2021.08.10

第38回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。

こんにちは!兜LIVE編集部です。

2021年6回目の『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を、5月15日(土)に開催しました。


今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。
江戸時代には酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、酒の原料である五穀豊穣にちなんでいるとのこと。
平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。


今回は、埼玉県上尾市で「文楽」、「彩來」を醸す北西酒造代表取締役社長の北西隆一郎さん、杜氏の村上大介さんをお迎えして、オンラインで開催しました。



◆自己紹介


▼北西社長
・大学は理系で金融工学を専攻。卒業後は証券会社に就職し、ベンチャー企業の上場サポートなどを行っていた。その後転職し、投資の事業を経て、6年前、約30歳で当社に入社。

・酒類業界に縁が無かったので、まず新潟の緑川酒造さんにお世話になり修業した。その後、広島の酒類総合研究所での研修を経て蔵入り。村上杜氏とともに造りもやりながら会社の経営を行っている(※)。

(※)北西さんは、2017年10月1日に社長に就任。同日、商号変更も行われています。


<参考:Sakestreet記事「科学とロマンで新しい日本酒のあり方をデザイン−埼玉県・北西酒造「彩來・文楽・AGEO」」(大高友也(ティーヤ))(2019.11.27)>
⇒数値を重視した酒造りや、社名変更への思いなど、今回のお話とは別の角度の話題が盛り込まれています。


▼村上杜氏
・大学で醸造学を学び、新卒採用で北西酒造の前身である株式会社文楽に入社。社名変更により、現在は北西酒造となっている。

・杜氏ではあるが、いわゆる杜氏集団には属していない。前任の社員杜氏であり、現在は役員となっている古川氏に学んだ。杜氏になって8年になる。

・受賞歴としては、本年のIWCでゴールドを受賞した(※1)。全国新酒鑑評会は5/21日に発表になるが、良い結果を期待している(※2)。

(※1)IWCでは、その後に発表された部門トップのトロフィーも受賞(大吟醸酒の部)参考1参考2

(※2)令和2酒造年度の全国新酒鑑評会でも金賞を受賞 参考1参考2

⇒全国新酒鑑評会では、決審が行われなかった令和1酒造年度を除き、6回連続(H26、27、28、29、30、R2)で全国新酒鑑評会の金賞を受賞されています。


◆蔵の紹介(北西社長)

▼会社概要
・創業は1894年(明治27年)。創業当時から埼玉県上尾市に所在。東京駅からJR「上野東京ライン」で40分で上尾駅に来ることができ、駅から当社まで徒歩7分。都心からのアクセスが良い蔵である。

・従業員数は24名。このうち酒造りに従事しているのは8名。自分も造りに入ることがあるので、酒造りに8.5人携わっている形になる。

・製造石数はコロナ禍前で2000石(なお、1石=180L=100升)。コロナ禍の現在は、その70%程度で推移している。


▼沿革
・現在の蔵は上尾市の中心部、上町にあるが、創業時は上尾市内でも中心部から少し外れた平塚にあった。創業当時の製造石数は約2500石。戦後1950年代には県内随一の出荷量となり、2代目の時は約4000石であった。

・1996年に転機があり、それまで季節雇用で越後杜氏が造りを行っていた体制から、社員杜氏制度に移行した。古川雅文氏が初代の社員杜氏となった。

・4代目が2008年に現在の製造蔵である「平成蔵」を建設。空調設備を完備し、3期醸造に移行した。2017年には自分が5代目となり、就任後、新ブランド「彩來(Sara)」を立ち上げた。




▼醸造用水
・秩父盆地を上流に持つ荒川水系の井戸水。上尾は酒造りに適する土地とされ、以前は市内に日本酒蔵が5蔵所在していた。

・弱硬水で、phは6.9(一般にph6-8程度が適するといわれる)。発酵を促進するカルシウム、マグネシウムを十分に含有する一方、劣化等の原因となる鉄やマンガンは極めて少ない。
 

◆ ブランド戦略(北西社長)


▼ブランドポートフォリオ
・現在、4つのブランドを展開している。

「文楽 Classic」
・創業ブランド。出荷ボリュームでみると本醸造と純米酒がメインとなっている。コンセプトとしては、生酛造りを中心として、生酛由来の酸味、コク、味幅が特徴となっている。

「AGEO」
・所在地の上尾市から名を取っており、地産地消銘柄。原料米は埼玉県産の「彩のかがやき」、酵母は「埼玉G」という香り系のものを使用。多少虚弱な酵母ではある。全量無濾過生原酒でフレッシュさが特徴。

