2021.03.26

【渋沢栄一・赤石フェスタ】「特別展&渋沢栄一と映え写真を撮る 見学レポート

こんにちは。

兜LIVE!編集部です。


本日は、東京日本橋兜町にある日証館(平和不動産本店)1階にて、3月9日(火)〜4月4日(日)の期間で開催されている「【渋沢栄一・赤石フェスタ】特別展&渋沢栄一と映え写真を撮る」を見学してきました。

今回、普段は一般公開されない歴史的価値の高い資料の数々も展示され、渋沢栄一を知っている方もそうでない方も楽しめる内容になっていました。


会場の様子をレポートしていきたいと思います。


◆渋沢栄一に会える! 日証館


特別展が行われた日証館は、1888年(明治21年)に渋沢邸宅として、のちに渋沢事務所として使われた由緒正しい場所です。残念ながら1923年(大正12年)に起こった関東大震災によって当時の渋沢邸・事務所はなくなってしまいましたが、1928年(昭和3年)に東京株式取引所によって再び建設されることとなります。


当初は東株ビルディングと呼ばれていましたが、日本証券取引所が設立された1943年(昭和18年)に「日証館」と呼ばれるようになりました。趣のある建物に身を委ねながら近代日本経済の歴史に思いを馳せてみるのもよいですね。



ロビーのすぐ左手に常設展示されている「赤石」は、日証館のトレードマークともいえる存在で渋沢栄一が生涯大切にした縁起石です。日本繁栄を祈念し1888年(明治21年)に渋沢邸を建てた際、この場所に設置され、その後、いくつか設置場所を変えましたが、再びこの場所に戻って来ました。


実はこの縁起石、スマートフォンのカメラで解説右手のQRコードを読み取ると……



なんと赤石を愛でる、AR栄一翁に会うことができます! 結構動きがあるので初めは少しビックリしました。




「渋沢栄一と映え写真を撮ろう!」ということで、特別展に合わせ等身大パネルの前で記念撮影が行えるコーナーが新設されていました。ぜひ一緒に写真を撮ってみてください。


ちなみに、彼の身長は150cmほどだったという話を聞きちょっと意外でした。成し遂げた多くの偉業を見て、知らぬ間にその人自身を大きな人であると連想してしまっていたようです。



記念写真を撮り終え、1階に設けられた特別展示会場に向かいます。渋沢栄一の生い立ちから実業家へと転身していく道のりが特設パネルにまとめられており、あまりご存知でない方でも分かりやすいように説明がされていました。


後半は本展示の趣旨でもある「第一国立銀行」「東京株式取引所」を設立した過程や仕組みにフォーカス。こちらは複雑でなかなか難しかったです。


◆「合本主義」を唱えた渋沢栄一


「日本資本主義の父」と称される実業家・渋沢栄一は現在の埼玉県深谷市の農家に生まれました。養蚕や畑作を手伝いながら幼少期より父から学問の手ほどきを受け育ちます。生涯に渡り自分自身の規範とした、古代中国の思想・哲学「論語」を学んだのもこの頃でした。


「尊王攘夷」思想に影響を受け郷里を離れるも、その後なんと一橋慶喜(15代将軍・徳川慶喜)に仕えることとなります。藩の立て直しなどで実力を認められ、パリ万博や欧州見聞の機会を得て先進諸国の実情を学びます。帰国後、明治政府の大蔵省で国づくりに関わり、退官後は事業家へと転身。1873年(明治6年)、日本初となる株式会社「第一国立銀行」(現みずほ銀行)を兜町に設立します。その後も株式会社組織による企業の創設、育成に力を入れ、生涯に約500もの企業設立に関わりました。さらに、約600の教育機関、社会公共事業の支援、民間外交にも尽力。このような数々の功績が讃えられ2024年に発行される新紙幣の図柄にも採用。2021年には大河ドラマ化もされ、栄一とその偉業が広く認知されることとなりました。



近代日本の資本主義の礎を築いた渋沢栄一は「合本主義」という、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考えを表明しました。

「価値をつくる元を合わせ、それにより価値創造をする」という意味合いを持ち、即ち株式会社の原型となりました。民間資本による日本初の株式会社である「第一国立銀行」は合本主義の考え方から、「東京株式取引所」設立時から同市場に上場し株式を公開、戦後も東京証券取引所に上場していました。


特別展示されている第一国立銀行設立関連の資料を見ていきましょう。


(「第一国立銀行株主姓名表」: 株式会社みずほ銀行所蔵)


第一国立銀行の株主達の一覧表です。のちの頭取となる栄一は上から三番目に名前が記されています。



(書簡:株式会社日本取引所グループ 所蔵)


盟友で、幕末から明治時代にかけて政論家・劇作家・小説家として活躍した福地源一郎が栄一に宛てた書簡。株式の取り扱いについての草案などのやり取りが記されています。


(「東京証券取引所設立證書」:株式会社日本取引所グループ 所蔵)


