2024.08.07

「一万円札引継式」が開催されました。

2024年7月3日、20年ぶりの新紙幣発行を記念し、日本経済の中心地・東京証券取引所にて「一万円札引継式」が開催されました。


新旧一万円札の肖像・福澤諭吉と渋沢栄一の出身地の自治体関係者ら30名以上が出席し、歴史的瞬間を見逃すまいと、報道陣も多く詰めかけました。

新たな時代を祝して行われた「引継式」。盛大に行われた催事の様子をレポートします。



◆福澤諭吉の出身地、大分県中津市の奥塚正典市長

式典は、旧一万円札の肖像・福澤諭吉の出身地、大分県中津市の奥塚正典市長の挨拶で幕を開けました。



奥塚市長は、日本近代化の立役者である福澤諭吉と渋沢栄一の功績について述べ、新紙幣発行を機に「両氏の精神が未来に光を差す」ことへの期待に胸を膨らませました。


大分県中津市は、新一万円札の肖像・渋沢栄一の出身地、埼玉県深谷市とかねてより交流を重ねているそうです。
引継式の前日には、中津市立北部小学校と、埼玉県深谷市立豊里小学校の児童がオンラインでつながり、福澤諭吉や渋沢栄一について学ぶ授業が行われました。
福澤諭吉は教育者として、渋沢栄一は実業家として、自らの精神を未来にたくす人材の育成に尽力しました。その教えを現代に復活させようとする両市の取り組みに、奥塚市長は手ごたえを感じているようでした。


「両氏は日本近代化における立役者であり、市民の誇りであり、精神的支柱である」。そう述べた奥塚市長は、新一万円札の発行を機会として、地域振興を実現し、日本経済の発展へ繋げていくことへの意欲を示しました。


◆渋沢栄一の生誕地、埼玉県深谷市の小島進市長

続いては、まさにこの日発行される新紙幣の肖像・渋沢栄一の生誕地、埼玉県深谷市の小島進市長の挨拶が行われました。
小島市長は、渋沢栄一のシンボル、山高帽と蝶ネクタイに燕尾服姿で堂々と登壇し、場内を沸かせました。



小島市長は、日本経済における取引の重要性を熟知していた福澤諭吉と渋沢栄一を偲び、「日本経済の中心である東証で引継式ができることを、両氏は喜んでおられると思う」と笑顔で語りました。


また「打鐘を叩けることは一生の宝」と述べ、「日本経済を発展させようという思いを込めて打とうと思う」と決意を新たにしました。


◆水合わせの儀

ここで、本日の引継ぎを象徴する特別な儀式、「水合わせ」が執り行われます。
水合わせは本来、和装人前式等で両家が一つになる際に行われるセレモニーです。
今回の式典では、新旧1万円札の肖像の継承を象徴する儀式として、両氏の出身地の市長が各地の地酒を持ち寄りました。



大分県中津市からは、「耶馬い(やばい)」という、なんともキャッチーな名前の地酒。
埼玉県深谷市からは、新紙幣発行の日にふさわしい「栄一翁」という名の地酒。
それぞれの酒が提子(ひさげ)に注がれ、1つに混ざりあいます。
掛け声とともに両市長が酒を飲み干すと、東証内に割れんばかりの拍手が鳴り響きました。




◆財務副大臣 参議院議員 矢倉克夫氏の挨拶

続いて、財務副大臣参議院議員・矢倉克夫氏より挨拶がなされます。
新紙幣の発行に向けての準備に奔走したであろう矢倉氏は、

「待ちに待った日が来たという思い」と感動を露わにします。



独立した個人の確立を重んじた福澤諭吉や、経済に自他繁栄という思想性を与え経済を中心に民の力を結集した渋沢栄一の思いを継承し、「官がスタートアップなど民の力を支える」と強い思いを語りました。


渋沢栄一のふるさとである深谷市では、社会課題解決に向けたビジネスを起こす機運が高まっているとのこと。矢倉氏のスピーチには、福澤諭吉・渋沢栄一両氏の精神が日本に広がりつつあることへの確信が滲んでいました。


