2026.08.03

兜町と秋田、木がつなぐご縁 阪本こども園「本荘こけし」絵付け体験に密着

こんにちは。
兜LIVE編集部です。


2026年7月15日(水)、東京都中央区兜町にある「学校法人渋谷教育学園 阪本こども園」(以下、阪本こども園)で秋田県の伝統工芸「本荘こけし」の絵付け体験が開催されました。
明治時代に秋田県由利本荘市で生まれ、120年以上の歴史を持つ「本荘こけし」。
今回は、園児たちが木と伝統工芸に触れ、楽しみながら学んだ「本荘こけし」の絵付け体験の模様をレポートします。


◆阪本こども園、「由利本荘プロジェクト 木であそぼう」とは


「阪本こども園」は、2021年4月に開園した公私連携幼保連携型認定こども園。前身は、「中央区立阪本幼稚園」です。現在は共働き家庭などの保育ニーズに応えつつ、幼稚園の教育機能も兼ね備えた「こども園」として、1歳から5歳までの子どもたちが通っています。


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そもそも金融街の兜町で、なぜ「本荘こけし」なのか。不思議に思う方もいらっしゃることでしょう。


実は、兜町・茅場町周辺には秋田県由利本荘市の木材が使われている場所がいくつかあります。ベンチだけでなく、由利本荘産の木材を建築資材として使用するなど、もともとご縁があったそう。



また、当サイト「兜LIVE!」を運営する社団法人日本橋兜 らいぶ推進協議会でも秋田県由利本荘市と連携協定を結ぶなど、友好関係にあります。
そういった町ぐるみのご縁もあって、「阪本こども園」でも以前から「本荘こけし」の絵付け体験をプログラムのなかに盛り込んでいたそう。



さらに「本荘こけし」の絵付けだけでなく、由利本荘で作られた木のおもちゃで遊び、もっと楽しく、身近に伝統工芸に触れてもらおうと「由利本荘プロジェクト 木であそぼう」と題して、秋田県由利本荘市と協力し、開催することとなりました。


◆伝統工芸「本荘こけし」の絵付けを阪本子ども園の園児たちが体験


今回は、「阪本こども園」の年長の子どもたち27名が「本荘こけし」の絵付けを体験。
午前9時30分、園児たちが遊戯室に集合し、本日の先生が紹介されました。



この日、講師を務めたのは「本荘こけし」四人の工人のうちのひとり、齋藤祥子先生(以下、齋藤先生)。



秋田県認定工芸士でもあるこけし工人・菅原修さんのもとで、現在も修行をされている齋藤先生は、平成30年からこけしの制作を始めたそう。



伝統工芸を担う若手の作家でもある齋藤先生が「こけし先生」として、園児たちに「本荘こけし」や絵付けの方法をお話します。


◆まずは「本荘こけし」を知る


こけしと聞くと、温泉地のお土産というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
こけしは、東北地方の各温泉地を中心に発展しました。大きく分けて10から12の系統があるそうで、その形状や模様によって鳴子系、津軽系、南部系などに分類されます。同じこけしであっても頭が丸かったり四角かったり、胴体の部分の色使いや柄など、作られる場所によって違います。



「本荘こけし」は、明治時代に宮城県・鳴子から木地師が由利本荘(当時の本荘)へ移り住み、木地の技術を伝えたのが始まりとされています。その技を受け継いだ職人・河村辰治が、鳴子で改めて技を磨き、本荘に持ち帰って独自のスタイルを確立。
鳴子をルーツとしているので、「本荘こけし」は鳴子系と言われています。



以来120年以上にわたり受け継がれ、令和6年には秋田県の伝統的工芸品にも指定されました。
特徴は、頭部と胴体を別々に削り、あとから「はめ込む」という作り方。この構造のおかげで、首を回すとキュッキュッと音が鳴るのだそうです。




また、素朴な佇まいも魅力で、胴体部分に描かれる模様は井桁、楓、石竹、あやめ、立菊など全部で8種類。
最近では、時代に合わせてさまざまな色や模様のこけしがあるそうです。


◆「本荘こけし」絵付け体験スタート!


各地のこけしの違いを教えていただいたあと、いよいよ絵付け体験へ。
今回は、こけしの形をした木の板2枚に絵付けをします。



2枚に絵付けをする理由は、1枚を秋田県由利本荘市にある「鳥海山 木のおもちゃ館」に展示するため。
7月24日から11月30日まで展示されます。
お子さんの作品が展示されるとなれば、行ってみたくなりますね。



板状のこけしに絵付けする前にまずは、用意されたペーパーにこけしの目や口を描く練習をします。
サインペンで一発描きするため、練習用に用意されています。



こけしの絵付けの手順は次の通り。
・顔を描く
・髪を描き入れる
・胴体に模様を入れる
さらに、「本荘こけし」は、使用する色が、赤、黒、青、緑と決まっているそうです。



今回は、赤、黒、緑の3色を使ってこけしに絵付けをします。絵付けに使用したのは、園児たちが使い慣れている絵の具。
紙に顔を試し描きしたら、いよいよサインペンで直に描きます。みんな思いっきりよく、次々に顔を描き入れていきます。



