2021.04.07

第35回『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を開催しました。

こんにちは!

兜LIVE編集部です。


2021年3回目の『日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ』を、3月13日(土)に ハイブリッド形式(FinGATE KAYABAにてリアル&オンライン)にて開催しました。


今では国際金融都市といわれる日本橋兜町。

江戸時代には酒問屋で賑わっていた「日本酒の聖地」でした。東京証券取引所において初上場時の5回の鐘撞は、酒の原料である五穀豊穣にちなんでいるとのこと。

平日は賑わうこの兜町に、休日にも人が集まってもらいたい。そんな願いから日本各地の蔵元を招き日本酒について学び、味わい、楽しく交流し、その魅力を、兜町の魅力といっしょに広め、お酒が地域と人をつなぐ場所...。そんな場所に発展するように願いを込めて、毎月1回日本酒セミナーを開催しています。


今回は、埼玉県深谷市で「菊泉」、「青淵郷」を醸す滝澤酒造の第6代蔵元 滝澤英之さんをお迎えしての開催でした。深谷市といったら、渋沢栄一生誕の地です。ちょうど、この日は、日本橋兜町・茅場町で渋沢栄一・赤石フェスタを開催中だったことから、希望者の方には、滝澤さんとご一緒に渋沢栄一ゆかりの街歩きにご参加いただきました。


(銀行発祥の地:現在のみずほ銀行兜町支店)


(渋沢栄一が住居兼事務所の跡地に建設された日証館)


(渋沢栄一自筆の掛軸、算盤などが展示された「渋沢栄一特別展」<日証館>)


◆埼玉県の地酒について

▼埼玉県の酒蔵と当蔵

・当蔵の所在する埼玉県深谷市は、現在放送されているNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公である渋沢栄一の生誕の地。


・渋沢栄一が生まれたのは、深谷市の北部にある血洗島。生誕の地のすぐそばにあるのが、埼玉県で一番北にある「金大星正宗」醸造元の丸山酒造。


・なお、当蔵は埼玉県で北から2番目にある。丸山酒造とは親戚関係にあり、同社の社長と自分は「はとこ」の関係。自分の祖母が丸山酒造から滝澤家に嫁いできている。


・酒蔵は親戚関係にあるケースが多く、当蔵は埼玉県小川町にある「帝松」醸造元の松岡醸造とも親戚関係。自分の祖父の姉が、松岡家に嫁いでいる。そのため、「帝松」の社長と自分も「はとこ」の関係。


・当蔵も当初は埼玉県小川町にあったが、蔵が火災に遭い、1900年(明治33年)に深谷市に移転した経緯。



▼水

・埼玉県の水系は荒川水系と利根川水系の二つだが、荒川水系にある蔵の方が多い。利根川水系は「花陽浴」、「晴菊武州」ぐらいではないか。



・全般的に、荒川水系の水は中硬水。利根川水系はやや軟水。埼玉県の蔵は、比較的柔らかい酒質の先が多い。


▼米

・埼玉県の酒造好適米としては「さけ武蔵」がある。2004年(平成16年)に開発され、多くの蔵が使用している。


▼昭和5年の埼玉県酒造組合研修旅行の写真

・埼玉県の酒蔵は現在35社だが、昭和5年には100社程度あったと言われている。当時の研修旅行で北海道に行った時の写真をご紹介する。前列の女性の前に子熊がいて何か飲んでいるので、アイヌの人々は熊を飼っていたのかもしれないと思う。


・後列の向かって一番右が自分の曾祖父である滝澤酒造の三代目。後列の左から三番目で蝶ネクタイをしているのが丸山酒造の現社長の曾祖父。



▼昭和11年の埼玉県酒造組合研修旅行の写真

・河口湖で撮影された写真。写っている人は殆ど蔵元でかなりの数がいる。参加していない蔵元もいるので、それだけ埼玉県の蔵の数は多かったということになる。



▼「埼玉県の地酒」豆知識

・埼玉県の酒蔵数は35蔵。生産量は全国4位だが、これは生産量の多い蔵(「金紋世界鷹」醸造元「小山本家酒造」)があるのが理由。埼玉県には中小の蔵が多いが、「花陽浴」、「神亀」など全国的に有名な蔵もある。


