2020.09.24

【かぶかやヒューマン】 #8「きんゆう女子。」まりこさん×あさみさん

平日昼間はスーツ姿のサラリーマンで溢れている日本橋兜町・茅場町のカフェ。

しかし、アフター6にのぞいてみると、何やらパネルディスカッションや談笑をしている女性グループの姿が……。


彼女たちは、「金融ワカラナイ女子のためのコミュニティ きんゆう女子。」のメンバー。今やメンバー数2,500人を超える「きん女。」は、金融業界で知らない人は居ないほどです。一体、どのような活動をしているのでしょうか? 


立ち上げ人のまりこさん(鈴木万梨子/株式会社TOE THE LINE代表取締役、「きんゆう女子。」編集部)、あさみさん(「きんゆう女子。」メンバー兼編集部)のお二人を直撃しました!


◆お金のことを主体的に学ぶ女子会

――まりこさん、あさみさん、お子さんも、はじめまして! 
お二人:よろしくお願いしまーす♪



――「きんゆう女子。」はどのようなコミュニティなのでしょうか?
あさみさん:金融のことがワカラナイ女子が集まって、女子会形式でお金のことを学ぶコミュニティです。2016年3月に発足し、ここ日本橋兜町・茅場町を拠点に活動しています。ここ「CAFE SALVADOR」に集まることが多いですね。



「皆で一緒に金融リテラシーを高めていこう!」というスタンスのもと、ワークやディスカッションを通して意見をシェアしたり、ゲストを招いてお話を聞いたりしています。


――セミナーとは違うんですか?
あさみさん:はい。私たちの女子会は、セミナーのように答えを教えてもらうのではなく、主体的に参加して、自分で考えながら知識を付けて、正しい判断をできる力を身に付けることがゴールです。メンバーの年齢は学生からお母さん世代までと幅広く、職種もIT業からサービス業まで様々です。



◆「お金がワカラナイ!」が立ち上げのきっかけに

――「きんゆう女子。」は、まりこさんが立ち上げたんですよね。
まりこさん:はい。そして、運営管理、WEBサイトのデザインと保守、イベントのファシリテートは、私が代表を務める株式会社TOE THE LINEが行っています。弊社の事業は“コミュニケーションデザイン”で、手掛けているサービスの一つが「きんゆう女子。」なんです。



「きん女。」立ち上げのきっかけは、私自身が全くお金のことが分からなかったことです。新卒で入った上場企業はお金まわりを全部やってくれたので、社会保険も福利厚生も給与明細もちゃんと分かっていなかったんです。それこそ「キンユウって何?食べもの?」みたいな(笑)



その後転職や起業をしたときに、お金関係でたくさん痛い目を見て……。人生の色んな問題をクリアにするには、お金の知識が不可欠だと気付いたんです。


そこから金融セミナーに参加したり、本を読んだりしたけれど、難しすぎてサッパリ分からない(笑)。唯一分かりやすくて楽しかったのが、金融業界の人がざっくばらんに話してくれるランチ会やお茶会だったんです。「このスタイルって、私だけでなく色んな人に役立つんじゃないかな」と思って、継続的に開催してみたことが始まりです。


――自分のために始めたことが、こうして仕事になったんですね!
まりこさん:はい。こんな風に何年も続くと思っていなかったし、ましてや仕事として扱うと思っていなかったので、正直おどろいています(笑)。立ち上げから半年間は友人だけで開催していましたが、2016年に定期的な活動として正式にオープンしました。メンバー数は自然と増えていきましたね。



ワカラナイことが問題なのではなく、分かりにくい社会の仕組みが問題だと思っているので、そこを紐解きたくて。現状を受け止めた上で立ち上がって、自ら勉強して、自ら幸せをつかみに行く……そんなスタンスが大事だと思っています。


そして、金融機関の人がリードするのではなく、ワカラナイ私たちがリードすることが大事。アクションできていないワカラナイ人たちの背中も押せるはずだし、失敗しても立ち戻れる場所になるんじゃないかなって。


◆フラットな関係で学ぶ!金融学習の新たな形を求めて

――立ち上げ当初、結構メディアで取り上げられましたよね。
まりこさん:今までお金のことをSNSで発信する人って居なかったし、業界ではタブー視されている部分でもあったので、それが面白かったのだと思います。


最初の頃は、私たちの「皆で一緒に勉強する」というコンセプトが浸透していなかったので、参加者に保険や不動産の営業をかけたり、異なる意見を批判したりする人も居ました。その人たちを上手くファシリテートしたり、ルールをつくったり……苦労しました。この先もこれが完全に解決されることは無いと思うので、細かなコミュニケーションと目線合わせはずっと継続していくつもりです。


――全員がフラットな関係で学ぶって、難しいんですね……。
まりこさん:これは金融に関わらずですが、世の中って「知っている人が偉い」という感覚ですよね。でも私たちは、知っている人も知らない人もフラットだと思っているんです。お招きするゲストにも「教えて下さい」ではなく「シェアしましょう」とお伝えしています。


メンバーもゲストも、ワカラナイことはワカラナイと気軽に言える空気をつくりたい。答えを教えてくれるスクールではないから、時にはモヤモヤが残ることもあるかもしれないけれど、そこは皆で励まし合いながら、自分で乗り越えていって欲しいですね。



◆成熟したこの街なら安心して活動できる


――この街を活動拠点にしたのは何故ですか?
まりこさん:私がこの街の金融セミナーに通っていたときに、そこで出会った人たちが「この街をこれから再開発するのに、女性が集まらなくて困っている」と話していたんです。そこで「きん女。」の活動を提案したところ、応援して下さることになりました。


