2022.05.23
*前半のレポートはこちら
▼製造体制等
・製造スタッフは7名。平均年齢は、スライドに27歳とあるが、現在は30歳である。異業種から来る人が多い。八仙が好きで、「八仙が造りたい」という志を持って入社したメンバーが多い。
・今期の製造石数は2200~2500石を見込んでいる。販売が伸びないと造れないので、状況をみながら調整する。95本程度の仕込み本数を予定している。
・仕込み時期は9月から翌6月までなので、現時点(2月下旬)で折り返し地点を過ぎたことになる。12月末頃から純米大吟醸や出品酒を仕込む。つい先日も、純米大吟醸の袋吊りをしたところ。
▼酒質のテーマ等
・酒質のテーマは、「フレッシュでフルーティで透明感のある酒」。雑味のないお酒をしっかりと造って提供してゆきたいと考えている。
・そのためには、蔵内の衛生面が大事。清潔さの確保に注力している。
・手作業も多いが、少しづつ機械化も行っている。特に、麹造りでは、新しい蔵人が入ると、経験年数の違いから、手入れ作業などでバラツキが出る可能性がある。製麹機の導入により、再現性と安定性を図るなど、バランスを取りつつ進めている。
▼製造量等
・スライドで製造石数を約2200石としている点は、先ほどの話の通り、2200~2500石とご理解頂きたい。
・特定名称比率では、特別純米・純米が65%近くとなっている。普通酒が約7%弱ある。もっとも、麹は、普通酒から純米吟醸の55%クラスのものまで、華吹雪55%精米を統一して使用している。
・この理由は、酒質のレベルアップのほか、作業の効率化、また、55%の麹造りを蔵人が誰でも行えるようにすることを狙っている。
・「陸奥男山classic」は、スペック的には吟醸と謳うこともできるが、普通酒として販売している。
・銘柄別の割合では、「陸奥八仙」が約85%、「陸奥男山」が約15%となる。
▼原料処理
・「3-4.八戸酒造の酒造りについて」のスライドでは、原料処理の写真を載せている。
・左上の写真の左側の4階建ての建物の2階で原料処理を行っている。
・洗米は、ウッドソンの圧密式と連続式を使用。蒸米は、朝7:30からスタート。三段式の甑となっており、一段に400kgを張れる。一回で最大1.2トンの米を蒸すことができる。
・蒸米後、放冷機を通し、二人一組で蒸米を受けて、一人が蒸米を運ぶという作業になっている。
▼製麹
・「3-5.八戸酒造の酒造りについて」のスライドでは、麹造りの写真を載せている。
・麹室の場所は、一つ前のスライドの左上の建物のうち、右側にある煉瓦の建物の2階部分。コンクリート建ての建物で蒸した米を、煉瓦の建物の麹室に運ぶことになる。
・製麹は約48時間。スライド右上の写真は、二日目朝に「盛り」を行う前に麹を砕いている様子。
・スライド右下の写真は、枯らし場。麹室の隣に、扉を隔てて設置している。
・スライド左下の写真は五段式の製麹機。温度と湿度をしっかりと行うことができる機会。
▼酒母
・「3-6.八戸酒造の酒造りについて」のスライドでは、酒母造りの写真を載せている。
・右の写真に「酒母製造装置」とあるが、左の写真にある小さいタンク1本で酒母造りを行っている。
・当蔵では、酵母は、9割以上、青森県の酵母を使用している。現在4種類あり、「まほろば吟(ぎん)酵母」、「まほろば華(はな)酵母」、「まほろば醇(じゅん)酵母などを使用。
・カプロン酸エチルの華やかな香りの酵母や、イソアミル系の穏やかな香りで少し発酵力の強い酵母などがある。
・酒母造りでは、醸造用乳酸を使用していない。普通酒から大吟醸まで、白麹を使用し、そこから出るクエン酸で、酒母に雑菌が入らないようにして酒母を守っている。
