2019.05.07
こんにちは!
兜LIVE!編集部です。
3月31日(日)FinGATE KAYABAにて、奈良県の油長酒造(ゆちょう)が造っている「風の森」お酒の勉強会が開催されましたので、兜LIVE!編集部にて取材してまいりました!
早速当日の様子をレポートしていきたいと思います。
風の森の特徴は、無濾過無加水ということです。無濾過無加水とは、文字通りしぼったお酒に何の加工もしないでそのまま瓶詰めするというです。いわばすっぴんのような状態のこと。
老若男女国籍問わず本能的に「美味しい!」と感じてもらうことを目指して、昔なら蔵でしか飲めないような、しぼったそのままのお酒を楽しめるようなスタイルでお酒を造っているそうです。味は、果実のような香りと、炭酸ガスのシュワっとした心地の良い刺激が特徴的です。
また、"風の森"を造っている油長酒造は、享保4年(1719年)に創業されました。なんと今年で創業300年という長い歴史のある老舗の蔵です!
ちなみに、奈良県は日本清酒発祥の地と言われています。
昔のお酒は、にごり酒が一般的でしたが、奈良の菩提山正暦寺で生まれた「菩提酛(ぼたいもと)」という技法によって、安全な酒母づくりができるようになり、現在の清酒作りの基礎の部分が整えられたそうです。
まずは、油長酒造 社長の山本嘉彦さんより、風の森の特徴やお酒造りへの想いをお話いただきました。
風の森では、"しぼり立ての味をそのまま届ける"ことを目指して無濾過・無加水・生酒にこだわり続けています。
・完全な無濾過
日本酒を造る上で通常は炭素濾過という処理をするそうなのですが、炭素が旨味まで濾過してしまうこともあるそうです。そのため、風の森では完全無濾過でのお酒造りを行っています。
・生酒のみ
生というのは、火入れをしていないということです。
日本酒を造る過程で火入れをすると味の安定感は増すのですが、旨味は多少消えてしまう部分があるので火入れをしない生酒でのお酒造りを行っています。
また、火入れをしないことから微生物汚染のリスク回避も徹底されているそうです。
例えば、お酒を保管する空間を常に清潔に保ったり、また作業する際の服装についても細心の注意をはらっているとお話しされていました。
・無加水
日本酒を造る過程で「加水」という作業があります。これは原酒に水を入れることによって味や香り、アルコール度数を調整する目的で行われるものです。つまりメイクをするようなことでしょうか。
ただ、この加水をすることで旨味が逃げてしまうこともあるそうです。
風の森では日本酒本来の味を表現するために加水処理も行わない形でのお酒造りを行っています。
・酸化を抑えたしぼり方(上槽)
日本酒はお米を発酵させた、お粥のような状態(醪-もろみ)をしぼることで、酒粕とお酒に分けます。この作業を上槽といいます。
すべての食品は酸素に触れることで劣化が進むので、風の森ではより酸化を抑えるために"笊籬(いかき)採り"と"氷結採り"という方法で上槽しているそうです。
笊籬採りでは、醪の下にザルのようなものを沈めて酒粕とお酒を分けることで、無加圧に近い状態でしぼることができます。
氷結採りは、なんと油長酒造で開発した技術!独自に設計した発酵タンクで醪の中の微生物の働きをコントロールすることで酒粕とお酒を分離します。
また、蔵元独自開発の瓶詰めラインにも酸化を抑える仕組みが工夫されています。
瓶詰め作業の時は上からバシャバシャと日本酒を入れるのが一般的なのですが、油長酒造では、細長いノズルを瓶の底まで伸ばし、液面と同じ高さから日本酒を入れることができる技術を開発。しかも、ノズルの裏からは窒素ガスを出すこともできるので、酸素を追い出してから日本酒を入れることができるそうです。この独自開発の技術により、より酸化を抑えた瓶詰め作業が可能になりました。
シュワっとした微発泡感が残っているのは、この技術のおかげなんですね♪
山本さんのお話をお聞きして、日本酒の味や質への追求がひしひしと伝わってきました!
山本さんにお話いただいた後は、テイスティングタイムへ♪
風の森 純米しぼり華 無濾過無加水 秋津穂
風の森 純米しぼり華 無濾過無加水 山田錦
鷹長 菩提酛 純米酒
の3本をテイスティングしました!
どれもフレッシュの感があり、お米の甘みが引き立つコクのある味でした。
特に「鷹長 菩提酛 純米酒」は冒頭でもお伝えした"菩提酛"で造られたお酒です。
日本酒の歴史を感じながら楽しむことができました♪
無濾過無加水は時間経過とともに色々な表情を見せてくれるそうです。その日だけではなく自宅の冷蔵庫で保管して1本を定期的に飲んで味を比べてみたいなと感じました。
山本さんのお話をお聞きして、本当に日本酒に対しての愛情やお酒造りへの強い想いを感じました。特に最新の技術を用いることで、昔はその場でしか飲めなかったような味を表現した製造・販売を可能にしていたりと、現代の技術を上手く活用したクリエイティビティ性に溢れたお酒造りをしていることがすごく心に残りました。
これからも、現在の持てる技術やアイデアをお酒造りにどんどん投入することで、次の世代にバトンタッチできような品質の日本酒造りを継続的に目指していきたいと仰っていました。
日本酒の歴史にも触れることができる、特別な時間となりました!
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