・一番古いのは1748年(寛延元年)創業の「力士」醸造元「釜屋」さん。埼玉のお酒といえば昔は「力士」だった。地元テレビでも良く「力士」のCMが流れていた。


・一番新しいのは川越市にある「鏡山」醸造元「小江戸鏡山酒造」さんで2007年(平成19年)創業。元々「鏡山」というお酒が造られていたが廃業。飯能市で「天覧山」を造る五十嵐酒造さんが、別法人として川越市に新たに蔵を興した。


・現在、五十嵐家では父が小江戸鏡山酒造の社長を務めており、五十嵐酒造はその息子兄弟の兄が継いでいる。弟は小江戸鏡山酒造におり、いずれ社長を継ぐのではないかと思われる。


◆近代経済の父渋沢栄一翁と深谷レンガ


▼渋沢栄一について

・渋沢栄一は1840年(天保11年)生まれ。第一国立銀行(現在のみずほ銀行)や東京海上火災保険、帝国ホテルなどの設立に関わったが、深谷市には日本煉瓦製造という会社を1887年(明治20年)に設立した。


・ここで造られた煉瓦は、東京駅丸ノ内本屋、日本銀行本店本館、迎賓館赤坂離宮などに使われている。


・同社は数年前に廃業したが、同社には「ホフマン窯」と呼ばれる煉瓦窯があった。これが一基残っており、現在改修中。数年後には一般公開される予定。


<参考:深谷市「渋沢栄一の紹介」>

<参考:深谷市の「ホフマン輪窯」について


▼深谷市内の煉瓦建造物

・深谷市内にも煉瓦建造物は多く残る。旧日本煉瓦製造近くには煉瓦橋がある。



旧中山道沿いにある塚本燃料店には煉瓦製の「うだつ」がある。こちらは残念ながら数年後に取り壊し予定と聞いている。



・小林商店という保険屋さんの倉庫は、二階建てに見えるが内部は三階建てという珍しい建物。



▼当蔵の建物

・当蔵は1863年(文久三年)に小川町で創業し、1900年(明治33年)に深谷市に移転したが、元々酒蔵を営んでいた先から買い取ったと聞いている。煉瓦造りの東蔵は大正元年に出来たもの。煙突の下にある蔵は移転当時からの蔵で江戸時代からのものと聞いている。


・当蔵では、東蔵のほか、煙突や麹室も煉瓦造り。麹室は今も現役。麹室については後ほど紹介する。



・煙突は今から約90年前、1930年(昭和5年)に作られた。高さが23m。建造の翌年に西埼玉地震という大きな地震があり、煙突上部が数m崩れたという。その後鉄柵などで補強して現在に至っている。現在は使用していないが、珍しい丸型の構造の煙突なので、もう少し補強して次世代に残していきたいと思っている。



・東日本大震災でもだいぶ揺れたが、貯蔵タンクからお酒がこぼれた程度で、大きな被害はなかった。


・江戸時代の蔵は仕込み蔵として使用している。

◆ 滝澤酒造の歴史

▼滝澤酒造の歴史

・1935年(昭和10年)に滝澤酒造敷地内で撮影された写真。前列一番左が自分の曾祖父で、先にアイヌの人たちと一緒に写っていた三代目。隣で盃を重ねたものを持っているのが杜氏。当時は新潟県から出稼ぎで来ていた。その隣で杖を持っているのが二代目。後にいるのが新潟から来た職人さん。