・製造方式は高温糖化酛。当蔵は、南部杜氏がいたころから高温糖化酛である。2日で酒母が完成する。
<参考:青森県開発の清酒用酵母全国頒布について>
(※)上に上げた他に「まほろば芳(かぐわ)酵母」がある。
▼仕込み
・「3-7.八戸酒造の酒造りについて」のスライドでは、仕込みの写真を載せている。仕込み場は煉瓦蔵の1階部分。
・2階に原料処理室や麹室があるので、スライド左の写真にある階段を降りて、蒸米や麹を運ぶことになる。
・現在当蔵では、20日程度の醪日数で、アルコール度数は原酒で16%程度。7%程度の「プロトタイプ」といった製品もあるが、基本的には、原酒で15%から16.5%程度で仕上げるようにしている。
<八戸酒造HP「prototype 2021」紹介ページ>
▼上槽
・「3-8.八戸酒造の酒造りについて」のスライドに載っているのはヤブタの写真。
・当蔵では、ほぼ全量をヤブタで搾っている。一部、出品酒は袋吊りとしている。
▼瓶詰
・「3-9.八戸酒造の酒造りについて」のスライドに載っているのは、詰め場の写真。
・ヤブタのある槽場の隣にあり、ホースで繋いでお酒を運んでいる。
▼ 八戸酒造の取り組みとして、10項目挙げている。
①原料米は約9割が契約栽培
・契約栽培は今後も増やしていきたい。契約栽培している米の品種は、華吹雪、華想い、吟烏帽子、レイメイ、まっしぐら、の5つ。なお、レイメイ、まっしぐら、は一般米である。
②独自の酒米の研究開発
・蟹沢にある自社田で試験を行っている。
③日本酒を軸に地場産品を使用した他アルコール飲料の開発
・現在、粕取焼酎のほか、スピリッツ、リキュール、果実酒の免許も取得した。今後は果実酒も造っていく予定。
④がんじゃ自然酒倶楽部の運営
・会員を募集し、「田植え~瓶詰ラベル貼り体験」をして頂いている。以前は酒造り体験もあったが、衛生面の考慮から、酒造りは当社で行い、上槽後の瓶詰、ラベル貼りを体験対象としている。
そのほか、以下のような取り組みを行っている。
⑤蔵見学の受け入れ
⑥J3ヴァンラーレ八戸/東北フリーブレイズ/八戸学院大学サッカー部、野球部の応援」といった地元のスポーツチームの応援
⑦蔵“国登録有形文化財”を活用した各種イベント
⑧地域の祭りや行事との協同
⑨酒粕を使用した製品開発、地元企業との連携
⑩地域の食とのコラボ(青森シャモロック/八戸前沖サバ/NAMIKI和牛等々)
▼がんじゃ自然酒倶楽部
・13年ほど続いている。蔵から車で20分ほどの蟹沢(地元の訛で「がんじゃ」と読む)に自社田があり、そこで田植え、草取り、稲刈りを行ってもらい、蔵で瓶詰め、ラベル貼り体験を行う。
・会員には、会費として8000円を頂き、蟹沢で作った米で、がんじゃ自然酒倶楽部用にタンク1本を仕込む。50%精米の純米吟醸クラスの生原酒を3本配布し、オリジナルラベルを作ったりしている。
・会員は現在250名程度。皆さんお酒が好きで参加されているので、イベント後に行う飲み会を楽しみにされている。蔵でバーベキューをやったり、八戸の様々な美味しいお店にご一緒させて頂き、お酒と地場の料理を楽しんで頂く交流の場としている。
・ただ、残念なことに、この2年間はイベントは開催できていない。今年は5月中旬頃から田植えがスタートする予定なので、何とかイベントを開催したいと考えている。
<参考:八戸酒造HP「がんじゃ自然酒倶楽部」ページ>
▼蔵見学~地域観光との連携~
・蔵見学の受け入れは通常通り受け入れており、県外からもお越し頂いている。但し、1回にご案内する人数を10名程度に制限している。
・10時から1時間刻みで、15時の回まで実施。16時に終了となる。
