2023.02.16
2022年12⽉15⽇(⽊)、⽇本橋兜町旧銀⾏跡に食の複合施設「BANK(バンク)」がオープン。この施設は、⽇本橋兜町のパティスリー「ease」の大山恵介さんが監修しており、施設名およびベーカリーの名前は「BANK/bank(バンク)」、「Bistro yen(イェン)」、コーヒーバー&ショップは「coin(コイン)」など、施設名・店名は、証券・投資の街である⽇本橋兜町にちなんだ名前となっています。今回は週末のランチ時には行列ができるほど人気の「Bistro yen」のシェフである林弘善(りん ほんそん)さんにシェフ就任までの経緯やお店ついて、今後の展望、兜町についてお話を伺いました。
(bistro YEN提供)
――林さん、本日はよろしくお願いします。
「Bistro yen」はベーカリー「bank」に併設されたビストロなんですね。オープンキッチンも素敵です。
ありがとうございます。「Bistro yen」では「パンをおいしく食べる」をテーマに、パンに合う料理を提供しています。クラシックなフレンチの技術をベースにしながらも、香りや食感・食材の組み合わせ、演出に新しさを取り入れました。料理のライブ感が伝わるようオープンキッチンにしています。
銀行として使われていた場所をリノベーションした建物の内装はモダンとヴィンテージが融合した店内。現代的な打ちっぱなしの壁と、アンティークの家具や照明が温かみのある空間を演出しています。建物のエントランスにあるのは、推定樹齢1000年のオリーブの木で、今後兜町のシンボルになればと思っています。
――ぜひ食べてほしい、イチオシのメニューはありますか?
テリーヌを含む5種類のシャルキュトリーが一度に味わえる「シャルキュトリー盛り合わせ」(3,500円)です。以前、代官山の「レザンファン ギャテ」で修業をしたことがあり、その際にさまざまなテリーヌ作りを行っていたことがこのメニューのベースになっています。「bank」のパンに合うことを意識して、季節の食材を使いつつ、味だけでなく見た目にも美しいテリーヌに仕上げています。いまの時期ですと、あんぽ柿やグリーンペッパー、ピスタチオを使ったテリーヌをお出ししています。
(Bistro YEN提供)
メインの肉料理も、火入れにこだわっています。例えば蝦夷鹿はジュニパーベリーというスパイスとパウダーにした黒胡椒でマリネしてから、高温で短時間の火入れを何度も繰り返し、最後に一気に焼き色をつけることで、外は香ばしく、中はしっとりジューシーに仕上げています。これはスーシェフを務めていた「ル・スプートニク」時代の学びを生かした料理です。ちなみにメインの肉料理には大きなココットで焼き上げたドフィノワ(じゃがいもグラタン)もつけていて、いつもお客さんには驚かれています。
――どれもおいしそうですね!ランチではどのような料理を提供されていますか?
現在は大山鳥のフリカッセとキノコの土鍋ご飯、タブレと呼ばれるサラダボウル、季節のパスタという3種類をお出ししています。サラダにはエスニック系の辛いトマトソースをかけたり、パスタは菜の花と金柑のパスタにストラッチャテッラというチーズとローストしたトマトをのせるなど、ちょっぴり新鮮なビストロランチにしています。
(BistroYEN提供)
――料理に合わせた焼きたてパンですが、ディナーでは好きなだけ(一人800円)いただけると伺いました。
そうですね、サワードゥやレーズンパン、パンドミなど常時4〜5種類のパンをご用意しています。自家製のホイップバターを添えて、温かい状態でお出ししています。
――料理人として大切にしていること、また食材選びでこだわっていることはありますか?
当たり前のことかもしれませんが、テーブルサーブするタイミングがベストになるよう料理を熱いうちにお出ししたいと考えています。食材は産直にこだわっていますね。お肉や魚は「ル・スプートニク」時代にお世話になっていた生産者さんから、野菜は名店御用達の石川県の「NOTO高農園」さんや長野県の「大島農園」さんをはじめ、広尾「ア・ニュ」時代に訪問させて頂いた農家さんから仕入れています。
――そもそも林さんはなぜ料理人を目指されたのでしょうか?
両親が共働きで帰りが遅く、中高時代から家にあるもので料理を作っていまして、その頃に料理が好きになりました。また、昔から料理番組を見るのが結構好きで、将来を考えた時に料理人の道がいいかもしれないと思ったんです。新宿にある調理師専門学校に進学し、学業の合間にフレンチレストランの「ツキ シュール ラメール」でアルバイトも始めました。
――在学中から有名店で修業されていたんですね!