・次が1951年(昭和26年)の写真。当蔵は中山道に面して蔵を構えており、祭りの時の写真。



・次は1975年(昭和50年)頃の写真。左は蒸米を取り出しているところ、右は瓶詰をしているところ。瓶詰の方法は今とほとんど同じ。



・次の写真は、蒸米を麹室に運ぼうとしているところ。



▼自己紹介

・1971年(昭和46年)生まれ。大学卒業後、1994年(平成6年)から3年半ほど「多満自慢」醸造元の石川酒造さんにお世話になった。


・当時の石川酒造さんの製造量は約1万石。当蔵は現在約500石なので、当社の生産量の20年分。造りは2年間携わらせて頂いたので、40年分の経験をさせて頂いたことになる。


・その後、旧国税庁醸造研究所で1年間研修し、1998年(平成10年)に滝澤酒造入社。2007年(平成19年)に杜氏に就任し、2017年(平成29年)に代表取締役に就任した。


・目指す理想の酒は、「名脇役」となる酒。



◆ 蔵内の説明

・まず店舗から。前の道が中山道。奥の方に深谷宿の起点を示す常夜灯がある。



・画面左にバス停がある。深谷市は大河ドラマで盛り上がっており、巡回バスの運行を開始。当蔵の前にも停車する(「西常夜灯」バス停)。深谷に来られた際には、渋沢栄一ゆかりの地を巡って頂いたあとに当蔵にお立ち寄りください。



・次が煙突の映像。煙突の脇を通ると蔵に辿り着く。


・一部、煉瓦の建物があるが、この中はボイラー室。


・目の前に見えてきたのが釜。中に蒸気の配管が見える。釜の中に水を半分位入れ、大量の蒸気を発生させて米を蒸す。



・その先に見えるのが、蒸米を冷やす装置。



・醪のタンクがあり、後ほど紹介する「ロゼ」のタンク。ピンク色の醪だが、仕込んだ初日。まだ米粒が見える。通常の醪はクリーム色だが、これは赤色酵母を使用しており、醪を赤く発色させる。もう少し日数が経つと色が濃くなる。