・試飲は一人500円で、お勧めのお酒を3種類提供している。以前は10種類程度提供していたこともあったが、腰が重くなる方もいるので、見直しを行った。
・2019年には年間で8000人程度の見学者がいたが、コロナ禍になり、現在は3000人程度である。
▼地域の祭りや行事との協働
・先ほどお話した「えんぶり」(当方注:「太夫」と呼ばれる踊り手が舞いを行う豊年祈願の祭り)も蔵に来て頂いて舞を行い、お客様にも見て頂くという取り組みを行っている。
・地元にある「大祐神社」(だいすけじんじゃ)が7月に「風鎮祭」 を行う際に、蔵の試飲スペースを開放してお酒を楽しんで頂いたり、「八戸小唄(はちのへこうた)祭り」という地元の祭りを一緒にやらせて頂いている。
▼煉瓦ホール、北蔵でのイベント
・蔵を活用したライブイベント等を行っている。スライドの右側の写真は、イランの絨毯「ギャッベ」の展示。「ギャッベ」は100年持つと言われており、「北蔵」が建造100年の時にイベントを行った。
・「4-4.煉瓦ホール、北蔵でのイベント」の2枚目のスライドは、地元の八戸工業大学デザイン学科の学生さんに、八仙をモチーフにデザインして頂いたものを展示している様子である。これは昨年実施。コロナ禍だが、こうしたものも再開し始めている。
▼夏の蔵まつり
・2017年から、7月の「海の日」に「夏の蔵まつり」を開催。
・2部制で、第一部は一般的な蔵開きの内容。蔵見学について、通常は仕込み蔵の内部は見学できないが、このイベントではご案内している。また、子供たちも含めてご家族で楽しめるように子供の遊び場を作ったりしている。
・屋形船もあるので、1時間毎に屋形船を運行して、八戸の港町を楽しんで頂けるようにしている。
・第二部はライブイベント。これまで三回開催。シンガーソングライターの佐藤竹善さん、坂本龍一さんの娘さんでミュージシャンの坂本美雨(みう)さん、地元出身のロックバンド「SUPERCAR」(現在は解散)に出演して頂いた。
▼陸奥八仙の酒粕を使った商品開発
・様々なコラボ商品を開発している。
・スライドの写真は、左上が「酒粕ドーナツ」。大吟醸の酒粕とクリームチーズをドーナツの上にコーティングした焼きドーナツである。これを8つ位に切り、最初はそのまま召し上がって頂き、その後に貴醸酒に1~2分ほど浸し、貴醸酒を飲みながら食べると美味しい大人のスイーツとして楽しめる。
・そのほか、「酒粕まんじゅう」や「どら焼き」、「酒粕を入れたホワイトチョコレート」、お風呂に入れる「バスボム」などを開発して販売している。
<参考:八戸酒造HP「酒粕バスボム 八仙美人の湯」ページ>
<参考:八戸酒造オンラインショップ「バスボム 商品一覧」>
▼青森県の酒蔵について
・青森県には酒蔵が18軒ある。「田酒」、「豊盃」、「鳩正宗」、「じょっぱり」あたりは、皆さんも聞いたことがあるかもしれないが、あまり知られていない蔵も多いのではないかと思う。
・東北では、酒蔵の数は青森県が一番少ない。多い方から並べると、福島、山形、秋田、宮城、岩手、青森の順になる。
・少数精鋭で、酒造組合として青森を発信しようということで、自分は広報委員長を務めている。
▼「あおもりの地酒アンバサダー」
・他の県にない取り組みとして、「あおもりの地酒アンバサダー」という制度を2年前に立ち上げた。10月1日の日本酒の日に任命するが、9月1日から約1か月、インスタグラムで公募。青森の地酒を持っている写真を投稿してもらい、その中から選出する。
・初年度は女性限定としていたが、今期は男性に門戸を広げている。初年度は15名。エリアは青森のほか、首都圏、大阪、沖縄、上海など広く集まった。
