2022.07.20
こんにちは!
兜LIVE編集部です。
日本橋界隈の老舗店を訪れるとよく見かける、浮世絵が表紙の小冊子「月刊日本橋」。
日本橋の街に根ざした内容を、「江戸」や「東京」という切り口で紹介・連載をしているタウン誌で、創刊は1979(昭和54)年と、40年以上の歴史を誇ります。
2022年6月号では「かぶかや散歩」と題した兜町特集が組まれ、あらためて兜町の歴史と変遷を知る機会となりました。
本日は、KABUTO ONE3階にある「Book Lounge Kable」にて、堺 美貴さん(有限会社月刊日本橋・代表取締役)に兜町の魅力や、今回の特集にあたって編集で気をつけられたことなど、お話を伺ってきました。
――本日はお忙しいところお越しいただきありがとうございます。
今回、月刊日本橋を初めて手にしたのですが、時事ネタから街の第一次情報、様々なコラムや連載とコンテンツが充実していて、とても読み応えのある冊子だなと感じました。
無料でもらえる雑誌というと、フリーペーパーのような薄手のものをイメージされる方が多いので、「月刊日本橋」をお渡しすると「とても厚くて立派ですね!」とよく驚かれます。フリーペーパーとは違い、週刊誌や雑誌に近いような「タウン誌」という形で出版をしておりまして、創刊したのは1979(昭和54)年なので、もう40年以上が経ちますね。
内容は、日本橋エリアに特化した形で、「江戸」「東京」という角度・切り口からの連載、街の第一次情報などのご紹介をしています。このスタンスは創刊当初からずっと変わっていません。
――「月刊日本橋」はどこで手にすることができますか?
日本橋エリアにある約160軒(2022年6月現在)のお店にご協賛をいただいていて、そちらで入手できます。各店舗ごとに月にまとめて購入していただいており、それをお客様に無料でお渡ししていただくという形をとっています。本誌の巻末に、ご協賛いただいている店舗の一覧を掲載しております。
――ご説明ありがとうございます。それでは、月刊日本橋6月号で今回、兜町特集を組まれた経緯を教えてください。
私が月刊日本橋に携わるようになって30年以上経ちますが、兜町の変遷にはとても驚いています。日本橋の西側エリアの再開発とはまた違って兜町の良さを残しながら、日本橋には無かったようなものを取り入れた「良い再開発をされたな」という印象を持ちました。
高層ビルではあるのですが、非常に落ち着いた雰囲気があり、テナントさんもそれに見合ったものが入っていることにも好感が持てます。若い方が気軽に訪れられるようなお菓子屋さんも増えましたね。日証館にジェラート屋さんが入ったのも驚きでした。
ひと昔前は、日証館の前に若い子が座ってジェラートを食べている姿なんてまったく想像できませんでしたよ(笑)。そういった兜町の変化にあらためて気がついたことが、特集を組むきっかけになりました。
――今回の特集の編集において、特に気をかけた点などありますか?
「かぶかや散歩」を企画するにあたって、兜町の歴史を語る上で欠かせない場所を押さえるのはもちろんですが、新しく生まれ変わった兜町の姿も感じられるようなコースを意識しました。古きと新しきが混在するまちの特色がうまく出せたと感じています。
――編集長が考える兜町の魅力とは何でしょうか?