・麹室に到着。壁が煉瓦で出来ている。扉は厚く、二重扉になっている。



・麹室の中は機械が殆どない。最初、真ん中の大きな机に置いて、翌日に麹箱に移す。


・麹室には、天井に通気口のようなものがある。密閉空間なので、酸欠にならないように4つ設置されている。



・製麹では、真ん中の大きな机に蒸米を広げ、種麹を振る。翌日に麹箱に移すと温度が上がってくるので、時々人の手を入れて温度が上がり過ぎないように調節する。


・次の映像が仕込み蔵の内部。大きなタンクが沢山あり、この中でお酒を仕込む。ここが一番古い蔵で、江戸時代のもの。



・この蔵を通って扉を開けると、道を挟んでもう一つ蔵がある。蔵同士を結ぶ渡り廊下のようなものがあるが、現在、人が通ることはあまりない。



・もう一つの蔵は、大正から昭和にかけて出来た蔵で外壁の一部は大谷石。この蔵は元々製糸工場だったが、廃業した後に蔵を移築したと聞いている。



・この蔵の奥に酒母タンクがある。見えているのは、仕込んで1週間程度のもの。



・生酒を貯蔵するサーマルタンクもある。



・蔵を出て、レンガの蔵の路地を進んでいく。風情があるので良く映画やテレビの撮影に使われる。ここを進むと中山道に出る。左側が瓶詰工場となっている。



<参考:渋沢栄一 論語の里 循環バス


◆日本酒の造りについて


・酒造りでは、麹をタンクに入れて水を入れる。更にそこに蒸米と酵母を入れる。


・蒸米はデンプンで、麹が糖化によりデンプンをグルコースに変える。酵母はグルコースを食べてアルコールと炭酸ガスを生み出す。こうして酒母が出来上がる。


・酒母を大きなタンクに移し、醪を造る。


・日本酒の造りでは、糖化とアルコール発酵が1つのタンク内で同時に行われる。これを並行複発酵という。これは日本酒に独特の発酵方式。


・例えば、ワインの場合は原料がブドウで主成分がブドウ糖であり、グルコース。そのため、ワイン製造では麹に相当するものは使用しない。


・ワインはワインで複雑な製造だと思うが、極論すれば、ブドウジュースに酵母を入れれば原理的にはワインが出来上がる。


・しかし、日本酒の場合、お粥のような状態のものに酵母を入れてもアルコール発酵は行われない。何故なら、お粥のような状態はデンプンだから。そこに麹が入ることで、麹がデンプンをグルコースに変えて、そこに酵母が入るとアルコール発酵が始まる。


・日本酒の原点の一つに、口噛み酒がある。穀物を人が噛んでから吐き出し、これを酒造りに使う。何故こういうことをするかといえば、唾液の中にアミラーゼがあり、デンプンをブドウ糖に変える働きを持つからである。


・酵母については、現代では培養されたものを研究機関から購入することが多いが、そうしたものが無かった昔は、自然界の酵母を利用していた。自然にいる酵母が、口噛みのものの中に湧きついてお酒が出来ていた。


・現在も、蔵付き酵母を利用して酒造りをしている酒蔵もある。しかし、酵母が必ず湧くとは限らないのでリスクがある。当蔵では日本醸造協会で販売している酵母を使用している。


・ピンク色の醪で使われている赤色酵母も日本醸造協会で頒布しているもの。

◆「菊泉ひとすじ」について


▼「菊泉ひとすじ」はどんなお酒か

・スパークリング清酒は、①天然発酵タイプと、②炭酸ガス注入タイプ、に分かれる。そして、①天然発酵タイプは、A.濁っているタイプ、B.透明なタイプ、に分かれる。


・「菊泉ひとすじ」は上記の①B.に該当する。いわゆるシャンパン製法を採用し、瓶内二次発酵で透明なお酒を造っている。


・因みに、②炭酸ガス注入タイプで一番売れているのは、宝酒造さんの「澪(みお)」というお酒で、非常に完成度の高いお酒。


・①と②でどちらが良いとか悪いということは無いが、②のように炭酸ガスを注入する方が造りやすいという面はある。一方、①天然発酵タイプは酒質設計が難しい。しかも、透明にするのは非常に手間がかかる。


・①天然発酵タイプのA.濁っているタイプで、スパークリング清酒の元祖と呼ばれているのが、宮城県「一ノ蔵」さんの「すず音」というお酒。これがスパークリング清酒の火付け役といえる。


▼開発の経緯

・石川酒造在職中の1995年(平成7年)、醪の成分分析を担当した際に、「こうした発酵途中の醪のような味わいの製品を作りたい」と考えた。


・1998年(平成10年)に蔵に戻ったが、南部杜氏の下で開発に着手するのは難しく、自分が杜氏となった翌年の2008年(平成20年)に開発に着手。2010年(平成22年)に「彩のあわ雪」を発売した。


・その後、「彩のあわ雪」の瓶内二次発酵製法と、シャンパン製法に着目。試行錯誤ののち、2016年(平成28年)に「菊泉ひとすじ」を発売。2019年(令和元年)には製法特許を取得した。


・実は、「彩のあわ雪」の発売後、開栓時の吹きこぼれなど、多くのクレームを受けた。これは、ガス圧が安定しなかったことが原因。最初は原因が良く分からなかったが、クレームを分析する中で、瓶内二次発酵の温度や期間、澱の量という条件が段々と判明。瓶内二次発酵の圧力の上げ方が少しづつ分かって来た。



・現在、スパークリング清酒の協会である「awa酒(あわさけ)協会」に25社が加盟している。この協会は、「菊泉ひとすじ」を発売した2016年に、awa酒協会が8社で発足した。