・活動内容としては、酒造組合から毎月1本、青森の地酒をお送りして、インスタに投稿してPRして頂くというものである。
・初年度は、色々決めかねている部分があり、インスタのフォロワー数の水準も問わず、また、酒販店さん、飲食店さんなど業界関係の方もOKとしていた。
・今期は、昨年10月から5名にアンバサダーとなって頂いている。男性が2名で女性が3名。青森在住が2名、関東が2名、名古屋が1名となっている。
・今年10月にまた任命を行うので、興味のある方は自分に聞いて頂きたい。
<参考:青森県酒造組合「あおもりの地酒アンバサダー」ページ>
▼「あおもりの地酒を味わう会」
・「あおもりの地酒を味わう会」も2年間行っていない。以前は東京で「和酒フェス」に出展したり、池袋の「ホテルメトロポリタン」で会を開催していた。その後2年前までは青森と仙台を拠点に開催し、東京からは離れていた。
・酒造組合としては、コロナ禍が落ち着いたらまず青森で開催し、そこからまた仙台、東京と広げていきたいと考えている。
▼11PM
・有志11蔵の年2回の試飲イベントに参加させて頂いている。
▼awa酒協会
・当社では、awa酒として「8000 DRY SPARKLING」を製造している。
▼「田酒・八仙・鳩正宗」の取組み
・これまで、「田酒・八仙・鳩正宗」の3社合同のイベントを「GINZASIX」等で行ってきた。
・また、3社企画のセット商品として、搾りたての新酒「ホワイトナイト」、秋上がり「ノスタルジア」を販売してきた。
▼「田酒・八仙・豊盃」の取組み(三ッ友恵企画)
・これまで、「田酒・八仙・鳩正宗」の取組みはあったが、「豊盃」さんを入れた取り組みがなかった。
・元々、「田酒」さんが40年近く前に全国で有名になり、「豊盃」さんが2000年頃にdancyuで「ポスト十四代」として地酒ブームに乗った。八仙は、自分が2003年に蔵に戻って八仙の赤ラベル等を立ち上げたが、それを追いかけてきた位置づけになる。
・今回のプロジェクトは、酒米にフォーカスしている。
・「豊盃」さんが使う酒米、「豊盃米」があるが、これは青森県で二番目に古い酒造好適米。その親は、父が当蔵で契約栽培している「レイメイ」、母が「田酒」さんが地元で契約栽培している「古城錦」。「古城錦」は青森県で一番古い酒造好適米。
・これら3種の米は、各蔵が独自に契約栽培しているので、外に流通することはない。しかし、2年ほど前に「豊盃」さんから、「豊盃米」の親である「レイメイ」と「古城錦」を使って酒造りをしてみたいという声が上がった。
・契約栽培米は自社で使用する分しか作っていないため、その時は叶わなかった。しかし、2020年9月の圃場視察の際、「田酒」安達杜氏、「八仙」駒井伸介杜氏、「豊盃」三浦杜氏が会い、プロジェクトをやろうという話になった。
・その後、同年12月にプレスリリースを行い、2021年1月からお酒を仕込んだ。三社で作った純米吟醸クラスのお酒を、お米毎にラベルを揃えてセット販売した。オレンジ色のラベルが「レイメイ」、紫色のラベルが「古城錦」、緑色が「豊盃米」である。
▼「3蔵から4蔵へ 田酒・八仙・豊盃・鳩正宗」
・元々、「田酒・八仙・鳩正宗」の三蔵でイベント等を行ってきたが、三ッ友恵企画では、豊盃さんが入る一方、鳩正宗さんが抜ける形となった。
・しかし、青森の地酒を盛り上げていこうという思いは一緒なので、4社で一緒にプロジェクトを行うことにした。
・2022年3月には「Spring Drop」を発売する。特別純米の生原酒を、ラベルデザインを揃えた形で、4社の飲み比べとしてリリースする。
・その後、5月と6月には、「一期二会」(いちごふたえ)を発売する。5月は古城錦を使用した八仙と豊盃を発売。6月には豊盃米を使用した田酒と鳩正宗を発売する。これらは2本づつのセットとなる。
