2019.12.14

若手ジャズミュージシャンが東証に集結!「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2019」をレポート

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。
 
11月30日(土)、「証券・金融のまち」そして「事始めのまち」である日本橋兜町にそびえる東京証券取引所にて、「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2019」が開催されました。大盛況だったイベントの内容をたっぷりお伝えします!


◆「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2019」とは?


「Jazz EMP@Tokyo Financial Street 2019」は、日本のいわば「ウォールストリート」こと兜町の象徴である東京証券取引所の東証ホールを会場に、未来のジャズシーンを担う実力派若手ミュージシャン(EM=Emerging Musicians)達4組と大御所の原朋直グループの全5組が集結し、演奏を披露するライブイベントです。




昨年に引き続き2回目の開催ですが、会場には300人近い観客が来場。数多くの金融機関にスポンサーとなっていただいたおかげで入場は無料!また、出演者のSNSや各種メディアにも取り上げていただいたこともあり、12時半の開場時間前から会場前で待つ人の姿も見られ、年配のご夫婦や友人同士、ご家族同士や外国人グループなども開演時間にはほぼ満席となりました。




開会に先立ちJazz EMP実行委員会の副委員長である東海林正賢さんから挨拶。「世界的な金融都市を見てみると、ジャズが盛んであると言う共通点があります。日本のウォール街とも言える日本橋兜町もジャズを通じて盛り上げていきたいということで始まったのが本イベントです。そして金融街でのイベントらしく、金融機関を中心にスポンサーとなっていただき、「Emerging Musicians Program」とタイトルにもあるように、若手ミュージシャンを応援していくというコンセプトを大切にしています。

また、今回は皆さんがご存知のような有名なナンバーばかりではなく、若手ミュージシャンたちがやりたいと思う楽曲を心置きなく演奏してもらいます。演奏後には曲の理解を深めていただくために、司会の鈴木ともみさんから出演者へのインタビューの時間も設けており、曲に込めた思いなどをじっくり伺っていただきます。最後までよろしくお願いします!」と開会を宣言しました。


 ◆先進的で迫力あるサウンドでトップを飾った「佐瀬悠輔 SEXTET」




トップバッターはJazzに留まらず、様々なシーンで活躍するトランぺッターの佐瀬悠輔氏率いるSextet。同年代のシーンを代表する実力派メンバーを擁し、ジャズ、ロック、メタル、ポップス、フュージョンなどジャンルを超えたサウンドを盛り込んだ演奏が魅力です。

楽曲は全て佐瀬悠輔氏のオリジナル。勢いがある1曲目に続き、ミドルテンポの2曲目、その後、夢の中で作曲していたメロディーをもとに楽曲を完成させたというクールな楽曲が披露されました。

全体的にダイナミックなサウンドでトランペットとエレキギター、アルトサックスとの掛け合いに観客も大興奮。


途中MCでは「開催趣旨にもあった通り、私たちは親しみやすい曲ではなくオリジナルの楽曲を披露します。他のグループに比べて、音量も大きいものばかりなので景気付けということで(笑)。音楽はパワーを持っているということを体感してもらえれば」とライブへの意欲をあらわにしていました。


4曲目の締めの楽曲も迫力ある演奏を披露。洗足学園音楽大学教授であり、日本を代表するJazzトランペッター原朋直氏が、自身の教え子でもある佐瀬悠輔氏を「二十代でナンバーワンのトランペッター」と褒め称えたのも納得のライブでした。




各ライブ後のトークセッションでも鈴木キャスターにより演奏者の個性を余すところなく引き出していただき、大変盛り上がりました。入れ替え時間はあえて休憩とせずにセッティングの様子も楽しむことができ、見どころ満載なライブイベントの構成となっていました。


◆シンプルな編成でのセッションの魅力が活きた「加藤友彦 Trio」




続いてはピアニストの加藤友彦氏率いるピアノトリオ。若さ溢れる演奏はエネルギッシュで、それぞれの持つ音楽の感性が滲み出た情緒的でスリリングなサウンドが魅力です。

楽曲は4ビートを主体に、オリジナル楽曲や既存の曲をアレンジしたものなど様々。今回のライブではオリジナルの楽曲を2曲披露してくれました。


「何も決めずに演奏を始めても曲になるのはジャズの、特にトリオならではの魅力です。そんなジャズの会話を楽しんでもらえたら」とMCで語った加藤氏。みかんが好きなので作ったというワルツ調の楽曲、そして最後は元気の良いナンバーで締め、会場を盛り上げました。

◆ウィスパーボイスとチェロ、ピアノが優しく音を紡ぐ「ピチェヴォ」




3組目は、ピアノとチェロ、ボーカルという今まで有りそうでなかった楽器編成のバンド。それぞれの楽器の頭文字をとってグループ名を「ピチェヴォ」と名付けたそう。

往年の名曲「There Will Never Be Another You」と「Take 5」に続き、ビートルズの「Come Together」と誰もが知っているナンバーのアレンジを披露。ジャンルを越えて織り成すトライアングルサウンドは、聴き慣れた名曲も美しくどこかエッジィに生まれ変わっていました。