そうですね。レストランと婚礼両方やっていたお店だったので2つの業態を両方経験することができました。卒業後はそのまま就職し「ツキ シュール ラメール」で2年経験を積み、その後系列店である「レザンファン ギャテ」に入ります。先ほどお伝えした通りテリーヌの名店ということもあり、さまざまなテリーヌの作り方をはじめクラシックなフランス料理について学びつつ、前菜や肉の付け合わせ、デザートなどさまざまな調理を担当させていただきました。2年務めたのち、テリーヌ以外の料理も学びたいと思い、当時レザンファンギャテとはまた違う魅力があった広尾のレストラン「アニュ」に入られていただきました広尾店で1年半、GINZA SIXの店舗で1年半務めて、主に魚料理を担当し、前菜のお手伝いもさせていただきました。
その後、Facebookでスタッフ募集の投稿を拝見して、ミシュラン一ツ星を獲得している「ル・スプートニク」の門戸を叩きます。以前「ル・スプートニク」オーナーシェフの髙橋雄二郎氏が務めていた「ル ジュードゥ ラシェット」で食べた料理が大好きだったというのも理由の一つです。「ル・スプートニク」では主に前菜を担当し、シェフの横で付け合わせを作る担当を経て、入店して1年半後、28歳の時にスーシェフに就任しました。スーシェフになってからは肉と魚料理を担当し、髙橋シェフ独特の火入れを学びました。食材の組み合わせや、肉の火入れの仕方などは、「Bistro yen」に生かされています。
――錚々たるお店でのご経験をお持ちですね。そこからどのような経緯で「Bistro yen」のシェフを任されることになったのでしょうか?
元々、知り合いのツテでフランスのレストランに修業に行こうと思っていたのですが、コロナ禍になってしまって渡航を断念したんです。そんな時に北参道「sincere」時代の大山さんの後輩であり、私の友人だった料理人から紹介されたのが「Bistro yen」でした。お話をしていく中で目指すビジョン、レストランのイメージも一致し、貴重な経験が積めると感じお引き受けした次第です。
――「Bistro yen」に務める以前、兜町にはどのようなイメージを持っていましたか?
日本橋のことは知っていても、みなさん兜町のことはあまり知らないですよね。僕も最初は特に何もイメージがなかったのですが、訪れてみたら古い建物と新しい建物が共存していて、飲食店も増えてきていて、面白くなりそうだなと思いました。
――「Bistro yen」のシェフに就任してから、兜町の他のお店にも足を運ぶようになりましたか?
そうですね。「Bistro yen」に入る前に半年ほど料理人として務めていたということもあり「Neki」にはいまでも行きますし、系列店の「ease」「teal」はもちろん「K5」に入っている「CAVEMAN」に行ったり、「OMNIPOLLOS TOKYO」や「平和どぶろく兜町醸造所」でたまにお酒を飲んだりもしますね。
――これから、この街にどのようになって欲しいですか?
新しい飲食シーンが生まれ、兜町の認知が広がり、外からこの街に人が集まってくるようになればと思っています。その中心的な存在に「Bistro yen」がなれたら嬉しいですね。
――最後に今後の目標を教えてください。
フレンチってお高いイメージがありますが、もっとフランクに楽しんでいただきつつ、新しい体験をしてもらいたいと考えています。その上で「Bistro yen」が街に馴染んでいければ嬉しいですね。
また、「BANK」という施設に入っているというご縁もあり、地下の「coin」で販売しているような器の作家さんとコラボしたコースを提供するイベントも計画しています。お花屋さんの「Flowers fēte(フラワーズ フェテ)」も入っているので、そちらとも何かコラボレーションをしていきたいですね。他にも兜町にはお酒に関する事業者さんも多いので、そういった方々とも一緒にイベントを企画できればいいなと思っています。
若くして兜町の一等地に構えるビストロのシェフを任され、オープンから2ヵ月経っても行列の絶えない人気店としてその実力が評価されている「Bistro yen」の林シェフ。コラボイベントも企画中ということで、どんな新しい企みで私たちを楽しませてくれるのか、注目したいところです。
■Bistro yen
・東京都中央区日本橋兜町6-7 兜町第7平和ビル1階
・TEL:050-3595-0835
・営業時間:11:30~14:00、18:00〜21:30
・定休日:火・水
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