2021.04.01
こんにちは!
兜LIVE! 編集部です。
2021年2回目の『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を、2月20日(土)に ハイブリッドにて開催しました。
今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。江戸時代には酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、酒の原料である五穀豊穣にちなんでいるとのこと。
平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。
今回は、愛知県岡崎市で「二兎」、「徳川家康」などを醸す丸石醸造の代表取締役 深田英揮さんを日本橋茅場町にお招きし、また、杜氏の片部州光さんをオンラインで岡崎市の蔵からご参加いただき開催しました。今回もオンラインでは、北は函館、西は福岡、丸石醸造のある岡崎市からもご参加いただき、総勢52名でした。ありがとうございます。
▼地元・愛知県岡崎市について
・岡崎市は徳川家康の生まれた町で岡崎城がある。人口は40万人程度。愛知県内では名古屋市、豊田市に次ぐ大きさ。商人の町で、繊維業も盛ん。東レ、ユニチカ、日清紡などが立地する。
・山間部もあり、平野部分に人口が集まる。蔵は平野部の乙川(おとがわ)の近くにある。
▼愛知県のお酒について
・愛知県は昔から醸造業が盛ん。堺から江戸の中継地点に当たり、江戸時代ぐらいから酒造業が勃興した。甘いお酒が多い。
・県内には稼働中の蔵が40あり、課税移出数量は全国第7位。これは規模の大きな先が3社あるためで、この3社で85%を占める。
・愛知県内の酒蔵は名古屋市という消費地があったため、あまり東京に目を向けてこなかったのではないか。東京において、「愛知でお酒を造っている」というイメージが少ないのはそうした背景があると思われる。
・愛知県は尾張地区と三河地区に分かれ、言葉や文化が異なる。当蔵は三河地区。県北にある尾張地区は剣菱さんに桶売りしていた先も多く、山廃を得意とする蔵がみられる。
▼蔵の歴史
・元禄3年(1690年)の創業で、今年で331年目。戦前は灘にも蔵を持っていたが、戦時中に焼失。岡﨑で焼け残った小さな蔵で清酒のみを造るようになり、今に至っている。
・元々岡崎で「三河武士」という銘柄を造ってきたが、灘では「長誉」(ちょうよ)という銘柄で造っていた。大関さんと関係があり、大坂屋長兵衛の「長」から取らせて頂いたと聞いている。
・平成5年(1993年)に「徳川家康」銘柄のお酒の販売を開始。平成20年(2008年)には「萬歳米」を復刻。平成27年(2015年)に「二兎」の販売を開始した。
・令和2年(2020年)に愛知県で山田錦を作れるようになったため、「萬歳米」の生産をお願いしている農家さんに「岡崎市産山田錦」の栽培を依頼。もっとも、1年目はなかなか難しかった。
▼受賞歴
・自分が蔵に戻った頃は「全国新酒鑑評会」だけが意識されていた。それから色々と出すようになったが、コンテストが増えすぎて、出品料もあるので最近は出品が減っていた。今後は絞りながら出していきたいと思う。
▼蔵の体制
・4名の蔵人で700石程度を製造。
▼精米・洗米
・まず1階から見学。全量が委託精米であり、袋に入って納品される。
・洗米はウッドソンを使用。10kgづつのバッチ式で、10度の水で洗米する。吸水速度が速いため、低めの温度の水を使用する。浸漬時間は短いもので6分間。長いものは2時間程度。
▼蒸米
・2階に上がると釜場がある。「ホリケン」の釜を使用。大きな方は500kg、小さいほうは150kgまで蒸すことができる。
・ずん胴の蒸気発生器に水を張り、108度の蒸気を作り約60分蒸す。最初の45分間は通常の蒸気で蒸し、最後の15分は乾燥蒸気を当てる。
<参考:ホリケンブランドのコシキ>
(吟醸コシキ)
