりました。プログラムの一連の流れについて説明を受け、序盤から質問にも積極的に答えていく児童たち。通常の授業と違っていることもあってか、すでにやる気満々な様子が伝わってきました。


◆地域企業が参加!働く大人たちのリアルな声


最初は、今回の出前授業の協賛をしていて、中央区に本社を構えている「ぺんてる株式会社」からのお話です。ボールペンや絵の具など、児童たちにもなじみ深い文具についての説明を受け、「これ持ってる!使ったことあるよ!」といった発言も。普段使っているものということもあり、製造過程の動画にも興味津々でした。



続いては、同じく当プログラムに協賛されている「平和紙業株式会社」。年々デジタル化が進み、学校でも家でも紙にふれる機会が減っていることを受け、今回のような自らの手で紙にふれる時間を大切にして、とにかく楽しんでほしいとのこと。


地域を代表する企業で活躍する大人たちからのお話は、生徒たちにとって貴重な時間になったことでしょう。


ここからは協賛二社から提供される絵の具と紙を使い、授業が進んでいきます。


◆仕事とは?アートとは?プロのイラストレーターに学ぶ「感性授業」


まずは絵子猫さんからの自己紹介。アーティストになった経緯や仕事の受け方、プロアーティ

ストとしてのご自身のスタンスなどに関する内容で、「ワクワクする仕事を選ぶ」「楽しまずに描いた絵は、そのことが相手にも伝わってしまう」といったお話が特に印象に残りました。


仕事をする時にも大切にしているのは、自分の感覚。そんな絵子猫さんだからこそ言えるリアルな言葉に、児童たちは真剣に耳を傾けていました。



続いて、絵子猫さんのライブドローイングに移ります。手のひらに大胆に絵の具をつけ、紙に色をのせていく様子を、児童たちが興味深そうに見守ります。



「上手く描くことだけが絵じゃない、なんでも好きなように描いていいんだよ」と言いながらどんどん作品を創り上げていきます。「色をのせるだけでも立派な絵になるし、色の上から線を引けばボーダーに、点を描けば水玉になる。そのすべてが個性でありアート、世界にひとつだけの作品になっていく」という説明には、絵を描くことに苦手意識がある筆者には目から鱗でした。



鮮やかな色を使い、自由に楽しそうに描きあげていく絵子猫さんから目が離せない児童たち。



完成したアート作品を前に、会場からは大きな拍手と歓声が。 この後は、いよいよ児童たち自身のアート体験の開始です。プロによるアート作品ができあがっていく過程を目の当たりにしたこともあり、やる気がみなぎっています。



まずは素材の異なる画用紙の中から、好きなものを4枚ずつ選んでいきます。古紙を細かく粉砕した破片を散りばめ、しま模様を施した「新利休」。細かくイチマツ模様の凹凸が入った「イチマツ」。ふわふわモコモコの手ざわりが特徴的な「フリッター」。つるつるとした光沢感のある「ケンラン」。そして、誰しもが一番なじみのある、規則正しい型押し加工の一般的な画用紙「ゴカンシ」。



親指と人差し指で挟んでこするのではなく、表面をなでると紙の特徴がわかりやすいとの説明を受け、児童たちは紙の質感を確かめて、好きな素材の紙をじっくりと選んでいきます。



次に、選ぶのは絵の具。手につけて使うために開発された、8色の「ゆびえのぐ」の中から、2色を選びます。



何色にしようかな、と直前まで悩みぬいた色の絵の具をスタッフの元へもらいにいく児童たち。好きな色はもちろん、今の気分や推しのカラーなど、選ぶ理由もさまざまで、この時点で児童それぞれの個性が光ります。


◆選択肢は無限大!手を使って自由に仕上げていくアート体験


準備が整い、いざスタート!手に直接絵の具をつけることに少し戸惑う様子も見られるなか、恐る恐る自分の手でグループ共用の大きな紙に色をのせていきます。



指先だけで細かい絵を描いていく、手のひら全体を使って広範囲に色をのせていく、児童によってその表現方法はさまざま。さらに手だけではなく道具も使用可能だったので、フォークや筆で思い思いの模様をつけていくという方法も試されていました。



