2020.02.14
こんにちは!
兜LIVE!編集部です。
今年も確定申告の季節がやってきます。働き方が多様になっている昨今、「今年初めて確定申告をする」という方も多いのではないでしょうか。
そこで私たちは、1月21日 日本橋兜町・茅場町にて「確定申告勉強会」を開催。初めて確定申告をする方の不安を解消する場を設けました。
ゲスト講師は、中原國尋税理士事務所の中原國尋(なかはらくにひろ)さん。
「確定申告に関する資料が分かりにくいのは、単語が難しいからです。今日は、それぞれの単語が何を指しているのか、分かるようになって帰って下さいね。ゆるゆると、リラックスして聞いてください」と中原さん。
空気が一気にやわらぎ、和やかな雰囲気の中スタートしました。
確定申告とは1年間の所得(1月1日~12月31日)を翌年の確定申告期間に申告し、所得税を納めること。2019年分の確定申告期間は、2020年2月17日~3月16日です。
日本は、所得税に関しては「申告納税制度」という仕組みが採用されており、自分で「申告・
納税」する必要があります。所定の書類を作成し、紙もしくは電子(オンライン)で提出します。
正しく申告しない場合、社会的なペナルティを科せられます。これぞ、芸能ニュースでよく聞く「脱税」ですね…!
◎2019年度分の確定申告は、ここに注意
①一部添付書類が省略される
いままで必要だった書類(源泉徴収票など)の添付が不要になります。中原さんによると、「マイナンバーの普及などにより、個人にまつわる様々な情報を照合しやすくなったため」。なるほど、便利な世の中になりましたね。
②消費税率の変更
2019年10月1日から消費税率が変更されました。変更前の8%と変更後の8%(軽減税率)は、同じ8%でも税金の中身が違うそう。計算する際は注意が必要です。
計算となると、なんだか厄介そう……。ここは仕組みをしっかり理解したいところ。
会場の空気が、一気に「本気で聞くモード」に!
ステップ①:所得を求める
◎所得=収入-費用
「もらったお金、手にしたお金のすべてが『所得』なわけではありません。『収入』から『費用』を引いたものが、最終的な『所得』になります」と中原先生。
※編集部注:わかりやすさを優先し、用語は正確ではない部分があります。
ステップ②:所得控除をする
◎(所得-所得控除)×税率=(暫定の)所得税
所得を算出したら、次に「所得控除」をします。所得控除とは、「所得から引いていいよ」とされているもので、社会保険料控除、寄付金控除、医療費控除などがあります。最近流行りのふるさと納税は、この寄付金に該当するわけですね。また、最後にかける税率は人によって異なります。
ステップ③:税額控除をする
◎(暫定の)所得税-税額控除=所得税(←これが納税額になる)
所得税額から一定の金額を控除してくれる仕組みがあります。よく聞く「住宅ローン控除」はこちらに該当します。こうして最終的に算出された金額が、納税額になります。
所得税の計算方法が分かったところで気になるのが「どうすれば納税額を少なくできるのか?」ですよね。
「『費用』が多ければ所得は減ります。納税額を減らすために必要なことは、『費用』を増やすことです。そこで、どこまで経費(費用)にできるかですが……」と中原さん。
ここで、会場の皆さんの耳が一気にダンボに!