どうすれば株に関係ない一般の方たちに「証券街 兜町」を楽しんでもらえるか、そこを良く考えたまちづくりをされているのが魅力の一つですね。金融のまちである歴史や特性を生かし、古い街並みをきちんと残しながらも新しいものを取り入れていく。これは、今までありそうでなかったまちづくりだと感じます。
川にぐるりと囲まれた立地も唯一無二ですね。物流という、江戸の経済・文化の発展に重要な役割を担ってきた兜町の歴史も、大きな魅力であることは間違いありません。
――散歩コースには、兜町の名所をまんべんなく取り上げていらっしゃるという印象を受けましたが、スポットはどのような基準で選定されたのでしょうか。
兜町の歩んだ歴史を振り返りつつ、兜町らしい部分を選ぶと考えた場合、大体巡るべきところは決まってきますね。そんなに広い範囲ではないので、2時間もあれば見所を押さえつつ回ることができます。みなさんもぜひ一度記事を参考に散歩してみてくださいね。
特に注目して欲しいのは、ゴール地点の新馬橋上からの風景ですね。
今では東名高速が通り、見る影もありませんが、かつてこの下を流れていた楓川は江戸経済を支える重要な水路として整備されていました。そのような歴史を踏まえつつ、耳を澄ませ想いを馳せてみると、かつての江戸の賑わいや、行き交う人々の営みが聞こえてくるように感じます。
――編集長の個人的に、兜町で特に思い入れのあるスポットや、おすすめの場所があれば教えてください。
そうですね…一つに絞るのは難しいのですが、強いて挙げるとするならば、日証館、鎧橋、先にご紹介した新馬橋あたりでしょうか。
2021年にリニューアルした坂本町公園も広々としていて良い公園ですよね。公園内にある「まちかど展示室」のお神輿も見所の一つです。
いずれも、古き良き時代と新しい兜町、その両方が感じられる場所だと思います。私個人としては川沿いを散歩するのが好きです。日本橋クルーズなどの川下りで船上から見上げる日証館がとても美しいです。乗ることがあればぜひ注目してみてくださいね。
――どんな人に読んで欲しい、来て欲しいなどありますか?
「読者層」に関してよく聞かれるのですが、月刊日本橋には明確なターゲットを想定していません。老若男女を問わず、すべての年代の方々に手にとってもらいたいという想いがあります。月刊日本橋がテーマとしている、温故知新な話題を「面白い」と思って下さる方は、年齢関係なく手に取ってくださいます。
「面白いものは、どのような世代が読んでも面白い!」ということで、あえてターゲットを絞ることはしていません。
お勤めされている方や遊びにいらっしゃる方が、日本橋エリアのお店を利用された際に手に取ってみてくださると嬉しいですね。また、「街の様々な姿を遺していく」ということも念頭に置いて作っていますので、日本橋エリアに住んでいる方々にも喜んでいただけるような内容になっていると自負しています。
――それでは最後に、これからの日本橋兜町エリアがどのようになっていくと良いとお考えですか?
「私が日本橋の仕事と関わるようになって30年以上になる」というお話はしましたが、正直これほど街が変わるとは思いませんでした。休日ともなると誰一人いなくなる「株のまち」だったのが、今では若い人達や家族連れも見かけるようになりました。お洒落なカフェ、レストラン、ワーキングスペースが増え、KABUTO ONEのような近代的なビルも立ち、人の流れもだいぶ変化したように感じます。
先にもお話したように、古き良きものと新しいものをうまく融合させていく兜町のまちづくりは、本当に素晴らしいと感じています。今のままの形で、うまく世代交代しながら街に人が根付いていくと良いのではないでしょうか。
近年では大河ドラマの影響などもあって、「渋沢栄一のまち」という印象が強い兜町エリアですが、歴史的に見てもそういった経済の中心としての役割を担うに相応しい場所であったからこそ、渋沢栄一もこの地に目をつけたのだ、と思っています。そこは、長くこのエリアに関わるものとして強調しておきたい所ですね(笑)!
――堺さん、ありがとうございます。お話をまとめていただいた後で恐縮なのですが、こちらの「うなぎ百撰」が大変気になります...!こちらは、どういった冊子なのでしょうか。
「とことん、うなぎにこだわる食味文化誌」として1984(昭和59)年に創刊された冊子になります。以来、こちらも40年近く全国の蒲焼専門店に配布いただいています。
各店舗の紹介はもちろんですが、エッセイや蒲焼の歴史、うなぎの回遊・養殖についてなどの読み物が充実しています。年4回の発行で、月刊日本橋の取材と並行して、全国のうなぎ屋さんを巡っています。こちらもぜひ、お店で見かけたら手に取ってみてくださいね。
堺さんのお話を伺い、歴史的背景に裏打ちされた兜町エリアの魅力と奥深さをあらためて知ることができました。「時代の流れを取り入れつつ変えないところは変えない」というスタンスは、月刊日本橋と日本橋兜町の共通点のように感じました。
そして、今回の特集「かぶかや散歩」を読み、あらためて兜町界隈を散策してみたくなりました。忙しい毎日を過ごす中、少し立ち止まって、古き良き「江戸」「東京」に想いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。日本橋エリアで月刊日本橋を見かけた際にはぜひ手に取ってみてください。
book lounge Kable (ブックラウンジカブル)
*月刊日本橋の最新号はKableにも置いてあります。是非ご覧ください!
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