「東京証券取引所設立證書」は東京株取引所設立時に出資した株主達の署名。東京株取引所の株主は有限責任である事が明記されています。



(『明治成功録』:株式会社日本取引所グループ 所蔵、印鑑:株式会社みずほ銀行 所蔵)


明治時代に実業界と政界で成功を収めた偉人達の肖像写真と筆跡を集めた『明治成功録』。渋沢栄一といえばこの写真ですね。隣には第一国立銀行で実際に使用されていた印鑑も展示されています。


(算盤:株式会社みずほ銀行 所蔵)


こちらは横幅50〜70cmはあろうかという大きな算盤(そろばん)。当時、第一国立銀行で実際に使用されていたものだそうです。算盤といえば、「道徳・経済合一説」を提唱した名著『論語と算盤』を思い浮かべる方も多いでしょう。様々な翻訳・解説書も出版されていて、現代にも通じるビジネス書・哲学書として知られています。


銀行ができた当時の日本橋界隈の姿が分かる貴重な資料もありました。現在の地図と合わせてみると、位置関係もよく分かりとても興味深かったです。


(『東京名所海運橋五階造真図』:清和綜合建物株式会社 所蔵)


『東京名所海運橋五階造真図』の中央に描かれているのが第一国立銀行です。現在この場所にはみずほ銀行が建っています。絵の左下あたりを流れる川(橋が掛かっている)は、現在は無く上を首都高が走っています。


(『東京名所繁栄之内江戸橋之図』:株式会社日本取引所グループ 所有)


『東京名所繁栄之内江戸橋之図』。こちらは江戸橋(手前の橋)から見たアングルで、右端に見えるのが第一国立銀行です。当時の賑わいもしっかりと伝わってきます。



ちなみに、現在は上の写真のような姿に。目の前の建物で少し分かり辛いですが、右にカーブしていく川の様子が一緒です。


(掛け軸:清和綜合建物株式会社 所属)


会場には珍しい掛け軸も展示されていたのでご紹介します。文体もそうですが、筆跡からも作者の人となりが見えてきそうです。



掛け軸について詳しい内容は分からなかったのですが、元日に書かれたものだという事は確認できます。新たな年の始まりを清々しい気持ちで迎えようとしている、そんな力強さに溢れた筆使いを感じました。雅号である「青淵」と「渋沢栄一」と二つの印があるのも特徴です。


◆貴重な渋沢栄一グッズも多数販売

会場の一画では貴重な渋沢栄一関連グッズも販売されていましたのでご紹介します。お立ち寄りの際はぜひこちらも覗いてみてください。



軸に本物のお札の裁断片がギッシリ入ったボールペン、シャーペンなど珍しいものが目白押し



「招福」とつくだけあってご利益も高そうです。受験生にピッタリの贈り物なのではないでしょうか。




一番人気なのがこちらの「お札せんべい」。2024年の新紙幣発行に先駆け、渋沢栄一がプリントされています。



渋沢栄一も設立に関わり、会長も務めた「東京商工会議所(旧東京商法会議所)」関連のグッズと日本橋の老舗銘菓「榮太棲飴」もラインナップ。日本橋、兜町所縁の品々が並びます。




渋沢栄一を題材とした、大河ドラマ関連グッズもありました。


余談ですが栄一は東京都北区との繋がりも深いというのをご存知でしょうか? 洋紙発祥の地と知られる北区王子で、製紙事業を官営で行うことを建議した栄一は「王子製紙」を立ち上げました。工場の設立に伴い「職住接近」の考えのもと、飛鳥山に4,000坪の土地を購入し別荘を構えます。その後、栄一は飛鳥山邸を本邸とし亡くなるまでの生涯を過ごしました。


北区では渋沢栄一をテーマとした、シティ・プロモーションを絶賛展開中です。2021年2月には「渋沢&北区 青天を衝け 大河ドラマ館」がオープンし注目を集めています。


◆まとめ


会場で取材していると若いファミリーの姿を多く見かけました。大人に連れられて来ただけだと思っていた小学校高学年くらいのお子さんが、熱心にボードを眺めていたのがとても印象に残りました。これは2021年に渋沢栄一の大河ドラマがリアルタイムで放送されているのも理由の一つかもしれませんが、他にも理由があるように思います。


今回の展示は栄一の直筆・筆跡からも、実直で誠実な人柄が感じ取れて大変よかったです。貴重な資料を提供してくださった協力企業の皆様、誠にありがとうございました。


渋沢栄一特別展

場所:日証館(平和不動産本店)1階 渋沢栄一特別展示室
住所:東京都中央区日本橋兜町1-10
日時:3月9日(火)~4月4日(日) 10時~18時

※入場無料


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