(分割コシキ)
(コシキ)
▼製麹
・基本は10kg張りの箱に100kgを引き込む。
・サイズが大きなものはハクヨーの三段製麹機を使用。200kgまで張り込むことができる。200kgを盛ったときは半分ぐらいまでを使用。厚さは8cm程度。
・仲仕事、仕舞仕事と、水分を飛ばしながら、菌糸を米の中心部に入らせつつ広げていく。最高品温42度で12時間程度引っ張って麹が完成する。
<参考:ハクヨー「三段式自動製麹機」>
▼麹の枯らし
・完成した麹は冷却する。当蔵では、完成後の麹をとことん乾燥させる。出来上がった麹は金平糖のようにガリガリで、白米よりも水分が少ない。枯らしの容器は掃除機のように外側からバキュームする仕組み。それにより麹に残っている水分を吸い取る。
・麹菌はカビなので、水分が残っていると繁殖しようとする。しかし、麹の完成後に酵素力が変化するのは避けたいため、こうした扱いにしている。
▼酵母
・日本醸造協会からアンプルで購入し、自社で年間分を培養している。試験管の中に甘酒の上澄みを寒天で固めて斜面の形の培地を作り、そこで酵母を増やす。
・使用する酵母は、701をメインにしている。
▼酒母
・酒母室の室温は4度。低温で優良酵母を増殖させる。ここにあるのが愛山の48%精米、500kg仕込みの酒母。表面に酵母の膜が出来ている。あと2日で仕込みに使用する。酒母工程は約12日間。
・もう一つの酒母タンクには一昨日に仕込んだものが入っている。こちらには氷が入っており、冷やしている。最初は冷やし、温度を上げて行って酵母を増やし、酵母の数が確認できたらまた冷やすという流れで造っている。
▼仕込み
・小さい方は2000L入るサーマルタンクで5台ある。ほかに、5000L入るサーマルタンクが3台。この8台をフル回転させて酒造りを行っている。
・2000Lのタンクでは500kgか600kg総米の仕込み、5000Lのタンクでは1100kgか1200kg総米の仕込みを行う。
▼上槽
・当蔵は、しぼりたてのフレッシュでジューシーなお酒を飲み手に提供したいと考えている。そのため、熟成を促す「光・温度・空気」というファクターをできるだけ避けてボトリングするようにしている。
・圧搾機は平成26年に導入したもの。槽場の温度は5度。何故5度かというと、炭酸ガスが5度以下になると液中に溶け込むことため。生酒にあるガス感をお酒に閉じ込めることを狙っている。
▼上槽後
(生酒)
・上槽後のお酒はサーマルタンクに戻し、零度まで冷やす。それから濾過を行う。
・濾過器は、ずん胴の筒の中に中空糸膜(ポリプロピレン)フィルターが入っている。一度お酒を通すだけで濾過が完了する。「空気」に触れることを抑え、「温度」の上昇も防げる。
・濾過の翌日には瓶詰を行う。このため、上槽後3日以内には瓶詰しているかたち。
(火入れ)
・パストライザーを使用。シャワー状の80度のミストが出て、1時間で急温急冷ができる。これにより熟成を進ませないようにしている。
<参考:富山鉄工所のパストライザー>
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/past.pdf
<参考:ルーツ機械研究所>
▼袋吊り
・ちょうど出品酒の袋吊りのタンクが置かれている。醪に圧がかからないので良い酒が搾れる。
▼瓶詰め
・今年から、瓶詰ラインも冷蔵庫で囲った。今まで、普通酒を造っていた頃の名残で長いラインだったが、三分の二ぐらいを切って短くした。
・瓶が入ってきて、充填して、キャップを載せ、ネジ栓、王冠口でそれぞれの打栓機を使用。
・瓶詰ラインを冷蔵庫で囲っている先は多くないのではないか。県内では「蓬莱泉」醸造元の関谷醸造さんが導入されている。
▼貯蔵
・普通酒以外は全て瓶貯蔵。冷蔵コンテナは計5台使用。下2つが40フィートのコンテナ、上に乗る2つが20フィート。もう1つ20フィートのコンテナがある。温度は約4.5度。20フィートに四合瓶で4000本弱入る。