自宅が事務所を兼ねている場合、自家用車と営業車が一緒の場合は、自宅の面積や使用時間などで按分する「家事按分」ができます。携帯電話の使用料も同様ですが、経費にするのを忘れがちなので覚えておきたいですね。
◎判断に迷ったら、個別相談を
経費なのか生活費なのか、判断が難しいものもありますが、それらは過去の慣習や判例等に従って判断されるそうです。困ったら自分で判断せず、個別にプロに相談したいですね。
「青色申告とは、ちゃんと帳簿をつけることを条件に、65万円の所得特別控除など税制上のメリットを受けられる制度のことです。税務署に『所得税の青色申告承認申請書』を届け出る必要があるほか、帳簿作成を正確にするための事務負担が増えることがデメリットです」と中原さん。
また、「ある程度事業規模が大きくなったら法人化した方が節税効果は高いです。所得税と法人税は税率が違うため、同じ所得でも、個人と法人では手元に残る金額が変わってきます」とのこと。
ただ、法人化には設立費用がかかりますし、事務負担が増えるので、慎重に検討した方がよさそうです。
「会計ソフトは何でもOKですが、エクセルよりも会計ソフトの方がトータル的に利便性が高いです。それから、確定申告するためのソフトウェアは『国税庁 確定申告書等作成コーナー』が一番オススメです」と中原さん。やっぱり、国がつくっているものは良いんですね。
「確定申告に関するサイトは色々ありますが、その全てが正しい情報なわけではありません。国税庁のサイトはとても細かく書いてありますし、最終的に正しいのはここにある情報です。迷ったら国税庁のサイトを確認しましょう」と、中原さん。
税務署に電話したり、直接相談に行ったりしても、丁寧に教えてくれるそうです。心強いですね!
また、「税理士のサポートは必要?」という問いに対しては、「仕組みを理解し、感覚を養った方が良いので、できるなら自分でやることをオススメします。手に負えなくなったら、そこで初めて税理士に相談を。その場合も、ちゃんと事業の状況を伝えて、割り切ってお付き合いしてくださいね」とのこと。
なるほど、自ら勉強する姿勢が大切ですね!
最後にQ&Aの時間を設けました。たくさんの質問があがりましたが、その中のいくつかをご紹介します。
Q:夫の扶養内で個人事業主をしています。確定申告はどうなりますか?
A:配偶者控除に該当します。収入から経費を引いた金額を、ご主人の会社に申告してください。
Q:不動産収入がありますが、どうすればいいですか?
A:別途不動産により得られた収入を計算して申告する必要があります。不動産屋にもらった資料、収入・支出に関する資料を全部持って、税務署へ相談に行ってみてください。
Q:医療費控除の医療費は、どこまで含まれますか?
A:医療に関わる自己負担はすべて含まれます。通院のためのタクシー代等の交通費も該当します。
Q:経費に該当する電車賃の証明は、どうすればいいですか?ICカードなので、領収書がありません。
A:メモやエクセルでOKなので、行先や用途を記録しておきましょう。
Q:経費のレシートを無くしてしまったら?
A:何かしら明記されているものが必要です。クレジットカードの明細が役立ちます。
Q:会社員ですが副業をしています。確定申告の手順は?
A:まずは会社での年末調整、次に確定申告、の順でおこなってください。
様々な質問にも、瞬時に的確に答える中原さん。税理士さんって、すごいですね!
難しい単語は避けて、優しくかみ砕いて説明して下さった中原さん。おかげで、何を読んでもさっぱり分からなかった確定申告の概要が、よく分かりました!「申告は誠実に、正確に、困ったら税務署へ」これを合言葉に、初めての確定申告がんばりましょう!
参加者の皆さん、中原さん、ありがとうございました!
◆中原さんオススメ!国税庁 確定申告書等作成コーナー」はこちら
◆中原國尋さんについて
中原國尋税理士事務所 代表。
・公認会計士・税理士・システム監査技術者
・中央大学専門職大学院国際会計研究科 特任教授
・国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 契約監視委員
・日本公認会計士協会 IT委員会 専門委員 などを歴任
・主著(すべて共著)
「図解でわかる内部統制の評価」 中原國尋 TAC出版 2009年2月
「最強の内部統制 2時間でわかる決算のプロセス」 中原國尋 TAC出版 2008年3月
「初級者のための経理実務Q&A」 中央大学公認会計士会 税務経理協会 2012年7月
中原國尋税理士事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田一丁目11-11 藤井第一ビル
お問い合わせ先:nakahara@merrybiz.or.jp
*中原さん提供の確定申告サービスはこちら
シンプル確定申告
(ライター:安藤小百合)
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