2020.12.19

今年はオンライン開催!第3回「家計簿の夕べ」に参加してきました

こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


人気イベント「家計簿の夕べ」が2020年11月18日(水)に開催。今年で3回目となる今回は、感染症対策としてオンラインでの実施となりました。


イベント前半は、岐阜大学教授 大藪千穂さんによる基調講演。後半は家計簿普及促進委員会のみなさんときんゆう女子。コミュニティメンバーによる「不透明な経済・社会情勢下での家計簿の役割」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。


当日の様子をレポートします!


◆主催者代表の挨拶からスタート


最初に家計簿普及促進委員会会員企業である、株式会社マネーフォワードの瀧俊雄さんによる挨拶にてイベントがスタート。「11月30日が家計簿の日ということで2年前からスタートした本イベント。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家計の状況が変わってしまったという人も多いと思いますが、家計簿に書き出すだけで不安が解消されることもあります。ぜひ一年に一度のこの機会に家計簿に向き合ってみてください」と、開会の挨拶をされました。


◆岐阜大学教授 大藪千穂さんによる基調講演「家計簿をつけて非常事態を乗り切る!」


イベントの前半は「家計簿をつけて非常事態を乗り切る!」をテーマにした、岐阜大学教授の大藪千穂さんによる基調講演が行われました。大藪さんは家計分析やエンゲル係数、消費の単位が研究のご専門で、1991年ごろから家計簿の相談や診断をスタート。



現在は岐阜大学で教鞭を取るほか、「明るい暮らしの家計簿」でコラムを執筆するなど、家計簿分野の第一線を走っていらっしゃいます。



基調講演は、まず家計簿をつけることの意義について、改めて整理し見直すところからスタート。家計簿をつけることは、自分がどんな生活をしているのかを見える化できるというだけでなく、見直すことで計画を立て直し、限られた時間や予算の中で、自分や家族が一番幸福感を得られる人生の選択ができるようになる、といいます。



その後は大学生や小学生の家計簿及びお小遣い帳記帳を行うことによる効果を、さまざまなデータや資料を用いて紹介。



するとどちらの場合も記帳によって生活を客観的に見ることができるようになり、生活を変えようと思う人が多くなり、生活を設計・管理する能力や自制心が高まるという教育効果が見られました。この話を元に大藪さんは「この生活設計と自制心は、大人にとっても今のコロナ禍ではとても重要な視点」と強調します。


その後コロナ禍での家計の動向や収入と生活費の推移、貯蓄率や黒字率、この半年間での消費動向などについて、資料を使って説明。


2020年6月時点で家計の状況が苦しくなったという人は全体の70%を超え、その対策として節約を行なっている人は66%にも及ぶという結果が明らかになっています。


今こそ家計を見直すことが重要だという大藪さんは、自分の行動が他人にどう影響するか、生活の仕方を変える力となる「想像力」、正しい情報を見極める「情報力」、自律しながら自分で楽しみを見つけ健やかに過ごす「忍耐力」の3つの力が必要だと訴えます。


その上で、家計簿記帳で客観的に自分の生活を見つめ、生活を見直し、将来を予測し適切に計画をすることが大切だとコメント。上記のような意識で行動すれば、非常事態とも言えるコロナ禍も乗り切ることができるとアドバイスされました。


◆後半は「不透明な経済・社会情勢下での家計簿の役割」をテーマにしたパネルディスカッション



基調講演のあとは、家計簿普及促進委員会のメンバー6名と、きんゆう女子。コミュニティメンバーによる「不透明な経済・社会情勢下での家計簿の役割」をテーマにしたパネルディスカッションへ。


パネラーのみなさんは、誰もが知る有名な家計簿サービスの会社の方々。


・キャッシュレスに関する機能も充実している家計簿アプリ「Zaim」の綿島琴美さん
・2秒でつけることができる簡単家計簿アプリ「おカネレコ」を運営するスマートアイデアの江尻尚平さん
・初心者からベテランまでこれ一冊。シンプル・簡単・使いやすいでおなじみの「明るい暮らしの家計簿」を発行しているときわ総合サービスの内田裕之さん
・元祖!家計簿。117 年の歴史がある、婦人之友社の濱川香雅里さん
・シンプルなデザインで楽にお金の管理ができる家計簿アプリ「マネーツリー」山口賢造さん
・様々な金融機関と連携してお金の流れを見える化できる自動家計簿アプリ「マネーフォワードME」を運営するマネーフォワードの瀧俊雄さん


そして金融がワカラナイけれど前向きに向き合うコミュニティ、きんゆう女子。からゆかりさんといろはさんが参加。


ディスカッションでは具体的なお話をたくさん聞くことができ、とても参考になりました。


■家計簿を使った不安の減らし方について


*Zaim の綿島さん

不安があるということは、わからないことがあるということ。まず何に対して不安に思っているかを理解することが重要。ただ、不安は「わからない」ことが起因していることが多いもの。家計簿は行動が可視化されるという、いわばお金の動きをマネージメントする行為。自分のことを知り、管理することができる家計簿をつけることで不安が解消される可能性も高まる。また、家計簿をつけることは生活力の底上げにもつながる。


