2023.06.08
2022年12月15日に開業した複合商業施設『BANK』。ここでは、ベーカリーやビストロなど、4つの個性的なショップがオープンしました。今回、その中でもコーヒーやケーキ、お酒を提供し、作家ものの食器などを販売しているCoffeebar & Shop「coin(コイン)」のマネージャー・井原彩さんを取材。カフェのコンセプトやメニューへのこだわり、今後の目標などについて詳しく聞きました。
——井原さん、本日はよろしくお願いいたします! まずは、「coin」のコンセプトについて教えていただけますでしょうか。
coinはカフェでありながら、弊社のバイヤーが買い付けた食器やアロマ、靴下など、日々のくらしを彩る作家さんの作品も展示・販売しているお店です。コンセプトは「個性と愛着」。ほかでは見ることのできない個性的な品物を扱っており、日常的に使っていただくことで愛着の湧くような「モノ」との出会いを演出しつつ、コーヒーやケーキ、お酒などもゆっくりと楽しんでいただける空間を提供しています。
——作家さんの作品を扱うカフェにするという構想は、coinの立ち上げを計画した当初からあったものなのでしょうか?
そうですね。最初から、バイヤーさんにお願いして作家ものを取り揃え、カフェの中で販売するという方向性は決まっていました。お店に入ってすぐのところにメインテーブルを置いているのですが、現在はそちらに毎月異なる作品を展示しています。5月はアロマ関連の商品を置き、6月中旬頃からは、アンティークのグラスや沖縄の作家さんのマグカップなどを扱う予定です。今後もお客様の生活に寄り添うものを、いろいろと展開できればと考えています。
——来店されるお客様層はどのような方が多いのでしょうか。
平日は30〜40代のお客様が多く、土日は比較的若い方もいらっしゃいます。男女比で言うと、8割が女性のお客様です。
——カフェで扱うメニューについても教えてください。まず、ドリンクの中で特に人気のメニューはありますか?
ドリンクメニューの中ではカフェオレが人気です。豆にこだわっているので、私たちとしてはコーヒーはハンドドリップのブラックで飲んでいただくのをおすすめしたいのですが、独特のフルーティーな酸味が苦手な方ももいらっしゃいます。浅煎りの豆でつくったカフェオレは、そういったコーヒーの味が得意でない方にも飲みやすいミルクティーのような味わいのため、今一番出ているメニューです。
coinで扱っている豆は、シングルオリジンに加え仕入れ先に「coinブレンド」としてオリジナルのブレンド豆をつくってもらっています。ブラックでも飲みやすく、バランスの良いまろやかな酸味を目指して、現在はエチオピアの豆を中心に使用しています。
——コーヒーとともに楽しみたい、おすすめのケーキはありますか?
ケーキメニューはマフィンとキャロットケーキの2種類があるのですが、お客様に特に支持していただいているのはキャロットケーキです。coinのキャロットケーキがおいしいと、SNSでお客様が拡散してくださって、現在は多くの方にキャロットケーキをご注文いただいています。
——キャロットケーキは、どのような味わいなのでしょうか。
人参のケーキというよりも、どちらかというとスパイスケーキのイメージに近いかもしれません。人参感があまりなく、シナモンやショウガの風味を感じていただけるケーキです。私のおすすめは、キャロットケーキのバニラアイス添えです。アイスの分、追加料金はかかってしまうのですが、アイスの甘みでケーキのおいしさがより一層引き立つんですよ。ぜひ一度お試しいただけたら。
——coinではお酒も提供されています。お酒のメニューは夜から楽しめるのですか?
お酒も11時の開店と同時に提供をスタートしています。昼と夜のメニューは大きくは変わらず、夜のほうが昼よりも少し絞った内容で、ドリンクやケーキなどを提供しているという形です。アルコールメニューで特徴的なのは、やはりアイリッシュコーヒーでしょうか。私が個人的に好きなお酒で、coinでもぜひお客様に楽しんでいただきたいと、メニューの中に入れ込みました。
ビールも置いており、国産のクラフトビールにこだわって仕入れています。一部商品を入れ替えながら、常時5種類ほどのビールを置いているため、お客様にいろいろな味を楽しんでいただけると思います。最近はウイスキーも入荷しました。お酒が好きなお客様にも気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。
——メニュー開発で大切にしたことを教えてください。
おいしいドリンクやケーキを提供するのは大前提として、イートクリエイターの大山さんがよくおっしゃられている「普通だけど、ちょっと違う」を意識しながらメニュー開発を行ないました。普通から離れすぎると、お客様の好みとは大きく異なるメニューができてしまいますし、普通過ぎても他のお店と全く変わらないドリンクやケーキとなってしまいます。「普通」と「ちょっと違う」のバランスをとるのが、メニュー開発の要でした。そういったポイントを意識して生まれたのが、「オレンジの香りのするチャイ」などのメニューです。
——メニュー開発には、かなりの時間を要したのでしょうか。
コーヒー以外のドリンクは、開発に1週間~1か月程度の時間がかかりました。カフェオレなど、coinのオープン後にメニューに追加したドリンクもあって、私たちが提供したいものとお客様の反応をすり合わせながら日々メニューを点検し、調整しています。
これから夏に向かうため、ケーキやドリンクも見直しを図る予定です。暑い時期にも食べやすいメニューや、喫茶店のようなフロート系などもメニューに追加できるよう開発中です。
——お店を運営する中で、日本橋兜町はどのような街だと感じていますか?
イーズができてからこの街に訪れるようになったので、私はここ数年の街の様子しか分からないのですが、最近は新しい施設も次々とできており、これからの1~2年で若い層も含めてより多くの方でにぎわう街になるのだろうなと感じています。今後、日本橋兜町はさらに活気が出てくるのではないでしょうか。
——coinを今後、どのようなお店にしていきたいですか?
現在は昼11時からの営業となっているのですが、今後は朝食用のメニューも開発して朝の営業をスタートさせ、朝と昼と夜、どの時間もお客様に好きに楽しんでいただけるようなお店にしていければと考えています。朝食をとる、仕事をする、お酒を飲みながら読書をするなど、お客様がそれぞれ自分らしい過ごし方ができる隠れ家的な空間でありたいです。
——最後に、読者へのメッセージをひとことお願いします。
「このお店に来てよかった」と多くの方に思っていただけるよう、これからもお客様にどのようなメニューや空間が喜ばれるのかを研究しながら、coinらしいコーヒーやケーキ、お酒を提供していきたいと考えています。ただ、うちのお店は『BANK』の地下にあるため、少し入りづらく感じるお客様も多いかもしれません。ですが、1度訪れていただければ、必ずみなさまに心落ち着く穏やかで良い時間を提供させていただきます。ご自分へのご褒美の機会などに、ぜひお1人でも構いませんので、お気軽に立ち寄っていただけたら嬉しいです。
取材・文:市岡光子
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