2020.04.06
こんにちは!
兜LIVE!編集部です。
この連載【かぶかや・ヒューマン】では、日本橋兜町・茅場町で活躍する人にフォーカスし、お話を通してこの街の魅力を発信しています。
今回は、茅場町駅すぐの場所にお店を構える老舗「木村海藻店」の代表取締役・木村宏さんにお話を伺いました。
――老舗感たっぷりですね!創業は何年ですか?
昭和16年(1941年)、先々代が独立して創業しました。今年で創業80周年になります。私は3代目で、学生の頃から手伝っていたので、もう40年以上この商売に携わっていますね。この店舗兼住宅は創業当初からのもので、築60年以上になりますね。
――(店内に飾られた芸能人との写真を見て)テレビのお散歩番組に出たのですね!
そうなんです。「海」つながりで、加山雄三さんがロケに来てくれたこともあるし、「有吉くんの正直さんぽ」が来てくれたこともあるんですよ。
――先々代は、なぜこの茅場町にお店を構えられたのでしょうか。
詳しくは分からないのですが、先々代が江戸橋にある大きい乾物問屋で修行していたんです。「独立するならその近くに」ということで、こちらに出店したんじゃないかな。
――1日にどのくらいのお客様がいらっしゃいますか?
うちは卸しを中心に商売をしています。なので、このお店に来るのは、一日で10人から20人くらいかな。
――客層や購入用途などはどうでしょう。
女性の方が多いですね。常連さんが多いけれど、飛び込みで入って来られる方もいます。お店が小売屋風の構えではないから、「ここは何だろう?」と、ガラス窓から店の中をのぞくんですよね。ちょっと入りにくいみたいなんだけど、一度入って購入してくれると「美味しかったわ」とリピートして下さる方が多いです。
基本的には「どうせなら美味しいものが食べたい」という、料理好きなマダムが多いのですが、先日は赤ちゃん連れの若いお母さんが来てくれました。「離乳食が始まるから、きちんと出汁をとった味を覚えさせたくて」って言うんだよ。そういうの、嬉しくなっちゃうよね!(笑)
大体は自宅用に購入されていますが、「これからお友達に会うから」と手土産として買っていかれる方もいますよ。
メインの商品は海藻ですが「まぼろしの飴」というのど飴も隠れた人気商品です。近隣で働かれているアナウンサーさんの方や声優さん、とある役者さん、女優さんなど、のどを大切にする仕事をしている方々に評判ののど飴です。
昭和30年頃の木村海藻店。店名が記されたバイクもあった。
こちらのガラス看板は、以前の店舗のガラスの店名部分を保存していて、新しい店舗の看板にしたもの。背景を知ってから見ると、実に感慨深いです。
――商品ラインナップを教えていただけますか。
主力商品は、わかめ、昆布、ひじき。これらは、乾燥させたものも、生もあります。生わかめと言っても、実際は海水で茹でているんですよ。その他は、ふのり、あおさ、とろろ昆布、めかぶ、つくだ煮。醤油やひじきご飯の素も置いています。
わかめは三陸産、昆布は北海道の日高、利尻、羅臼(らうす)産です。これはご存知ない方が多いのすが、実はわかめは一年に一回、2月から4月にしか採りません。うちでは時期を見きわめ、状態の良いわかめを仕入れて、一年かけて販売しています。
――オススメ商品を見せていただけますか?
①わかめ(三陸産外洋一等湯通し塩蔵わかめ)
最高級と言われているわかめです。
②日高昆布(北海道日高上浜産)
全長約1m5cmあります。
③利尻昆布(北海道利尻一等検)
*昆布いろいろ比較
上から日高昆布、利尻昆布、羅臼昆布。
採れる浜が違うと、ここまで見た目が変わります。
味も少し違うんですよ。
④白とろろ昆布(北海道産昆布)
このフワフワ感、撮っておいて~(笑)
――お店に並べている商品は、どのような基準で選定しているのでしょうか?