・世界酒蔵ランキングは3年前にスタート。昨年度、2021年に1位を受賞した。初年度である2019年は3位。2020年は2位、そして昨年1位と、一段づつ階段を昇った形になる。
・今回は、643蔵の中から選定。国内外の7つのコンペティションでの受賞をポイント制で計算し、順位を出す仕組み。昨年度はSake Competitionが開催されなかったので6つのコンペティションで計算された。
・今年も、様々なコンペティションの出品に関する情報が入ってきており、出品を行っているところ。今年も少しでも、自社のお酒がプロの皆様に評価頂けるようにしていきたい。
・各種コンペティションで一番受賞数が多かったのが「陸奥八仙 特別純米」。これは、地元で一番飲まれている商品。そうした商品が数多くのコンペティションで評価して頂けるのは大変嬉しいことである。
・なお、「陸奥八仙 特別純米」は、陸奥八仙シリーズの中で、唯一、ブランド立ち上げ当初から存続している商品である。他の商品は、自分が蔵に戻ってから立ち上げたもの。
・次に受賞数が多かった商品として、「陸奥八仙 赤ラベル」、「陸奥八仙 純米大吟醸 華想い40」があり、これら3種を、本日のご提供酒としている。
・1775年創業なので、3年後の2025年に 250周年を迎える。それに向けて確りやっていきたいと思っている。
・5年後を目途に新蔵の建設に着工したい。元々計画はあったのだが、コロナ禍の影響で止まっていた。既存の仕込み蔵は、蒸留所及び樽熟成貯蔵庫、イベントホール、みなとカフェ&BAR、アンテナショップなどを併設する形で活用したい。
・蔵を、観光のほか、ビジネス等の地域交流の拠点として、更に活用してもらいたい。
・日本酒を柱とする地域に根差した酒類総合企業を目指す。酒類製造免許が5種類あるので、有効活用していきたい。
・がんじゃ地域を最大限に活用していきたい。里山の自然が素晴らしいところなので、地区の整備と環境保全を行いたい。また、田んぼ中心に、果樹、山椒、ホップ等SAKEの原料の生産を考えている。
・果実酒を造る。りんご、桃、洋ナシを考えている。
・りんごは4月頃に初リリース。アルコール度数3%程度の低アルコールで、スパークリングとする。ターゲットはライトユーザー。通年商品とする。秋口から冬場にかけては、紅玉など品種限定の果実酒を考えている。
・桃は8月~9月頃に限定的に販売する。
・洋ナシは「レクラーク」という青森で採れる種類のもの。これは秋口に発売予定。
・ホップを何に使っているかというと、米と米麹をベースに、ビール酵母で発酵させたお酒を、搾ったあとにホップを漬け込んで商品化しているものがある。ホップの原料は米国産だったが、今年は青森県田子(たっこ)町に唯一のホップ農家があり、そこから調達することができた。これを、蟹沢で取り組んでいければと考える。
・だいぶ先になるとは思うが、蟹沢地区に日本酒・果実酒・リキュール・ビール系等、総合酒類工場を建設したいという夢を持っている。
・本日の3種のお酒は何れも新酒。一回火入れの定番商品。3種目の「華想い40 純米大吟醸」は発売前のお酒である(当方注:イベント開催時点)が、他の2種類は既に新酒が市場に流通している。
①「陸奥八仙」 赤ラベル 特別純米 R3BY
・精米歩合:麹米/華吹雪55%、掛米/まっしぐら60%、アルコール度数:16度、日本酒度:-4、酸度:1.4。
・赤ラベルは、自分が蔵に戻った2003年に立ち上げた商品の一つ。当時は、赤ラベル、黒ラベル、ピンクラベル、緑ラベル(ひやおろし)の4種類でスタートした。