はじめは正直、「ここって本当に金融街?!」って思いました。金融街って、NYのウォール街みたいなダイナミックな街並みを想像しますが、この兜町はどこか懐かしい雰囲気で。じっくり話を聞いてみると、昔は100万円が入った高島屋の紙袋を持っている人がたくさん歩いていたとか、金融マンたちが東証の裏の喫茶店で煙をモクモクさせながら作戦会議をしていたとか、インターネットには載っていないドラマチックな風景があったそうなんです。



この街は「事始め(ことはじめ)の街」と言われていて、日本資本主義の父と呼ばれている渋沢栄一さんが多くの会社をつくった地であり、銀行発祥の地でもあります。お金を本質的に扱ってきたからこそ精神的に成熟しているし、お金の良いパワーが溢れている。だから、「この街でお金の勉強をすれば人生が豊かになる知識が身につくかな」って。


きんゆう女子。学院



◆企業との取り組みやオンラインも導入

――立ち上げから5年、活動内容に変化はありましたか?
まりこさん:最初はシンプルに投資や資産づくりの入口を扱っていましたが、現在は家計管理から世界経済にスポットを当てた勉強会を開催しています。

貯金などを学ぶ「甘口」、お金を稼ぐことを学ぶ「中辛」、余剰資金で運用することを学ぶ「辛口」の3レベルに分けていて、ひとりひとりのスタイルに合わせて選んでいただけます。たまに大学講義レベルの「激辛」もあります(笑)


2年目からは、企業と共同の取り組みもやっています。金融機関のサービスをメンバーさんが試して、サービスの長所や短所をディスカッションするんです。メンバーさんは謝礼をもらいながら新しいサービスを試せるし、企業は改善のエビデンスとなる具体的なユーザーの声が聞ける。皆がハッピーになれる価値ある取り組みだと感じています。


名証IR EXPO2019。講師として参加された桐谷広人さんと女子会


きんゆう女子。女子会の様子

きんゆう女子。座談会の様子



最近は新型コロナウィルスの影響で、もっぱらオンラインで集まっています。対面での目線や場の空気を大事にしてきましたが、オンラインには現地に来られない人も参加できるメリットがあるなって。オンラインでもちゃんとグループワークしたり、事前に資料を郵送したりすることで、オフラインと同じ雰囲気をつくる努力をしています。


――メンバーさんの気持ちにも変化がありそうですね。
あさみさん:私は最初、本当に気軽な気持ちで参加したんです。そうしたら「お金のことを話せる友達が欲しかった」という方ばかりで、すぐ仲良くなりました。



お金の話って学生時代の友人とはしにくいけれど、ここのメンバーはむしろそれを話したい人たちです。今では実際に買っている金融商品の情報を交換したり、一緒に外部のセミナーに参加したり、プライベートでも仲良くしている貴重な存在です。


今まで受け身だった私が、主体的に発言できるようになりました。お金以外の面も成長できていますね。


まりこさん:それは嬉しい!私がイメージしている形が実現しています!



――オープンから5年目、今後の目標をお聞かせください。
まりこさん:さらなる発展を目指して、WEBサイトはもちろん、サービスの開発にも力を入れていきたいです。実は今後「株式会社きんゆう女子。」のような体制にすることを考えていて。よりメンバー主体にしていく予定です。


コミュニティが大きくなればオーナーであるメンバーたちにも金銭的なメリットがある、そんなお金の流れをつくりたくて。私は一人勝ちしたいなんて全然思っていないし、「きん女。」は皆のコミュニティだから、それをもっと明確にしたいんです。皆がおばあちゃんになっても所属していられるコミュニティになれたら良いなって。


あさみさん:素敵!そのためにも、私みたいな人をもっと増やしていきたいですね!



◆この街をたくさんの人の「成長のふるさと」に

――「きん女。」はお金の勉強だけでなく、メンバーの人生も豊かにしているのですね!最後に、この日本橋兜町・茅場町にどのような街になっていって欲しいかお聞かせください。
あさみさん:外国人観光客を含め、もっと多くの人に来て欲しいですね。私は数年前まで東証の近くに住んでいたのですが、当時の週末は本当に人が居なくて。最近は新しいお店が続々とオープンしていて、古い顔も新しい顔もある魅力的な街になってきています。中央区は近年出生率も上がってきているので、子育て世代に優しい街になったら嬉しいです。



まりこさん:私のように、この「事始めの街」で新しいことを始める人が増えて、たくさんの人の成長のふるさとになったら嬉しいです。楽しい街ならたくさんあるけれど、「新しい自分を発見した街」や「主体的になれた街」って、なかなか無いと思うから。


まずは「きん女。」コミュニティと私の会社を大きくすることで、この街に貢献していきたいと思います!



◆取材を終えて

「きんゆう女子。」編集部のまりこさん、あさみさんにお話をうかがいました。いかがでしたか?まりこさんが「コツコツとお金の歴史を積み重ねてきたこの街は、お金の勉強をする私たちのお守りのような存在」と話していたのがとても印象的でした。


「きんゆう女子。」に興味を持った皆さん、是非女子会に参加してみてくださいね。まりこさん、あさみさん、ありがとうございました!


金融ワカラナイ女子のためのコミュニティ きんゆう女子。

CAFE SALVADOR(茅場町駅8番出口直結)

(ライター:安藤小百合 )


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