2019.02.20

第8回「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」を開催しました。


こんにちは!
兜LIVE!編集部です。


冷え込む日が続く1月26日(土)に、東京は茅場町・兜町にあるカフェ・サルバドルにて「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」を開催しました。


金融街として発展してきた兜町・茅場町の"まち"の魅力を伝え、にぎわい創出に貢献するプロジェクト「兜LIVE!」では、「日本酒」を町の魅力の一つと捉え、日本各地の蔵元に声を掛け、どなたでも参加しやすい日本酒セミナー「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」を毎月1回開催しています。


2019年1回目のゲストは、御代桜醸造株式会社より、代表取締役社長・渡邉博栄さん。日本酒の歴史に始まり、未来のお話し、お楽しみの利き酒と、盛りだくさんだったイベントの様子をレポートいたします!



◆大量生産から高付加価値型の生産へ。御代桜醸造126年の歴史


御代桜醸造さんは1893年4月に渡辺酒造場として、岐阜県美濃加茂市でその歴史をスタートさせました。


現在の蔵元・渡邉さんから遡ること3代前、酒類製造免許など様々な免許を取得。ワインやリキュール、合成清酒など様々な銘柄を手がけます。


2000年、先代に当たる5代目の時、酒造界で主流だった季節赴任型杜氏制度を廃止。杜氏であり社員でもあった酒向博昭さんを中心とした酒造りに転換をしました。元来、杜氏は冬の時期だけに出稼ぎに来るというスタイルが主流だった当時において、まだ20代と若い酒向さんの起用は賛否両論を生んだそうです。


2005年に渡邉さんが6代目蔵元に就任してからは、製造する酒の品種を日本酒に特化。その代わりに、酒麹を使用したジェラートや、自社製のなら漬(ライン漬)など、お酒以外の自社商品の製造に乗り出しています。


創業から126年目を迎える現在の従業員は8名。冬場の忙しい時期は渡邉さんや営業の社員さんも一緒になってみんなで酒造りをしているそうです。一番製造量が多かった時代の年間生産量は5000石だったのに対し、現在の年間生産量は700石と、ピーク時の7分の1ほど。これは、以前までは大量生産が喜ばれたのに対して、最近は高付加価値型の商品の方が尊ばれるという世相を反映してのものとのことです。


現在は生産量を絞る代わりに、より緻密で繊細なハードリングを商品に課し、一品一品のクオリティを高めることに集中しているそうです。



◆米、水、技。御代桜醸造のお酒作りに対するこだわり


そんな御代桜醸造さんのお酒作りに対するこだわりをご紹介。


1つ目は様々な品種の米を使っていること。地元産の酒造好適米「ひだほまれ」、「あさひの夢」のほか、長野の「美山錦」、兵庫の「山田錦」、北海道の「吟風」など、全国各地の様々な米を用いてお酒作りに励んでいます。このようなたくさんの品種を使っている理由は技術力を磨くため、そしてより自分たちの水に合うお米を探すため。日々探求を忘れない姿勢に職人としての誇りを感じます。


こだわりの2つ目は水。日本酒の8割を占める水はやはり欠かせない存在です。会社の敷地内にある井戸から、木曽川の伏流水をくみ上げて使用しています。中軟水の柔らかい水で、麹菌や酵母菌の増殖を助けるマグネシウムが豊富に含まれており、酒造に大変適しているそう。この水で仕込むことによって、口当たりがまろやかな、優しい味わいの酒質になるとのこと。


3つ目は手作りの技。日本酒を作る上で大事な工程を表した「一麹、二もと、三造り」という言葉があります。渡邉さんはこの言葉を引用した上で、重要なポイントには人の目や手をかけるということを強調してお話されていました。


江戸時代に確立された酒造りの伝統的手法を基本に据えて、最新の発酵技術を取り込みながら日々酒造りに取り組んでいるといいます。



◆御代桜醸造2つの主力ブランド「津島屋」と「御代櫻」


津島屋は2012年に開発された新ブランドです。売り方、買い方のバリエーションが多様になった現代で、ブランドの思いを伝えづらくなったという危惧から立ち上げられました。


津島屋という名前は126年の歴史を持つ御代桜醸造株式会社が酒を取り扱い始める前の屋号。創業当初の気持ちをもう一度思い出そうという想いからこの名前がつけられたそうです。「人と人を結ぶお酒」をコンセプトに、それに沿った情報発信、マーケティングを行っています。