絵の具を手につけてみた感想をたずねたところ、「冷たいよ〜」「ベタベタする」「気持ちいい」「すごく楽しい」と、素直な言葉がたくさん飛びだしました。



10分ほど経つ頃には、大きな紙はたくさんの色と模様で埋まってきました。色を混ぜるときは乾かないうちに上から違う色をのせるように、との説明もあり、積極的に色を混ぜていくグループも。「すごくきれいな色になったよ!」と、混ぜることでできあがったアートに、満足げな児童たち。



「自分がなにを選択するのか、どう思うのかを感じとってほしい」というのも、出前授業の狙いのひとつ。慣れないながらも楽しそうに作業を進める児童たちの様子からは、肌でアートにふれることで生まれる気づきを楽しんでいることが伝わってきました。



色をのせ終わったら、最初に選んだ画用紙を押しつけ、転写をしていきます。



想像していた色や模様にならなかったり、すでに絵の具が乾いてしまってうまく転写ができなかったりと、なかなか思うようには進まない様子。そんな場面であっても「もう少しこの色を足してみよう!」などと、自分たちで考えながら試行錯誤する姿も印象的でした。



転写を何度もくり返す、上からさらに模様をつける、あるいは紙の両面に転写する、すべて生徒たちの自由です。絵子猫さんと一緒に、転写に取り組む姿も見られました。お互いの作品を見せ合いながら、終始にぎやかに進んでいきます。



納得のいくまで何度も調整をくり返しながら作りあげた、個性の光る世界にひとつだけのアート作品が児童の数だけ完成しました。



その後は、グループで作った大きな画用紙を乾燥させるために、自分たちの手で別の部屋へと慎重に運んでいきます。後日、児童たちの作品に絵子猫さんが手を加え、児童とプロコーチのひとつのコラボ作品に仕上げていくそうで、そちらの完成もとても楽しみです。



体験を終えた達成感もあってか、スタート前よりも弾けた笑顔を見せてくれた児童たち。コーチを務めてくれた絵子猫さんを囲んでの写真からは、児童たちの仲の良さも存分に伝わってきました。


◆まとめ


最後に学年ごとに分かれての集合写真を撮影し、出前授業は終了。 参加生徒が5〜6年生と高学年であることから、ダイレクトに手に絵の具をつけて進めていく授業に対して抵抗感もあるんじゃないだろうか……?と考えていましたが、その不安は序盤から見事に吹き飛ばされました。


積極的に質問・挑戦・リトライをくり返し、その過程を全力で楽しんでいる児童たちの笑 顔は会場中に伝染し、気づけば私たち大人もたくさんの笑顔とパワーをもらっていました。



「仕事」や「働く」というワードに「ワクワク」や「楽しさ」を結びつけることは大人でも容易ではないので、児童たちにとってはよりピンと来ないことでしょう。


そんな中、絵子猫さんや協賛企業の方々のように、楽しみながら仕事をする大人のリアルな声や姿を見聞きできた経験は、児童たちの選択肢を増やす大きなきっかけになっていくだろうと感じる出前授業でもありました。


今後も、児童たちの世界を広げていく、地域一丸となったTERAKOYA Programの取り組みに注目です。


*阪本小学校についての以前のレポートはこちら


TERAKOYA Program


******************
▼兜LIVE!(かぶとらいぶ)
人と歴史と未来をつなぐ応援プロジェクト
兜LIVE!では、たくさんの方が兜町・茅場町に親しみを持っていただけるような楽しく勉強になるイベントを企画・実施していきます。FacebookやInstagramをフォローして最新情報をチェックしてくださいね。
Facebook
Instagram
Twitter


×

兜LIVE!について

運営

一般社団法人日本橋兜らいぶ推進協議会

代表者

藤枝昭裕

住所

〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町1-10
[map]

連絡先

support@kabuto-live.com