2022.02.12

【かぶかや・ヒューマン】 #17「KNAG」伊藤彰さん

兜町に、コーヒーや交流を楽しめるコミュニティカフェ「KNAG」がオープンしました!これまでの兜町にはなかった雰囲気のカフェで、早くもこの街の人々の憩いの場になっているそうです。「KNAG」ってどんなカフェなの?店長の伊藤さんってどんな人?お店に取材に伺いました。 


◆目指すのは、街の人の「居場所」


―― 伊藤さん、はじめまして!
よろしくお願いします。



―― ゆったりした雰囲気のお店ですね!

うちのコンセプトは、「兜町の表情を豊かにするコミュニティカフェ」です。朝から晩まで灯りがともっていて、コーヒーと食事はもちろん、お酒も楽しめます。


ただ飲食物を提供するカフェではなく、多様な人々の交流の拠点となるカフェ、コミュニティを広げるツールとしてのカフェ、そして、この街の人々の居場所となるカフェを目指しています。



当店には、コミュニケーションの仕掛けをつくる専門スタッフ「コミュニティビルダー」がおり、この店からこの街をどう盛り上げるかを常に考えているんです。


―― ユニークですね!例えば、どんな仕掛けをされているんですか?

12月は、中ジョッキ・柑橘サワー・角ハイボールが15分間限定で100円のイベント「15min HAPPY HOUR」を開催しました。仕事終わりに15分だけ立ち寄って、同僚や上司・部下と仕事以外の話をしてもらいたいと思ったんです。



KNAG Instagramより


1月からは「BATON DRINK TICKET」という、ドリンクのサービスチケットをお客様間でバトンのように回していただく企画を開催しています。


KNAG 提供 coffeebaton 表紙
KNAG 提供 coffeebaton 中 


―― 店名「KNAG」の由来はなんですか?

「KNAG」は、北欧の言葉で「コート掛け」を意味します。この辺りはオフィス街なので、コートやジャケットを脱いで肩の力を抜ける場所になりたいという想いから名づけました。くつろぎながらコーヒーやお酒を飲んだり、会話を楽しんだりしてもらえたらうれしいですね。


◆こだわりのメニューはオフィス街ならではの配慮も

―― どんなメニューがありますか?

モーニングでは、コーヒー、カフェラテ、ティーと一緒に、藻塩バタートースト、オーガニックシナモンシュガートースト、サンドイッチを。


 モーニングの一例  全粒粉の角食パン(KNAG Instagramより)

ランチでは、季節のデリプレート、グリルチキンとケールのサラダ、サンドイッチとデリ・サラダプレート、ポークビンダルーを。


ランチの一例 季節のデリプレート(KNAG Instagramより)


ティータイムには、キャロットケーキ、シナモンロール、バターミルクスコーン、チョコレートブラウニーを。



ディナータイムには、パブのようなカジュアルな雰囲気で、クラフトビールやナチュラルワイン、デリの盛り合わせ、牛もつと野菜のトマト煮、オリジナルスパイスのフライドチキンをご提供しています。アルコールは昼も提供しています。


ディナーの一例(KNAG HPより)


当店は、弊社・株式会社 WAT(※)が運営しており、パンやデリは系列店の「Marked」で製造したものです。「Marked」はここから自転車で20分ほどの墨田区内にあり、毎朝焼きたてのパンを運んできてもらっています。

(※)株式会社WAT:カフェを通じて地域にコミュニティをつくる会社。ただ飲食ができるだけの場所ではなく、そこに人が集まることで街に賑わいをつくることをゴールにしている。


―― 食材へのこだわりはありますか?

コーヒー豆は、弊社が運営する「Coffee Wrights」のものを使っています。うちで出しているものはブレンドで、幅広い淹れ方や食事とのペアリングができます。

苦さがありつつ甘さもあり、そうかと言って深煎りとも異なるので、コーヒーが苦手な方でも飲みやすいと思います。



野菜は、生産者がこだわってつくっている新鮮なものを直接仕入れています。無農薬のものが多いですね。アイスもあまり添加物を使っていないので、お子様にも安心です。

ここはオフィス街なので、スピーディーに提供できて、パッと食べていただけるメニューを揃えています。


テイクアウト可能な商品も多彩


―― 素敵な心配りですね!やはり、お客さんはオフィスワーカーが多いですか?

私たちもオープン前はそう予想していたのですが、実際にオープンしてみると、週末はカフェ巡りが趣味の方やファミリー層も来てくれているんです。ノマドワーカーの方も多いですね。おかげさまで、平日も週末もずっと賑わっています。


◆あらゆるシーンに使える店内設計

―― 店内も素敵ですね。

ありがとうございます。カッチリした空間ではなく、リラックスしていただける空間に仕上げました。


個人で作業に集中できる席や、ワークショップ、イベント、ランチミーティングなどに使える貸し切り可能な個室もあります。この個室は16席あり、音響機器、スクリーン、プロジェクター、ホワイトボードもご用意しています。基本的に店内すべての席で電源が使えますし、Wi-Fiも完備しています。



割とフラットなつくりなので、ベビーカーも入りやすく、お子様づれのお客さんからも「使いやすいお店ね」と言っていただいています。


◆カフェとコーヒーに魅せられて

―― 伊藤さん、お生まれは東京ですか?