「彩來(Sara)」
・3年前に立ち上げたブランド。「文楽」がどちらかといえば燗にして美味しいお酒だが、それとは異なるコンセプトのお酒。香り・甘味・酸味の軸でお酒を構成している。

・原料米の雄町をしっかり溶かして甘さを出すことで、香り・甘味・酸味の調和を取っている。

「文楽 Reborn」
・2021年にデビュー。「彩來(Sara)」とコンセプトは似ているが、さらに酸味に特徴を持たせている。白麹を使用し、クエン酸による甘酸っぱさがある。


▼販売先
・「彩來(Sara)」と「文楽 Reborn」は特約店への限定流通。一方、「文楽 Classic」は流通に制限は設けていない。


▼「彩來(Sara)」販売スケジュール等
・「純米吟醸 生詰め」が通年商材。

・季節商材は10月からスタート。10月に「純米吟業 無濾過生原酒」、年末に、にごり酒の「純米吟醸 うす霧」、年明けに「特別純米 無濾過生原酒」、春に、にごり酒の「特別純米 花澄み」をリリースする。

・5月には「特別純米 朝涼み(あさずみ)」を発売。7月に秋向けの「純米吟醸 宵の風」を出荷して1サイクルとなる。なお、来年は新商品として、4月に低アルコール酒をリリースする予定。


◆ 「彩來(Sara)」生詰め・製造工程】(村上杜氏)


▼原料米
・純米吟醸は、岡山県産の雄町をメインに使用。麹米は山田錦としている。なお、特別純米は、今期は「あきた酒こまち」を使用している。


▼洗米
・ウッドソンの洗米機で一回10kg単位で洗米する。仕込みサイズは600~700kg仕込みの小仕込みであり、洗米から手を掛けている。以前は手洗いだったが、ウッドソンにして糠落ちが良くなった。


▼脱水
・以前は吸引脱水のみだったが、遠心脱水機を導入。吸引脱水は水切れが若干悪いが、米が割れにくいので、麹米に使用。遠心脱水機は水切れは良いが、若干、米に割れが生じやすい。そのため、割れても大きな影響がない掛米に使用する。


▼蒸米
・三段型の甑を使用。1枚当たり400kgから、最大500kgまで蒸せる。合計で最大1500kgとなる。「彩來(Sara)」では、この大きさは必要ないが、本醸造などでは蒸米の量が増える。

・以前は、大量生産時代の名残でベルトコンベア型の連続蒸米機を使用していたが、社長の代替わりにより、高品質なものにシフトしようということになり、機材を入れ替えてきている。

・甑への変更により、蒸し時間もしっかり取ることができ、蒸し上がりの質も向上。安定的に高品質な蒸米を作れるようになっている。




▼酒母
・多酸系酵母と酢酸イソアミル系酵母をブレンドしている。一つの酒母で、二つの酵母を育成する形を取っている。

・酵母のブレンド比率は社外秘だが、「彩來(Sara)」のデビューした3年前から変えている。ブレンド比率の変更により、酸味を強調したり、香りを強調したりしている。


▼製麹
・10kgを盛り込める箱麹法を選択。引き込みから出麹まで約50時間を要する。種麹は2種類の麹菌を使用し、そのブレンド比率は社外秘。



・麹は最高品温の42~43度程度になったところで、一般的には8~10時間程度キープする。この点は、使う種麹や、造りの目的により調整する。最高品温を15時間程度引っ張ることもある。

・出麹は、五感を使い、香り、味、見た目等を総合判断して決定する。麹造りのスタッフの経験値も上がっているが、最終判断は杜氏である自分が行う。


▼醪
・醪タンクの高さは自分の背丈より少し高い程度で、2m弱。容量は2200~2300L程度。大きなタンクで小仕込みを行うと熱効率が良くないほか、空気に触れる面積が増えてしまうため品質の低下を招く。仕込みサイズに合致したタンクを使用する必要。

・「彩來(Sara)」を立ち上げてから、小仕込み用のタンクを買い増しているが、まだ供給ニーズに追い付いていない。このため、タンクを回転させて製造を行っている。

・管理指標は温度と分析値であり、毎日、スタッフおよび北西社長と共有している。醪管理としては、温度の上げ下げと追い水がある。醪管理については社長と杜氏の合議制を取り、二人の意見が合致した際に、温度の上げ下げや追い水を行う。