・増石するにはコンテナでは足りないということで、去年の春先に、倉庫を1つ冷蔵庫に変えた。リフトのまま入ることができ、約2万本を貯蔵できる。
▼「二兎」ブランドについて
・「二兎」ブランドは今年で6年目。深田社長が「新しいものを作らないと勝負できない」と考え、自分が酒質設計を担当した。
・ポイントの一つはフレッシュさ。米の旨味は甘みでもあると捉えているので、甘さは必要。ただし、甘さだけだと一杯で終わってしまうので、そこを締める酸が要る。香りはあまり必要としない。そう考えた時に701酵母を使用する酒造りとなった。
・「ニ律背反する要素を最高のバランス・味わいになるように追い求めつづけ造る」というのがコンセプト。
・酒造りでは、「光・温度・空気」を避けるという工程管理をしている。これは熟成酒を否定する趣旨ではなく、「二兎」がフレッシュさを売りにしていることによるもの。その観点から最高のお酒を出したいと考えている。
・「一杯の華やかさより、一本の輝きを放つお酒でありたい」というのは深田社長が良く言っていること。フレッシュさを大事にするために全量四合瓶にしようかという話もあったぐらい、一本を楽しんで頂きたいと考えている。
・飲んだ時に感じる様々な要素、「甘」、「辛」、「味」、「香」、「酸」、「旨」、「苦」、「重」、「軽」といったものが全てうまくバランスしなければいけないと考えている。
・「苦い」とか「重い」という要素は、他の杜氏さんから「スキルが無いのでは」とみられがち。しかし、飲まれるシーンを考えた場合、こうした要素がないとビールやワインに勝てないと思っている。「苦み」を感じる方がおられるのは承知のうえで造っている。
<参考:「酒泉洞堀一」ブログ(「二兎」について語る片部杜氏に関する記事)>
▼復刻米「萬歳」について
・一昨年、「萬歳」という米を使用した「二兎」をリリースした。
・「萬歳」は地元岡崎で作られ、大正4年(1915年)に大正天皇即位の大嘗祭に献上された由緒あるお米。栽培が途絶えていたが、愛知県食品工業技術センターに残されていた10gの種もみから、平成20年(2008年)に復刻栽培を開始した。
・岡崎は商人の町で、農業というイメージは乏しい。しかし、折角、大嘗祭に献上されたお米があるのにもったいないと考えた。
・復刻にあたっては、愛知県食品工業技術センターと徹底的に分析を行った。非常に大粒で、千粒重(17.3g)は雄町(15.9g)よりも上である。心白もあって酒造りに適する品種なので、現在力を入れている。
・米はどちらかというと固く、五百万石や美山錦のようにクリアなお酒に仕上がりやすい。
・なお、愛知県で山田錦を栽培できるようになったので、萬歳とともに農家さんに作って頂いている。岡崎産のテロワールとして、岡﨑の米・水・蔵という流れでストーリーを紡ぎたい。
<参考:愛知県食品工業技術センターによる「萬歳を使用した清酒開発」に関するリリース>
▼「二兎」ラインナップ
・雄町だけで4種類あり、33%精米、48%精米、55%精米、55%精米スパークリングがある。ピンク色のラベルが愛山。緑のラベルが出羽燦々。白いラベルが山田錦の55%精米と60%精米。あと萬歳70%精米に、夏酒の「サテン」がある。
・全て酵母は701。同じ酵母を使用しつつお米を変えて、色々な表情を醸し出している。
▼「徳川家康」銘柄
・「徳川家康」は地元銘柄。二年後の大河ドラマが徳川家康となったので、今後を期待している。
・2種類あり、いずれも兵庫県産の山田錦を使用。純米大吟醸が精米歩合35%、大吟醸が精米歩合40%。ほぼ愛知県のみの流通で、贈答用として造っている。華やかでフルーティな香りのお酒となっている。酵母は1801を使用。
▼「三河武士」
・全量愛知県三河地方のお米を使用。写真の左が純米吟醸で精米歩合55%。右が純米で精米歩合70%。
・2種類のラインナップで、こちらも香り系ではない酵母を使用しているので、ぬる燗も良い。特に純米は燗でボディがしっかり出てくるので、味の濃い料理にも合う。