*ときわ総合サービスの内田さん
仕事が忙しいと焦る人もいるが、やることリストをつければ落ち着いて仕事に取り組めるもの。これは家計簿でも同じことが言える。お金の出入りを見える化することにより不安の根拠が明確になるはず。もしかしたら不安が根拠のないものだったという可能性もある。一喜一憂するのではなく家計簿をつけて心に平穏を。


*マネーツリーの山口さん

人は自分が想定したことと大きく異なった時に不安を感じる。シンプルなルーティンで家計簿記帳を継続できる仕組みを考えて、家計を整理することでその不安は解消されるかもしれない。


*婦人之友社の濱川さん

お子さんが二人いる家計簿ユーザーの方で、コロナ禍で毎月18万円のパート収入が無くなったという人がいた。幸い同じ会社の事務仕事を任されたが、時給は1,800円から1,100円に減給。しかし、日頃から家計簿をつけていたため、子供たちの定期券を払い戻し、習い事をやめて、GWの旅行をキャンセルするなど、減給分の支出を削減することに成功した。記帳をしていたおかげで不測の事態も乗り越えられたといういい事例。非常事態こそ家計簿は私たちに寄り添ってくれるはず。

また、使いすぎや、無駄が数字でわかる家計簿と、持続可能な社会SDGsの17項目は、とてもリンクすると思います。家計簿でより良い未来をこれからの世代に引き継いでいけるようにしたいです。



■みなさんの家計簿との付き合い方について


ここで一旦、参加者のみなさんへアンケートを実施。「家計簿を続けられていますか?」という質問に対し、38%が「家計簿をつけていたけど続きませんでした」と回答し最多、づついて「続けられている」「途中でやめていた時もあるけれど、今は続けています」が23%という結果でした。


この結果を元に、パネラーのみなさんの家計簿との付き合い方を教えてもらいました。


*Zaim の綿島さん
小学生でお小遣いをもらったタイミングでお小遣い帳をもらったのが、初めての家計簿体験。私は毎日お金の動きがあることや記録することが楽しかった。そんなお小遣い帳時代を経て、本格的に家計簿を使い始めたのは結婚してから。EXCELや有償ソフトなど色々試してみて、夫婦でもっとも家計についてコミュニケーションしやすかったZaimを使うようになった。


*スマートアイデアの江尻さん
社会人になってビジネスがうまくいかずお金に余裕がなくなった際に、家計簿をつけ始めた。元来ズボラなので、自分のようにズボラな人でも続けられる簡単な家計簿サービスとしておカネレコを立ち上げた。


*ときわ総合サービスの内田さん
家計簿を始めたきっかけは入社してから。現在は買い物をしたらレシートを持ち帰るようにして、記帳は奥さんにしてもらっている。


■具体的な家計簿の使い方について

*マネーツリーの山口さん
家計管理とダイエットは似ている。ダイエットは食事制限だけでなく、運動して筋肉をつけて代謝をあげることで、食べながら効率的に結果を出すことが重要。家計管理も小さい節約だけでなく、固定費を見直した方が効率的に結果を出せて続けやすい。カテゴリーごとの予算設定をして、目標値を定め、それ以上の支出になりそうな場合はアラートが届くような家計簿アプリの設定をするのもおすすめ。


*Zaimの綿島さん

頑張りすぎないことが大切。家計簿をつけようと思ったきっかけにスポットを当てて、部分的に記帳をスタートするのもひとつ。洋服とか旅行とかレジャーとか少しの意識で変えられそうなところだけ節約にトライしてみるのもいい。貯金したいのであれば、残高を定期的にチェックするだけでも意識が変わる。そうすれば次どうしよう、お金が増えない原因はなんだろう、と考えるようになるはず。最初から完璧を目指さなくてOK。


*ときわ総合サービスの内田さん
正しい記帳の仕方を知らないまま手探りで家計簿をつけているのでは? 家計簿もゲームと同じでルールやストーリーを知ることで楽しめるようになる。逆にルールに縛られすぎると続かないこともあるので、基本のルールを守りつつあとは自分の自由に家計簿をつけるのがいい。



*マネーフォワードの瀧さん

日本のビジネスワーカーの多くは毎月決まった日にお金が振り込まれるので、毎月家計簿がリセットされることになる。初月節約がうまくいかなくても来月以降頑張ればいい。細かいことは気にせず2〜3ヵ月続けてみることをおすすめする。


■具体的に家計簿をどのように生活に活かせばいいか



*Zaimの綿島さん

家計簿はその人の歴史でもある。どこで何にどんなふうにお金を使ったかは、ライフログとしてすごく価値がある。例えばあるカップルの場合、お金の支出だけでなくどこで何を食べて美味しかったというコメントと写真をつけてログを残していたりする。お金管理や節約から離れて、ライフログという考え方にすると家計簿活用の見方が変わるのではないか。日記とは違う自分の振り返りにもなる。


