2021.11.01

【後編】企業インタビュー・株式会社QUICK 「思いを伝えるオフィスアートと、この街との未来」

日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社として、世界の証券・金融情報などを提供している株式会社QUICKは、50周年の節目に「KABUTO ONE」にオフィスを移転されました。前編では、事業内容やオフィスのつくりについてお届けしました。


この後編では、有名アーティストが手掛けたという2階受付エリアのオフィスアートと、社員の皆さんが感じているこの街の印象に迫ります!


前編はこちら


お話をうかがった方

左・村上風子さん(コンサルティング営業本部 グローバルマーケッツグループ 兼 経営企画室)

中・千島萌記さん(ナレッジ開発本部 ナレッジコンテンツグループ)

右・二村つかささん(ひとづくり本部 人財・労務、StepUp推進グループ)


◆オフィスアートで企業の思いを表現



――受付にアートがあると、華やかですね!そもそも、なぜアートを設置することにしたのですか?


村上さん:「KABUTO ONE」への移転が決まり、2階受付エリアのデザインをチームで考えていたときに、「来社して下さった皆さんが、QUICKと兜町に興味を持てる仕掛けが欲しい」という声が上がりました。


そこで選んだのが、アートです。企業理念や企業の思いを説明するツールには、アートが最適だと思いました。


言葉に表せないような思いも、アートに乗せれば伝わるかもしれませんし、見た人それぞれに色んなものを感じてもらえたらと。


これは、社内外ブランディングのための重要な「オフィスアート」なんです。


◆テーマは「芽吹き」

――この立体アートは、どなたが制作されたのですか?


村上さん:アップルストアなどのデザインを手掛けるグラフィックアーティスト・牧かほりさん、立体アーティスト・南志保さん、そして、パーツ製作は虎屋本店などのデザインに携わる息吹工藝社さんです。


牧かほりさんは、花や植物をモチーフとしたダークトーンの画法で、力強い表現をされるグラフィックアーティストさん。南志保さんは、立体のアーティストさん。息吹工藝社さんは、季節ごとのショーウィンドウや企業イベントのデザインをされている会社さんです。



当初どんなアートにするか案を練っていたときに、牧さんが南さんと創作している「SEED」という作品を拝見しました。種をモチーフにしたアートです。


兜町は「事はじめの街」であること、弊社には「日本のお金を育てて世界のお金を育てる」というミッションがあることから、種が持つ「成長」や「芽吹き」のイメージとマッチすると思いました。


この街では、これから新しい企業が誕生したり、新しいビジネスが始まったりするので、その点でも「芽吹き」のイメージはぴったりです。


前編で弊社はサステナブル経営に取り組んでいるとお話ししましたが、植物はサステナブルのイメージとも結びつきやすいと考えました。社内外にQUICKの姿勢をアピールするには、やはり牧さんと南さんの作品だなと。



――そんな経緯があったのですね!制作中はいかがでしたか?

村上さん:牧さんが得意とするダークトーンの画法と、弊社のポップなカラーを融合するために、何度も何度もディスカッションを重ねました。牧さんも南さんもワクワクしながら制作して下さって、嬉しかったですね。


――このアートに込められたストーリーが気になります。


村上さん:タイトルは「SEED ~The Ship~」。左下にグレーで描かれているのは、船です。



テーマは「芽吹き・成長」、そして「花と祈り」。種がQUICKのヴィジョンを映し、芽吹いて、あらゆる場所に飛び散り、花を咲かせ、世界に美しい景色を見せる―。そんな物語を表現しています。


この船は、QUICKを表しています。たくさんの種がQUICKの船に乗り込んで、「KABUTO ONE」に到着して、様々な英知や情報を手に入れて、世界に旅立っていく―。このアートは、その旅立ちのシーンを表現したものです。


牧さんは、ご自身のWEBサイトで、以下のように説明されています。

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兜町に新オフィスを構えたQUICK社のエントランスに、芽吹きを描いたインスタレーションが完成しました。

"SEED"は、2018年より南志保と創作を続けているシリーズ

今回はたくさんの情報が行きかう場所QUICK社を一つの船に例え、

朝焼けに染まる港に到着し、種たちが世界に向かって一斉に芽吹くというシーンを描きました。

15階の別室には飛んできた種がゆらゆらと揺れている、という設定です。

エントランスアートなので、QUICK社のビジョンボードも重ねコンセプトを立てました

(※ https://www.k-maki.com/works/98_quick.html より一部抜粋)

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15階に飛んだ種。振り子になっており、ゆらゆらと揺れる。


◆あえて言語化しない、新たなチャレンジ

――様々なメッセージが集約されているのですね。このアートがあると、気分が違いますか?