▼上槽・火入れ・瓶詰
・「彩來(Sara)」のほか、「文楽 Reborn」も、上槽後、できるだけ早く瓶詰することとしている。

・生詰めについては上槽後、すぐに加熱処理をする。「加熱急冷システム」を導入しており、65度まで上げて2分間ホールド後、20度前後まで一気に下げる。

・無濾過生原酒は、上槽後、サーマルタンクで冷却。翌日には全て瓶詰を終える。その後、貯蔵する場合にはマイナス5度の冷蔵コンテナを使用する。

・生詰め製品は、酸化防止のため脱酸素装置を使用する。お酒に窒素ガスを吹き付けることで強制的に酸素を抜くことができる。なお、「彩來(Sara)」の無濾過生原酒は、ガス感を活かしたいので、脱酸素装置は使用しない。

・脱酸素装置を使用すると、保存性が高まるほか、香りの劣化を防ぐことができる。脱酸素装置は、まだ全国的に普及している状態ではないと思うが、東北では一部導入されているようである。


◆ 【製麹および酒母について】(村上杜氏)

▼麹造りの総論
・麹の表面の白い部分から液化酵素である「αアミラーゼ」、米の内部に伸びる菌糸から糖化酵素である「グルコアミラーゼ」が生成される。両者のバランスにより、酒造りが変わってくる。

・味をしっかり出す純米や本醸造では、米の旨味を出すために表面が満遍なく白い総破精タイプに仕上げる。

・これに対し、吟醸や「彩來(Sara)」のように、華やかさのほか、甘みをすっきりさせたい場合は、液化酵素である「αアミラーゼ」を抑えつつ、糖化酵素である「グルコアミラーゼ」の酵素力価を高める必要がある。

・このため、表面の白い部分を少なくしつつ、菌糸が伸びた突き破精に仕上げる。突き破精の麹は、一般的に、吟醸香が立ちやすいと言われる。


▼突き破精のための原料処理
・吸水は多くても少なくても良くない。水分が多いと酵素力価が下がる。一方、水分が少ないと、表面は蒸せていても内部が加熱されていない「生蒸け(なまぶけ)」となり、雑味につながる。このため、適度な水分量が必要。

・麹菌はα化したデンプンは分解できるが、生デンプンは分解できない。このため、しっかり蒸してα化することが重要。しかし、水分が多くベタベタした蒸米では酵素力価が下がる。

・このため、蒸しの最後に過熱蒸気を当てる。通常の蒸気は100度より少し高い程度であるが、過熱することで104度の蒸気を強制的に作る。この蒸気は乾燥蒸気ともいい、蒸米に当てることで、蒸米表面の余分な水分を飛ばすことができる。

・表面の余分な水分を飛ばすとパリッとした蒸米になる。これを「サバケが良い」といい、ベストな蒸米である。

・蒸米表面に水分や糠があると、粘りが出てしまう。このため、洗米でしっかりと糠を取り、遠心脱水・吸引脱水で水分を調整することが重要。これを失敗すると、麹菌が水分の多い表面だけに繁殖し、「塗り破精・バカ破精」となり、酵素力価が低くなる。

・酵素力価が低いと、必要な糖分が供給できず、味わいが薄っぺらくなる。淡麗であるともいえるが、「彩來(Sara)」のようにジューシーさを求めるお酒にはこうした麹は合わない。


▼製麹
・麹の育成は植物の育て方に似る。芽が出るまでは十分な水やりをする。麹造りは途中で加水することはないので、蒸米の内部に水分を残すことが大事。

・最初は保湿して芽を育てる。麹室に引き込んだあと、一晩はビニールに包んで水分の蒸発を防いで保湿する。

・二日目の朝から、麹菌が生えてきたところを見計らって、蒸米表面の水分を飛ばしていく。表面の水分を減らすことで、麹菌が蒸米内部の水分を求めていくように誘導する。

・麹の出来上がりまで、一般の麹で48時間、吟醸系や「彩來(Sara)」では50時間以上を要する。

・麹の出来上がりは、見た目、香り、味で判断する。

・見た目は胞子嚢が膨らみかけた状態とする。麹菌は、モヤシのように、育ってくると菌糸の上にネギ坊主のような胞子嚢を形成する。出麹は、胞子嚢が若干膨らみ、色づき始める頃まで引っ張る。

・この頃には、香りはキノコ臭に変わり始める。他の蔵では、一般に、栗香が出る頃が仕上がりとされるが、私の考える麹造りでは、そのタイミングではまだ早い。栗香が出る頃は中盤で、若干のキノコ臭に変わり始める頃を出麹の基準としている。

・出麹時の味わいは、奥歯でじっくり噛むと、蒸した栗のような柔らかい甘みが出る。これが、グルコアミラーゼの多く含まれた良い麹である。


▼酒母の総論
・酒母は色々な造り方があるので、当社で使用している速醸酛と生酛に絞って説明する。

・速醸酛は、酵母の性質を素直に表現したい場合に使用する。香り系の酵母であれば香り、酸が特徴の酵母であれば、酸を素直に出すことができる。このため、全国新酒鑑評会のお酒は速醸酛で造る。

