2024.07.10
こんにちは。兜LIVE!編集部です。
2024年5月18日、東京証券会館の屋上にあるコミュニティガーデン「Edible KAYABAEN」(エディブル カヤバエン)にて、「大人のための学び合うガーデン&キッチン体験授業」が開催されました。
Edible KAYABAENは、2022年4月のオープン以来、茅場町の新たな地域コミュニティの場として、周辺の小学校や企業の方々に活用されています。今回のイベントは、そんな「Edible KAYABAEN」に一般の大人が足を踏み入れることのできる貴重な機会ということで、編集部員も参加させていただき、とても学びの多い幸福なひとときを過ごして参りました!
2024年5月18日土曜日の午前9時半過ぎ。「今年一番の暑さ」との天気予報どおり、この日の茅場町は、朝から強い太陽の光に照らされていました。
これから向かうイベント会場・Edible KAYABAEN は、1966年竣工のレトロビル東京証券会館の10階・屋上にあります。快晴の空を見上げながら、コンビニで買ったばかりの冷たい水を一口。暑さに負けぬようにと気合いを入れて、いざ、向かいます。
東京証券会館ビル正面入口から入館し、エントランス奥のエレベーターで屋上へ上がると、そこには想像以上の彩り豊かな世界がありました。
東・南・西の3方向に広がる空のブルーの下に、草木のグリーンやピンク、イエローなどが散りばめられ、ほどよく距離が保たれた周辺のビルの遠景が、スパイスのように全体を引き締めています。
イベントの参加者も続々と集合し、いよいよ体験授業が始まります!
「大人のための学び合うガーデン&キッチン体験授業」のプログラムは、「はじまりのわ」からスタートします。参加者全員がひとつの輪になり、本イベントの主催者である一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの土屋さん(愛称:そいちゃん)から、体験授業の内容や、Edible KAYABAEN やスタッフの紹介、注意事項などを聞きました。
はじまりのわ
本イベントのタイトルには「大人のための」という枕詞がついています。その理由は、この体験授業が、昨年度の中央区立阪本小学校の二年生を対象に行われたのと同じ内容だから。
「菜園をひとつの教室と見立て、そこで子どもたちが植物を育て、調理して、いただく。その過程に国語・算数・理科・社会のすべての教科を結びつけることで、命の循環を伝えていきたい」
そんな温かな想いが込められた「エディブル教育」のプログラムを、大人にも体験してもらおうというのが、今回の主旨なのです。
したがって、本日の参加者は大人の殻を脱ぎ捨てて、小学二年生のまっさらな感性に戻る必要があります。次のプログラム「五感ワーク」で、その準備体操を行います!
「五感ワーク」は、「Think-Pair-Share」というアクティブラーニングの手法を利用して、Edible KAYABAEN での学びを得るプログラムです。
Edible KAYABAEN でのThink-Pair-Shareのステップは下記のとおり。
1.Think:一人でガーデンをめぐり、静かに感じ、考える
2.Pair:ペアを作り、お互いに感じたことを話し合いながら考える
3.Share:ペアで話した内容を全体に共有しながら考える
「僕は虫が大嫌いで、森に入るのが怖かったんです」
「私は道草が大好きでね」
「Share」の時間に参加者が共有してくれたエピソードは、大人になった今は考えることもなくなってしまったようなささやかなこと。しかし、そんな小さな事柄の1つひとつが、子どもの頃の自分にとっては、大事件だったり、何よりも大切なことだったりしたものです。それが思い出されたということは、Edible KAYABAEN の魔法が効いてきた証拠かもしれません!
いよいよ本日のメインプログラム「初夏のガーデンサラダをつくろう!」の時間です。このプログラムでは、みんなで一緒にガーデンの作物を自由に収穫して、食卓を整えてからサラダをいただきます。
みんなで収穫タイム!