茨城県ひたちなか市出身です。高校卒業後は東京のパティシエ専門学校に通い、地元のケーキ屋に就職しました。小さい頃から親と一緒にケーキをつくっていましたし、何かをつくることが好きだったんです。


もともとカフェが好きで色々な店に行っていたのですが、ある日たまたまカフェ雑誌を見ていたら、カフェとバリスタについて学べる専門学校が載っていたんです。試しに一日体験に行ってみたらラテアートの体験ができて、「これは面白い!」と。それで勤めていたケーキ屋を辞めて、その学校に通うことにしたんです。



―― カフェとバリスタの専門学校!

はい。このあたりから、がっつりコーヒーに興味を持ちだしました。学校では、実技はもちろん、カフェ経営についても学びました。

その後、代官山の「Urth Caffe(アースカフェ)」で約2年間経験を積みましたが、もっとコーヒーの幅を広げたいと思い、弊社・株式会社WATに就職しました。入社してかれこれ7年くらい経ちますね。


―― この7年間は、どんなことをしてきたのですか?

入社当初は「BUKATSUDO COFFEE STAND(※)」でバリスタとして働いていました。小さいコーヒースタンドですが、色んな抽出方法をしていて面白い店なんです。

(※)BUKATSUDO COFFEE STAND:横浜・みなとみらいの造船ドック跡地にある、大人のためのシェアスペース内のコーヒースタンド。



その後は、新店舗の立ち上げに関わってきました。私の入社当初、弊社の店舗は2つしかありませんでしたが、現在は18店舗まで増えています。


直近は、杉並区立中央図書館に併設されているサンドイッチとコーヒーのお店「ampere(アンペア)」 で店長をしていましたが、兜町に「KNAG」を出店することが決まり、私が店長を務めることになりました。こうして今日に至ります。


◆カフェの仕事が世界を広げてくれた

―― カフェの世界って奥深そうですし、追求するのも楽しそうですね!

楽しいですね。私はラテアートの世界大会に出場したこともあるんです。



最初はただコーヒーをやりたくて入社しましたが、弊社がコミュニティ活動をしているカフェの会社だったおかげで、人とのつながりが広がりました。一般的なカフェに就職していたら、こんなにコミュニケーションに重きを置くことはなかったと思います。



おかげで、飲食業の横のつながりだけでなく、色々な人とのつながりができました。イラストレーター、カメラマン、モデル、不動産関係の方など、本当に色んな方がいますね。「コーヒー屋って、こんなに色んな人が集まるんだな」と。友達になったイラストレーターさんに、お店の周年記念グッズのイラストを描いてもらったこともあるんですよ。


―― それは素敵!日頃、お客さんともコミュニケーションを取られるんですか?

もちろんです。例えば、町内会のご婦人が立ち寄ってくれたら「今日はどちらに行ってきたんですか?」と話しかけたり、周辺の飲食店の方が来てくださったらお喋りしたりします。「今度うちにも来てよ!サービスするから!」と言っていただいています(笑)。



◆ニーズに合わせて変化していきたい

―― フランクで素敵ですね。

堅苦しい感じが好きではないので、かしこまった接客はしません。「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」とお声がけしますし、服装もネルシャツなどのラフなスタイルです。お客さんも、うちの店にピシッとした雰囲気は求めていないと思いますしね。


それと、スタッフとのコミュニケーションも大切にしています。スタッフが楽しんで働いてくれないと、お客さんにも楽しんでもらえないですから。


―― これから、どんなお店にしていきたいですか?

お客さんに寄り添ったお店にしていきたいですね。私たちがイメージしたままの形ではなく、来て下さるお客さんに合わせた形にしていきたいんです。ニーズに合わせて、メニューも変えていく予定です。



「あそこに行けばあの人がいる」「あそこなら間違いない」と思っていただけるような、行くのが楽しみな場所になったらうれしいですね。


◆このオフィス街に新しい風を

―― 伊藤さん、この店に勤めるまでこのエリアと関わりはありましたか?

仕事で割と近い距離にいたこともあります。K5ができてからは、SWITCH COFFEEさん、ブルックリン・ブルワリーさんにも来ていましたが、いつも日本橋方面から歩いてきていたので、茅場町駅周辺は知りませんでした。


初めて来たときは、「チェーン店の多いオフィス街」という印象でした。私たちのカフェができたら、この街に新しい風を入れられそうだと思いましたね。




―― これからもどんどん新しい風を吹かせてください♪

そうですね!オシャレなお店が増えてきたものの、まだまだオフィス街の印象が強いと思うので、そこを打破していきたいですね。「オフィスだけの街じゃないんだぞ!」って。



若い人にたくさん来てもらって、SNSで発信されて。「あのエリアって、こんなオシャレなお店があるんだ!」と認知されれば、どんどん賑わいが出てきますよね。当店のSNSでも情報をどんどん発信していって、この街の魅力をたくさんの人に知らせていきたいと思います。


◆取材を終えて

「KNAG」の伊藤さんにお話を伺いました。いかがでしたか?実は筆者、後日プライベートで「KNAG」さんを訪ねたのですが、居心地が良すぎて気づいたら3時間経っていました(笑)。新年のお疲れがたまっている皆さんも、「KNAG」でリラックスタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。伊藤さん、お忙しい中ありがとうございました!



■KNAG(ナグ)
東京都中央区日本橋兜町7番1号1F
TEL:03-6810-7762
OPEN:平日8:00-22:00/休日10:00-21:00
ACCESS:東京メトロ東西線「茅場町」駅直上/東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線「日本橋」駅 D2出口 徒歩2分
WEB
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(ライター:安藤小百合


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