・生酛は、酵母本来の力強さを引き出す造り。出来上がったお酒には骨格のあるしっかりしたコクやボディ感が出る。

・例えば、同じ7号酵母を速醸酛と生酛で育成した場合、同じ蔵で造っても、育つ環境が違うので、出来上がる酒が変わってくる。何故そんなに違うのかを、速醸酛と生酛に分けて説明する。


▼速醸酛の特性
・速醸酛は、使用する素材が麹、蒸米、水、乳酸、酵母に限られ、シンプルである。乳酸添加により他の菌が抑制され、酵母純度が高いことから、酵母特性が出やすいと考えられる。


▼生酛の特性
・生酛は「乳酸添加していないだけ」ではあるが、それにより、酒母の育成工程が複雑になる。

・一般の方から「生酛って何ですか」と問われた場合、分かりやすさの観点から、「乳酸添加を行わず、乳酸菌に乳酸を生成させる、伝統的な酒母育成方法」と説明することが多い。

・しかし、本当の狙いは、「様々な微生物が分解・生成した養分を酵母に取り込ませて、酵母を力強くキレのあるものに育成すること」にある。

・乳酸菌を生やすことは必要だが、それだけが目的ではない。本当の目的は、乳酸菌を含めた様々な微生物を働かせることで清酒酵母を健全に育成する環境を整えてあげることにある。

・生酛では、麹菌、井戸水から得られる硝酸還元菌、空気中から入る乳酸球菌、乳酸桿菌などの微生物が育ったところに酵母を添加してゆく。酵母が入るタイミングで、各種の微生物の代謝産物が存在することがポイント。

・微生物の代謝産物には、ビタミンのほか、豊富な栄養源が含まれる。酵母は、速醸酛では得られない栄養分を取り込み、丈夫に育つ。酵母の大きさも、速醸系より大きくなるといわれる。

・丈夫に育った酵母は、アルコール耐性も高い。このため、醪の後半でも働くことができ、お酒はキレがよくなる。また、力強い味わいを出すので、燗に向くお酒になる。


▼生酛に関する近年の研究
・近年の研究で分かってきたのが、生酛における中性プロテアーゼの働きである。

・生酛では最初に乳酸を添加しないため、酒母の初期が、酸性でもアルカリ性でもなく、中性である。このため、中性プロテアーゼという、中性帯で働くタンパク質分解酵素が活動できる。

・これに対し、速醸酛では最初から酸性であるため、酸性帯で働く酸性プロテアーゼが主体となる。

・タンパク質はペプチドに分解され、それからアミノ酸に分解されるが、働くプロテアーゼの違いにより、生成されるペプチドやアミノ酸が変化する。これにより、酵母が取り込む栄養源が変わる。

・酵母は、低分子のものから取り込もうとする。生酛では低分子のアミノ酸が多いので、酵母はアミノ酸から取り込む。これに対し、速醸酛ではペプチドの状態に止まっているため、酵母はペプチドを取り込む。

・ペプチドは「押し味」と言われるボディ感の要因である。上槽時の数値でアミノ酸の数値が同じであっても、ペプチドの含有量が違うと味わいが変わる。速醸酛では酵母がペプチドを取り込むため、上槽時にペプチドの含有量が少なくなる。


▼生酛系の種類
・生酛系には、菩提酛、水酛、山廃酛、秋田式生酛など様々な手法が存在する。しかし、酵母添加の段階で、亜硝酸と乳酸の生成、そして、濃糖という条件を満たしていれば良いので、どれが正解ということは無い。


▼生酛と劣化物質
・生酛のお酒は劣化しにくいと言われることがある。この要因の一つとして、丈夫で大きい酵母が、酒の劣化につながる物質を体内に留めたまま酒粕に移行することが挙げられている。

・これに対し、速醸系の酵母は弱く、醪の後半で自己のアルコール代謝により自己消化を起こすため、劣化物質が増えやすい。


▼生酛と貯蔵について
・酸素は熟成を進めさせるが、香りや味を劣化させる。貯蔵中に酸素に触れると、酒質を変化させるため、脱酸素装置などを使用している。


◆テイスティングについて


▼ 今回のお酒(北西社長)