Edible KAYABAEN にある植物はほぼすべてが食べられる野菜やハーブ、果樹ですが、それぞれに名札などはついていません。馴染み深い名前の野菜でも、生育ステージや育ち方によって、スーパーで見る姿とは全く違う場合もあります。
参加者は、名前のわからない植物の発するにおいを嗅いでみたり味見してみたりして、「これおいしそう!」と感じた植物を、みんなで食べきれる量だけ収穫していきます。
「わ、このお花、辛い!」
「これは大根の…実? うそ、これが種になるの!?」
「生のケールって、青汁とは味が全然違うんだ!」
Edible KAYABAEN の魔法で小学二年生の精神年齢に戻った参加者たちは、それぞれに新発見を得てとても楽しそうでした。
3つのグループでお仕事
収穫タイムが終わると、次は3つのグループに分かれて食卓の仕上げタイム。園内のガーデンキッチンに集合して、そいちゃんから「3つのお仕事」の説明を受けました。
「3つのお仕事」の内容は、①ガーデン ②アート ③キッチン。この中から自分の好きなお仕事を選び、途中で別のお仕事に移動してもOKなのだとか!
ガーデン班は、みんなで飲むハーブティを作るため、再びガーデンへ。スタッフ“Eri”さんのリードで、ハーブの名前や性質の説明を受けながら、ハーブティにする材料を選びます。
色や味わい、効用といったハーブの特徴により4種の配合を考え、4つの瓶ごとに思い思いの名前をつけたら準備完了!
アート班は、スタッフ“さっちゃん”のリードで、食卓を美しく整えます。赤いテーブルクロスを敷いた後、ガーデンから集めてきた花や葉でテーブル上をデコレーションしていきました。
参加者のひとりが、画用紙にオレンジ色のクレヨンで円を描いています。さて、こちらはいったい何になるのでしょう? できあがりをお楽しみに。
キッチン班は、先ほどみんなで収穫した材料をサラダに仕上げます。スタッフ“かずよん”のリードで、野菜を洗ったり、お皿を選んだり、全員分に満たない食材を追加で収穫しに行ったり……
ふと気づくと、子どもスタッフの“グッチー”が、ガーデンで数個だけ採れた完熟いちごを、包丁で丁寧にカットしていました。後で聞くと、これは「参加者全員が今日の恵みを味わえるように」という、グッチーの自主的な配慮からの行動だったそう。「明日来る人のために採りすぎず、足りないものは分け合う」というEdible KAYABAEN の精神を、実体として確認できた貴重な瞬間でした。
ようやく食卓の準備が整った頃、先ほどのオレンジの円は、太陽のお顔になっていました。
こちらのオブジェはもともとガーデンにあったものを拝借したのですが、お顔が片側のみだったため、参加者のアイデアで新たに裏面にもお顔を付け足したのだそう。かわいいニッコニコ太陽になりましたね!
センス良く飾られた美しい食卓をみんなで囲んで、いよいよ「いただきます」の時。キッチンを担当したかずよんから、このような話がありました。
「今日はぜひ、“食べたものが自分の身体になっていく”という感覚を感じてほしいと思います。だから、一口目は何もつけずに、誰ともしゃべらずに、野菜を育ててくれた人や、今日一緒にサラダを作ったみんなにありがとうと感じながら、ゆっくりじっくりといただきましょう」
みんなで「いただきます」を言った後、野菜1つひとつの味を確かめながら、黙食タイム。それが終わると、会場は一気に賑やかに。
「えんどう豆って、生でもこんなにおいしいとは!」
「え? どのお豆?」
「ほんとだ、あまーい!」
そんな会話の間を縫うように、ガーデン班によるハーブティの説明と入湯も執り行われました。
サラダもハーブティも、すべて先ほどまでガーデンで育っていた植物の命。「私たちは食べたものからできている」ということを改めて考えさせられる、大切な時間となりました。
最後はみんなで「ごちそうさまでした!」
というわけで、今回のイベントレポートはここで終了となりますが、Edible KAYABAEN の見どころは、まだまだたくさん!
菜園を運営する一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの成り立ちや、そのスタッフのエディブル教育へかける情熱、「東京都心のビルの屋上」という特殊な条件下での栽培を日々試行錯誤するスタッフの存在、オフィスビルから出るシュレッダーごみの堆肥化に、ここで育った子どもたちの姿などなど……この記事だけではお伝えしきれないほどにたっぷりの魅力を蓄えた、探求心をそそられる場所なのです。
Edible KAYABAEN や、その源となっているエディブル教育に少しでもご興味のある方は、ぜひEdible KAYABAEN のホームページにて、最新のイベント情報をチェックしてくださいね。
*Edible KAYABAENのホームページはこちら
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