▼魅惑の果実酒
・今から8年ぐらい前にスタート。当時「三河武士」の純米酒が売れ残ったため、どうにかしようということで最初に「梅酒」を造った。そこから何年か経ち、種類が増えてきた。
・深田社長が海外で売り込んでおり、海外での売れ行きが良い。元々は売れ残った純米酒で造っていたが、今は「魅惑の果実酒」用に純米酒を立てている。
・片部杜氏は農大を出た訳でも、どこかの蔵で修行した訳でもなく、当蔵に入って先代や先々代の杜氏からお酒を造りながら学んできた。まだ若いが叩き上げでやっており、全幅の信頼を置いている。
<参考:片部杜氏のご経歴に関する記載のあるブログ記事(2017年)>
・自分が蔵を継いだのが3年前。急に継いだのだが、ナンバー22の方が居心地が良いので、本当は継ぎたくなかった。しかし、蔵のメンバーが非常に支えてくれるので、良い状態なのではないかと思う。
・昨年が330周年。2年後には333周年で、しかも兎年。何か面白いことをしたいと思っている。それまでにはコロナが落ち着いて、堂々と飲んだり騒いだりできるだろうと考えて昨年から色々と考えを巡らせている。
・「二兎」を立ち上げた頃は「若い蔵」と言われたが、自分も50歳近くなり、片部杜氏も40歳を超えた。一番若い造り手が39歳。でもまだ1000石に満たないので、色々と動ける蔵だと思う。
・片部杜氏とは、「二兎の日」ということで「2月10日」にリリースするお酒を1本造ろうという話になっている。来年には出すと思う。毎年新しいことをしてチャレンジしていきたいと思う。
・今は大変な時期で、色々な蔵が新たなチャレンジをされている。コロナ禍でも飲み続けて頂けるように、そして、次の19代目に引き継ぐときに「やりたい」と言ってもらえるようにしたいと思っている。
<参考:深田社長のインタビュー記事(岡崎市「岡崎ルネサンス」)>
▼今回のお酒について
①「二兎」 純米大吟醸 雄町48 うすにごり生(R2BY)
・ヤブタから、そのまま瓶詰めしているお酒。ほぼ空気に触れさせずに詰めている。わずかなガス感と醪の膨らみを感じながら飲める。少し濃厚だが酸もあるので、抜けはキレイだと思う。
・「黒ラベルに赤い兎」の「雄町48」が二兎のフラッグシップ。ブランド立ち上げ時に最初に造ったお酒。「うすにごり生」はイベント用で市販されていない。
②「二兎」 純米吟醸 出羽燦々55 火(R1BY)
・自分は東北のお酒を意識している。東北の蔵を巡らせて頂いたときに出羽燦々のお酒を飲み、「何て丸い柔らかさのあるお米なんだろう」と思った。その後色々な先にコンタクトして少しづつ譲って頂けるようになったお米。個人的な思いが詰まっている。
・これは昨年度のお酒。味わいとしては柔らかさもあるが、抜けがキレイな感じで「さーっ」と抜ける。
③「二兎」 純米 萬歳70 直ぐみ生(R2BY)
・大正天皇の大嘗祭に献上された「萬歳」というお米を復刻して造ったお酒。直汲みで、ヤブタから直接詰めている。①と異なり「おりがらみ」ではないので、より軽い感じ。喉越しの酸と、「萬歳」米由来の苦みが合わさって飲み頃になっている。
・こちらもイベント用で市販されていない。
今回は、にごり系が2種類あり、②の「二兎」純米吟醸出羽燦々55火入れは全員正解でした!
(問)「サテン」はどのようなお酒か。
(深田さん)低アルコールのお酒で13%の原酒。市場における低アルコールのお酒は、ワイン酵母を使用したりして、さっぱりしたり、酸っぱいものが多い印象。当蔵では「甘く造って欲しい」と頼んで酒質設計をしてもらった。
500mlで飲み切りサイズで5~6月頃の発売。ワインは12~14度だが日本酒は16度あって高いので、13%で美味しいものを、と思って造ってもらった。「サテン」というのは布の名前から取っており、サラっとして飲みやすいというイメージから命名。
今年で3年目。今年の祭りで「サテン」の「搾りたて直汲み」を出したが評判が良かった。
(問)片部さんが意識している東北の蔵とは?