①彩來(Sara) 純米吟醸 生詰め
・原料米:麹米・山田錦、掛米・雄町、精米歩合:50%、日本酒度:非開示、アルコール度数:15度

・今期で3造り目となる「彩來(Sara)」の通年商品。1回火入れの生詰め。香り、甘み、酸のバランスが取れたキレのあるお酒。



②文楽 生もと純米酒
・原料米:五百万石、精米歩合:60%、日本酒度:+2.0、アルコール度数:15度

・創業ブランドである「文楽」のお酒。村上杜氏の思いが込められた「生酛造り」の純米酒。すっきり辛口寄りで、食中酒として相手を選ばず万能に楽しめる。



③文楽 純米吟醸
・原料米:国産酒造好適米、精米歩合:50%、日本酒度:+1.0、アルコール度数:15度

・「文楽」のレギュラー商材である純米吟醸。原料米は国産酒造好適米と記したが、今年は「あきた酒こまち」を使用。少し吟醸香と甘みがあるが、香りも甘みも強すぎないので、食事とも相性が良い。



ブラインドテイスティングの正解は、上記のとおりでした。自分のお好みはどちらでしたか!


今回もオプションで、京橋もとさんのおつまみセットをご用意しました。お酒が進んだことでしょう(笑)




◆Q&A

(Q)生酛では、お酒のペプチド含有量の多さが、押し味の要因になるとのことであった。しかし、ペプチド含有量を上げることは、麹のプロテアーゼを多くすることでも実現できるように思われる。そうした麹を使うと、速醸でも押し味が出せるのか。

(村上杜氏)麹のプロテアーゼが多いと、プロテアーゼの過剰供給で雑味が生じる。お酒の重さは出るが、舌触りが悪くなり、くどい味わいになる。そのため、麹由来のプロテアーゼをなるべく減らす麹造りをしている。生酛の方が飲みやすい味となる。


(Q)村上杜氏が醸造学科に入られた理由は。

(村上杜氏)実は他の学部・学科を志望していたので、最初から醸造学科を目指していた訳ではない。生物が好きだったので、それに因んだ学科として受験の際に選んだ。

農学部、畜産学部、理学部といった選択肢もあったが、テーマがぼやけそうだと思った。そんな時、兄から「東京に酒造りの学科がある」と言われ、テーマ性を持って学べそうだと思ったのがきっかけだった。

醸造学科は、ワインも味噌も醤油も幅広く学ぶ。そうした中、自分が進んだのが「醸造微生物学研究室」で、担当教授が日本酒をテーマにしていた。そこで研究テーマを頂き、3年から4年にかけて自分で日本酒造りをした。

その中で、日本酒の世界観に、他のお酒と違う奥深さがあると感じた。それで、卒業時に日本酒蔵を就職活動の選択肢に入れ、当社に入社することになった。今年の4月で20年になる。


(Q)「彩來(Sara)」純米吟醸は雄町主体だが、麹米に山田錦を使用する理由は何か。

(村上杜氏)「彩來(Sara)」の第一号は、麹米にも雄町を使用した。その際、麹の酵素力価が山田錦よりも低く出る傾向があった。雄町のふくよかさを残しつつ、酵素力価を上げるために、麹米に山田錦を使用することにした。


(Q)「生もと純米酒」を燗にする場合のお勧め温度は。

(村上杜氏)40度以上にすることをお勧めする。個人的には45度程度まで上げて、42度~41度程度に下がったところが飲み頃かと思う。燗冷ましした方が、味わいが落ち着いて飲みやすいと思う。


◆締めの言葉

▼北西社長


・久しぶりに人前でお話しましたが、造り手・蔵元としては、飲み手とお話できないと、生き甲斐・造り甲斐が実感しにくい。この1年半、そうした状況が続いてきたが、今回は良い機会になりました。

・当蔵は6月まで造りが続くので、今日もらった元気を活かして、皆造まで良いお酒を造っていきたい。


▼村上杜氏


・今日は、飲み手の顔の見える、非常に良い機会だった。今年こそは、大手を振って外で飲める機会が早く来ることを祈っています。今日はありがとうございました。

 

◆最後はみんなで集合写真

毎回、恒例の集合写真です。参加者が多かったので、2枚になります!!
みなさん、蔵元トークはいかがだったでしょうか!



◆まとめ

北西社長からは、蔵の概要のほか、2017年の社長就任後に立ち上げたブランド「彩來(Sara)」を含むブランド戦略のお話などをお聞きできました。
 
村上杜氏からは、「彩來」の造りの特徴に加え、村上杜氏がこだわりを持つ生酛造りについて、理論面を含めてじっくりとご説明頂くことができ、大変勉強になりました。
 
これからの「彩來」の展開が楽しみですね。

蔵は、JR上尾駅から650m(徒歩約7分)です。新型コロナが落ち着いたたら、ぜひ、蔵に遊びに行きましょう!



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