顔を描き終わると、髪の毛。髪型はパッツン前髪にしたり、巻いてみたりなど、個性が出るところ。紙皿に載った絵の具を譲り合いながら、髪を塗ります。


顔と髪型が決まるといよいよ胴体へ。



赤と緑の絵の具をうまく使って、それぞれ思い思いに描き入れています。
同じ木の板、形であっても顔の表情や髪型、胴体に入れる模様でまったく違うこけしができるのが魅力です。




個性豊かなこけしが描き上がると、いったん乾燥させるために台の上へ。30分程度で絵付けが完了しました。


◆こけし先生の質問コーナー



絵付け体験がひと段落すると、次は園児たちから齋藤先生へのこけしについての質問コーナーがスタート。
元気のよい子どもたちの手がたくさん挙がり、次から次へと質問が飛び出します。




「どうしたらこけしを作れますか?」「こけし先生はどんなこけしが好きですか?」「新しい柄はありますか」など、子どもたちのこけしに対する疑問に齋藤先生が丁寧に答えていきます。




こけし工人になるには、先人に教えてもらうのが一番の近道。齋藤先生は、旅行で行った温泉宿で見掛けたこけしに惹かれて、自分でも作ってみたいと思うようになったそう。そこで、こけし作りを教えてもらえそうなところはないかと探してみたら、なんと近くにいることがわかって、学ぶことになったとのことです。




そんな齋藤先生が好きなこけしは、見ていてほっこりして気持ちが和むようなかわいい作品。サンプルとして見せてくださった作品にもそんな雰囲気があります。




また、「本荘こけし」は伝統の色や柄を守り制作されています。ですが、時には現代的な要素を取り入れたこけしも制作しているそう。実際に先生が作った板のこけしを見せながらお話してくれました。




確かに色目も洋風の鮮やかさがあり、伝統的なこけしとはちょっと違って攻めた感じもかわいらしいです。
年長の子どもたち、ほぼ全員の質問に、齋藤先生は明るくやさしく丁寧に回答されていました。


◆ご褒美のどんぐりのおもちゃをかけたじゃんけん大会


質問コーナーのあとは、この日がんばって絵付け体験をした年長の子どもたちに、秋田県由利本荘市から木彫りのどんぐりのプレゼントが!



こちらのどんぐりは、使われている木がそれぞれ違い、色や香り、重さなどが違います。職人さんの手作りで、秋田県由利本荘市にある「鳥海山 木のおもちゃ館」には、大きな木のどんぐりのプールがあるとのこと。




ひとりひとつプレゼントですが、じゃんけんで選ぶ順番を決めることに。
子どもたちが順番をかけて、勝負。全員もらえるのですが、好みの木のどんぐりを選ぶために真剣に勝負をしています。



受け取った木のどんぐりのおもちゃをお友達に見せて、違いを話し合う時間がありました。「においが違う」「色が濃い」など、それぞれの感想を話し合っていました。
実際に触ってみると、つるんとしていて手触りがよく、木の香りがして持っていて癒される感じです。とても精巧なつくりで、職人さんの技術力の高さを垣間見るプレゼントでした。


◆由利本荘の木のおもちゃで遊ぶ


「本荘こけし」の絵付け体験の最後は、木のおもちゃで遊ぶ時間です。
この日は「鳥海山 木のおもちゃ館」にあるおもちゃが一部やってきました。



小さな木のどんぐりのプールやおままごとの道具、ミニボーリングやゲームなど、思い思いに遊びます。



なかでも人気だったのが、ミニボーリング。一時、順番待ちの列ができるほど。
ピンが倒れたら、投げた子が次の子のために並べます。




また、おままごとの道具には、お茶碗やお椀、お皿以外に、電話のようなものもあって、電話ごっこをする姿も。
木のおもちゃは伝統的なものが多いのかなと思っていたのですが、時代に合わせたアイテムがあるのにも驚きました。



ひととおり、木のおもちゃで遊ぶと「本荘こけし」絵付け体験と木のおもちゃで遊ぶ、阪本こども園の「由利本荘プロジェクト木で遊ぼう」はいったん終了となりました。


◆まとめ


今回は、2026年7月15日(水)に東京都中央区兜町にある「学校法人渋谷教育学園 阪本こども園」で、園児たちが「本荘こけし」の絵付け体験と木のおもちゃを楽しむ様子をレポートしました。

「本荘こけし」の絵付け体験では、こけし工人・齋藤祥子先生の指導のもと、27名の年長の子どもたちが、のびのびと描いていました。表情も髪型も模様もひとつとして同じものがない、世界にひとつだけの作品が教室のテーブルに並びました。



今回絵付けしたうちの1枚は、7月24日から11月30日まで、秋田県由利本荘市の「鳥海山 木のおもちゃ館」に展示されます。
伝統工芸に触れる機会は滅多にないので、子どもたちにとっても大人の私にとっても学ぶことが多い1日となりました。




「阪本こども園」の園長・重田操さんによると「阪本こども園」では、今後も秋田県由利本荘市と連携し、子どもたちが木や「本荘こけし」などの伝統工芸に触れる機会を作っていきたいとのことです。


【取材場所】
学校法人渋谷教育学園 阪本こども園
住所:東京都中央区日本橋兜町15番18号

協力:平和不動産株式会社、秋田県由利本荘市役所、鳥海山 木のおもちゃ館、
こけし工人 齋藤祥子さん


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