*スマートアイデアの江尻さん
日々の出費を見直す手っ取り早くて効果がある方法は、固定費を削ること。よくない家計簿を見ると大体携帯電話料金などの固定費が高い傾向にある。まずは細かい節約より固定費削減を。


*マネーツリーの山口さん
海外では節約よりも投資を重視する傾向にある。家計簿は節約のためと考えて欲しくないし、自己投資の支出は悪いものではなく未来への投資になる。守り(節約)と攻め(支出)のバランスが大切。


*婦人之友社の石渡さん
収入が30万円後半で幼児二人を持つ30代のご家庭の事例。家計簿をていねいにつけたことで、収入額より支出が多く貯金引き出しの生活をしていることを目の当たりにして二人で反省し、無意識だった光熱費やガソリンの使い方、置き薬やなんとなくの外出、無駄な調味料購入をやめ、子供の幼稚園選択も堅実な方を選ぶことができるようになった。家計簿記帳は日々選択、決断の訓練にもなるといういい事例。


■夫婦・パートナーとの家計管理方法について


*スマートアイデアの江尻さん
お互いの給与を伝えない家庭も多く家計管理はすごく難しい。弊社では共働き夫婦のための家計簿アプリがあるので、そういったものを使うのも手。


*マネーツリーの山口さん
夫婦で共通の口座と家計簿アプリのアカウントを作って、管理しているケースも多い。夫婦の家計管理は難しい面もあるが、パートナーがいる分家計簿記帳も続きやすいというメリットもある。パートナーがいない人も、家計簿仲間などを見つけてお互い励まし合えば、家計簿も続けやすい。


*婦人之友社編集の石渡さん
結婚して最初に共通口座を作っていたことで、お互い職が不安定になった時も不安にならずに済んだ。現在は一つの家計に。夫婦の収入を別々に管理している家庭の例では、相手が貯金しているだろうと思って実際には家庭に貯金があまりなかったとか、相手より自分の方が払っていると思って不満感が募っていたり。納得感のある方法で家計管理を。


■会社員から独立・起業した場合のアドバイス



*スマートアイデアの江尻さん

個人のお金と事業のお金を切り分けるのが難しい。事業用とプライベート用のクレジットカードを分けるなど、明確に仕分けを。


*マネーフォワードの瀧さん
弊社では確定申告のサービスも提供しており、来年はアプリ上からマイナンバーをかざすだけで確定申告が終わるサービスがスタートする。職場や仕事の在り方が変わってきている中で今の仕事だけで生活できる人は統計的に減っていくため、柔軟な働き方を前向きに捉える必要がある。新しいサービスも触ってみるとわかると思うので、ぜひ怖がらずに早めにトライしてみることをおすすめする。


■家計簿は紙とアプリどっちがいい?


*Zaimの綿島さん
利用する頻度が高いものなので、ご自身の気持ちがポジティブになるツールを選ぶほうがいい。ノートの場合は物理的な厚みもあり達成感がある、アプリはいつでもどこでも使えるという手軽さが大きなメリット。


*ときわ総合サービスの内田さん
手書きすることでお金の管理を実感できて、記憶に残りやすく振り返りにも便利。好きなことを記帳できるし自由にアレンジできる。誰かに見せるわけでもない家計簿は飾らない本音の記録にもなる。人によっては単なるお金の記録ではなく家族の思い出になっていて、日記以上に思い出があるものになる場合も。


*マネーフォワードの瀧さん
紙の家計簿は資料的価値があると思う。アプリは自動で記録できるメリットがある。その時々でどちらを使うか変えてもいい。


◆まとめ

パネルディスカッションを経てきんゆう女子。のお二人も「頑張りすぎなくていいというので気が楽になりました。自分に合った続け方を大事にしていこうと思います」とコメント。基調講演をされた大藪先生も「楽しくやるのが一番。自分に合うものを探って続けてみてください」と重ねます。


家計簿は節約だけではなく、生活を見直しより良く生きていくためどうすればいいかを発見する指針になります。また、記帳することでこれまで見えなかった失敗などにも気づくきっかけになるはず。しかし節約ばかりに重きを置くと続かなくなることも。どんな目的を達成するために家計簿をつけるのか、まずはそこを明確にして、楽しく向き合うことが続けるコツと言えそうです。


個人的に印象に残ったのが「一年で一番よかったお金の使い方はなんだったか、という問いかけも大事」というお話。いい支出を実現するためにも家計簿は存在しているというのは、新たな発見でした。さまざまな視座から考えた家計簿の夕べ。2020年の振り返りに、また2021年もよりよく生きていく上で改めて家計簿と向き合ういい機会となりました。


■主催:家計簿普及促進委員会
マネーフォワードZaimマネーツリースマートアイデア婦人之友社ときわ総合サービス〈順不同〉)
■協力:きんゆう女子。
■後援:金融庁金融広報中央委員会


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