4曲目は昨年出したデビューアルバムの中に収録されているオリジナル楽曲「森の中の森」を演奏。「映像を絵画のように描いてイメージを膨らませて演奏している」という話の通り、深い森の奥に入り込んだような神秘的なサウンドで会場を魅了していました。

その後マイケル・ジャクソンの「スリラー」、そして最後にはっぴいえんどの「風をあつめて」で美しい音色を響かせライブを飾りました。


◆女性ギタリスト率いる「浅利史花カルテット」




4組目は、女性ギタリスト浅利史花氏率いるカルテット。スイングすることと、歌心を持って演奏することをモットーにしており、ジャズスタンダードナンバーの素材を活かしたアレンジで演奏しつつ、現代性も取り入れたバンドサウンドが特徴です。


1曲目では、1930年代の有名ジャズナンバーでスイングアレンジがスタンダードな「トプシー」をラテンアレンジで披露。続く2曲目は浅利氏が故郷を思い出して書いたというオリジナル楽曲を演奏し、その後スタンダードナンバーの「On A Clear Day」を奏で会場を暖かな雰囲気に包みました。


◆日本ジャズ界の屋台骨・原朋直氏率いる「Tomonao Hara Group」でフィナーレ




最後の演奏を前に、実行委員長の有友圭一さんからご挨拶がありました。かつてはジャズミュージシャンを志していた有友さん。1990年代に日本ジャズ界に巻き起こった若手ミュージシャンによる一大ムーブメントのパイオニア的存在で、洗足学園音楽大学教授として教鞭もとる原朋直氏に、旧知だった有友さんが、昨年の初めての開催にあたって協力を依頼したところ、快く引き受けていただいたことで本イベントを開催することができたとのこと。


「世界8カ国の主要都市で様々な金融機関と仕事をする機会を通じ、活気のある金融都市は芸術活動が盛んで音楽が街に満ち溢れていることを実感しました。世界に通用する一流の才能が日本にはたくさんあるのに、まだ十分世間に認知されていないという現状をこのイベントで知っていただき、成長の機会を提供できればと考えています。スポーツの世界ではサッカーチームに資産価値が認められて、世界的なファンドが高額で株を買うということが行われています。Jazzや音楽の世界ではそこまでまだだいぶ時間がかかると思いますが、ここ兜町が金融と音楽の融合により活気のある国際金融都市になってくれればと思います」と熱く挨拶されました。


 

そして盛大な拍手で迎えられたのはフィナーレを飾る、Tomonao Hara Group。日本の様々なミュージックシーンで活躍する音楽家たちが集結したグループで、今年はフルメンバーでの演奏です。

宇宙が大好きだという原さんが1曲目に披露したのは、星雲という意味を持つ「Nebura」というオリジナル曲。得体の知れない宇宙を想像しながら作曲したという楽曲は、安定感がありながらもユニークであふれていました。




日常の心象風景を曲にしたという「Living Song」など、ジャズを核にしながらもインタープレイを通して新しい世界を追求した全3曲を披露。実力派ミュージシャンたちが織りなす迫力ある演奏に、観客も大歓声をあげ、今年度のJazz EMPの全てのプログラムが終了となりました。




最後に原さんからもご挨拶が。「自分のアートを極めようという若手ミュージシャンと、そんな彼らを応援したいという人たちが手を取り合えたら日本の未来は明るいですよね。そんな場になれたなら本当に嬉しい限りです」と感謝の言葉を述べられていました。


◆会場には物販や飲食コーナーも




イベント時、会場入り口では演奏者の方々のCDが売られ、演奏を終えた出演者たちから直筆のサインをもらえるブースもありました。ファンにはたまりませんね。


 

休憩スペースでは、クラフトビールやサンドウィッチ、おつまみを300円で販売。音楽とお酒と料理が楽しめるとあって、観客同士、出演者同士など楽しい時間を過ごしている様子でした。


◆まとめ


(019)

13時から18時、長い休憩もなく5時間もの長丁場に及ぶイベントでしたが、空席がないほどの大盛況で終了した本イベント。トリオからセクステット、カルテットなどどのバンドも個性に富んだ編成と音楽で、ジャズという音楽の幅広さと可能性を感じるライブでした。そして未来ある若手ミュージシャンたちを応援する場を提供する本イベントはとても意義深く、今後も継続的に開催されて欲しいなと感じました。

今後も兜LIVE!では、このような街のイベントの情報を発信していくことで、兜町・茅場町や金融にあまり縁がなかった人たちにも、魅力溢れるこの街を知ってもらうきっかけづくりを行なっていきます。
 
この街で今後開催されるイベントに、引き続きご期待ください!


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