私が食べてみて、良いと思うもの、美味しいものだけを選んでいます。漁協が認めた等級のハンコが押されているので、それも参考にしていますね。お客さんから「あの商品は置いてないの?」と聞かれても、私が食べてみて美味しくないと思ったものは置かない主義です(笑)
――東京の都心に構える老舗として、大切にしていることはありますか?
先代と先々代がそうしていたように、“誠実”にやることですね。「与太は飛ばしても、芯の部分だけは真っすぐに!」と思っています(笑)
自炊派の味方「炊き込みひじきご飯の素」は、研いだお米に混ぜてスイッチ押すだけで美味しいひじきご飯が炊けます。
――このあたりは、昔と比べてどのように変わりましたか?
昔は、この街の中で全てが完結していました。肉屋、魚屋、米屋、八百屋、風呂屋、喫茶店もすぐそこにありましたね。走ればどこにでもすぐに着くもんだから、子どもの頃は傘なんて持っていなかったよ(笑)みんな江戸っ子で、挨拶しないと近所の大人から叱られました。まわりが礼儀作法を教えてくれて、それは商売を始めてからも役立ちましたね。大人になってからも、行きつけの喫茶店でママとお喋りしたりと、昔は楽しかったね。
それが、徐々に昔のような生活ができなくなっていった。時代と共に個人店が、バブル後には証券会社がどんどん無くなっていって、その分、コンビニやチェーン店の喫茶店、百貨店が建ってきた。確かに、便利にはなったけどね。
※こちらは先代が使用していた前掛け。
※こちらは現在の前掛け。比較すると、歴史が感じられます。
――兜町・茅場町は現在再開発中ですが、どのように感じていますか?
これからこの街には、新しい人が沢山来て、ハイブリッドに変わっていくでしょうね。良い活気が出れば嬉しいし、まわりのお店が儲かってくれたら嬉しいよね。新たに来る人たちには、自分の街のように大切に思って過ごしてもらえたら有難いですね。
――木村海藻店には、これからどのようなお客様に来ていただきたいですか?
もっと多くの若い人に来てもらえたら嬉しいね!あとは、男性にも来てもらえたら。たまに、釣り好きの男性が昆布じめ用に利尻昆布を買って行かれるんですよ。色んな方に気軽に立ち寄ってもらえたら、嬉しいですね。
海藻について詳しい話を聞く機会は少ないと思います。ちょっとしたことでも聞きたい方は、お気軽にいらしてください。
「気持ちだけでも江戸っ子でいたい」という、お喋りがとっても楽しい木村さん。一つ一つの商品を大切にされていて、調理法や他商品との違いなど、丁寧に詳しく説明して下さいました。お土産にいただいた昆布で取った出汁は、とってもまろやかで美味しかったです!
都会の真ん中で本物の海藻が買える木村海藻店さん、是非皆さんもふらりと立ち寄ってみて下さいね。木村さん、ありがとうございました!
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木村海藻店
【住所】〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-7-12
【アクセス】茅場町駅5番出口 徒歩1分(120歩)
電話番号: 03-3666-2729 FAX: 03-3249-6883
【営業時間】月曜日~金曜日:9時~18時
※店頭ではPayPay使えます
※土曜日、日曜日、祝日はお休みです
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*ネットショップでも購入可能です♪
「わかめ屋ひろちゃん」
※対応は、実店舗の営業時間に準じます。実店舗営業時間外のご注文・お問い合わせは、翌営業日(実店舗)以降の対応となります。
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木村さんにこのエリアでおススメのお店を聞いたところ、「長寿庵(蕎麦屋)だね」とのこと。店主の吉田さんは木村さんの地元の先輩なのだそうです!
▼こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。
参考記事:兜LIVE!平日夜ごはん会!~長寿庵(ちょうじゅあん)~を開催しました
https://kabuto-live.com/report/rdiBnr
(ライター:安藤小百合 )
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