◆大野元裕 埼玉県知事の挨拶

続いて、新一万円札の肖像・渋沢栄一のふるさと、埼玉県の大野元裕知事の挨拶が行われます。
大野知事は、「渋沢栄一が新一万円札の肖像となることは、埼玉県民733万人の誇りである」と、県民を代表して述べました。



また、渋沢栄一が実業を行う上で規範とした論語、特に「忠恕」のこころについて語ります。
「忠恕」とは、常に相手の立場になって物事を考える思いやりの精神をさします。
渋沢栄一は有名な実業家ですが、日本赤十字社や全国社会福祉協議会を支援し、社会福祉の実現に向けて活躍した人物でもあります。


大野知事は、渋沢栄一が唱えた「道徳経済合一」と、福澤諭吉の「立国は私なり、公にあらざるなり」の言葉には、共通する部分が大きいと述べます。新紙幣の発行を契機に、二人の精神が現代に引き継がれることへの喜びを語りました。


◆一万円札宣言2024

来賓の祝辞が終了すると、続いて「一万円札宣言2024」の開催がアナウンスされます。
中津市奥塚市長、深谷市小島市長の両名が、「福澤諭吉と渋沢栄一の事績や精神の発信」「一万円札関連企業・団体間の連携強化」を宣言します。



福澤諭吉や渋沢栄一が生きた時代から現代へ月日が経とうとも、両氏の考え方は不変である、と述べられ、改めて、二人の偉人のスピリットを次世代へ顕彰することが表明されました。



◆打鐘

そしていよいよ、「一万円札引継式」最後のセレモニー、打鐘の儀が行われます。



五穀豊穣を意味する5つの鐘の音には、日本経済繁栄の願いが込められています。新紙幣の発行を記念するに相応しい打鐘は、東証Arrowsに大きく響き渡りました。



その後は記念撮影が行われ、出席者が登壇し、笑顔で新一万円札の発行を祝しました。




◆深谷市企業版ふるさと納税贈呈式

新一万円札引継式終了後、KABUTO ONEにて、「深谷市企業版ふるさと納税贈呈式」が開催されました。



「企業版ふるさと納税」とは、地方公共団体の行う地方創生の取り組みを支援する目的で企業が寄附を行った場合、寄附額の最大9割が軽減される仕組みです。


埼玉県深谷市は、この仕組みを適用できる5つの事業を展開しています。
1. 渋沢栄一を核としたひとづくりプロジェクト

2. 農業の強みを生かした産業振興プロジェクト

3. 「ふかや」の魅力を生かした移住定住推進プロジェクト
4. 行政デジタル化推進プロジェクト
5. ゼロカーボンシティ推進プロジェクト


渋沢栄一とゆかりのある日本橋兜町の再活性化に取り組む平和不動産は、この度の「深谷市企業版ふるさと納税贈呈式」で、深谷市小島市長に寄附金の贈呈を行いました。



平和不動産 土本清幸社長は、渋沢栄一の肖像が映し出されるLEDディスプレイ「THE HEART」の下でスピーチを行い、「今回限りではなく、様々な機会を通じて深谷市と交流を行っていきたい」と語りました。



◆新紙幣発行の歴史的式典を終えて

2024年7月3日、日本経済の中心地・東証Arrowsにて「新一万円札引継式」が行われました。

40年間、最高額紙幣の顔として親しまれてきた福澤諭吉から、日本を代表する実業家・渋沢栄一へ肖像が引き継がれる歴史的瞬間は、多くの報道陣が見守る中粛々と行われました。


水合わせや一万円札宣言、打鐘などの印象的なセレモニーは、出席した人々の心に深く残り、後世へと語り継がれることでしょう。



渋沢栄一の精神が現代へ顕彰されることを願い、兜町では今後も様々な取り組みがなされます。
兜LIVE!では、逐一情報をレポートしますので、ぜひお見逃しなく!



(撮影・In A Darkroom 金子 慶一/執筆・和香葉)



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