もう一方の御代櫻は現在の会社名を冠する銘柄。

蔵元から蔵元へ、代々受け継がれてきたこのお酒は、「より地域で愛される地酒に」がコンセプト。岐阜、美濃加茂市産の原材料を積極的に使うなど、製造の段階から強く地元を意識したブランドです。


「津島屋で流通手法やマーケティングなど、新しい事を色々やるうちに、御代櫻も改めて立ち位置が明確になった」と渡邉さん。値段も地酒としてのコストパフォーマンスを重視した価格になっており、岐阜県の地酒という立ち位置を大事にしながら展開しているそうです。


また、このように魅力溢れる日本酒ですが、一方では少子高齢化に端を発する飲み手の減少など、課題もたくさんあると渡邉さんは仰っていました。


これからの日本酒は量ではなく質にこだわり、日本酒は飲まないけど興味はあるという潜在的な顧客層にどうアプローチをしていくかが重要とのことです。


そのために、お酒だけでなく、お酒を楽しむ場所を共に提案することで一緒に盛り上げていきたい、というのが今後の展望でした。



◆待ちに待ったテイスティングタイム。吟醸タイプ3種を利き比べ!


会場一同お待ちかねのテイスティングタイムです。名前がわからないよう透明なカップに移された利き酒が登場しました。


本日は、「津島屋 純米大吟醸 窮めの山田錦 無濾過性原酒 H29BY」「津島屋 純米吟醸 廣島産八反錦 無濾過性原酒 H30BY」「津島屋外伝 純米吟醸 信州産美山錦 荒走り H30BY」の3種類。


・山田錦を利用した純米大吟醸はこの中では一番フルーティさが強い。

・八反錦を利用した純米吟醸はグラスから出る香りは抑えめだが口に含んだ時に優しく香る

・美山錦の純米吟醸は荒走りと言って絞り始めの30%を利用したお酒。よく見ると濁っている。


これらのヒントから、みなさん味覚・嗅覚を総動員してテイスティングをしていました。私も飲み比べてみますが、どれもフルーティな気がしてくるし、どれも濁っているような気がしてしまってどうにも見当がつきません...。


答え合わせの結果、なんと40人中20名近くの方が全問正解!

正解者の方にお話を聞いてみると、美山錦の「よく見ると濁っている」というヒントが決定打になっていたようです。じゃんけんで勝った10名が、記念品の升を手に入れました。


◆岐阜の名産おつまみをと共に純米酒を味わう


テイスティングの後はおつまみも楽しみました。御代桜醸造さん自家製の上質な粕漬けに何度も付け替えて作られた「御代櫻ライン漬け」や、岐阜発の名ブランド・明宝ハムよりバジルの風味が爽やかな「明宝ポークソーセージ」、五平餅のソースを絡ませて食べる「ぎふ玉蒟蒻」が本日の3品。いずれもお酒によく合います。




蔵元おすすめの日本酒として新たに登場した「津島屋 純米酒 北海道産吟風 無濾過性原酒 H30BY」「津島屋外伝 純米酒 契約栽培米山田錦 瓶囲い 2018」「津島屋外伝 純米酒 der Nordwind Perlwein 2019」の3種も楽しみました!


◆まとめ

御代桜醸造さんの歴史から、お酒作りのこだわり、更にはこれからの日本酒のあり方についてなど、盛りだくさんな内容だった今年1回目の「日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ」。


渡邉さんは、歴代蔵元から受け継いできた酒造りを大切にしながらも、全国各地を飛び回って講演を行なうなど情報発信も積極的に行っています。良いものを作るだけではなく、それをきちんと売り出すための活動にも力を入れている点が、非常に若い感覚を持った経営者だなと感じました。


兜町と御代桜醸造。お酒が繋いでくれたご縁を大事にして、今後もお互いに成長しあえると良いですね。


次回は2月16日。愛媛県西条市の成龍酒造さんをお招きしての開催となります。ぜひご参加お願いします!


◆2、3月の会のお申込みはこちら

https://peatix.com/event/44945...


◆4〜6月の会のお申込みはこちら

https://peatix.com/event/59630...



(著:イシダマクラ)



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