・群馬県永井酒造の永井社長が「awa酒協会」の理事長を務める。自分は永井さんと年も近く、場所も近いことから意気投合し、一緒に協会を立ち上げた経緯。


<参考:awa酒協会


▼「菊泉ひとすじ」の成分

・アルコール度数は12%で、シャンパーニュと同程度。


・日本酒度はマイナス30。比較的甘口。一方、酸度は4.8でかなり高い。通常のお酒の酸度は高くても、2.5程度。ワインの酸度はもう少し高いが、ワインに匹敵する程度の酸度。そのため、ベタベタした甘さは感じないと思う。


・アミノ酸度も高い。通常の日本酒は1~2程度で、その上限に近い。ワインでいえばフルボディタイプといえる。



▼「awa酒」認定基準

・主なポイントは、⑤アルコール分が10度以上であること。そして、③自然発酵の炭酸ガスのみを保有し、④透明であること。


・また、瓶内ガス圧は20℃で3.5バール(気圧)以上であること。なお、ビールが2.5バールで、シャンパーニュは5バール程度。即ち、シャンパーニュより少し低いが、「ひとすじ」は4バール程度ある。


・酒造りをする人なら、これを満たすことが如何に難しいか分かると思う。一つのポイントはアルコール分を10度以上とすること。二次発酵はアルコール分が10度以上あると、発酵が鈍くなるためである。

◆「ひとすじロゼ」について

▼製法

・瓶内二次発酵のスパークリングで透明な「ひとすじ」のロゼ・タイプが「ひとすじロゼ」。


・ピンク色の清酒を造る場合の選択肢には、①古代米(赤米)、②紅麹、③赤色酵母、がある。それぞれ、発泡性のない「スティル」、「ガス充填スパークリング」、「濁りタイプの瓶内二次スパークリング」が製品化されている。


・しかし、瓶内二次発酵のスパークリングで透明なタイプは「ひとすじロゼ」のみ。いわば、世界初のお酒といえる。これは③赤色酵母を使用して造っている。赤色酵母は香りがフルーティで苺のような香りが出る。


▼成分

・アルコール度数は11%で、「ひとすじ」の12%より少し低め。


・日本酒度はマイナス45で、かなり甘い。しかし、酸度は3.8あるので、それほど甘さは感じないかもしれない。


・アミノ酸度は結構高い。瓶内ガス圧は4.5バール程度。


◆テイスティングについて

▼今回のお酒



①(会場参加者)「菊泉」 ひとすじ

①(オンライン参加者)「菊泉」 彩のあわ雪


・両方とも埼玉県産のお米が原料。「ひとすじ」は「さけ武蔵」。「彩のあわ雪」は「彩(さい)のかがやき」を使用。


・「彩のあわ雪」の日本酒度は、「ひとすじ」よりも少し甘くて-40~-45。アルコール分は8.5%なので比較的軽め。それをもう少し味わいを持たせて澱を取り除いたのが「ひとすじ」といえる。


②「菊泉」 純米酒

③「青淵郷」 純米吟醸


・「青淵」は渋沢栄一の雅号。30年ほど前から発売している商品。


・いずれも長野県産「美山錦」を使用。当蔵は7割は埼玉県産のお米を使用しているが、純米酒と純米吟醸「青淵郷」は昔から「美山錦」との相性が良く、ずっと使っている。


・日本酒度はいずれも+2~3程度だが、中硬水を使うと、日本酒度よりも多少甘く感じる方もおられるようだ。そのため甘口と言われることもあるが、数値的には辛口。アルコール分はいずれも15.3度。


・なお、純米酒は昨年造ったお酒で1年近く熟成している。純米吟醸「青淵郷」は、通常はもう少し貯蔵期間が長いのだが、渋沢栄一ブームで回転が早くなっており今年の新酒である。このため、味が若い方が「青淵郷」といえる。


・また、使用している酵母も異なる。「青淵郷」はリンゴ系の香りであるカプロン酸エチルが多く出るタイプ、「純米酒」はバナナ系の酢酸イソアミルが多く出るタイプを使用。そんなに強い香りではないが、仄かに香るフルーティさがそれぞれにあると思う。



それでは、乾杯!!