(片部さん)かなりあり、10蔵以上ある。
(問)「苦み、重み」というのは、どのようにして造り出すのか。
(片部さん)米の溶け具合により変わる。特に、溶けにくい米でどのように味を持たせるかを考えた時、多少の苦みや重たさが必要だと思っている。
結果的にはバランスが重要。イメージとしては、はじめ仄かな香りから入って、甘み旨味を感じて、最後を酸がギュッと締めるというのが二兎の酒質。
(深田さん)「苦み、重み」は飲んだ後の下支えになる。「苦み」とか「えぐみ」というのは、自分は好き。蔵元で「苦み、重み」を嫌う先は多いし、日本酒は減点法だが、ワインのように加点法にしても良いのではと思う。
(問)「苦み、重み」を数値化できるのか。
(片部さん)基本的には官能評価。苦みは香りと表裏一体。香りが崩れると苦みが出てくるので注意している。
(問)「無濾過直汲み生原酒」はあるか。
(片部さん)うちは一切加水していないので原酒。無濾過生原酒もたまにやるが、あえて表記していない。味乗りの良くないものをあえて無濾過で出したりする。
(問)「おりがらみ」の火入れは?
(片部さん)火入れすると分子が壊れるのでバランスが崩れる。特に「おりがらみ」の原酒は通常の原酒よりもかなり寝かさないと味が戻らないので、当蔵はあまりやらない。
(深田さん)当蔵では通常の火入れ酒でも、4か月以上置いてから出荷するようにしている。
(問)片部さんが「今年一番美味しかった」と思うお酒について、自蔵と他蔵それぞれで教えてください。
(片部さん)自蔵では「萬歳」。他蔵では「若波」雄町の純米吟醸。
(藤枝さん)例年の「萬歳」は重たいと感じていた。今日のお酒は直汲み生のせいもあるかもしれないが、軽く感じた。
(片部さん)ガスの効果はある。なお、例年よりも甘めで搾っているので、例年よりも重たく感じるかと思ったが、溶けが悪いので軽く仕上がった。昨年まで少し迷いがあったが、当分はこの路線でいこうかと思っている。
(問)萬歳米を使用している蔵は他にあるか。
(深田さん)当蔵のみ。
(問)火入れしてもフレッシュさを保つ秘訣は。
(深田さん)急冷も必要だが、ストレージが大事。冷蔵庫の量は毎年増やしている。
(問)雄町スパークリング、雄町33%のリリース時期はいつか。
(深田さん)雄町スパークリングは4月に発売予定。雄町33%はもう発売している。4月に「うすりにごり」生を限定で少しだけ出す。
(問)「二兎」はどこで購入できるか。
(深田さん)特約店が50店ほどあり、ホームページに掲載している。
<参考:「二兎」特約店>
(問)お燗酒については?
(深田さん)自分はあまり好きではない。ただ、3月に出る山田錦65%精米の「活性にごり」は温めても美味しい。
(問)関東で「三河武士」を販売しているか。
(深田さん)販売している。関東は当蔵の今井が担当している。三人兄弟で、兄が群馬県聖酒造の社長、弟はWAKAZEのパリ醸造所で酒造りをしている。兄弟で蔵を継がなかった人が他の蔵で酒造りをしているのは珍しいのではないか。
その今井が今年初めて生酛を造り、関東限定で生酛の「三河武士」を出す。見つけたら味わってみてほしい。
(問)蔵の体制について、以前、銘柄毎に杜氏役を置いているとお聞きしたが、現在はどうか。
(深田さん)現在は、全体の統括を片部が行いつつ、タンク毎に片部と今井が分担して仕切っている。トップの杜氏が辞めない限りその他のスタッフは二番手・三番手というのは避けたいと思っている。
毎回、恒例の集合写真です。みなさん、蔵元トーク&オンタイム蔵見学はいかがだったでしょうか!
今回は、茅場町でご参加いただいた深田さん、岡崎市の蔵からご参加いただいた片部さんから、たいへん貴重なお話をいただきました。来年の2月10日(二兎の日)の企画が楽しみですね。そして2年後の333周年の兎年。どんな二兎が登場するか?期待したいです!
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