千島さん:そうですね。以前のオフィスの受付にはデジタルサイネージがあったのですが、このようにアートが迎えてくれると、気分がフレッシュになりますね。


二村さん:今の時代って、何でも言語化するのではなく、イメージや視覚を通して伝えることが好まれると思うんです。データを提供する事業柄、どうしても数字やテキストばかりを使うQUICKにとって、このように“言語化しないことで価値を表現する”のは初めての機会でした。改めて完成したアートを見ると、チャレンジできてよかったと思いますね。




――社員の皆さんにも好評なのですね♪このアートは一般公開されていますか?


村上さん:一般公開という形では公開していませんが、このアートはガラス扉の正面にあるので、「KABUTO ONE」に入ってエスカレーターで2階まで上がってきていただければ、ガラス越しにご覧いただけます。


もちろん、セミナーや打ち合わせで弊社にいらっしゃる皆さんは、ぜひ目近でご覧ください。


◆この街の人と積極的に関係を深めていきたい

――兜町に移転して一ヶ月、この街の印象はいかがですか?


千島さん:はじめは「落ち着いた街だな」と思いました。移転前の日本橋室町は観光客が多くて賑やかでしたが、この街は落ち着いていて、仕事をするには良い環境だと思います。


村上さん:古い建物が多い一方、新しい建物やお店もどんどん生まれている。「新」と「旧」が交わる、他とは違う魅力がある街だと思っています。


古い鰻屋さんをリノベーションしたワインショップやコーヒースタンド、ビールのお店(※)がありますよね。伝統を重んじつつ新しいことにチャレンジしているのが、この街の魅力ですよね。

(※)ビールのお店とは「オムニポロス・トウキョウ」、ワインショップとは「Human Nature」、コーヒースタンドとは「SR」のこと。


二村さん:多くの証券会社が本店を構えていたり、フィンテックベンチャーの企業がたくさん集まっていたり、多様性を感じています。


――これから、この街との関係がどんどん深まりそうですね。


村上さん:そうですね。「FinGATE(フィンゲート)(※)」には既に50社ほどのスタートアップ企業が集まっていますが、土地柄なのか、金融系の企業が多いようです。そのような企業さんにお客様としてデータを提供するのはもちろん、そうではない形でも、一緒に金融業界を盛り上げる取り組みをしたり、新しいものをつくったりして行きたいですね。

(※)FinGATE:平和不動産が手掛ける、独立系資産運用会社や金融系ベンチャー企業向けのオフィス・シリーズ


もちろん、昔からの証券会社さんもあるので、その皆さんともより深く関係を築いていきたいです。


地域の企業さんとコミュニケーションを取れるように、2階のセミナールームにはバーラウンジを設けています。セミナー終わりに皆さんと軽食を食べたり、お話ししたりする場所として活用して、より関係を強く深めていきたいですね。


80名収容できるセミナールーム


バーラウンジ
バーラウンジ


二村さん:今この街には色んな人が集まってきていますが、せっかく人が集まっても、ぼんやりしていたのでは接点が生まれないですよね。色んな人と場を共にするために、能動的に行動していきたいと思っています。


QUICKは、これまでそのようなアクションが得意ではなかったかもしれないけれど、これからはもっと積極的に動いて、周りの人から求められる存在になっていきたいですね。


――皆さん、この一ヶ月で何か面白いことを体験しましたか?


千島さん:先日、この「KABUTO ONE」1階アトリウムに設置されているキューブ型LEDディスプレイ「The HEART」を、年配のご夫婦が楽しそうに写真撮影していました。ほっこりしましたね(笑)。これから「The HEART」が兜町の象徴になって、それを見に来た方々がついでにQUICKのことを知ってくれたら嬉しいです。



そうそう、今日のランチはサイコロステーキで有名な「バンボリーナ」に行ってみました!美味しかったですよ。


村上さん:私は「日本橋焼肉 正剛(せいごう)」でどんぶりを食べました! お肉が柔らかくてとっても美味しかったです。


――早速、この街をエンジョイされていますね♪皆さん、これからもよろしくお願いします!



◆取材を終えて

株式会社QUICKについて、前編と後編に渡ってお届けしました。いかがでしたか?金融情報を提供している会社さんだけに、お堅い雰囲気なのかと思って訪問しましたが、オフィスの空気も社員の皆さんも穏やかで、とっても素敵な企業さんでした!二村さん、千島さん、村上さん、お忙しい中ありがとうございました!


株式会社QUICK

東京都中央区日本橋兜町7-1 KABUTO ONE


■牧かほりさんWEBサイト

■南志保さんWEBサイト


■この記事を書いた人

安藤小百合


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