正解は、、、以下のとおり。好みはどちらでしたか!


(Q)「ひとすじ」は開栓後、ガスを保つ方法はあるか。

(A)開栓すると、どうしてもガス圧は低下する。しかし、シャンパン用のストッパーのうち、中に空気を入れる形のものがある。これを使うとガス圧を少し保つことができ、3~4日は楽しめる。


(Q)今回のお酒以外にはどのようなお酒があるか。

(A)大吟醸がある。比較的若いタイプや、3年寝かせた熟成タイプ、5年寝かせた秘蔵酒もある。また、深谷市のゆるキャラである「ふっかちゃん」をデザインしたお酒もある。


(Q)スパークリングの魅力は?

(A)スパークリングには2つあると述べた。炭酸ガス注入タイプは商品のバリエーションが広がりやすい。天然発酵タイプは難しいが、泡が細かいのがポイント。

濁ったタイプも泡は細かいが、透明な方が視覚的にも見えやすいし、口の中でまろやかに広がるという魅力がある。


(Q)「awa酒」でアルコール分を10度以上とするのが難しいということだが、どのように実現するのか。

(A)アルコール分を10度以上とするには幾つか方法がある。まず「彩のあわ雪」のように薄いにごり酒を造って瓶詰する。にごり成分には酵母が含まれており、ある程度の温度に置くと発酵が始まる。しかし、先ほど述べたように10度以上になると発酵が鈍くなる。それでどうするかといえば、一つの方法は澱を増やして酵母を増やすこと。もう一つは、比較的甘くして酵母のエサであるグルコースを多くすること。「ひとすじ」はこちらの方法で特許を取っている。澱は少なくて「彩のあわ雪」程度の量しかない。

あとは、温度帯や、いつにごり酒にするかということも、ガス圧を上げるうえでポイントとなる。その仕組みが分かるのに8年かかったが、awa酒のパイオニアである「水芭蕉」さんはもっと苦労されている。第一人者は非常に大変だと思う。

なお、「水芭蕉pure」は辛口。その特許は、グルコースを少なくして澱を多くする方法となっている。


(Q)お酒と料理のペアリングについて教えて欲しい。

(A)「ひとすじ」はクリーミーなので、キノコ料理のエノキバターや、鮭のクリーム煮などが合うと思う。

一方、「深谷ネギ」に合わせるなら純米酒の方だろう。深谷ネギは甘みがあるが、純米酒を温めると酸味がまろやかになり、ネギの甘みとお酒のまろやかな酸味がマッチする。深谷ネギのみそ焼きなどが良いかもしれない。

純米吟醸「青淵郷」はキレがいいので、鯛など白身魚の刺身が合うと思う。焼き魚でも良い。お酒はぬる燗にしても良い。


(Q)滝澤酒造といえば酒粕も人気だが、何が人気の秘密か。

(A)酒粕は免疫を高めるとして需要が増えている。お酒のタイプにより出来る酒粕も違ってくる。蔵元は、その蔵の酒粕を見るとどんなお酒を造っているか、何となくわかる。

当蔵の酒粕は、お酒を淡麗にする分、粕が多い。粕歩合という数値がある、例えば粕歩合30%といえば、1000kgの白米を使用して300kgの酒粕が出るということ。

濃醇なお酒を造ろうとすると、醪の中でお米を溶かすので粕歩合は低くなる。淡麗なお酒の場合、醪でお米を溶かさないようにするので、出来る酒が少なくなる一方、粕歩合は高くなる。

酒粕としては、個人的な見解だが、粕歩合が高い方がしっとりして美味しいと思う。粕歩合が低い方は比較的パサパサする印象。淡麗なお酒を造っている蔵の酒粕は美味しいのではないか。当蔵の粕歩合は高く、普通酒でも30%以上。今日の純米酒、純米吟醸だと40%以上、大吟醸だと50%程度。平均すると40%を超える。お酒としては歩留まりが悪いといえるが、その分、酒粕は美味しい。