・「いさり火」という辛口の特別純米酒があるが、2008年頃に、「陸奥八仙ブランドで辛口のお酒が欲しい」という酒販店・飲食店様のニーズを受けて開発した。
・当社の原料は、米は全て県内産で種類も5種類のみ。酵母も4種類のみと限られている。その中で、酒質設計にあわせて、酵母ブレンドを行ったり、麹菌を変えたりという対応を行っている。
②「陸奥八仙」 特別純米 R3BY
・精米歩合:麹米/華吹雪55%、掛米/まっしぐら60%、アルコール度数:15度、日本酒度:-6、酸度:1.5。
・使用米は赤ラベルと同じ。酵母違いのお酒となる。酵母は、それぞれブレンドしている。赤ラベルの方は果実の華やかさが感じられる一方、特別純米はバナナ系の香りとなる。
③「陸奥八仙」 華想い40 純米大吟醸 R3BY(発売前)
・精米歩合:麹米/華想い40%、掛米/華想い40%、アルコール度数:16度、日本酒度:-6、酸度:1.2。
・現在、40%精米が、当蔵としては最高スペックとなっている。以前は33%精米などもやっていた。なお、例外的に、「Hassenblage(ハッセンブラージュ)」というお酒を造ったことがある。それは、4つのお米でそれぞれお酒を造り、搾ったあとにブレンドしたものである。
(Q)蔵のテーマが「フレッシュ・フルーティで透明感のあるお酒」ということだが、以前からそうだったのか。それとも時代と共に変化してきたのか。
(A)時代と共に変化した部分もあるが、自分と弟が蔵に戻ってから「こういう酒質設計にしよう」と考えて進めている。
(Q)米国への輸出が滞っていると聞くが、どういう事情か。
(A)米国のみならず、世界的にコンテナの手配が難しくなっている。通常であれば1~2か月で手配できるところ、半年待ちや、場合によっては1年程度かかるケースもある。近場の中国などでもそうした状況である。
(Q)「裏八仙」、「裏男山」は、どのような契機で造られたのか。
(A)裏シリーズは、葛飾区四つ木にある杉浦酒店さんが企画したもの。様々な蔵に依頼して裏シリーズを発売している。10年以上前に当蔵にも声がかかり、造ったのが契機。
元々、どういう企画だったかというと、荒走りと責めをブレンドするというもの。当社は荒走り、中取り、責めを全て攪拌して商品にしているが、蔵によっては、また、商品によっては、中取りだけの商品を作り、荒走りと責めを格下げするなど、別の形で販売するケースがある。
裏シリーズは、そうした荒走りと責めをブレンドして、少し価格を抑えて消費者に楽しんでもらおうというコンセプトだったと思う。
当蔵の「裏八仙」は、「華想い50純米大吟醸」の生原酒。もともと、「裏八仙」は、その荒走りと責めで作っていた。その頃は、「華想い50純米大吟醸」の生原酒を、火入れタイプと同じラベルで、生シールを貼って販売していた。つまり、生酒は、この「生原酒」と「裏八仙」の2種類が存在した。
しかし、一昨年あたりから、中取りだけの商品を作るのを止めて、全て攪拌して商品化している。商品としては「裏八仙」として一本化した形になる。
なお、「裏男山」は、当初より、生原酒を「裏」という位置づけで販売している。
このため、現在では、「裏八仙」も「裏男山」も、通年の火入れ商品の生タイプというかたちになる。
毎回、恒例の集合写真です。ハイブリッド形式でしたので、現地参加の方とオンライン参加の方、ご一緒に!!
*写真撮影の時のみマスクを外しております
駒井さんの数々の取り組みは素晴らしいですね。あっという間の90分でした。
2023年もぜひ、兜LIVE!でお会いしたいですね。お待ちしております!
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