(Q)赤い酒粕はどうしているのか。

(A)珍しい酒粕なので結構需要がある。500gを600円で販売しているが、予約や店頭で完売している。味も甘みと酸味が残っていて、特に甘酒にするとキレイなピンク色になるので面白い。


(Q)「ひとすじ ロゼ」の造り方は、「ひとすじ」と同じか。

(A)共通する部分と違う部分がある。醪については仕込み配合が異なる。

また、「ひとすじ ロゼ」は醪は赤くなるが、その色素を如何にお酒に移行させるかがポイント。赤色酵母は酵母が赤くなるので、お酒と酒粕に分離すると、通常は、酒粕が真っ赤になる一方、お酒には色素が移行しにくい。

それをある方法でお酒にも移行させるようにしている。

二次発酵については、「ひとすじ ロゼ」も「ひとすじ」も基本的に同じ。


(Q)海外展開については。

(A)5年ほど前から話を頂くようになった。特に「ひとすじ」と「ひとすじ ロゼ」は、香港、ドイツに加え、最近ブラジルからもオーダーを頂くようになった。全体の出荷量の5%程度を輸出している。


(Q)赤色酵母の赤色をお酒に移行させる方法は滝澤酒造独自のものか。

(A)他の蔵から教わった面もあるが、それに当蔵独自の方法を組み合わせている。


(Q)awa酒の原料米は埼玉県産だが、拘りがあるのか。

(A)会社を代表するお酒は地元米に拘りたいと思った。スパークリングはオール埼玉で造っている。蔵全体では7割が埼玉県産。いずれは全量埼玉県産にしたいと思っているが、現状は、今日の純米酒、純米吟醸のほか、大吟醸で他県産を使用している。


(Q)日本酒に含まれるアミノ酸「5-ALA」がコロナに効くという話について。

(A)コロナに効くという「5-ALA」は納豆やワイン等に含まれるが、日本酒がダントツに多いという。アミノ酸の一種なので、アミノ酸度が高いお酒は相対的に「5-ALA」が多いのではないか。「ひとすじ」はアミノ酸度が高いので「5-ALA」も多いかもしれない。

<参考:酒蔵PRESS記事「日本酒にも含まれるアミノ酸(5-ALA)がコロナを100%阻害!?」>


(Q)酒質が淡麗とのことだが、その背景は何か。滝澤さんが杜氏になられる前からの酒質なのか。

(A)自分が肉よりも魚が好きということは影響していると思う。肉に合わせるには濃醇なお酒の方が合うだろう。私の前の杜氏から受け継いでいる部分もある。


(Q)ネギは好きですか。

(A)深谷の中でも新戒(しんがい)地区のものが美味しい。利根川の近くにあり、寒いので美味しくできる。冬が季節で甘くておいしい。


(Q)深谷の「煮ほうとう」について教えて欲しい。

(A)山梨の「ほうとう」と違うのは、醤油ベースであること、ネギをたっぷり使うこと、また、カボチャは使用しないことが特徴。


(Q)最後の質問ですが、滝澤さんは「クイーン」が好きですか。

(A)好きですね。中でもフレディ・マーキュリーが好きで、facebookのプロフィール写真でもフレディ・マーキュリーの格好をしている。酒蔵同士の宴会ではそうした格好をして登場することもあるが、今はなかなかそうしたことも出来ない。早くコロナが収まってくれれば良いと思っている。

◆まとめ

渋沢栄一の生誕地、深谷市で脈々と酒造りをされている滝澤酒造。時代とともにスパークリングの開発・発売など進化も感じられます。そして、蔵元の滝澤さんは、ニュースキャスターのように端整でお話も素敵でした。ぜひ、深谷を訪れ、渋沢栄一ゆかりの地を巡った後で、滝澤酒造で美味しいお酒をみつけてください!


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